【本編完結】時間の悪魔はデンジとレゼを幸せにしたい   作:もく 

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投稿頻度低めで短めという終わってる状態ですがもう少し頑張ってみます
なんで僕は全員生存状態で二部を始めようとしたのでしょうか…
本当になんも思い浮かばないんです…


55話 転校生

都内のとある高校

昼前のやわらかい光が、窓際の一番後ろの席に差し込んでいた。

 

後に主人公席と呼ばれるようになるその席。

そこに二人は並んで座っていた。

 

「最近顔色悪いよ?」

 

レゼが頬杖をつきながら、じっとデンジを覗き込む。

 

「へーきだって」

 

軽く手を振ってごまかすデンジ。

だがその軽さが、逆に嘘くさい。

 

レゼは目を細めた。

 

「あんまり目立っちゃダメだって言われてるのにさ。なんで聞けないのかなあ?」

 

「だって正体バレたらモテんじゃん」

 

一瞬の沈黙。

 

「ふーん」

 

声音が変わる。

 

「君は私のことなんかもうどうでもいいの?結婚式までしたのに?」

 

にこっと笑う。

だが目が笑っていない。

 

「もう1回舌もらっちゃおうかな?」

 

「わ、悪かった!許してくれよレゼ!」

 

慌てて両手を上げるデンジ。

完全に白旗だった。

 

レゼは少しだけ間を置いてから、ため息をつく。

 

「デンジ君。私じゃなかったら大変なことになってるんだよ?」

 

ゆっくりと、言い聞かせるように続ける。

 

「これからのことも考えて、そういうときにするのは?」

 

「ゴ、ゴメンナサイ」

 

しょんぼりと肩を落とす。

 

「よくできました」

 

ぽん、と軽く頭を撫でられる。

 

そのやり取りを見ていた周囲の生徒が、ひそひそと笑う。

この二人はもう、学校中で有名なカップルだった。

 

——結婚式まで挙げていることも含めて。

 

デンジがうっかり口を滑らせ、レゼがあっさり認め、ついでに写真まで見せた結果である。

 

 

 

「なあなあ、転校生来るんだってよ!」

 

前の方から男子の声が聞こえる。

 

「女子か!?可愛い子かな!?」

 

 

 

「へぇ……」

 

デンジがにやける。

その瞬間、ぐいっと顔を引き寄せられた。

 

「もう……」

 

レゼが真っ直ぐ見つめてくる。

 

「彼女が目の前にいるんだよ?私だけ見てればいいの」

 

「わ、悪かったって!」

 

またしても即謝罪。

そんなやり取りの最中、教室の扉が開いた。

 

「おーい、痴話喧嘩はその辺にしとけよー」

 

先生が呆れたように言う。

 

「「はーい」」

 

息ぴったりの返事。

クラスのあちこちから小さな笑いが起きた。

 

「まあ、みんな聞いてると思うが——転校生を紹介するぞ」

 

教室の空気が少しだけ変わる。

 

「入ってこーい」

 

扉が開き、一人の生徒がゆっくりと教室に足を踏み入れた。

その瞬間——ざわめきが広がる。

 

「なんだよ男子かよ……」

 

「え、イケメンじゃない…?」

 

そんな声が飛び交う中、デンジとレゼだけはぴたりと動きを止めていた。

 

言葉も出ない。

視線だけが、そこに釘付けになる。

 

 

ありえない。

 

そんなはずがない。

 

もう二度と会えないと、分かっていたはずの存在。

 

それでも——

目の前にいる。

 

運命をねじ曲げて、自分たちを繋いだあの男が

 

 

教室の前で、転校生は軽く息を吸い込む。

そして、あのときと変わらないいつも通りの調子で笑った。

 

 

「天野ヒカリです!よろしくお願いします!」

 

 

その声が、教室に確かに響いた。

定められたはずの運命が、また静かに歪んでいく。

 

そして——新たな物語が、ここから始まる。

 

 

 

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