魂魄と『たましいの珠』を使って発動するコチキタ特有の強化要素。
タイプ・技・身体的特徴を顕現させる。
説明が足りないと思われたので……
028
コアを発行させながら浮遊するスターミー。タイプ相性的には五分の相手であるが――。
「見たところ、そのメラルバのレベルは30強、ってところかな?」
「まあ、そうですね」
「安心したまえ、こちらのスターミーはレベル21、だ。やったね、ずいぶんと差がある――だからこそ、こうするのさ」
そうして懐から取り出したのは、何か。
芯まで蒼く、そして透き通っている――『たましいの珠』であり。そして、コチキタのミロカロスの鱗であった。
そして、それら二つを重ね合わせて――声高らかに宣言する。
「『タマシイリンク』!」
そうしてミロカロスの鱗は、魂魄は粒子状に分解され、スターミーの周りに纏わりつく。ゆるゆると浮遊していた粒子は、いずれ形を成して――コアの周辺から特徴的なヒレが顕現する。
【スターミー(LINK.ミロカロス) ???・???】
「さ、行ってみようか――【たいあたり】!」
指示を受けたスターミーが高速回転を開始する。加えてそれだけでなく、タマシイリンクによって顕現したヒレ、そこから鬼火が生成され――炸裂、そして突進。轟音とともに、スターミーはメラルバへ一直線――!
とても目で追えるもんじゃない!
「右にはねて!」
とりあえず雑な、後のことを考えない勘による指示は、今回の場合はうまくいったようだ――メラルバは回避に成功している。
そしてスターミーは……
「手裏剣かよ……」
岩に、地面に、深く突き刺さっていた。自身の体を引き抜き、そのままロニエの元へと戻る。
「さあ、もう一度だ……!」
再び浮遊。指示するまでもなく【たいあたり】だろう。
だが、見切る事が出来ずとも、直進するだけなら合わせられる――!
しかし。
「【いとをはく】!」
直進するスターミーに向けて放たれた、粘着性のある糸は――空振り。
「――ッ!?」
まず間違いなく、スターミーはメラルバに向けて一直線であった――であればどこへ?左右前後には当然いない。
ならば。
「上から――!?」
降り注ぐ流星の如く。その固くとがった腕が、メラルバの背中に突き刺さった。
その顔は苦しげに歪み、スターミーは再びロニエの元へ戻る。
「ワンパターンだと思うかい?ま、対戦なんてそんな物さ」
スターミーは鬼火を生成し、再び回転――そして変幻自在の軌道でメラルバの周囲を飛行する。動きの読めない挙動に加えて、さらには緩急までついている。
タイミングはつかめないのか?
――いや、あの最初の急加速は、鬼火の爆発力も加わっての者であった。その証拠に、二度目の【たいあたり】――鬼火の炸裂していない突進は、一度目ほどの速度は出ていなかった。
そして二度目のたいあたりは、意識外からの、視覚外からの攻撃であったからこそ、あそこまでの奇襲性能を持っていたのであって、鬼火が炸裂さえしなければ、見切ることは可能であろう。
あそこまで珍妙な挙動で飛行できるのだ、フェイントがないとは言い切れない。
故に視るのではない――聞くのだ。鬼火の轟音を。
そして、迎撃によらない反撃手段を僕は今持っている――!
目を見開いて、皿のようにして。
そしてそれ以上に耳を研ぎ澄まして。
そしてその瞬間は唐突に。
轟音は鳴り響き――
オオワタツノカミの御前が――崩壊する。
降り注ぐ瓦礫。
最初に動いたのは、【じんじゃ】の神主たるロニエであった。
「ミロカロスッ!」
再びボールから飛び出した神の眷属は、指示を受けるまでもないと言わんばかりに、
が、さすがにその範囲には限度がある。
当然。
こちらの瓦礫までは吹き飛ばない。
ついうっかり、目を見開いて固まってしまう。
瓦礫への、死への恐怖に?
