【本編完結】時間の悪魔はデンジとレゼを幸せにしたい   作:もく 

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おまけの時間の悪魔の独り言の内容がほんのちょっと入ってます


14話 笑顔でいられる明日を目指して

sideクロ

 

姫野が消えた

あいつは先輩としては終わってたが、友達としてはいいやつだった

悪魔である俺にも、普通に接してきた

笑って、酒に付き合って、どうでもいい話をして

 

――だからこそ、気に食わない

 

今日初めて時間を戻す

いや、正確には戻る

勝つまで明日は来ない

ヒカリと一緒に助ける

あの時みたいに泣きはしない

 

視線をどこか遠くへ向けた

 

見てるか…相棒、まずは1人目だ

悲惨な運命が決められた人間を救ってやるよ

…お前の遺言に従ってるわけじゃねえからな

 

 

 

 

 

 

 

sideヒカリ

 

しくじった

クロの助言でループを発動していなかったら、大幅に寿命を使っていた

襲撃の時間はわかっていた、なのに間に合わなかった

 

理由は単純だった

直前まで戦っていた、4課に回された悪魔の駆除依頼

その悪魔は銃の悪魔の肉片を取り込んでいた

それ自体は、いつもと変わらない

すぐ終わらせて、姫野のもとへ向かうつもりだった

だが――クロが止めた

 

「悪い…姫野は後だ、コイツの方が何倍も重要なやつだ」

 

「なんで?」

 

「コイツは停滞の悪魔だ。永遠の時と一緒で概念系、俺の眷属、肉片の効果もある。お前も見えてるだろ。当分コイツは現れねえ、今やって取り込まないとマキマまで寿命が持たねえぞ」

 

僕は一瞬だけ目を閉じた

 

「…わかった、姫野の救出に間に合う?」

 

「五分五分ってとこだ…急ぐぞ!」

 

動きを止めてくる停滞の悪魔

時間そのものを噛み潰すような戦いをなんとか倒した

だが最後の足掻きで動きを止められる

そしてその脱出に時間がかかってしまった

 

外に出て、すぐ時間を止めたが

――遅かった

 

姫野はもう完全契約をしてしまっていた

クロを責める気はない

あれは必要だった

 

だから決める

絶対に姫野を生き残らせる

 

この1日は――姫野が生き残るまで繰り返されるのだから

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

ピピピピ

 

白髪の少年が目覚ましを止める

顔を洗い、朝食を食べ、スーツに着替える

いつも通りの朝

でも、違う

外へ出て、本部へ向かいながら、小さく呟いた

 

「クロ、起きた?ループの仕組みも教えてほしいんだけど」

 

「あぁ、起きてる。ループは時間で決まるか条件で決まるかの2通り、時間で決めてたらやめようと思ったら終了、条件だったら条件を達成しないと終わらねえ。今回は条件型で条件は姫野が生き残って明日を迎えることだ。1発で終わらせようぜ」

 

「うん、そのためにも停滞の悪魔を上手く片付けないとね」

 

「ああ」

 

クロが小さく呟く

 

「…出し惜しみはできねえな」

 

同じ朝、同じ会話

 

「みんな二日酔いで大変だろうから今日は午前の悪魔討伐はヒカリ君に任せることになったんだ。私は京都に出張、午後は休んでいいからね」

 

「はーい(知ってたけどさ、同じように返しとこ)あと未成年労働者の使い方酷いですよ。いい加減部下いじめるのやめてください」

 

「いじめてるつもりはないけどクロ君の態度を改めることができたら少しは考えてあげる」

 

「じゃあ無理じゃないですか、訴えますよ」

 

「言っても無駄だと思うけどね。じゃあいってくるね」

 

扉が閉まった

 

「同じこと言うんだな」

 

「ここの返事で変な方向に変わったらまずいからね。じゃあ行こうか」

 

ヒカリが走り出そうとした瞬間

――時間が止まる

 

「ん?」

 

「…重要な話をするから止めた。少し寿命は使うが許してくれ」

 

「うん」

 

「デンジが来てから銃の悪魔の肉片を取り込んだ悪魔が大量発生していただろ、都内のものだけじゃないと思って1週間離れていた間に肉片を集め回っていたんだ」

 

「…集めてどうするの?」

 

