【本編完結】時間の悪魔はデンジとレゼを幸せにしたい   作:もく 

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最後までよろしくお願いします!


42話 夢でなんか終わらせない

 

岸辺が呼んだ、最後の1人が店に入ってきた

 

 

「急に呼び出された時点で、ろくな話じゃないとは思ってましたけど」

 

 

青年は肩をすくめる

 

 

「やっぱそうですよね」

 

 

「まあ座れよ」

 

 

岸辺が顎で隣の席を示す

 

 

「大事な話だ」

 

 

クァンシは青年を一瞥してから小さく目を細めた

視線を岸辺に戻す

 

 

「若い頃のお前にそっくりだ。どこかでやったか?」

 

 

「なわけねぇだろ」

 

 

岸辺は即答した

 

 

「俺の教え子だ」

 

 

「なんで、あのクァンシがいるんですか」

 

 

青年は率直に聞いた

 

 

「今回の協力者だ」

 

 

岸辺はちょうど運ばれてきたアイスを手に取り、スプーンと一緒に青年へ差し出す

 

 

「ほら、食え」

 

 

「高校生っすよ」

 

 

青年は呆れたように言いながらも岸辺の隣に腰を下ろし、アイスを受け取る

 

 

「いつまでも子供扱いしないでください」

 

 

そう言いつつ、普通に一口食べた

 

 

「よし」

 

 

岸辺は満足そうに頷く

 

 

「食ったな。お前に拒否権はねぇ」

 

 

「最低っすね」

 

 

クァンシが鼻で笑う

 

 

「こんなやつに教わるのはやめとけ」

 

 

「いつもこんなですけど」

 

 

青年はアイスをすくいながら言った

 

 

「実力は確かなんで」

 

 

「じゃあ本題だ」

 

 

岸辺が空気を切り替える

 

 

「今回の依頼は、そこに座ってるデンジと、今から来る女の護衛だ」

 

 

青年の視線が、少しだけデンジに向く

 

 

「相手は?」

 

 

「武器人間が5人」

 

 

「無理ですよね、誰がそんなの依頼したんですか」

 

 

「俺の教え子兼お前の親友のヒカリだ」

 

 

青年はわずかに目を伏せた

クァンシが口を挟む

 

 

「私の弟子が世話になってる」

 

 

「俺の教え子だ」

 

 

「どっちでもいいですよ」

 

 

青年はため息をついた

 

 

「それで、オレの役割は?」

 

 

「5人の武器人間のうち、3人を分断する」

 

 

岸辺は指で机を叩く

 

 

「指定したやつを2と1に分けろ。お前の悪魔ならできるだろ」

 

 

「それから、俺たちの援護だ」

 

 

「オレ、そんな強くないですよ」

 

 

「いるだけで十分だ」

 

 

岸辺は即答する

 

 

「最悪、後方から悪魔出すだけでもいい」

 

 

「それはそれで嫌ですね」

 

 

青年は苦笑した

 

 

「わかりましたよ」

 

 

岸辺は、短く頷く

 

 

「頼んだぞ、吉田」

 

 

青年――

吉田ヒロフミは、静かに頷いた

 

 

 

 

 


 

 

 

 

そして、ピースは揃った

 

 

ヒカリは再び、レゼを二道へと導く

 

 

1度進み、絶たれた道

 

 

けれど今回は違う

 

 

今回は一緒に戦ってくれる仲間がいる

 

 

 

 

 

 

「……本当だったんだ」

 

 

止まっているネズミの群れを見ながら、レゼはぽつりと呟いた

 

 

「うん」

 

 

ヒカリは立ち止まり、彼女を見る

 

 

「ねえ、レゼ」

 

 

「なに?」

 

 

「……今回こそは、絶対に救ってみせる。だから…」

 

 

一瞬、言葉を探すように視線が揺れて――

それでも、はっきりと言った

 

 

「幸せになってね」

 

 

レゼは少し驚いた顔をしてから小さく笑った

 

 

「……Спасибо」

 

 

そのまま、レゼは二道へ歩き出す

 

 

そして――

止まっていた時間が再び動き出した

 

 

 

 

 

「私も田舎のネ――」

 

 

パン

 

 

乾いた音が響いた

銃弾がマキマの身体を貫く

 

 

だが、次の瞬間には何事もなかったかのように立っていた

マキマはゆっくりと視線を向けた

 

 

「……どうして、君がいるのかな」

 

 

ヒカリは銃を地面に放り投げる

 

 

「あなたによって、悲惨な運命を迎える人たちを救うためですよ」

 

 

「君が、そこまでボムちゃんに執着するとは思わなかった」

 

 

「デンジもです」

 

 

ヒカリの声は揺れない

 

 

「あなたの計画は、ここで潰します」

 

 

「2人の目指した幸せを、夢でなんか終わらせない」

 

 

一歩踏み出す

視線が真っ直ぐにマキマを捉える

 

 

 

 

 

「あの2人には、幸せになってほしい」

 

 

 

 

 

「だから――」

 

 

 

 

 

「僕がマキマ(あなた)を殺します」

 

 

 

 

 

マキマはわずかに目を細めた

 

 

「わかりました」

 

 

そして急な出来事に動揺していた天使の悪魔に静かに命じる

 

 

「天使。()()()()()()()

 

 

「その槍を――」

 

 

「ヒカリ君に刺しなさい」

「マキマに()()

 

 

重なった言葉

命令(能力)命令(契約)が真っ向から衝突する

 

 

天使の悪魔が生み出した槍が

迷いを断ち切るように放たれ――

鋭い衝撃とともに、心臓を貫いた

 

8話で書いた裏設定について

  • 知ってる ここには書かないで(他作品へ)
  • 知ってる 終盤に触れてほしい
  • 知らない
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