――否。
瓦礫とか、そういうのはどうでもいい。
何でいるんだよ。
本当に何でいるんだよ!
「デイドロ――ッ!」
あの不吉な男は。
あんこ餅を食っていた男は、鎌首をもたげるハガネールの頭部に乗り、こちらを見下していた。
029
お前さあ。
お前もう本当にさア。
なに?カミと神は違うーだのなんだの。おもっきし来ちゃってんじゃん。もうシリアスになれねえよ。出来ねえよ。
この瓦礫なんて、何の意味もないし。
ボールから飛び出すのは、あの時と同じように、初めてこの不吉な男――デイドロと遭遇した時と同じように。
巨大な機械仕掛けのモンスターである。
「ギュッルルルルルルル!」
こちらもまた指示するまでもなく、その巨大な両腕を存分に振るい、大量の瓦礫を一掃……否、それに留まらず消し飛ばした。
土煙も晴れ、ぶち抜かれた大穴とハガネール……そしてデイドロがよく見える。
加えて部下のような者たちもちらほら。あれアオイとマサユキじゃね?
デイドロは部下の男からメガホンを受け取り、スーツのポケットから一枚の紙を取り出した。
「ロニエと言ったか」
「……どーも」
「えー、なになに。『カミを我々に明け渡せ、さもなくば実力行使に出る』……だそうだ」
「意味が分からないね」
「同感だな」
デイドロは溜息をつき――そしてハガネールの体は淡く光る。
「【れいとうビーム】」
射出された光線。
それは見境なく、壁を地面を破壊し――そして祠へ。
「――【ミラーコート】!」
れいとうビームが到達するその寸前、ロニエのミロカロスは寸前のところで体を割り込ませ、そして反射板を生成。その身に受けたれいとうビームを、倍にしてハガネールへと返す。
しかし、それを額で受けたハガネールには全く効いた様子はない。
デイドロは飛び降り、デリバードにぶら下がりながら、ハガネールにさらなる指示を出す。
「【アイスハンマー】――薙ぎ払え」
ハガネールは尾に氷の大槌を生成し――力いっぱい振るう。こじ開けた穴を、さらに拡張しながら一切合切を粉砕するようにして、横薙ぎに。
しかし、ロニエはそれを許すような人物ではないし――増して、僕を守るように、とプログラムされたギギギアルが、その行動をみすみすと見逃すはずもない。
人型を解き、そして尾全体に纏わりつくようにしながら勢いを完全に殺し――
「おおっと」
そのまま、大穴からハガネールを引きずり出す――!
放り投げるようにしてギギギアルはハガネールの尾から離れ、そして再び人型に変形する。
ロニエは……何か大技の用意でもしていたのだろうか。唖然とした様子でこちらを見ていた。
珍しく、あの常に不吉で不敵であったデイドロさえも、目を見開いている。
そんな様に、若干胸がすくような思いがしつつも、ギギギアルに追撃を指示する。
「【ギアソーサー】!」
鋼鉄の両腕を振るう所を確認しながら、外の状況を見るために、洞窟の外に出ようとする――が、それもただではいかないようだ。
出口には、何人か、デイドロの部下と思わしき者たちが立っていた。
やはり、というか、当然黙って通す気はなさそうだ。
「ススム君、ここは協力しようじゃないか。君は一人だけ相手したまえ、私は他を相手しよう」
「……数はそれなりに多いですけど」
「はっはー、私を誰だと思ってるんだい――
「……頼もしい」
ロニエの言った一人とは、だれかこっちはすぐにわかったし……初対面の人間でも、あいつと因縁があることぐらいはすぐに察するだろう。
「よおガキンチョ」
「なんだよおっさん」
「抜かせ、俺あまだ20前後だ」
めちゃくちゃにガンを飛ばすおっさんを睨み返す。
「ぐちゃぐちゃにしてやるよ……!」
【マサノリが 勝負を 仕掛けてきた!】