ビワハヤヒデとゴーオンイエロー
「すみません、新作のバナナミルフィーユを5つお願いします。」
「はい、少々お待ちください。」
ケーキ屋さんにて買い物をしてるウマ娘がいた。
彼女はビワハヤヒデ、菊花賞をはじめ多くのG1にて好成績を上げた名ウマ娘だ。
彼女は今日人気のケーキ屋さんへと訪れ、新作のバナナミルフィーユを購入していた。
ハヤヒデは大のバナナ好きであり、その新作ケーキということもあり、週末を利用して買いに来たのであった。
「お待たせいたしました、お早めにお召し上がりくださいね。」
「あぁ、ありがとう。」
「それと、あの、、、ビワハヤヒデさんですよね?」
「え?はい、そうですが?」
「やっぱり!あの、私ハヤヒデさんのファンで!天皇賞も宝塚記念も現地まで応援に行かせていただきました!」
「は、はい?! あ、ありがとうございます、、」
ケーキ屋さんの店員さんから突然ファンだと声高に告げられるハヤヒデ、嬉しいがその勢いについ戸惑ってしまう。
「あ?!すいませんつい、、 それにプライベートですのに、大変失礼しました!」
「いえ、お気になさらずに、応援ありがとうございます。」
「これからも応援してます、頑張ってくださいね!」
「ありがとうございます、期待に応えられるよう精進します。」
「あの、もしよろしければ最後に、握手してもらえませんか?」
「もちろん、いつも応援してくれてありがとう、またぜひレースを観に来て下さい。」
「必ず応援に行きますね!ありがとうございましたー!」
思わぬところでファンとの交流ができたハヤヒデ。
ファンからの直接の言葉というものは、やはり嬉しいものである。
大好きなバナナスイーツとファンとの交流という嬉しいお土産をもって、ハヤヒデはトレセン学園への帰路へとついた。
ちなみに、購入したケーキ5つのうち4つは友人達とルームメイトと妹の分であり、決して彼女が全部一人で食べる大食いウマ娘というわけではない。
バナナミルフィーユは最高に美味しく、みんなにも喜んでもらえた。
「これが新しくでたヘアスプレーか、なるほど。」
ケーキを買いに行った週末からさらに翌週、本日も街へと繰り出していたハヤヒデ。
本日は新発売のヘアスプレーを見に来た様だ。
実は彼女、ヘアスプレーのレビュアーという一面をもっていた。
ハヤヒデの芦毛の髪は、非常にボリュームがありさらに癖毛がひどい。
本人曰く、波状毛と捻転毛の超混合の美容師もお手上げのハイパー癖毛とのことだ。
その為、多くのヘアケア用品を試していた結果レビュアーと化していたようだ。
「さて今回はどうだろうか」
「あれ?ハヤヒデさん?」
「ん?」
声をかけられ振り向くと、そこには先週出会ったケーキ屋さんの店員さんがいた。
「これはこれは、またお会いしましたね。えっと、、」
「あ、楼山早輝と申します。先日はありがとうございました。」
「いえこちらこそ、大変美味しくいただきました。」
「よかった!是非またいらしてくださいね。」
「そのつもりです、本日はお休みで?」
「はい、それでウインドウショッピングとかしてたら、ハヤヒデさんをお見かけして。」
「なるほど、もしよろしければこの後いっしょにお茶でもどうでしょうか?」
「いいんですか?!ご迷惑でなければぜひ!」
「迷惑だなんて、では行きましょう。」
「はい!」
偶然にも再会した店員さん改め楼山早輝といっしょにカフェへと向かうハヤヒデ。
近くのオープンカフェへとやってきた2人は、会話に花を咲かせていた。
「では、菊花賞の頃から?」
「はい、友人に誘われて初めてレースを見にいったんですけど、その時にみたハヤヒデさんの走りが格好良くてそれで」
「照れ臭いな//」
「有マ記念のトウカイテイオーさんとの最後の直線での勝負は本当に興奮しました!」
「あぁ、彼女は素晴らしい走りを見せてくれたよ、残念ながら追いつけなかったな。」
「あ、すいませんつい、、でも本当にハヤヒデさん凄く格好良くって!」
「ありがとう、もちろん次は勝さ、必ずな。」
楽しく会話をしていた2人だった。
そんな2人の前で、それは起こった。
『ジリジリジリ、、、バリーン!』
「「!?」」
「な、なんだあれは?!」
「あれって、次元の亀裂?!」
空に突然、大きな穴の様なものが出来たのだ。
驚く2人の前に、穴から彼女は現れた。
「ブイブ〜イ?! ど、どいてどいてー! あぁ〜?!」ドシーン!
