キングダム世界でファンタジーチート転生者が傭兵をするだけの話 作:鈴木颯手
因みに調べたら公主の寧ってどのタイミングかは分からないけど25歳らしいですね。という事は韓攻めの時では13くらいの少女という事ですね。
秦が誇る大将軍蒙驁の副将にして元野盗という異色の経歴を持つ桓騎は韓攻めの初戦において尚という小さな都市を攻める事となった。主要な街道から外れた位置にあるこの都市はそれに相応しく人口も少なく、城壁も大して高くもない。代表するような将も存在しない数ある小都市の一つに過ぎなかった。
それ故に、この都市が6万に及ぶ軍勢に包囲された時には抵抗する事もなく降伏した。守備兵は5千ほどしかおらず、圧倒的な敵を前に誰もが士気を砕かれていたのだ。自軍に比べて圧倒的な敵の数というのはそれだけで士気を破壊するには十分すぎる威力を誇っていたのだ。
「なっ!? 何を!?」
「きゃぁぁっ!!」
「た、助け……!」
しかし、もし桓騎軍の特徴を知っていれば彼らは最後の一兵まで戦い抜いただろう。それをしなかったことがこの都市最大の悲劇へとつながった。
桓騎軍を構成する兵士たちの殆どは桓騎が副将になる前から連れ添った者達で構成されている。つまり、元野盗の集まりなのだ。彼らが略奪に走るのは必然と言えた。結果、尚は火に包まれ、住民たちは野盗たちに気まぐれに殺され、凌辱されていく。
「おい見ろよ! ちっせぇ都市の割にため込んでるぞ!」
「こりゃぁいい! お頭に伝えろ!」
「ギャハハハッ!! 簡単に降伏すっからこうなんだよ!」
略奪していく彼らに品性などは存在しない。残された者達は抵抗する事も出来ずにただただ自分の故郷が無惨に食いつくされていくのを見ている事しか出来なかった。
「……」
「あ! 炎鬼さん! お疲れ様です!」
「炎鬼さん! どうぞここにお座りください!」
そんな彼らだが炎鬼に対しては異常な程に気を使っていた。最早初日で馬鹿にしていた奴等の面影はない。それもそうだろう。あれだけ濃厚な死を感じさせる圧をまともに受けたのだ。死ななかっただけまだマシと言える程だ。
その結果として桓騎軍の兵士たちは炎鬼を恐れつつ決して不興を買わないように気を付けるようになった。更に炎鬼の機嫌を損ねないようにするためか桓騎軍の中でも良識派として知られている厘玉の部隊に配置された。
「炎鬼さん。今日はゆっくり休んでください」
「炎鬼さんの力は次の城で存分に発揮してほしいので」
「こちら夕食です」
「ん」
ヘラヘラと気持ち悪い笑みを浮かべる桓騎兵たちに短く返事をして夕食を食べる。元は豪商が住んでいたと思われる屋敷の一番良い部屋をあてがわれた炎鬼はあまりおいしいと感じない飯を食べていると桓騎兵が寄こしただろう年頃の娘が三人、入って来た。
「い、一生懸命に奉仕、させて、いただきます……!」
代表して一番年長の女性が震えながらそういうが特に何かをしたわけでもない炎鬼はそれを断った。力を振っていればその興奮で多少は食指が動いたかもしれないがそこまで行くことはなかった。
抱かれる事がないと知って安堵した女性たちは礼をして部屋を出ていくがそうなれば他の桓騎兵たちが食い散らかす為にどちらにせよ彼女たちの運命は変わらなかったと言えるだろう。
翌日、桓騎軍は即座に次の都市へと進軍を開始した。降伏後に抵抗された以外で戦いが発生していなかったために損害はほぼない状態だったからだ。他の戦場、大将軍蒙驁ともう一人の副将が率いる軍勢は未だ城攻めの真っ最中であり、桓騎軍がいち早く動いていたのだ。
「まぁ、次はそこまでうまくいくとは思えませんがね」
桓騎軍随一の知将である摩論は次の城の様子を偵察して把握しており、それによって相手の戦意が高い事が分かっていた。つまり、戦は避けられないという事であり、本当の意味で戦いが始まる事を意味していた。
「まぁ、そんな彼らも数は1万にも満たないそうなので負ける事はありませんがね。尚と同じ城壁ですし」
「つまりやる気だけはあるってわけか。いいじゃねぇか。戦いに餓えている奴は多い。降伏されるよりはマシだ」
