キングダム世界でファンタジーチート転生者が傭兵をするだけの話   作:鈴木颯手

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自分の中では序盤の中で一番好きな秦趙同盟が始まります。まだ咸陽についてないですけど


第二十話「秦趙同盟1」

「お前弱い。廉頗将軍の方が強い」

「ハハハ。廉頗将軍と比べられてしまっては弱いと言われても仕方ないですね」

 

 俺は隣にいる嵌め殺し君を貶しながら少し前の事を思い出した。

 久しぶりに呂不韋にご馳走されようと思って屋敷に赴いた際に頼まれごとをしたのだ。

 

『実はな。趙の宰相殿が咸陽に来ることになっておる。お主にはその護衛を頼みたいのだ』

『えー。めんどい』

『何。向こうは兵を率いておる。宰相殿の隣で喋っておればいいのだ』

『……んー。呂不韋の頼みだし良いよ。あ、そう言えば呂不韋の旗って龍があってかっこいいよね』

『ほう? 中々分かっておるではないか。一つ譲ろうか?』

『ん。もらう。戦場で使う』

 

 そんなわけで呂不韋に頼まれて嵌め殺し君の隣で警護をしているわけだ。因みに嵌め殺し君は宰相の仇名だ。俺が名前を覚えられないかもしれないと言ったら「ならば嵌め殺し君とでも呼んでやればいい。王騎将軍を嵌め殺しにした奴だからのぅ」と言っていたので最初から嵌め殺し君で通す事にした。

 向こうは俺の事を聞いていなかったらしいので剣を向けられたけど『威圧』スキルで黙らせている。確かに向こうからしたら敵に間違いはないので万が一に備えて『威圧』スキルは咸陽につくまで解く事はしないようにした。嵌め殺し君は宰相につくだけあって胆力があるようで表面上は涼しい顔をしている。なんかムカつく顔をしているから好きにはならないだろう。

 

『ああ、そうそう。宰相殿は三大天の一人でもある。廉頗将軍と同じ地位だ』

『そうなの? ならば強い?』

『どうであろうな。あの将軍と比べれば弱いのではないかの?』

 

 三大天は秦の六将と同じで凄い人が就ける地位だ。だから期待してたけど微妙だな。確かに強いし戦略、戦術面ではトップクラスと言って良いし築城とか建設系統は中華一と言ってもいいかもしれない。

 だけどそれだけだ。廉頗将軍や王騎将軍のような圧倒的な魅力もカリスマも感じられない。あの二人が時代が生んだ傑物ならば嵌め殺し君は凡将の極みというような人だ。総合能力でも二人に劣っているしね。

 本当に王騎将軍を嵌め殺しに出来たのか疑いたくなる。呂不韋もボケて来たのかと思うけどあの人に限ってそんなことはないだろう。むしろ年々脂がのっているように見える。毎年最盛期を更新しているような人だ。宰相という割に政治能力は呂不韋以下だしな。

 

「嵌め殺し君本当に三大天? 名前負けしてるよ」

「そうですね。私なんかには過ぎた地位に間違いはないですよ私は田舎で仲間たちと穏やかに暮らしたいので」

「ならばそうすればいいのに。変態?」

「変態ではないですよ」

「変態嵌め殺し君」

「李牧という名前があるのでそう呼んで欲しいですね」

「嵌め殺し君。趙ってどんな美味しい物あるの」

「人の話を聞いてくれないのですね」

 

 ムカつく顔をしているから煽ってみたけど平静を凄い保てるな。意外と凄い奴なのかも? 戦場で会ったら真っ先に殺していいかもしれない。変態だし、嵌め殺し君だし。

 

「それよりも炎鬼殿は何故我々と行動を共にしているのですかな?」

「呂不韋に頼まれて」

「……その旗を持っている事で薄々察してはいましたがやはり丞相の差し金でしたか……」

 

 旗? 確かに龍がかっこいいから使用しているけど別に関係はないんだけどね。なんか勘違いしているし言う必要も無いか。

 

「趙国で傭兵はやらないのですか? 貴方ほどの腕であればいつでも歓迎しますが」

「秦と敵対しているから。魅力ないし」

「……そうですか。正直、敵に回っては欲しくないので出来れば趙に来て欲しいのですがね」

「後ろの人たちはそう思っていないみたいだけど?」

「ずっと敵対ばかりされていればそうなりますよ。もし、貴方が秦を優先せずに7国全てで活躍してればこのような事にはなりませんでしたね」

「秦が一番金払い良いから」

 

