キングダム世界でファンタジーチート転生者が傭兵をするだけの話 作:鈴木颯手
原作読み直しているとこの時の呂不韋明らかにクーデター起こさせる為に動いているなって思うんですよね。これ以降呂不韋が前線に行く事なんてなかったですし。
というか明らかに呂氏四柱の存在とか見るとデブに勝ち目何て最初からなかったなって思うんですよね。
月日の流れとは早いものだ。昭王という秦の最盛期を築いた王の死から4年。秦は新たな王が即位していた。ちなみに、昭王の死からなんと3人目である。1年で約1人の代替わりは秦が安定していない証拠だ。おかげで最近では攻める側だった秦が防衛に回る事も増えてきた。この調子では昭王の時代に獲得した領土が奪い返されるのも時間の問題かもしれない。
だが、それは言い換えれば稼ぎ時という事でもあり、俺は色んな戦場を見て回っては気分が乗った時に参戦する事にしている。無論、相手は趙か魏か韓だ。韓は戦争する力もないのか全然戦争が起きないが魏や趙は別だ。毎年、何なら毎月の勢いで戦争をしている。よくそれだけの国力があるなと感心するほどだ。
趙と言えば三大天の一人である廉頗将軍が魏に亡命したらしい。なんでも国王が酷すぎて耐えられなかったとか。個人的には趙だろうと魏だろうと敵である以上関係はないけどね。
だが、結局廉頗と戦う事はなかった。俺が出るような戦が小規模なものが多いせいもあるが一回は戦ってみたい相手だった。恐らくだが王騎と同じ俺が全力を出さないと勝てない相手だ。
それはそうと俺は呂不韋の招きで彼が指揮する20万の軍勢とともに少なんたらとかいう都市に攻め込んでいる。いや、攻め込んでいるというよりも包囲していると言った方が良いか。宰相、じゃなくて丞相という地位に就いた呂不韋が前線に出ていると聞いたときはびっくりしたが包囲したまま攻撃しない事も腑に落ちない。
「これでよいのだ。こうしているだけでワシは戦いに勝っているのだから」
「よくわからない」
「まぁ、要するにお主はここにいてくれればよいのだ。ほら、戦場ゆえに大した物は用意できんかったが酒と食べ物を用意した。好きに食べると良い」
「……わーい」
……呂不韋はなんか俺が食べ物でなんでも言う事を聞くと思っていないか? 実際その通りではあるがな。
「んぐ?」
ふと、兵士とすれ違ったが恐らくまた同じ報告なのだろう。俺がここに来てからというもの何やら使者がいっぱい来ているらしい。態々出陣している呂不韋の所に来る使者って……やはり政治関連?
「貴様も来ていたか、炎鬼」
「あ。面倒な人」
「あ゛?」
うわ、いやな人に出会ったよ。名前は、何とか武って人だ。めちゃくちゃでかくて熊みたいな人だ。何なら熊よりも危ないかもしれない。
「ちょうどいい。俺と戦え」
「やだ。面倒」
「知らん。戦え」
「えー」
なんでも武で中華の頂点に立ちたいらしく、その頂点に俺がいると言って事あるごとに戦いを挑んでくるんだよ。一応呂不韋の派閥の人間らしいから最初のうちは手合わせをしていたけどだんだん面倒になって今では適当にあしらうようにしていた。
「ヒョッヒョッヒョッ。相変わらずじゃな蒙武よ。ほれ、炎鬼殿が困っておるぞい」
「一応ここは前線だ。無用な争いは起こすな」
「……ふん」
っと、後方から声がしたと思ったら同じ派閥の……、おじいちゃんと知らない人だ。おじいちゃんは派閥の中では一番高齢だけど一番圧力がある。恐らく呂不韋と同等と言っても良いだろう。話によると元々昭王の時代に丞相をしていた人らしいし当然と言える迫力だった。
隣の人も、顔は見たことあるし何度も止めてくれるんだけど如何せんそれ以外で関りがほとんどない。鑑定してみた結果では総合的な能力だと蒙武を軽く超えている凄い人なんだと思う。
「炎鬼殿、此度はこちらの要請にこたえていただき感謝する」
「暇だったから良いよ」
「これでお主が将であれば最良なのじゃがのぉ」
「面倒だし」
おじいちゃんは相変わらず穏やかな人だ。今は外交官をしているらしく東国、燕や斉に出向く事が多いらしい。だからタイミングが合えば護衛としてついていく事も多い。なんとか武とか言う熊さんとは違って一緒にいて疲れない相手だ。
「秦と敵対しないでいてくれている。それだけで秦にとってはこれ以上ない事です。これ以上望むのは離反を招く」
「うん。面倒はごめんだし」
この諏〇部さんボイスの人はよくわかっているじゃないか。長年自由気ままにやってきたせいか前世に比べて他人に合わせる事が苦手になってしまった。なまじチート級の力を持っているせいで暴れると酷い事になるのは目に見えている為に我慢も難しい。悪化することはあれどよくなることは今後ないだろうなぁ。
「それで? 何時まで包囲するの?」
「……丞相からは何も聞いていないのか?」
「ここにいて欲しいと言われただけ」
「……ならば説明はいらないだろう。一つだけ言えるのはこの戦の本質は別にあるという事だけだ」
「そう」
ま、でしょうね。本陣見ればわかるけど文官の皆さんまで来ているんだもん。まだ見ていないけどあの小うるさい小言おじさんもいそうだ。
というか見る感じ派閥の人間全員で来てない? もしかして戦に見せかけた慰安旅行? んなわけないか。
呂不韋は丞相となったけど実はもう一人丞相がいて熾烈な権力争いの真っ只中だからな。こんなところに来るという事は逃げてきた、わけではなさそうだし何かを狙っている? 呂不韋なら何かしていそうだな。
その時、くぅと俺の腹が鳴った。それを聞いたおじいちゃんが笑みを浮かべながら言ってきた。
「向こうの天幕に馳走を用意してある。好きなだけ食べてくるとよかろう」
「分かった。行ってくる」
「待て! 俺と戦え!」
「蒙武……」
何やら後ろが騒がしいけど今はそんな事よりも飯だ。お腹が空いたからね。
因みにですが主人公は人の顔と名前を覚えるのが苦手です。
互いに見た印象はこんな感じです。
炎鬼視点
呂不韋→野心がやばい人。敵じゃないし多少はお願い聞いてもいいくらい好印象
蔡沢→呂不韋並みに凄い人。人の良いおじいちゃん
蒙武→熊さん。うるさい人
昌平君→総合戦闘力では熊を凌駕するやばい人。諏〇部さん
李斯→いつも小言がうるさいおっさん
他者から炎鬼
呂不韋→扱いづらいが最強の手駒。手元に置いておきたい
蔡沢→秦の将になって欲しいと思いつつ無理だろうなと思っている。孫を見ている気分
蒙武→目指すべき頂点。いつか必ず超えてやる
昌平君→蔡沢同様将になって欲しいが秦と敵対しないだけで十分。時々諏〇部さんと言われるが何のことだ?
李斯→何事にも無遠慮過ぎる! 常識と作法を学べ!
因みに国王側から見ると炎鬼はがっつり呂不韋派閥の人間に見えますので事実上の敵と考えてます。主人公からすれば認識さえしてない相手ですが。