「な、なんだこれは?!車?」
「べアール?!」
穴から巨大な黄色い熊の様な形の車が現れたのだ。
そして気のせいでなければこの車、喋っていなかったか?
驚くハヤヒデと、何やら別の意味で驚いている様な早輝。
「べアール、なんでこんなところに?」
「あ、早輝!丁度よかった!すまんけど後頼むわ!」
やはり喋っていた車はそう言うと、急に小さくなり、そこにはあの車が小さくなった物と、四角い何かが残された。
「い、一体何がどうなって、、」
「ごめんハヤヒデさん話は後! とにかくここを離れるよ!」
そう言うと早輝は残された2つの物を回収し、混乱するハヤヒデの手を取り、その場から逃げ出した。
ガチャウィーン! ブウン
「いやー、助かったわ!ありがとうな早輝!」
「もう!急に現れるなんてびっくりしたじゃない!来るなら前もって言ってよね!」
「すまんすまん」
「早輝さん、彼女?は一体、、」
「あ、ごめんハヤヒデさん。 この娘はべアールV、炎神っていう別の世界の住人なんだ。」
「よろしゅうな、さっきは驚かせてすまんかったな」
「えんじん?べつのせかい?」
ハヤヒデはもはや限界であった。
本来論理的に物事を考えるハヤヒデにとって、非現実的な事ばかりが起き、キャパシティの限界がきていた。
そんなハヤヒデに早輝達は色々と説明した。
「つまり全部で11の次元が膜のように存在しており、私たちのいる世界はそのうちは一つヒューマンワールド。そして彼女達炎神の住む世界マシンワールドなどがあると」
「他にもジャンクワールドにサムライワールド、ガンマンワールドにクリスマスワールドなんてのもあったかな。」
「ずいぶんとバラエティにとんでいるんだな、、そして先程の次元の亀裂が発生した際に行き来が出来ると。」
「そんなかんじやな」
「そして彼女達炎神はこちらの世界では本来の姿が保てず、体と魂、炎神キャストと炎神ソウルに別れてしまうと。」
「せや、だから早輝がおってくれて助かったわほんま」
炎神や11の次元について聞いたハヤヒデ、俄には信じられないが、こうして目の前にいるべアールや、自分で見た次元の亀裂の事もあり、信じざるを得ない。
「、、、世界には私の知らないことがまだ沢山あったのだな、、」
「まぁ普通に生きてたら知らないほうが普通だって。」
「なんか悪いことしたな、、」
「いや決してそんな事はない、改めましてビワハヤヒデだ、よろしく頼む。」
「ウチはべアールVや、よろしゅうなハヤヒデ。」
「して、2人はどういう関係なんだ?」
「え?!あ、それは、、えーっと、、」
「ウ、ウチが前にこっちの世界に来た時助けてもろたんや!なぁ早輝!」
「そ、そう!そんな感じだよ!」
「そ、そうか、、分かった」
何やら人に言えない様な事情があるようなので、ハヤヒデはそれ以上聞くことをやめた。
「それでべアールなんでまたこっちに? まさかまた夫婦喧嘩?」
「ほう、旦那様がいるのか」
「せやかてしゃあないやん!またアイツったら!」
どうやら図星だったようだ。
「そりゃ仕事が大事やってことは分かるよ!せやかてそれですべてが許されるってのも違うやろ!」
