【本編完結】時間の悪魔はデンジとレゼを幸せにしたい   作:もく 

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AI使うようになってから一気に楽になりました
入れたい台詞と展開を書けばちゃんと小説の文章になって返してくれるのはありがたすぎます

今後は1000文字程度の短めの投稿が増えそうです


41話 狂犬と弓と

午前11時、二道

 

 

俺は、レゼを待っていた

 

 

貯金を全部まとめて鞄に突っ込んで、アキの家を出た

途中で花屋を見つけて、花束を買った

理由?

……なんとなく、だ

それを抱えたまま、俺は喫茶店の席に座ってる

 

 

落ち着かねぇ

手汗で花の紙がちょっと湿ってきた

 

 

カランカラン

 

 

「レ──」

 

 

立ちかけた俺の声は、途中で止まった

 

 

「よう」

 

 

……先生だった

 

 

「……先生かよ」

 

 

自然と、花束を握る手に力が入る

胸の奥が、嫌な方向にざわついた

――まさか、レゼは公安に?

 

 

「安心しろ」

 

 

俺の考えを読んだみたいに、先生が言う

 

 

「俺は教え子の味方だ」

 

 

「……」

 

 

一瞬、考えてから頷いた

今の先生なら信じられる気がする

何か考えてもわからねえもんはわかんねえんだ

 

 

「……わかった」

 

 

 

 

 

カランカラン

 

 

少ししてまたドアが鳴った

今度こそかって思ったけど、

正直もう信じきれてなくて、俺は立てなかった

 

 

やっぱり違った

銀髪の、すげぇ美人の女だった

スタイルも雰囲気も、なんつーか……普通じゃねぇ

その女は、当たり前みたいに先生の向かいに座る

誰だ……?

 

 

俺は花束を抱えたまま、じっと見てた

……レゼ、まだかな

 

 

 

 


 

 

 

 

クァンシは椅子に腰を下ろし、メニューも見ずに言った

 

 

「コーヒー」

 

 

「かしこまりました」

 

 

その後は岸辺を見ずに少し視線が下にずれている

 

 

「それで?なんでお前がここにいる、私はヒカリに呼び出されたはずだが?」

 

 

岸辺は肩をすくめた

 

 

「愛弟子に騙されたな」

 

 

「あのクソガキ……」

 

 

吐き捨てるように言うが、怒りは薄い

岸辺は笑いもせず続けた

 

 

「残念だが、今回の件はその愛弟子からの依頼だ」

 

 

「お前だって薄々察してただろ。刀を持ってきて、愛人の魔人どもを国に置いてきた」

 

 

クァンシは一瞬だけ黙った

 

 

「……私が、ヒカリに会いに来ただけの可能性は?」

 

 

「だとしたら意外と可愛いとこあるじゃねぇか」

 

 

「殺すぞ」

 

 

声色も変えずに答える

岸辺は気にせず話を進めた

 

 

「冗談だ、ここからが本題だ。ヒカリが呼び出したってことは……」

 

 

「今日、片付ける気か」

 

 

クァンシが言葉を継ぐ

 

 

「相手は?」

 

 

「武器人間が5体」

 

 

岸辺は指を折る

 

 

「2体は武器人間同士を当てる。1体は俺の部下に任せる」

 

 

「残り2体を、俺とお前。それと、もう1人の仲間でやる」

 

 

「……私の参戦は確定事項か」

 

 

「可愛い愛弟子の頼みだ」

 

 

岸辺は煙草をくわえた

 

 

「断れねぇだろ?」

 

 

クァンシは言い返せなかった

 

 

 

 

クァンシは当初、ヒカリの修行を引き受けることを面倒に思っていた

 

 

男であることも理由の一つだった

自分の興味の範囲外であり、情を移すつもりもなかった

 

 

マキマを倒す——そんな無謀な目標を口にする少年を最初はどこか冷めた目で見ていた

 

 

だが、何度叩きのめしても、ヒカリは立ち上がった

骨が軋み、血を流し、それでも視線だけは死なない

 

 

「もう一度」

 

 

そう言って構える姿勢に嘘はなかった

 

 

技術ではない

才能でもない

 

 

絶対に諦めないという意思

 

 

それだけで、何度も自分の前に立つ

その姿勢は、次第にクァンシの胸の奥に引っかかるようになった

 

 

同性愛者である彼女に、子を持つ未来はない 

だからこそ、ふと考えてしまったことがある

 

 

——もし、自分に子供がいたら。

 

 

あんな目で前を向くだろうか

あんな風に、不器用に、それでも必死に抗うだろうか

 

 

気づけば、ヒカリを叩き伏せる拳の奥に、わずかな躊躇が混じるようになっていた

 

 

期待

 

 

誇り

 

 

そして、守りたいという感情

 

 

それは恋情ではない

 

 

だが確かに、特別なものだった

 

 

いつの間にかクァンシは、ヒカリに“もしも”を重ねていた

 

 

自分が持てなかった可能性

自分が持てないはずの未来

 

 

その投影に、気づかぬまま

 

 

だからこそ今、彼女は迷わない

ヒカリが抗う限り、背中を押す

それが、自分にできる唯一の在り方だと、いつの間にか決めていたのだった

 

 

沈黙の後、コーヒーを一口飲んでから言った

 

 

「この世でハッピーに生きるコツは無知で馬鹿のまま生きること」

 

 

「最近、私はそう思うようになっていた」

 

 

少しだけ、目を伏せる

カップが静かに置かれる

 

 

「……私もおかしくなったものだ」

 

 

「あの子に、狂わされた」

 

 

わずかに、口角が上がった

そして、淡々と結論を出す

 

 

「可愛い愛弟子のためだ」

 

 

「終わったら、あとでたくさん可愛がってやらないとな」

 

 

視線を岸辺に戻す

 

 

「もう1人の仲間を呼べ」

 

そして――

終幕へ向かって、時は動き出す

 




ちなみに7話のちょっと際どい描写は丸1日撫でられてた感じです

8話で書いた裏設定について

  • 知ってる ここには書かないで(他作品へ)
  • 知ってる 終盤に触れてほしい
  • 知らない
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