【本編完結】時間の悪魔はデンジとレゼを幸せにしたい   作:もく 

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辻褄が合わない場所があるので過去の発言を少し削除しました


35話 こんにちはジェーン

「いつからそう思ったの?」

 

「…最初からお前が何者なのか考えてた」

 

去っていくレゼを見ながらクロは続けていく

 

「最初にお前は『この世界で残酷な死を迎える人間を救いたい』と言った。いくつか可能性があるとして、未来から何かの悪魔の力で来たか未来を知る能力があるかと考えた」

 

「でも疑問点があった」

 

「互いに未来を知っていて2人を救いたいと考えているのなら、なぜ俺だけのときは未来が鮮明で変わらなかったのにお前が来ただけで未来が不鮮明になったのか」

 

「難しく考えすぎた。答えは簡単だったよ」

 

「お前が来るまで全く未来が変わらなかったのは俺が無能だったからでもマキマが優秀だったからでもなくて」

 

「元から()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだ。そしてお前が未来を変えることができたのは外部の人間の干渉だったから」

 

「…最初は疑ってたけどな」

 

「いつ確信に変わったの?」

 

「今日の戦いとさっきの会話だった」

 

自分が何を言ってしまったのかヒカリは気付いた

 

「あ…『レゼ篇』か」

 

「そう、それを聞くまであんまり考えないようにしてたんだけどな…」

 

クロは少し微笑んだ

 

「さっきの会話って?僕は特におかしなことは言ってなかった気がするけど」

 

「…俺はあいつらのことは大まかにしか知らなかった、俺の見た未来に花なんてものはなかった。」

 

「能力の使用は共有だ、お前がレゼの未来を見ていないことも把握している。それなのに俺が今やっと見た未来、赤いガーベラのことをお前は知っていた」

 

「正解だね。それを聞いてどうするつもり?」

 

「別に、今までの行動や言動に納得いっただけだ。最初に言った通り俺がお前の描く未来を知りたいのは本当、最後まで付き合ってやるよ」

 

くすっとヒカリは笑った

 

「ありがと」

 

そして2人は一度部屋に戻り()()()()へと歩き出す

 

 

 

 


 

 

 

私はソ連の軍の弾薬庫にある秘密の部屋で育った

 

私たちに自由はなく外にも出られない生活を送った

 

物のように扱われて死ぬまで体を実験に使われた

 

私がボムの心臓を移植されたのはそこだった

 

あの部屋はソ連の子供達にはおとぎ話だとされ親に叱られる時に言われるらしい

 

知らない方がいいよね

 

あんな部屋が実在するなんてみんな知らなかった

 

あの日までは

 

 

 

あの日、アメリカのジャーナリストのお兄さんが秘密の部屋を突き止めて記事にした

 

そして私たちを保護してくれた

 

やっと私は自由になれる、そう思ってたんだ

 

だけどすぐに軍の人が来てお兄さんは逃げるしかなかった

 

私は司令官に彼の暗殺を命じられて彼のもとに向かう

 

あの日の彼の目は忘れない

 

心の底から悔しがっていて、それでも私たちのことは見捨てていなかった

 

最後に言った言葉は心のどこかでいつも私を蝕んでいく

 

「何年かかってもいい…君は自由に生きるべきなんだ…俺には…それはできなかったが…いつか必ず…その手で自由な未来を掴み取ってほしい」

 

私は彼がこれ以上苦しまないように殺すしかなかった

 

そしてみんな秘密の部屋のことは忘れていく

 

彼の努力もなかったものになっていった

 

 

 

ずっと思い出さないようにしていた

 

でもあの子にまた会って思い出してしまった

 

時間の悪魔、クロ君

 

私が逃して日本で成長した彼は私と話す時どこか遠くを見る目をしていた

 

…たぶん私の本心に問いかけていたんだと思う

 

私の本心…

 

 

 

「悪魔被害を受けた子供達に募金お願いします!」

 

警察官が来た

 

今顔を見られるわけにはいかなかったので募金をして顔を見られないようにする

 

「ありがとうございます」

 

花を渡された、赤いガーベラだった

 

ガーベラ…

 

デンジ君が最初にくれたのは白いガーベラだった

 

私は初めて誰かからプレゼントをもらった

 

もうあの時点で私は彼が気になってたんだ

 

最初から失敗してた、だからデンジ君に負けた

 

私は彼と離れることを拒んだんだ

 

「11時8分山形行き新幹線つばさ、まもなく発車します」

 

乗れなかった

 

この期に及んで私は本心に従ってしまったらしい

 

会いたい

 

一緒に逃げたい

 

だから私は二道に向かった

 

いつもの道を歩いていく

 

ここを歩くのは今日で最後

 

何回も歩いたこの道は今日は特別に感じて

 

路地裏を抜けようとする私はいつの間にか走り出していた

 

デンジ君…デンジ君…デンジ君…!

 

 

 

 

 

 

ダダダダダダ

 

ネズミが大量に走ってくる

 

そして山になったネズミからマキマが姿を現した

 

すぐに首のピンに手をかけるがここは二道のすぐ近く、デンジ君とマスターを巻き込めなかった

 

「私も田舎のネズミが好き」

 

なぜそれを…

 

「友達が田舎の方に畑を持っていてね、毎年秋頃に少し仕事を手伝いに行くんだ。畑の土の中には作物を荒らすネズミ達が潜んでいて、雪が土で隠れる前に駆除しておかなくちゃいけない。だから土を掘って中のネズミを犬に噛み殺して貰うんだけど…どうしてだろうね、それを見ているととても安心するの」

 

こうなった以上仕方がない、ピンを抜こう

 

しかしその手は上から降ってきた槍に切断された

 

「だから田舎のネズミが好き」

 

まだ戦える。左手で持ったナイフで、回り込めば…

 

ザッ

 

今度は心臓を貫かれた

 

ピンを抜かないと…デンジ君に…

 

伸ばした左手はマキマに止められる

 

私はピンを抜けなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんで…初めて出会った時に殺さなかったんだろう…

 

 

デンジ君、ホントはね

 

 

私も学校いった事なかったの

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はもう死ぬ

 

まだ心臓が動いているのが不思議なくらいだ

 

痛い…死にたくない…

 

二道ではデンジ君が待ってるのに…

 

すぐそこなのに…

 

 

視界が白黒になる

 

会えなかった…

 

私は本当にバカだ

 

スパイなのに感情に動かされて最後の最後に本心に従って目的も果たせずに死ぬ

 

そんな惨めな人生…

 

ごめんね、お兄さん

 

私は自由になれなかった

 

 

 

長い…

 

あれ…?

 

出血が止まってる、でも動けない

 

なにが起きているのだろうか…

 

コツコツ

 

足音が響く

 

そして誰もいない路地裏に誰かが入ってきた

 

スーツ…公安…?

 

 

 

白髪…

 

ヒカリ君…

 

 

 

 

「Привет, Джейн」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「ヒカ…リ…君…?」

 

 

 

私の意識はそこで途切れた




次回決戦篇開始

8話で書いた裏設定について

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  • 知ってる 終盤に触れてほしい
  • 知らない
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