【本編完結】時間の悪魔はデンジとレゼを幸せにしたい   作:もく 

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47話 vs武器人間 3

長剣の武器人間、ソードマンと対峙するデンジは、最初から押されていた

 

 

同じ“武器人間”

しかも似た見た目で、同じように刃を振るう

 

 

同じ土俵のはずなのに、決定的に違うものがあった

 

 

技術

 

 

ソードマンは無駄がない

踏み込み、間合い、重心移動

すべてが洗練され、完成されている

 

 

「オラァ!」

 

 

デンジが大振りに振るうチェンソー

だがソードマンは最小限の動きでそれをいなす

火花が散り、刃が滑り、空振りの勢いのままデンジの体が泳ぐ

 

 

その隙を逃さない。

横一閃

 

 

「ぐっ——!」

 

 

胸部を斬られ血が飛ぶ

だが浅い

 

 

「へっ……効いてねぇし」

 

 

強がる

レゼの前で、カッコ悪いところは見せられない

だが内心は理解していた

 

 

(コイツ、つえぇ……)

 

 

単純なパワーなら勝てる

だが——当たらない

 

 

「デンジくーん、手伝おうかー?」

 

 

離れた場所で、余裕の声

火炎放射器の武器人間と戦っているレゼは、炎をものともせず爆風で距離を制していた

炎は爆弾には効かない

完全に優勢

 

 

「いーよ! 俺、勝てるもーん!」

 

 

また強がる

 

 

ソードマンは一歩引き、低い姿勢から踏み込む

速い

視界が揺れる

 

 

刃が何度も擦れ違い、火花が連続する

押される。押し返せない

 

 

デンジは強引に距離を詰め、頭部のチェンソーを叩き込もうとした

 

 

だが——

足を払われた

 

 

「うわっ」

 

 

体勢が崩れた瞬間、視界が反転した

背中から地面に叩きつけられる

肺の空気が抜ける

次の瞬間、喉元に冷たい感触

 

 

剣の刃

 

 

金属音が、すぐ耳元で鳴る

 

 

動けない

 

 

腕を上げようとするが、刃がわずかに食い込み、皮膚が裂ける

 

 

あと数センチ

それだけで終わる

必死に腕のチェンソーで抵抗しようとした

 

 

だが次の瞬間

 

 

ソードマンの刃がわずかに軌道を変える

 

 

フェイント

 

 

「——!」

 

 

腕を払われる

スターターに手が届かない

膝で胸を押さえ込まれ、完全に封じられた

 

 

刃が振り上げられる

 

 

真正面

 

 

空が見える

 

 

青い

 

 

(あ、やべ)

 

 

レゼの顔が、遠くに見える

 

 

ダサい

こんな終わり方、ダサすぎる

 

 

刃が落ち、首が切れる——

 

 

 

 

 

 

その瞬間

 

 

「チェンソー様ァァァ!!」

 

 

地面が弾けた

コンクリートが砕け、巨大な影が飛び出す

剣が弾かれた

デンジの体が横へ転がる

 

 

「ビーム!?」

 

 

「間に合ったァ!!」

 

 

サメの魔人、ビーム

ずっと地下に潜み、機を窺っていたのだ

 

 

ソードマンが体勢を立て直すより早くビームが噛みつき、吹き飛ばす

デンジは咳き込みながら立ち上がった

喉に薄く血が滲んでいる

あと一瞬遅ければ、終わっていた

 

 

「助かったぜビーム!」

 

 

「チェンソー様の危機、見過ごせないィ!」

 

 

デンジの口元が歪む

怖さが、怒りに変わる

 

 

「っしゃあ! いくぞビーム!」

 

 

「ハイ!!」

 

 

デンジはビームの背に飛び乗った

地面を滑るように疾走する

ソードマンも迎撃態勢を取った

 

 

だが——

 

 

動きが違う

直線じゃない

水中を泳ぐような変則軌道

急旋回、急停止、急加速

間合いの外から、一瞬で内側へ

 

 

「オラァァ!!」

 

 

頭部のチェンソーが斜めに食い込む

 

 

防御が遅れ、ソードマンが後退した

そこへ追撃

 

腕を切断

さらに脚を削る

ビームが足に噛みつき、骨ごと砕く

 

 

「まだまだァ!!」

 

 

強引。荒い

だが勢いがある

 

 

ソードマンは最後の反撃に踏み込む

だがその動きは鈍い

 

 

「遅ぇ!」

 

 

デンジが真正面から突っ込む

チェンソーを最大回転

金属音と血飛沫が同時に弾ける

 

 

刃が深く、深く、胸を貫いた

 

 

そしてソードマンの動きが止まった

デンジは刃を引き抜き、蹴り飛ばす

 

 

地面に転がる剣の武器人間は、もう動かない

 

 

「っしゃあああ!!」

 

 

デンジが吠える

ビームが歓喜の声を上げる

レゼは遠目にそれを見て、小さく笑った

 

 

「……まあ、その方が動けるか。それじゃこっちも終わらせてもらうよ」

 

 

爆風

火炎放射器が吹き飛ぶ

レゼが跳躍

 

 

上空から落下し、ピンを引き抜き大爆発を起こした

瓦礫の中に沈む火炎放射器

 

 

それぞれが勝利を収めた

 

 

背中が並び、デンジが振り向く

 

 

「見たかレゼ! 俺つえーだろ!」

 

 

レゼは肩をすくめる

 

 

「さっき死にかけてたけどね」

 

 

「ビームがいるからセーフ!」

 

 

「それ自分で勝ったって言わないよ」

 

 

デンジは笑う

レゼも、少しだけ笑った

だがその視線は、遠くを見ている

 

 

「それじゃ行こうぜ! 先生なら大丈夫だろ!」

 

 

「うん!」

 

 

デンジはレゼを抱き上げる

 

 

血まみれのまま、地面を蹴って進んでいく

 

 

デンジとレゼは明日へ向かって走り始めた

 




悪いなバルエムお前に見せ場はない
思い付かなかったし寿司の件許してねえから

8話で書いた裏設定について

  • 知ってる ここには書かないで(他作品へ)
  • 知ってる 終盤に触れてほしい
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