継ぎ接ぎだらけの少年少女   作:鹿呂久陸

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若干短いです。
失踪しかけて非常に危険が危ない


第十三話:御魂は繋がる

025

 

 

 今までとは、打って変わって。

 

 初めて試練内容を告げるような雰囲気を纏い――いや、それだとシリアスな雰囲気は一瞬でぶち壊されるが――そんな予感は、微塵も感じなかった。

 

 ゆらり、と立ち上がるその姿は、ひどく静かなもので――底が見えなかった。

 

「ルールは簡単、二対二の勝ち抜き式で、アイテムの使用は無し、だ」

 

ぴっ、とロニエは二本指を立てた。

 

「レベルは当然そちらに合わせるよ。あくまで実力を測りたいだけだし、一方的な蹂躙じゃあ、戦う意味がないからね」

 

不敵な笑みを浮かべながら、踵を返して木々の隙間を縫うようにして歩き始める――慌ててその背中を追った。

そして歩きながら、ロニエは続ける。

 

「そういえば、君もそろそろ、あの蒼い珠――たましいの珠のことが、気になっているんじゃないのかな?」

 

『ポーチ』から、たましいの珠を取り出し――ロニエもまた、『ポーチ』からそれを取り出した。いつもより一層、輝いているようにも見えた。

 

「メガシンカ、ダイマックス、Z技、テラスタル……それに準ずる特殊現象が、この地方にもある……」

 

もったいぶるように溜め――口を開く。

 

「『タマシイリンク』」

 

と。

 

「ポケモンがごくまれに落とす特殊部位魂魄と、この『たましいの珠』がそろって引き起こされる現象さ。その魂魄のポケモンの得意な技とか、身体的特徴を引き継ぐ……ってのがタマシイリンク」

 

これが魂魄ね、と、一枚の紺色に、そして妖しく輝く鱗を取り出す。ミロカロスの物だろうか。

ごく稀に落とす、とのことから、大事なものなのかと思ったが、しかしロニエは、鱗を無造作に、こちらに向かって放り投げた。

 

「あげるよ、それ。そこそこの枚数あるしね」

 

両手の中にあるそれは、ひんやりとしていて――綺麗だった。

 

「さ、着いた――コートに行こう」

 

そしてたどり着いたのは。

先程まで釣りをして――そして死闘を繰り広げた滝。

オオワタツノカミの御前である。

 

「コートって言っても、あまり場所が」

 

「大丈夫さ、戦うのはここじゃない――おいで」

 

そういって、放り投げたボールから現れたのは――ミロカロス。

しかしその姿は、広く知られている姿とは違う。

 

頭部から生えてるヒレ、そして尾びれの先は怪しく揺らめいている。体色は淡い青紫で、下半身の鱗は深い紺色――コチキタのすがた、である。

 

原種よりも幻想的で――そして妖しい。

 

「みろうう」

 

【 ミロカロス(コチキタのすがた) ???ポケモン ???・??? 】

 

「乗って。滝の向こうにコートがあるから」

 

身軽にミロカロスの背にまたがって、それに倣うようにして僕もまたがる。

 

「あれ、でも、普通は入れないんじゃ」

 

「そこはまあ、誠心誠意お願いするのさ」

 

悠々と、水面をすべるようにして移動し――滝の前までたどり着く。

 

「オオワタツノカミ様。どうか我々ををお通しください」

 

……滝の勢いは一向に弱まらない。依然すさまじい勢いで、位置エネルギーを運動エネルギーへと変換し続けている。直撃したら首折れそう。

 

「レッツ正面突破」

 

「今なんて」

 

「いいかいススム君、これから行う行為はいわゆるノックに近い。その物と言ってもいい」

 

「考え直しましょうロニエさん」

 

「部屋に入りまえにノックするだろう?だから合法、OK?」

 

「違法行為なんですか!?」

 

「神様もきっと許してくれるさ、リピート・アフター・ミー『南無阿弥陀仏』」

 

「先立つ不孝をお許しください……」

 

「待って、違う、そうじゃない」

 

合掌、である。

両手を合わせてただ祈る――。

 

「ま、いいか――ミロカロス、【なみのり】」

 

――盛り上がる水面。

は、大質量そのものである。

水はうねり、膨れ上がり、滝へ向かって直進するミロカロスと共に進み――衝突。天然の障壁を突き破り、大量の水しぶきを上げて貫いた。

 

「い、生きてる……」

 

こんな状況で生きてる喜びを味わいたくなかったのだが。

 

そうして、軽く命の危険を感じる勢いで滝を貫き、たどり着いたのは広々とした洞窟。目を凝らすと、奥の方に祠が見えた。

やけに四角く整えられた岩を踏む。

 

「ここはバトルコート――そして神の御前さ。ここで戦うってわけだね」

 

てくてくと、黙ってロニエは向こうまで歩いていく。

 

そして振り返ったようだが、しかし周辺は薄暗くてその表情は読めない。が、突如として、入口に鬼火がともり、壁に沿うようにして、次々と発火していく。

 

ぼっ。

 

ぼっ。

 

ぼっぼっぼっ。

 

発火して、発火して、発火して。

 

燃えて、燃えて、燃えて。

 

燃ゆる鬼火は、祠の上までたどり着く。

 

 

――ああ、居る。

 

 

そこに居ないけれど、感じる。

 

洞窟を満たす闇、その最奥。

こちらを品定めするような、鋭い眼光を。

 

「これは確かに、匹なんて付けられないや」

 

確かめなくても分かる。

聞かなくても分かる。

見るまでもなく分かる。

――分からされる。

 

あの視線が――あの存在感が、神であると。

 

何がおかしいのか、ロニエはくつくつと笑う。

 

「いやあ、珍しいね。今日は機嫌がいいのかな?」

 

「まず間違いなくあんな入り方をしておいて、機嫌がいいという事はないと思いますけれど」

 

「ま、それもそうだね――神様ってのは、皆戦いが大好きで気が短いんだ――ちゃっちゃと始めよう」

 

ロニエと僕は、真正面から向き合う――。

 

 

【 ▼ ロニエが 勝負を 仕掛けてきた!】

 

 

 

 

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