相手が韓である以上野戦が起こる可能性は低いとしていくつもの攻城兵器である長梯子を用意していた。とはいえ桓騎軍はそこまで攻城戦が得意というわけではない。何しろ野盗の集まりであり、経験はあっても得意ではないのだ。
「あ、炎鬼さんは待機でお願いしますよ。手柄は立てておきたいので」
無論、炎鬼を出せばどんな城でも瞬殺という事は摩論は理解していた。しかし、最初の城が戦わずに降伏した以上次の城で炎鬼に活躍されると桓騎軍内で不満が溜まる。普通の軍であればそれでも問題は起こらないだろうが忍耐力とは皆無の野盗の集まりの桓騎軍ではそれが理由で脱走する者も出てくるだろう。
それだけは避けねばならないとして摩論は炎鬼に待機命令を出したのだ。炎鬼の活躍はその次の城か不測の事態が発生するまでお預けという事となった。
「韓という雑魚相手に用心しすぎかもしれませんが厘玉さんの部隊と一緒に周辺の警戒をお願いしますね」
紳士を自称する知将は軍議をその言葉を最後に終わらせた。そんな軍議の翌日、ついに桓騎軍は次の城である泳へと到着した。泳は城門を固く閉じ、韓の旗を堂々と掲げており、やる気満々である事を示していた。
「それじゃ始めましょうか」
そんな摩論の号令と共に城攻めが開始された。予想通りに相手は死に物狂いの抵抗を見せ、長梯子を上る桓騎兵が次々と撃ち殺されていく。
桓騎軍も自軍随一の弓使いである黒桜の指揮で矢を城壁の敵兵に叩き込んでおり、数少ない敵兵を順調に減らしている。
「ま、それでも苦戦はしますね」
だが、それでも桓騎軍が攻めきることは出来ずにその日は終了となった。負傷者は大量に出た物の、幸か不幸か死者はそこまで多くはなかった。
翌日以降も桓騎軍は城攻めを順調に行い、城攻めから5日目で陥落させる事に成功した。これで2つ目であるが他の面々が未だ一つ目の城を落とせずにいる事からも桓騎軍の速さが伝わってくる。無論、他が攻めている都市は桓騎軍が落とした城の何倍もでかい城であったが。
「……そう言えば今回は何処まで行くつもり?」
3つ目の城へと向かう途中、炎鬼はふと気になっていた事を桓騎に聞いた。元々韓を攻めるとしか聞いていなかった炎鬼は最終目標地点が何処なのかを把握していなかったのだ。
「あ? 確か南陽とか言うでけー城だ。そこまで3軍で各地の韓の城を落としてそこの手前で合流だな。ま、そこまで行けるとは思えねぇけどな」
「そう」
南陽は韓の王都に次ぐ重要な城であり、常に韓の第二将である博王谷が守っている。第一将である洛亜完と並ぶ韓の傑物である。他国を攻め入る力が残されておらず、ここ数十年のうちに著しく衰退している韓が今日まで滅びる事無く国力を残してこれたのはこの二人の功績によるものだった。
「南陽には5万の兵がいるが今頃周囲から集めてもっと増えてるだろうよ」
「寄せ集めの雑魚じゃん」
「それで切り捨てられるのはつえぇ奴だけだ」
韓も祖国の大事となれば十万を超える兵を動員してくるだろう。そうなれば蒙驁将軍はそれ以上攻める事はなくそれまでに獲得した領地の保全に努めるはずだ。元々韓を秦が攻めれば盾として扱っている魏や趙が援軍を率いてやってくるため、滅亡まで行くことはないのだ。
副将ゆえにそれらをきちんと伝えられている桓騎は元来の性格もあるがかなり適当に挑んでいた。
「そんなわけで歩調自体は白老と合わせる必要がある。先について南陽の奴らが打って出てくるなんて事を避けるためにもな」
「……そう」
炎鬼はそれ以上語る事はなかった。そしてそれから数日後、3つ目の城である等へと到着した。桓騎軍による2回目の城攻めが始まった瞬間であった。
何時もの他者から見た炎鬼の評価です。
桓騎→やばいがおもしれー奴。
その他→お頭と同じく逆らってはいけない奴。
炎鬼から見た桓騎軍
桓騎→盗賊王。めちゃくちゃ凄い人。
摩論→料理がおいしい人。
黒桜→痴女一歩手前の弓が凄い人。
厘玉→肌色のピエロ。常識人。
雷土→ハゲのデブ。
オギコ→半裸バカ。