「まぁそうだな。」
「せやろ!せやのに仕事やゆうて何度も約束破って!」
「なるほどな、、」
べアールから語られる多くの旦那の愚痴に、世界は違えど夫婦喧嘩はどこも一緒なのだとハヤヒデは感じた。
「そんでアイツ!いま追ってるガイアークの残党の情報が入ったからって!」
「べアールストップ?!」
「ガイアーク?」
新たなワードを口走るべアールとそれを慌てて止めた早輝、気にはなるが聞いて良いものかと思うハヤヒデ。
そんな3人の前に、そいつは現れた。
「まさか炎神が現れたと思ったら、俺を追うわけじゃなくただ愚痴りに来ただけとはな。」
「あ、あんたは?!」
「べアールもしかしてこいつ、、」
「な、なんだこいつは?」
会話中の3人の前に、体が機械でできた不思議な奴が現れた。
「あんた!蛮機族のカタヅケナインやろ!ヒューマンワールドに来てたんかい!」
「てことはコイツがさっき言ってた、、」
「そうや、スピードルの追ってたガイアークの残党や!」
「よ、よくは分からないがつまりこいつは?」
「「悪い奴!」」
2人はそう言いきった。
たしかに見た目的に怪しくはあったが、また違う世界の住人かとも思っていたハヤヒデ。
悪い奴と聞いて警戒を強める。
「悪い奴とは心外だな。俺たちはただ自分達にとってより良い世界にしようとしてるだけだぞ。」
「それが悪いことやっちゅうんじゃ!他所の世界に迷惑かけよってからに、今ここで成敗したるわ!」
「はっ!そんな状態でなにができる?」
「黙って見とき! 早輝!」
「しょうがないか、、いくよべアール!」
「2人とも一体何を?」
2人が何を言っているか分からないハヤヒデ、そんな彼女の前でさらに理解不能なことが起こった。
「チェンジソウル、セット!」
「レッツ、ゴーオン!」
シュピーン!ブオンブオン!
「メットオン!」
シャキーン!
「スマイル満開!ゴーオンイエロー!」
「正義のロードを突き進む!炎神戦隊!ゴーオンジャー!」
「ほう、ゴーオンジャーだったのか」
「な、な、なんだこれは?!」
早輝がガラケーに炎神ソウルの様な物を入れ、何やら口上を述べたと思えば、なんといきなり黄色のヒーローの様な姿に変身したではないか。
今日はもう驚くことだらけでこれ以上の驚きはないと思っていたが、そんな事はなかった様だ。
「早輝さん、、なのか? これは一体、、」
「ごめんだけど説明は後!危ないから離れてて!」
「あ、あぁ」
ひとまず離れた物陰に隠れて様子を見るとことにしたハヤヒデ、変身した早輝とカタヅケナインの戦いが始まった。
「マンタンガン!」バキュンバキュン!
「はん!そんなものがきくか!フン!」ブオン!
「きゃっ?!」ドシン
「ふん!この程度か、ソラ!」バキ!
「くぅ!」ゴロン
しかし、完全に劣勢に立たされるゴーオンイエロー、相手はかなりの強敵らしい。
「噂のゴーオンジャーとやらもこの程度か、これで終わりだ!」
「く、、!」
「早輝さん?!」
カタヅケナインがトドメを刺そうとしたその時、彼が現れた。
「ドルドルドルドル!!」ブーン!
「な、何?! グハッ!」ドーン!
