CyberRegular:Edgehunger   作:匿名Cyberpunk好き

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CyberpunkRED買いたいがお金ないんじゃあ


ストリートの下に落ちた日

 

□ワトソン:とあるメガビルディング内

 

「は?」

 

目の前に横たわる死体は、もう人間の輪郭をしていなかった。

頬の半分は剥ぎ取られ、赤黒い肉の奥からは金属製の骨格が覗いている。

義眼は二つとも生き残り、まだ電源が落ちきらないのか──鈍い赤色の光が断続的に点滅している。

 

内部から謎の液体が流れ出す。血液と混じり合い、ぬめった匂いを立てながら地面に広がるその様は、臓腑をぶちまけた生物というより、故障して捨てられた機械の残骸に近い。

 

腐った肉の匂いと、焦げたにおいがする。

 

「わけわからん...明晰夢ってやつか?寝る前にやってたCyberpunkが悪かったか...こんなリアルに俺の脳が再現するとは...」

 

 なぜか手に持っていたデッキブラシを手放し、気味が悪いから早く目覚めろと頭を抱えてしゃがみ込む。

 

 少しの間、無心を保っていた男は後ろからの声で現実に呼び戻された。

 

「おい!さっさとそいつを片付けろよ。お前がやりてえって言ったんだろうが!」

 

とっさにもう一度の周囲の状況を見ても、自分にかけられた声だと分からずに声を漏らした。

 

「えっ?」

 

その瞬間。揺れる視界、鈍い痛みが伝わる。殴られたと頭で理解する前に怒鳴り声が聞こえた。

 

「さっさと包んで廃棄シャフトに突っ込め!そこにあるだろうが!俺は先に行くから片付けたら報告に来い!」

 

定まらない視界の中、視界の端に映った腕に虎の入れ墨を入れた男は、怒鳴るだけ怒鳴った後、エレベーターに乗って消えていった。

 

ガンガンと頭に響く痛みが、ここは現実だと男に訴えかけてくるのを無視したまま、立ち尽くす。

 

「まじかよ...」

 

まだ現実だと認めたくないが、殴られても覚めないうえに、あいつを待たせた状態で時が進めば、どちらにせよどういう思いをするかは想像に難くない。

 

痛む頭を押さえつつ、袋を手に取る。ジッパー付きのそれは明らかに安物であり、入れる体のことなど微塵も考えていないのが肌触りでわかる。

 

先ほど手放したデッキブラシを使い、肉塊めいた死体を袋の中へと納めていく。嗅いだことのない硫黄めいた異臭に、回路基板が焼けたかのような合成樹脂の嫌な匂いが鼻を突く。

 

無心で片付けるうちに、夢ではないのかもしれないという思いが強くなり痛みと合わさって涙がこぼれた。

 

袋を廃棄シャフトまで抱えていき、人並みに重くなったソレを底の見えない穴へ落とした後エレベーターに乗り込んだ。あの男に報告に行かなければならない。

 

 

人の形をしていたゴミはあなたのおっしゃる通り捨てました。と

 

 

記憶にあるゲームの通りの形をしたパネルで1回階を押すと同時に、上部のモニターからは見覚えのあるCMが流れていた。

 

「──新フレーバー!ALLFOODSが送るめくるめく快楽 ビタミン摂取基準の330%を配合」

 

ゲームの中であればバカなことをと思っていたソレを無感情に見つめる。今すぐモニターを叩き壊したいが、幸い実行に移す前にエレベーターは1階へと辿り着いた。

 

先程の何も無い連絡通路めいた階層ではなく、1階には屋台が並び、みょうちくりんな格好をした人であふれ、謎の屋台が階段までひしめいている。ついでに言えば言えば汚いし臭かった。

程なく端のほうに先程の男を見つける。外に出ていく人は男にできるだけ近づかず出ていくようだった。

 

行きたくないと考えるほど重くなる足を引きずりながら、男の前までいく。赤いバイザーに黒い金属めいた顎、腕から見える虎の入れ墨。

 

タイガークロウズ

 

哀れな死体遺棄者となった男が昨日やっていたゲーム。Cyberpunkに出てきたギャングそのものであった。どことも知れぬメガビルの中で清掃を任され、なぜギャングにそれを報告するのか理解できぬまま男の前まで進む。

 

「ノロマな奴だ。きちんと終わらせたんだろうな?」

 

そう声をかけられ、早口になりながら言葉を返した。

 

「ちゃんと捨てました。言われた通り廃棄シャフトに。」

 

「そうか」

 

短く言葉を返した男は手の平をこちらへと差し出してくる。わけがわからないまま突っ立っていたら先程殴られた場所をもう一度殴られた。尻餅をつき、頭の中に大量の疑問符が沸く。

 

「マジで使えねえなお前は!今日は見逃してやるが、明日もそうならカネは渡さねえからな。」

 

そう言われた直後、謎のチップが渡される。

 

「明日もビルは汚れる予定だ。12時に来い。いいな」

 

そう一方的にまくし立て、男は去っていった。

 

床に蹲ったままの俺を回りの人々は何事もないかのように通り過ぎていく。

 

そうして痛みを堪えながら蹲ったまま悟る。

 

 

 

ああ──ここはマジにナイトシティだ。

 

 

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