【カオ転三次】トラウマに苦しみながら向き合う終末への日々 作:夢空
…ほとんど会話ばかりですが
ここはガイア連合山梨支部にある休憩スペースの一つ。
そこで今、二人の黒札が話をしていた。
「…それで、相談したい事があるとの事だけど」
「ああ…ついさっき小さい子に怯えられているような…怖がられているような…そんな感じで見られてた気がしてな?」
「…まあ、あんたが子供とかに怯えられるような事をするなんて事は無かっただろうし」
「まあな…何でか分からないから友人のお前に相談したくってさ」
「はあ…それで、相手はどんな子だったの?」
「あーっと…たしか…そうだ、たしか黒死ネキにセツナって呼ばれてたな」
「……………あの子か」
「……何かすっごいつらそうな表情だなお前?」
「…あの子がそんな感じだったって事は…あんたその時メシアンに対する恨みとか敵意とかが目立つようなこと言ってたでしょ」
「ん?…まあ仕事で向かった先で色々あってな…一緒に向かった連中と愚痴を言い合ってたんだよ」
「………そう」
「…あの子って何か訳アリか?」
「…あんたもここに来た時に聞いた事はあったはずよ」
「………なんかあったけか?」
「…あの子…セツナちゃんはメシア教過激派の一部が活動拠点にしていた施設で保護された黒札の子でね…そこに残された資料から分かった中にあの子の両親の事とかがあってね」
「……あー…思い出した…『メシア教過激派の子』か」
「あんたもここに来た時は荒れていたみたいだし…理由を聞いて理解はできたけど」
「まあな…妹がアイツらにされた事を思えば…今でもメシアンに対する恨みは消える事は無いさ」
「……そう」
「…てかあの子って、あのメシアンの関係者なら誰であろうと敵意とかむけてたあいつらの言ってた子か」
「そういえばあんたはあまり気にしていないのだったかしら?」
「いやまあ…親がアレだってのは俺も似た様なものだし」
「…ああ、あんたの両親って両方とも不倫とかしてて色々面倒なことになったんだっけ」
「…まあな…親がどうとかで判断するってのはどうもな」
「結果的に、メシアンの被害にあっている子だったって事で恨む対象には含まれてはいなかった訳ね」
「おう…しかもあの子って俺の妹よりも年下だったみたいだしな」
「…被害者なのに傷つけるようなことをすれば容赦なく蹴りが飛んできてもおかしくないものね」
「全くその通りなのがな」
「……妹さんは」
「…今は宮城支部で働いてるってさ」
「………そう」
「なんか大変なことも多いけどセっちゃん?が癒しだとか言ってたな」
「……それ、多分セツナちゃんの事だと思う」
「………マジで?」
「あの子をそう呼ぶ人もいると言えばいるもの」
「……やっべ…今度会った時あいつの蹴りが飛んでくるかもしれん」
「……頑張りなさい」
「いやお前から何とか…はむりか…はあ」
「兄として妹の不満はしっかり受け止めるんでしょ?」
「…おう」
そこで一度会話が途切れる。
…そして時間がたち少しぬるくなったコーヒーを飲んだ後、男は目の前にいる友人の女性に聞いた。
「…それで、お前は何であの子の名前を聞いた時につらそうにしてたんだよ?」
「………それは」
「医療関係でお前がなんかしちまったとかもないだろ?」
「………」
「けど、お前の表情は自分が悪いことをしてしまった時に見せるような表情だったし」
「…悪いこと…ね」
「…いやまあ、前に妹が楽しみにしてたスイーツを俺が知らずにお前に茶菓子として出したときにな?」
「…元はと言えばあんたが確認してなかったのが悪かった事じゃない」
「まったくもってその通りなんだけども」
「……あの子にさ」
「…おう」
「…私はあの子に一つ呪いのようなものを植え付けてしまったの」
「……は?…呪いってお前!」
「……呪いと言っても当時のあの子には霊能関連は一切効果が無かった時なんだけどね」
「…いや、だったら呪いをってどういう事なんだよ?」
「…あの子はさ、保護されてから少ししてメシアンに対して強い恨みを持つ人たちに襲撃されてね」
「…おう」
「元々保護される前に人体改造とかされてた影響なのか、酷く怯えていたのを覚えているわ」
「人体改造…『天使化』か」
「それが目的では無かったみたいだけどね…安心させるために色々と苦労はあったけど…どうにか少し安心してすごす事ができるようにって時に」
「…襲撃されたと」
「…あの子の側に誰一人いなかったのを今でも後悔してる…それ以降、あの子は私たちに対してもひどく怯えるようになってしまった」
「…そうか」
「目を離せば自分を傷つける事もあって…そういった事をさせないために止めていると聞こえたのよ」