 実際、秦は経済が回っているのか報酬がえらい高い。呂不韋が丞相となってからは更に高くなっており、楚や斉ですら魅力に感じなくなるほどだ。まぁ、楚は百越との戦いが楽しい上に元々大国だから金払いは良いし斉はなんと言っても海の幸の魅力に抗えない。韓は軍は弱いし金払いは最悪だし毒々君がいてきもいから論外。燕はなんかイマイチだし魏は特産物が無いからやる気でないし趙は何時までも長平長平ってうざいから嫌い。

 うん。やはり秦が最高だな。楚は巨人ちゃんとか巨πちゃんとかハゲとか面白い人が多いし斉は……海の幸がおいしいし。

 

「嵌め殺し君。趙って変な国だね」

「そうですか? 中華における文化の中心地だと思いますが?」

「人が変」

「……そうですか」

 

 趙って中華文化の中心地なんだ。気が向いたら行ってみようかな?

 

 

 あ、お腹空いた。咸陽行ったら何食べようかな。

 

 

 

 

 

 李牧の側近にして凄腕の女剣士でもあるカイネは自らの不甲斐なさに憤慨していた。

 というのも悼襄王の命令で咸陽へと赴く李牧達一行の前に現れた炎鬼という戦場の悪鬼が警護を名目に李牧の隣に居座った事にあった。敵国秦の王都咸陽に向かう以上かなりの警護をつけており、公孫龍将軍を筆頭に少数ながら実力者で固めていた。

 しかし、そんな彼らは炎鬼が発する殺気にも似た圧力の前に屈してしまったのである。李牧以外でまともに口を聞ける者はおらず、加わった時からずっと感じる圧を浴び続ける羽目になっていたのだ。

 本来であれば趙の敵とも言って良い炎鬼を国で二番目に偉くなった宰相李牧の隣に居させる等あり得ないのだがその抗議の声さえ出すことが出来なかった。匈奴を中心にいくつもの戦場を渡り歩き、それなりの死闘を潜り抜けてきた自負があるカイネでさえ炎鬼の前では幼子に等しかった。

 

-李牧様……。申し訳ありません……!

 

 カイネはただただ炎鬼の悪口にしか聞こえない罵倒を浴び続ける主君に内心で謝る事しか出来ない。今でさえ炎鬼の圧は途切れることなく続いており、それをカイネたちは一身に浴び続けていたのだ。

 実は趙軍のうち三分の一がこの場にはいない。いない者のうち、半数が耐え切れずに国に帰り、残り半分のうち更に半数が気づかぬうちに逃げ出し、残った者は逃げることも出来ずに発狂死している。

 

-秦と敵対する限り、こいつは敵で居続ける……。

 

 カイネは炎鬼と相対したのはこれが初めてであったが炎鬼の恐ろしさは知っていた。()()()()()()()()()()()。しかし、それは間違いだと、過小評価に過ぎなかったことを身を以て理解していた。

 まだ六国全てが敵に回る方が危険性は少ないと思える程の圧に戦わずともわかる自分が何もできずに殺される姿を幻視出来る程の実力。乗っているこの世の者とは思えない八本脚の馬もそうだが炎鬼の全てが人間から逸脱した化け物にしか思えなかった。

 

-龐煖、様も十分化け物だがまだ人間らしい。だが、こいつは違う。正真正銘の化け物だ……!

 

 秦国は羨ましい。カイネはそう思ってしまった。この化け物が敵に回らない。それだけでどれほど楽か。炎鬼が秦の次に入り浸っている楚や斉でさえ優先度は秦に劣るのだ。もし、秦が滅びようとしている際には炎鬼がどのような手段に出るのか。考えただけでも恐ろしいとカイネは身を震わせた。

 

-早く、早く咸陽についてくれ……。

 

 カイネはものすごい勢いですり減らされていく自らの精神を自覚し、早く咸陽についてくれと心の中で悲鳴を上げながら切に願うのだった。

 




途中主人公が挙げていた巨人ちゃんは汗明、巨πちゃんは媧燐、ハゲは臨武君です。

主人公からみた各国の印象

秦→金払い良い。飯が上手い。女が良い。呂不韋がいる。楽しい。
楚→百越相手の仕事がいっぱい。金払いはまぁまぁ。でかい人いっぱいで面白い
斉→海の幸うめぇ。え? 他? ……うん、良い所じゃないかな?
趙→ちょーへーのうーらみー! しか言わない国。
燕→よく知らない。
魏→特産物もないしどうでもいい国。
韓→金払い最悪軍隊弱い。雑魚馬鹿阿呆でさっさと亡べばいいのに。引導渡してやろうか?あ?

※韓への印象は韓攻めで更に悪化しました。
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