CyberRegular:Edgehunger 作:匿名Cyberpunk好き
どうやらマジにナイトシティに来てしまったらしい。
ナイトシティ
世界的気候変動が発生し、政府は崩壊、新合衆国と自由州連合がアメリカ大陸の覇権を争う中、大企業アラサカの庇護の元、未だ中立を保つ人口500万を超えるハイテク都市。
実態は陰謀渦巻き、市民は企業に搾取され、カネが命を上回るそんな街。
タイガークロウズの男に殴られた後、現状を整理することにした俺は、メガビル1階ロビーの隅に座り込んでいた。
現状の確認だ。
転生。正しくは憑依のような形で知らない男の体に乗り移った。顔は確認できないが、髪色は黒で長髪、半分は刈り上げ、服は洗ったのがいつかわからない汚れたタンクトップにボロボロのカーゴパンツ。
おそらく底辺層、いわゆる低所得者の更に下だ。
神経インターフェースは積んでいるのか手首にコネクターはあった。
神経インターフェースとは脳の生体神経と電気信号を相互変換するものだ。変換層があるらしいが形は知らん。クロームというのはいわゆる義体であり、脳の信号が神経インターフェースで変換された電気信号で動く。生体接続が必要らしいから完全な機械とは別らしいが。
他には、視界内にHUDと思しきノイズに似た何が映り込んでいる。ゴミのような義眼クロームを入れてるのだろう。詳しいメーカーは分からないが推定貧民だ。おそらく碌なものではない。
ちなみに男の象徴は未改造だった。回転したり煙を噴かなそうで助かる。
要するに、純正ナチュラルではなく最低限義体化してるってことだ。
仕事は...メガビルの清掃員だろうか。以前何をしていたかは分からない。ロビーから外をみる限りワトソンのメガビルっぽいが、少なくとも清掃員は日雇いだったはずだ。短期・危険・低賃金の使い捨て要員――物理的短期バイトともいう。
家もおそらくない、あるいはどこぞの雑居ビルの一室を不法占拠だろう。日雇い労働者はメガビルを一月さえ借りれない給与水準だと見た覚えがある。
...前途多難すぎる。
汚い身なりで、ほぼ生身で、仕事は犯罪者よりマシなだけの最底辺。ナイトシティではすり潰されて、遅くとも来月には路地裏に転がってるか死体袋に詰められるのは間違いない。
おぉ、助けてくれまだ見ぬチューマよ。別世界の令和を生きる原始人では無双はできそうにもない。この世界に挑むには俺の頭じゃ半世紀早い。
最後に、カネの確認だ。
言うまでもなく、おそらく底辺の俺は銀行口座なんか持ってないだろう。
ナイトシティで口座を持つことは上流、少なくとも中流階級の証明だ。
登録には市民IDとバイオメトリクスの生体データが登録されている必要があり、底辺層はそれらを持たぬことから"ゴースト"と呼ばれることもある。
だから基本的にクレドチップと呼ばれるチップで金銭を管理する。俺も持ってた。
本音を言うならチップに500エディーぐらい貯めていて欲しい、ゲームではなくルールブックからだが、治安最悪の老朽化メガビルの家賃が月300エディーが相場。
家を借りるための偽造ID――NCPDやコーポのゲートで即バレするだろうが――が買えるかもしれない
市民IDはまともに生活するなら必須だ。企業のサーバーはすべてを見ている。管理社会において管理するためのタグを持たないものは生活できない
ホロコールなんかは基本的に通信網と市民IDがセットだ。企業に監視されるのはもちろん、内容まで筒抜け。傭兵なんかは違法端末を使うらしいが安物だと簡単にすっぱ抜かれる。
ゲームではバンバンに掛け合っていたが、Vがいい端末かシステム持ってたんだろう。傭兵の鑑だし。
もし金がなければ、俺は生身丸腰でコフィンホテルと呼ばれる路地裏の棺桶で眠らなきゃならないはずだ。それでも1泊30エディーが相場。寝るだけなら最安だ。
では、......ご開帳!
――第三者からすれば、妙に気合を入れてるように見えるだろう男が元から持っていたであろうクレドチップに接続する。
'5€$'
今日の飯はすぐそこの自販機にある'Burrito XXL'で決まりだ。