「聞こえたって…何か言ってたのか?」
「…ごめんなさい」
「…は?」
「…あの子はいつも小さな声で「生きていてごめんなさい」と「死にたい」と言っていたの」
「……それは」
「あの子自身は誰かを傷つけた訳じゃない…それでも自分が生きていていいと思う事が出来なくなっていったあの子が…」
「……」
「それでもあの子は、自分が周りに迷惑をかけていると…そう思っている時に私は…」
「…呪ったと」
「…ええ、あの時の事は今でも言ってはいけなかったのではって思うの」
「…言ってはいけなかったか」
「…あなたを生かそうとして色んな人が消費した物の分を返すまで生きなさい」
「………は?」
「自分でも何言ってるんだろうって思ってるわよ…けれど、あの子にとって『生きろ』は呪いのようなものでもあった」
「そりゃまた…」
「あの子は「死にたい」と「生きなきゃならない」と…そうして、気が付いた時には『人』が側にいるだけで過呼吸になったりするほどに悪化してしまっていた」
「……ああ、だから『呪い』って訳か」
「あの時のことが正しかったのかどうかはあまりよく分からない…けれど、きっと間違えてしまったのかもしれない」
「そうか」
「…まあ、その後は人から離れた環境でって事になったのだけど」
「襲撃自体が無くなった訳じゃなかったってことか……ああ、そんなことがあったから今もまだメシアンに対する恨みとか敵意とかの話を聞くとって感じか」
「…多分ね」
「そっか……これはやっちまったか?」
「さあ?…妹さんからの蹴りは避けられないでしょうけど」
「だよなぁ…」
「…偶然幼女ネキと出会ったことがあの子にとっていい結果になってよかったとは思うけど」
「…今は会っていないのか?」
「……憶えていないかもしれないけど…あの子につらい思いをさせた私が会っていいとは思えないもの」
「……そうか」
ガタッ
「…ん?」
「…今ドアの向こうから聞こえたわよね?」
「…だな」
「「………」」
「誰かいるのか」
ガチャリ
「……よっす」
「…い…妹ぉ!!!!」
「…あぁ」
妹が来たことに対して驚いている兄。
話を聞かれてたかもなと思う女性。
そして……
「これはその…あれだ!なんと言うかその!」
「……あー…そのー…」
もの凄く気まずそうにしている妹。
「……どうした妹よ?」
「……ごめんっす」
「いやだから何を謝って…」
「……えっと」
おそらく妹と呼ばれている人物が連れてきたのだろう。
……そこにはセツナがいた。
「「……あ」」
「…本当にごめんっす」
もの凄く気まずそうな空気になっているような…そんな状況が出来上がっていた。
「…あの」
「…ッ!」
「ごめんなさい」
「…え?」
「その…話してる事を盗み聞きしてしまったから…ごめんなさい」
「…………」
「あー…セツナちゃんが気にしなくてもいいぞ?どうせそこにいる妹が連れて来たんだろうし」
「どっかの誰かさんがセっちゃんを悲しませたみたいだからぶちのめしに来たんだけどね」
「そういうとこだぞお前」
「……ちがう」
「えっと」
「謝るのは私の方なのに」
「……」
「私があんなことを言わなければあなたがあんなの苦しむ事も無かったはずなのに!!」
「…えっと」
「ずっとつらい思いをさせた私が謝られる資格何て!!」
「…ごめんなさい」
「だから…」
「たぶんあの頃のわたしには聞こえていなかったと思います」
「…………へ?」
「…おっと?」
「そうなんっすか?」
「うん…自分を傷つけてた頃って、人体改造の結果混ざっていた人たちの恨みとか怒りとかの声しか聞こえてなくって」
「…おう」
「色々と迷惑をかけてしまった人たちには申し訳ないなって」
「……じゃあ、なんで悪化したんすか?」
「おいバカ妹」
「その…よく覚えていないんですけど…長々と色んなことを言われていた気が…途中から同じような事しか言って無かった気もするけど」
「…おん?」
「結局のところ、たくさんの人に迷惑をかけているのに死のうと思っているのは迷惑でしかないとか…あなたが襲撃されているのも自分は違うのだと意思表示の一つもしていないからだとか」
「……おっとぉ」
「それで色々と頭の中で考えがごちゃごちゃになってて…そうしたら『死ぬことは迷惑をかける事でしかない』って思うようになって」
「………」
「けれども、あの頃は生きている事を責められてもいて…それで『人』が怖いって思うようになった…のだったかな?」
「…あー…つまり?」
「セっちゃんからすればこの人が自分のせいって思ってるのは…」
「その……なんと言うか……ごめんなさい」
「……………………え?」