「大丈夫か!」
「ス、スピードル?!」
乱入車に跳ね飛ばされるカタヅケナイン。
突然現れた新たな炎神、赤いスーパーカーの様な彼はスピードルというらしい。
「やい、カタヅケナイン!よくも俺の女房にひでぇことしやがったな!」
「にょ、女房?」
「へ、誰かと思えば仕事にかこつけて約束破った挙句家出されたスピードルじゃねぇか。」
「な?!」
スピードルに跳ね飛ばされたカタヅケナインは、スピードルに対してきつい一言を放つ。
どうやら彼がべアールの話していた旦那のようだ。
「も、元はと言えばお前らがまだ悪さを続けるから!」
「何を言ったところで、お前は女房より赤の他人の奴らを選んだ、それに変わりはねぇ!」
「違う!べアールも含めたすべての人達が平和に暮らせる世界を取り戻して、べアールと笑って生きていきたいから俺は戦ってるんだ!」
「スピードル、、、」
スピードルの思いを初めて聞いたべアール。
「だから大人しく観念しやがれ!」
「誰がするか、ここは一先ず退散するぜ!」
「待ちやがれ!」
その場を離れるカタヅケナインとスピードル、落ち着いたのを確認して早輝はメットをはずした。
「ふぅ、、、」
「早輝さん!大丈夫か!」
「ハヤヒデさん、、大丈夫、ありがとう。」
「彼奴は一体、、」
「あいつは蛮機族のカタヅケナイン、ガイアークの残党や。」
「そのガイアークというのは?」
「前にヒューマンワールドやマシンワールドを、自分達の過ごしやすい汚れた環境にしようと侵略してきたのが、蛮機族ガイアークなの。」
「そんでな、ウチら炎神と早輝達人間が力を合わせてあいつらと戦ってたんが、炎神戦隊ゴーオンジャーなんや。」
「ゴーオンジャー、、」
ハヤヒデはガイアークとゴーオンジャーについての話を聞いた。
まさかこんな秘密まであったとは。
「ごめんね、ハヤヒデさんまで巻き込んで、、」
「早輝さんが謝ることなんてない!」
「ありがとう。」
「それで彼奴は」
「とりあえずスピードルが追ってるから私も行くね、たぶん仲間も駆けつけてるはずだから」
「しかしいま戦ったばかりで大丈夫なのか?」
「心配しないで、これも正義の味方の仕事ってやつだよ。」
「だが、、、」
「そんな顔しないの、ほらスマイルスマイル!」グイ!
「は、はきひゃん?」
心配で顔が曇るハヤヒデを、早輝は強引にスマイルにする。
「スピードルも言ってたでしょ、すべての人達が平和に暮らせる世界を取り戻して、笑って生きていきたいって。
ね、べアール?」
「せ、せやな//」
「だから笑って待っててよ、お願い。」
「あ、あぁ、分かった」ニコ
「ナイススマイル! それじゃあ気をつけて帰ってね!」
「早輝さん達もご武運を!」
そして別れた3人、ハヤヒデは去っていく早輝達を見送り、自分も帰路に着いた。
彼女の言う通り、笑顔で
「いらっしゃいませ!あ、ハヤヒデさん!」
「早輝さん、お元気そうで何よりです。」
「はい! 元気にスマイル満開です!」
あれからまた翌週、ハヤヒデは早輝の勤めるケーキ屋さんへと訪れた。
元気そうな様子の早輝に一先ず安心した。
「あの後大丈夫でしたか?」コソコソ
「はい、仲間たちとなんとか倒せました。」コソコソ
「それはよかった、べアール達は?」
「戦いの後マシンワールドへ帰ったよ、夫婦一緒にね!」
「そちらもなんとかなった様で、よかった。」
ハヤヒデ達と別れた後、ゴーオンジャーの仲間達とカタヅケナインを倒した。
そして炎神達はマシンワールドへと帰っていった。
スピードルの思いを知って、夫婦の関係も修復へと向かったらしい。
「心配とご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした。」
「そんな、迷惑だなんて!」
「本日は新作のバナナのスペシャルショートケーキをサービスしますから、ぜひ食べていって下さい。」
「なんと!それはぜひ食べてみなければ」
ウマ娘とそのファンのケーキ屋さんの関係は、これからも続くみたいだ。
おまけ
「姉貴、、、これは、、、」
「エアグルーヴから、ブライアンがたくさんの野菜を貰ったと聞いてな!」
「エアグルーヴゥ、、、」
「なんでも送ってくれた人からも、たくさん食べて強く速くなれとメッセージがあったのだろう?
さぁ、好き嫌いせずに食べなさい。」
「映士めぇぇ、、、、」
ビワハヤヒデによる野菜づくし、ちゃんと食べましょうねブライアン。
間隔が空いてしまった、、
まだ読んでくれてる人がいればいいが、、、
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最後まで読んでいただきありがとうございます。