【本編完結】時間の悪魔はデンジとレゼを幸せにしたい 作:もく
当初は終盤に登場する予定のクァンシを自然に出すためにヒカリを可愛がっているということだけは書いていましたが、それのせいで逆に不自然になってしまっており申し訳ございませんでした
姫野と岸辺が辿り着いた先で見たのは、辺り一面抉り取られた更地のような戦場だった
そしてその真ん中で膝をつき、絶望に沈むヒカリの姿だった
「起きてよ……!」
震える声が静まり返った空間に響く
「クソッ……なんで……なんで戻らないんだよ!」
ヒカリは両手をかざす
天使の腹に穿たれた穴へ、必死に力を注ぐ
だが——戻らない
天使もまた高位の悪魔
その存在そのものが強固であるがゆえに外部からの時間改変は通らなかった
血が広がる
呼吸は浅く、か細い
もう、虫の息だった
「私の勝ちだね」
穏やかな声
マキマがゆっくりと歩み寄る
その足音がやけに大きく響く
「そうか……」
岸辺の目が鋭く細まる
「マキマの目的はそれだったのか……姫野」
「わかってます! それだけはダメ!」
岸辺は地を蹴った
「ぱん」
その瞬間、岸辺がヒカリを突き飛ばす
同時に姫野がゴーストの腕を伸ばし、天使の身体を掴んで引き寄せた
2人のおかげでヒカリと天使は攻撃を回避した
「立てるか」
岸辺が低く言う
ヒカリは視線を落としたまま、かすれた声で答える
「でも……もう……」
「落ち着け」
岸辺の声は冷静だった
「あれほど余裕のあったお前が今こうなってるってことは、策が消えたってことだろ。でも今は冷静になれ」
「天使は生きてる。姫野が安全な場所で血を与えている」
ヒカリの目がわずかに揺れる
岸辺は続けた
「今起こりうる最悪の未来はな——」
「デンジを逃がしたことで契約を果たしてあとは死ぬだけになったお前をマキマが支配することだ」
ヒカリの呼吸が止まる
「次からの攻撃はお前の言う『鎖』だ」
「お前が支配されたら、クロが支配される」
「そして全部リセットだ」
空気が凍る
「へえ、わかるんだ。でも君も物好きだね」
マキマが微笑む
「ヒカリ君はそんなに大切なのかな」
岸辺は一瞥もくれない
「そこの盾を戻せ」
短くヒカリに命じた
「お前が思いつくまで、防ぎ切ってやる」
ヒカリはわずかに息を吸い込む
そして能力を発動、砕けた盾が時間を巻き戻すように再構築される
ひびが消え、光が戻る
「そう」
マキマは静かに言う
「まだ立ち上がるんだね」
ヒカリはゆっくりと顔を上げた
「…なんで……僕がここにいるのか……わかってますか」
マキマは首を傾げる
「みんなを幸せにすること、だよね」
「私の世界ではみんな幸せになれる」
その瞳は本気だった
「それなのに、なんで君は戦うの?」
そしてずっと疑問に思っていたことをヒカリにぶつける
「どうして、どうしてそうやって——」
「愚かにも運命に抗うのかな」
『なぜだ。なぜそうやって、愚かにも運命に抗うのだ』
その言葉
奇しくもあの時と同じ響き
ヒカリの脳裏にかつての親友の声が蘇る
彼から学んだ
倒れても、立ち上がれと
選んだなら、最後までその選択を突き通せと
ヒカリは立ち上がる
震える足で、それでもまっすぐマキマを見る
そして彼と同じことを語る
「それだけが……」
一歩踏み出す
「抗うことだけが、僕が今ここにいる理由だからです」
その世界でヒカリは大切なものを得てそして失った
今度はそんな思いはしない
ここで決めるためにヒカリはまた立ち上がる
静寂
そして——
二人の意思が正面からぶつかる
次の話以降を分けるアンケートを取ります
それ次第でいろいろ変わるので一旦毎日投稿はおしまいです
また票が入らなかったものも、完結後に書く予定です
見たいエンディングをお選びください!
この物語の結末は
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100%のハッピーエンド
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50%くらいのハッピーエンド
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25%くらいのハッピーエンド