継ぎ接ぎだらけの少年少女   作:鹿呂久陸

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突発的用語解説・『タマシイリンク』
魂魄と『たましいの珠』を使って発動するコチキタ特有の強化要素。
タイプ・技・身体的特徴を顕現させる。

説明が足りないと思われたので……


第十五話:彼岸へ届け、心を込めて火に焚べて 破

028

 

コアを発行させながら浮遊するスターミー。タイプ相性的には五分の相手であるが――。

 

「見たところ、そのメラルバのレベルは30強、ってところかな?」

 

「まあ、そうですね」

 

「安心したまえ、こちらのスターミーはレベル21、だ。やったね、ずいぶんと差がある――だからこそ、こうするのさ」

 

そうして懐から取り出したのは、何か。

芯まで蒼く、そして透き通っている――『たましいの珠』であり。そして、コチキタのミロカロスの鱗であった。

そして、それら二つを重ね合わせて――声高らかに宣言する。

 

「『タマシイリンク』!」

 

そうしてミロカロスの鱗は、魂魄は粒子状に分解され、スターミーの周りに纏わりつく。ゆるゆると浮遊していた粒子は、いずれ形を成して――コアの周辺から特徴的なヒレが顕現する。

 

【スターミー(LINK.ミロカロス) ???・???】

 

「さ、行ってみようか――【たいあたり】!」

 

指示を受けたスターミーが高速回転を開始する。加えてそれだけでなく、タマシイリンクによって顕現したヒレ、そこから鬼火が生成され――炸裂、そして突進。轟音とともに、スターミーはメラルバへ一直線――!

 

とても目で追えるもんじゃない!

 

「右にはねて!」

 

とりあえず雑な、後のことを考えない勘による指示は、今回の場合はうまくいったようだ――メラルバは回避に成功している。

そしてスターミーは……

 

「手裏剣かよ……」

 

岩に、地面に、深く突き刺さっていた。自身の体を引き抜き、そのままロニエの元へと戻る。

 

「さあ、もう一度だ……!」

 

再び浮遊。指示するまでもなく【たいあたり】だろう。

だが、見切る事が出来ずとも、直進するだけなら合わせられる――!

 

しかし。

 

「【いとをはく】!」

 

直進するスターミーに向けて放たれた、粘着性のある糸は――空振り。

 

「――ッ!?」

 

まず間違いなく、スターミーはメラルバに向けて一直線であった――であればどこへ?左右前後には当然いない。

ならば。

 

「上から――!?」

 

降り注ぐ流星の如く。その固くとがった腕が、メラルバの背中に突き刺さった。

その顔は苦しげに歪み、スターミーは再びロニエの元へ戻る。

 

「ワンパターンだと思うかい?ま、対戦なんてそんな物さ」

 

スターミーは鬼火を生成し、再び回転――そして変幻自在の軌道でメラルバの周囲を飛行する。動きの読めない挙動に加えて、さらには緩急までついている。

 

タイミングはつかめないのか?

――いや、あの最初の急加速は、鬼火の爆発力も加わっての者であった。その証拠に、二度目の【たいあたり】――鬼火の炸裂していない突進は、一度目ほどの速度は出ていなかった。

そして二度目のたいあたりは、意識外からの、視覚外からの攻撃であったからこそ、あそこまでの奇襲性能を持っていたのであって、鬼火が炸裂さえしなければ、見切ることは可能であろう。

あそこまで珍妙な挙動で飛行できるのだ、フェイントがないとは言い切れない。

 

故に視るのではない――聞くのだ。鬼火の轟音を。

そして、迎撃によらない反撃手段を僕は今持っている――!

 

目を見開いて、皿のようにして。

そしてそれ以上に耳を研ぎ澄まして。

 

 

 

そしてその瞬間は唐突に。

 

轟音は鳴り響き――

 

 

 

 

 

()()()()()()()()

 

 

オオワタツノカミの御前が――崩壊する。

 

 

 

降り注ぐ瓦礫。

最初に動いたのは、【じんじゃ】の神主たるロニエであった。

 

「ミロカロスッ!」

 

再びボールから飛び出した神の眷属は、指示を受けるまでもないと言わんばかりに、超高出力の水のレーザー(ハイドロポンプ)で、押し迫る瓦礫の一切合切を吹き飛ばす。

が、さすがにその範囲には限度がある。

当然。

こちらの瓦礫までは吹き飛ばない。

 

ついうっかり、目を見開いて固まってしまう。

 

瓦礫への、死への恐怖に?

