【カオ転三次】トラウマに苦しみながら向き合う終末への日々   作:夢空

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小さな一歩でもやがていつかは…


カワリユクモノ/明日へ進む

衝撃的な出会いから幾日か経った。

「……ふぅ……ひゅぅ」

荒い呼吸…悪夢を見た訳では無いが自分の体が震えているのを感じる。

「……けほ」

「マスター」

「…ん」

何故なのか…それはあの日から考えていたことが理由となる。

……運動だ。

「……ひゅぅ」

「あともう少しですマスター」

「…ん」

 

 

 

 

 

 

こうして運動を始めてから大体30分が過ぎたころ…今のわたしはいつ倒れてもおかしくないと感じながらも歩いている。

小屋の中私がいる部屋は床も壁もぶつかったり倒れたりしてもケガをしないようにと柔らかい素材で作られている。

歩いていても沈み込むような感触はなく足を取られることもない。

…一歩踏み出すのにも時間をかけて歩いている理由…それは……

過去の日々が原因だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

あれは確かわたしが4歳のころだったか。

誕生日を迎えたあの日、わたしは両親につれられ始めて自分がすごしていた部屋を出た。

それまではどんなことがあってもこの部屋から出てはいけないとされ鍵をかけられた部屋で過ごしていた。

…外は危険なのだろうかと深く考えていなかったのはそのころのわたしはいまだ「前世」について思い出していなかったからだろうか。

初めて出た部屋の外はどこか研究所のような印象を感じた。

…実際に研究の為によういされた施設だったわけだが。

両親に手を引かれながら廊下を進んでいると何人もの大人たちが手を組み祈りをささげてきた。

…そのころからすでにわたしは「祝福」を受ける子供なのだと知らされていたのだろう。

そして…あのおぞましい日々を過ごすことになった部屋にたどり着いた。

……その後、「天使」や「メシア教」の研究員たちの手でわたしは「調整」される日々を過ごした。

ある時は「ナニカ」の内臓のようなものを埋め込まれ。

またある時は「祝福」として「羽根」を埋め込まれ。

薬を使い思考と体が作り替えられていく感覚もあった。

……救助された時にはわたしの体には「ナニカ」でできた「柱」から伸びる管がわたしを「ナニカ」に変えてしまおうとしていたらしい。

…死なないように大切に……大切に……

 

 

 

 

 

救助されて治療を受けたもののわたしの体は他の人とは違うものになっていた。

…霊的技能であるスキルや霊薬などが効かない体質となっていたのだ。

……神主が施す「治療」は厳密には「治す」のではなく「蓄積された力」を削り取っているらしい。

だからこそわたしの「治療」はいまだ神主にしかできないのだそうだ。

……力押しでやっているのだろうか?

それはそれとして。

長い事動かしていない体は「調整」の為以外は「大切」に「保管」されていたらしい。

保護されてしばらくはトラウマのせいで発作が繰り返され自分の体を傷つけるようなこともあったらしい。

…首と手首の包帯はその時の傷跡を隠している。

起き上がることもほとんどできずにいた体は発作や「天使化」した時はそれなりに動かせたが……

…「天使化」したわたしを始末しようとしたものも少なくはない。

その度に犠牲者であるわたしを守ろうとしてくれた人もしれなりにはいた。

…そのことについて思うことは特にないんだよなぁ……なんとなく理解できてしまうから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピチャン…ピチャン…

雫が落ちる度響く水音。

あの後今日のノルマをこなし今は湯船に浸かっている。

沈んでしまわないようにと底の浅い寝そべる感じだ。

「……ん」

「お疲れ様ですマスター」

彼女…『幼女ネキ』の言葉…「努力しようとしている」

…わたしにとってここに来てからの日々、「努力」をしているようには思えなかった。

それでも……何故だろう。

何人かに「大丈夫」だの「ガンバレ」だのと言われても心に響かなかったのに。

…彼女の言葉はわたしの中の「ナニカ」に響いた気がする。

……だからこそ知りたい。

…彼女の事を…ではなく。

……わたしの事を。

わたしの中にいるような「ダレカ」の事を。

…きっと、そこにこそ『わたし/私/俺』の答えが……

…………ん?今何か??

……何だったのだろう?

 

 

 

 

 

 

 

式神の手を借り着替えをすます。

…背中が少し肌寒いが「天使化」した時の羽のせいで一度首が閉まる経験がなぁ……

「……あし……たって」

「……どん……な」

「マスター」

「……すこ…し」

「……すす…む」

「……たい……へん」

「…ですね」

「…ん」

「……で…も」

「……き…っと」

「………いつ……か」

「……わた……しも」

「………みつ……け」

「……られ……る」

「………かな」

「…はい、いつかきっと」

「……ん」

「……そ……っか」

「……おや……すみ」

「…おやすみなさいマスター」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつか……わたし自身の答えを……

それが……あの日の事への意味だと信じて。

進んでいこう。

どんなに小さな一歩であろうとも。

まだ「外」は怖いけど。

焦らすに一歩ずつ前に。

…いつかの「明日」に向けて…………

 

 

 

 

 

 

 




【カオ転三次作】作者の一人であるマカーブル様より主人公のFAをいただきました!!
 大変ありがたいです!!!
おおよそのイメージしかもっていなかった作者ですがこのFAはまさにイメージのしやすさが違います!!
AIイラストではありますが気にしないという方時はぜひ!!





登場キャラ紹介

主人公    
【挿絵表示】


特徴  『幼女ネキ』との出会いの後自分の中で小さな変化を感じている
    自分には見えていない『何か』
    その答えを求め一歩ずつどんなに小さくても歩いていこう
    その先に『明日』があると信じて




式神

特徴  『ガイア連合』製の式神
    『転生者』である『俺達』の持つ式神とは違い主人公の所有物ではない
    彼女の事を『マスター』と呼ぶのはこの個体が『介護用の試作品』であることが関係している……のだろうか?
    スキルなどが効かない彼女向けに抱えて運んだりできるように設計されている
    ぶつかりづらい設計とは何かと考えられた末球体に二本のアームが取り付けられた形状になっている
    いつか当機の役目も変わるのだろう……そんな思いも少しありながら変わろうとする彼女を支えている
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