「…てかその時の相手がだれかってのは覚えてるのか?」
「全然覚えてないです」
「…そうか」
「ただ…」
「ただ?」
「考えがごちゃごちゃしてる時に誰かが謝罪してた様な…?」
「「……もしや」」
「…えっと?」
「ああ気にするな!」
「そうっすね!気にしなくていいっす!」
「…?」
(長々と色んなことを言うってのと)
(その人にとって余計な事を言いそうな人で)
(謝罪してきた誰かがいるって事は…)
(…っすね」
((たぶんあのくそったれだろうなぁ))
「……それじゃあ」
「その…あなたのせいではない事は確かですよ?」
「………そっか」ポロポロ
「え!?」
「……そう…なんだ…」ギュッ
「あわわわ…えっと…えっと」オロオロ
「…ぁぁぁぁぁ」
「…泣いてるな」
「セっちゃんは泣かれて戸惑ってるっすけどね」
数分後…
「……グスッ」
「あの…落ち着きました?」
「…ごめんね」
「いえ…その…」
「まあ、そいつは結構気にしてた影響か医療系の仕事してる時でも集中できてないからって事で強制的に仕事から外されてるから」
「集中できてないとどこかで致命的なミスをするかもしれないから休めって事らしいっすけど」
「結果的に言えば空いた時間に自分を責める事が増えてメンタルがやられてらからな」
「しかもセっちゃんって一度ガチで死んじゃってるしでさらにメンタルがやられちゃってるんっすよ」
「……えっと」
「余計な事を言うなっての」
「おっとその感じなら大丈夫そうか」
「そういえばセっちゃんを悲しませた件について覚悟はできてるっすかバカ兄貴」
「あの…そのことについては…」
「元はと言えばお前が原因でもあるんだぞバカ妹!」
「どこに自分が原因の理由があるんっすかバカ兄貴!」
「あわわわ」
「おちつきなさいよ」
「おちつけるか!このバカのせいで俺は…俺は!」
「…えっと」
「確かにメシアン共は憎いさ!…けどな、てめぇがしたことも原因の一つではあるんだぞゴラァ!」
「…そういえばどんなことがあったのかは聞いて無かったわね?」
「いいじゃないっすか!いい思いはできたんだし!」
「てめえにとっていいことではあっただろうが!俺にとってはよくねえんだよ!!」
「…なにがあったのよ」
「…それは」
「女の体を性的に味わえたんだからいいじゃないっすか!!」
「妹相手に興奮するような性癖じゃねえんだよ俺は!!」
「「……えぇ」」ドン引き
……はい
こんなオチと言うね…
解説
・セツナ
ガイア連合に保護されてから色々あり『人』に対するトラウマができた
…ちなみに『人』に対するトラウマができた最大の原因は、心が弱っている時に色々デリカシーのない人物にあれこれ言われたからだったり
……ダレナンダロウナー?
今はそこまでひどく怯える事は無い
・(元)医療班の女性
セツナが保護された当初から色々とかかわりがあった人
セツナが『人』に対して酷く怯えるようになったのは自分が原因ではないかと悩んでた人
『死にたい』と思っている相手に『生きろ』と言うのは『一つの呪い』のようなものではないかと悩み続けていた
実際のところは自分が言った言葉はセツナには聞こえていなかったのだと初めて知る
『もしかするとあの子の事を呪ってしまったのではないか』と悩んでいた日々は終わったのだ
……ちなみに、保護されたセツナに対して『生きろ』と言ったのは他にもいたりする
後日、山梨支部から宮城支部に所属を変えたとか
・兄
何気にひどい目にあってたりする人
メシアンを恨んでる理由が「あいつらのせいで妹が…」と周りには言う事があるが、具体的なことは言わない
どんな被害がとは言いたくない人もいるからそういった感じなのだろうと思われていた
…実際のところはメシアンにつれていかれた妹がその後の事で覚醒した結果性的に襲われたから言いたくないだけ
…ちなみに初恋はデジモンのレナモン
・妹
この兄妹は前世からの付き合い
なお、妹は前世の時は男だった
……正確には男の娘である
…前世は男の娘である(大事なことなので二度目)
前世の頃から兄のことが好きだった(なお恋愛的な意味かつ性的な意味でもある)
生まれ変わって女になった事については「これで兄貴の子供を産むことができる!」と喜んでる
メシアンにつれていかれた後デビルシフターとして覚醒した
なお、被害にあう前に救助されたためメシアンにナニカサレタとかはない
覚醒したのは『サキュバス』のデビルシフター
その結果兄を性的に襲い、自分以外に性的な思いを向ける事が出来ないように呪った
兄にとって複雑な思いを持つようになった原因
…頑張る子達応援し隊のメンバーでもあり、セツナの様子の動画などが癒しとなっている