 

――否。

 

瓦礫とか、そういうのはどうでもいい。

 

何でいるんだよ。

本当に何でいるんだよ!

 

「デイドロ――ッ!」

 

あの不吉な男は。

あんこ餅を食っていた男は、鎌首をもたげるハガネールの頭部に乗り、こちらを見下していた。

 

 

 

029

 

 

 

お前さあ。

お前もう本当にさア。

 

なに?カミと神は違うーだのなんだの。おもっきし来ちゃってんじゃん。もうシリアスになれねえよ。出来ねえよ。

この瓦礫なんて、何の意味もないし。

 

ボールから飛び出すのは、あの時と同じように、初めてこの不吉な男――デイドロと遭遇した時と同じように。

巨大な機械仕掛けのモンスターである。

 

「ギュッルルルルルルル!」

 

こちらもまた指示するまでもなく、その巨大な両腕を存分に振るい、大量の瓦礫を一掃……否、それに留まらず消し飛ばした。

土煙も晴れ、ぶち抜かれた大穴とハガネール……そしてデイドロがよく見える。

加えて部下のような者たちもちらほら。あれアオイとマサユキじゃね?

 

デイドロは部下の男からメガホンを受け取り、スーツのポケットから一枚の紙を取り出した。

 

「ロニエと言ったか」

 

「……どーも」

 

「えー、なになに。『カミを我々に明け渡せ、さもなくば実力行使に出る』……だそうだ」

 

「意味が分からないね」

 

「同感だな」

 

デイドロは溜息をつき――そしてハガネールの体は淡く光る。

 

「【れいとうビーム】」

 

射出された光線。

それは見境なく、壁を地面を破壊し――そして祠へ。

 

「――【ミラーコート】!」

 

れいとうビームが到達するその寸前、ロニエのミロカロスは寸前のところで体を割り込ませ、そして反射板を生成。その身に受けたれいとうビームを、倍にしてハガネールへと返す。

 

しかし、それを額で受けたハガネールには全く効いた様子はない。

デイドロは飛び降り、デリバードにぶら下がりながら、ハガネールにさらなる指示を出す。

 

「【アイスハンマー】――薙ぎ払え」

 

ハガネールは尾に氷の大槌を生成し――力いっぱい振るう。こじ開けた穴を、さらに拡張しながら一切合切を粉砕するようにして、横薙ぎに。

しかし、ロニエはそれを許すような人物ではないし――増して、僕を守るように、とプログラムされたギギギアルが、その行動をみすみすと見逃すはずもない。

 

人型を解き、そして尾全体に纏わりつくようにしながら勢いを完全に殺し――

 

「おおっと」

 

そのまま、大穴からハガネールを引きずり出す――!

 

放り投げるようにしてギギギアルはハガネールの尾から離れ、そして再び人型に変形する。

ロニエは……何か大技の用意でもしていたのだろうか。唖然とした様子でこちらを見ていた。

珍しく、あの常に不吉で不敵であったデイドロさえも、目を見開いている。

 

そんな様に、若干胸がすくような思いがしつつも、ギギギアルに追撃を指示する。

 

「【ギアソーサー】!」

 

鋼鉄の両腕を振るう所を確認しながら、外の状況を見るために、洞窟の外に出ようとする――が、それもただではいかないようだ。

 

出口には、何人か、デイドロの部下と思わしき者たちが立っていた。

やはり、というか、当然黙って通す気はなさそうだ。

 

「ススム君、ここは協力しようじゃないか。君は一人だけ相手したまえ、私は他を相手しよう」

 

「……数はそれなりに多いですけど」

 

「はっはー、私を誰だと思ってるんだい――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……頼もしい」

 

ロニエの言った一人とは、だれかこっちはすぐにわかったし……初対面の人間でも、あいつと因縁があることぐらいはすぐに察するだろう。

 

「よおガキンチョ」

 

「なんだよおっさん」

 

「抜かせ、俺あまだ20前後だ」

 

めちゃくちゃにガンを飛ばすおっさんマサノリを睨み返す。

 

「ぐちゃぐちゃにしてやるよ……!」

 

 

 

【マサノリが 勝負を 仕掛けてきた!】

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