【本編完結】時間の悪魔はデンジとレゼを幸せにしたい 作:もく
短いのはわかってるけどそれくらいで切るしかいい場所ないんですよね
「ぱん」
武器を壊されたヒカリに無情にも放たれる数回目の死の宣告
だが、予想していた衝撃は来なかった
その寸前に視界の端で白い軌跡が閃いた
天使の悪魔の槍がマキマの右腕を切り落としていたのだ
血が静かに宙へ散る
「しっかりして! まだ負けたわけじゃない!」
天使の声が震えている
焦りと恐怖を押し殺しながら必死に前を向いている声だった
「何か策を……!」
ヒカリの手にナイフはない
——作戦変更
それはつまり、あのナイフ以外の方法でマキマの契約を貫く攻撃を生み出さなければならないということだった
「いい加減、諦めてくれないかな」
マキマは穏やかに、心底退屈そうに言う
「ぱん」
思考する時間すら与えられない
デンジがあの契約を越えられたのは愛があったからだ
だがヒカリにマキマへ向けるそのような感情はない
憎悪でも、執着でも、ましてや愛でもない
時間を戻すことはできる
だがそれは、マキマという高位の存在を正面に据えたまま能力を発動するということ
使う寿命は——10年を超える
その代償はあまりに重い
この一度で、答えを出さなければならない
限られた命の中で
「ぱん」
マキマは攻撃を続ける
天使が盾を構え、何発も受け止めつつ近づいていく
衝撃のたびに光の粒が弾け、盾に亀裂が走る
防ぐ、守る
ただひたすらに
だが、限界は近かった
その頃
姫野はサムライソードとの戦いを終え、一本の煙草に火をつけていた
(ヒカリ君は今頃うまくやっているだろうか)
(ヒカリ君と……天使君……)
胸の奥に説明のつかない違和感が走る
姫野の手から煙草がこぼれ落ちた
「……っ!」
「どうしたんですか」
アキが振り向く
「アキ君は沢渡とサムライソードを見張ってて!」
それだけ告げると、姫野は走り出していた
(ヒカリ君は、私たちに相性のいい組み合わせを選んでくれた)
(私たちを守るために)
(現に私たちはそれに勝って生き残った)
でも
(ヒカリ君が守りきれてない人がいる……!)
その確信が足を止めさせなかった
しばらくして、前方から現れた影と合流する
「姫野も気付いてたか」
岸辺だった
「先生……ヒカリ君は……」
走りながら問いかける
「ああ」
岸辺の目は冷静だった
「俺が危惧しているのはそこだ」
一瞬の沈黙
「……自分が全員を守るという、絶対の意志」
姫野は息を呑む
「それこそが、天野ヒカリの強さの根源であり——」
盾が砕けた
圧縮された衝撃波が貫通し、天使の腹に穿たれる
血が噴き出し、膝が崩れる
「天くん!」
ヒカリの叫びが響く
「——致命的な弱点だ」
8話で書いた裏設定について
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知ってる ここには書かないで(他作品へ)
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知ってる 終盤に触れてほしい
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知らない