「銃の悪魔は悪魔自体への恐怖も持っているって言ったよな、俺もそれで強化できる…本当はマキマまで取っておきたかったが一部だけ取り込めば今回はいけるはずだからな」

 

「なるほどね…必要なのはわかった。吐き出せる程度でお願いね、今やるとみんなから敵対されちゃうから」

「わーってるよ」

 

時間が再び流れ出す

倉庫、停滞の悪魔

 

「さっきは倒すことはできたがその後の呪いがあるからな、この空間に遅延をかければ呪いは短くなるはずだ」

 

クロが指を鳴らす

戦闘は、1周目と同じ

だが結果は違う

銃の悪魔の肉片を取り込んだクロには、時間停止が効かない

停滞の悪魔はあっさりと崩れた

 

だが呪いは発動する

時間が止まった

 

血塗れの倉庫で、ヒカリは刀を握ったまま静止していた

 

「時間に余裕があるって言ってもこの時間は何もできないから嫌だなー」

 

「俺効かなかったぞ?だからってお前の解除できるわけじゃねえけどよ」

 

「あと姫野の完全契約を止めるだけか」

 

「だな、今のうちに停滞の悪魔の肉片を取り込んどくぞ。これで多少は楽になるはずだ」

 

――10分後

体の自由が戻る

 

「戻った!いくよ!」

 

ヒカリが指を鳴らす

再び時間を止め、2人は走り出した

 

 

 

 

 

 

side 姫野

 

なんで…

 

私は確かに助けられるはずだった

あれは確かにあった時間軸のはずだ、だから銃を撃たれる前に拘束できた

 

なのに…

私もアキ君も斬られている

 

誤算は二つ

女の出現が早かったこと

そして――自分が焦っていたこと

 

「トドメを刺して」

 

まずい、このままじゃアキ君が死ぬ

完全契約じゃ間に合わない

どうする…

――いけるかもしれない

 

デンジ君なら

 

私はスターターを引いた

戦闘が始まる

そして、世界が止まる

ヒカリ君が来た

 

「あれ、デンジがやってるの?さっきの時間的に完全契約寸前の辺りだったよね、これがバタフライエフェクトってやつなのかな?」

 

「いや、違う…なるほどな。おい姫野、お前前の記憶あるだろ」

 

「…え?」

 

「…最初は夢かと思ったけど本当だったんだね、約束通り完全契約はしなかったよ。間に合わせてくれてありがと…」

 

「…腹やられてんのか、治すぞ」

 

ヒカリ君が時間を戻し、傷が消えた

 

「さてと…じゃあ僕たちでサムソ潰してやりますかっと…アキ、起きて」

 

「んん…はっ!ここは…!?デンジは…!?」

 

「落ち着け、よくそれで生きてたな。今から俺らであいつらを叩く、動けるか?」

 

「…当たり前だ」

 

「いくよ」

 

反撃

流れが変わる

だが――終わらない

 

 

銃を持った男たちに囲まれた

 

 

 

 

パン

 

 

 

 

 

キン!

 

 

 

 

ヒカリ君が弾を弾く

 

「ありがと…どうする…?私じゃ1人しか止められないよ」

 

「…いや、大丈夫だ」

 

次の瞬間敵が潰れていく

 

「あれはなに…?」

 

「…援護」

 

敵が全員潰れ、静寂が訪れた

 

助かった

変わった

 

そう思った

 

「ねえ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ベシャ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

京都へ向かう新幹線、マキマは襲撃された

だがマキマは生きている

 

「黒瀬君、法務省から終身刑以上の犯罪者を30人ほど借りてきて。天童ちゃん、近くにあるできるだけ標高が高い神社を一つ貸し切って。あと誰か私の着替えもお願いします」

 

準備が整う

名前を呼び、手をたたく

すると遠くで命が消える

 

そして小さく呟いた

 

「…姫野ちゃん、生き残ったんだ。ちょっと想定外だったかも…試してみようかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「姫野  と言いなさい」

 

 

 

 

 

 

 

「姫野  」

 

 

 

 

 

 

 

 

――パン。

 

8話で書いた裏設定について

  • 知ってる ここには書かないで(他作品へ)
  • 知ってる 終盤に触れてほしい
  • 知らない
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