【カオ転三次】トラウマに苦しみながら向き合う終末への日々 作:夢空
ザシュッ!!
ボトリッ
「…つぅ…ふぅ」
『…避けただと』
間一髪回避はできたけど…羽が切り落とされちゃったな。
…でも……感じる。
メキッ
『何故だ…何故まだあがこうとする!』
私が少しづつ変わっていく感じ。
メキメキッ
『天使化』はあくまでも中途半端な変化だった。
『…まあいいどれだけあがいたところで結果は変わらないと―――』
「…うっさい!」
ゴシャッ!!
『ぐふぉあ!』
さっきからごちゃごちゃと…
「お前たちの計画なんてどうでもいい」
『ぐう!…貴様ぁ!!』
「わたしは…まだ死ぬ気は無いんだ…だから」
「まずはお前をぶっ飛ばす!!」
バリィ!
『…なんだ…それは』
これが本当のわたし…
「…わるくないね」
黒い羽……でもどこか違和感を感じるような…?
…いや、まだわたしが慣れていないだけ…って?
「…片翼じゃない」
…まあいいか!別に困るものでもないし!
『…我らの『祝福』を…否定するのか!!』
「とうぜん…お断りだよ!」
バキィ!
『ゲホォ!』
二発目!
ドゴォ!
『ぐはぁ!』
「…ただ殴る…今はまだそれぐらいしかできないけど」
『き…さまぁ!』
「お前を倒すのに難しいことは考えなくていい!!」
『何故あがく!貴様など!所詮はただの!!』
「お前なんかがわたしを語るなぁ!!」
戦い…というよりかは一方的に殴っているだけだが。
…こいつさっきとは違い動きが鈍いんじゃないか?
…まあいいか困るものでもないし。
『こんな…何の力を持たない人間なんかに!!』
…ああそうか…なるほどな。
「悪夢の中…お前はこの場所をそう呼んだ」
『それが何だと!』
「わたしの悪夢…別にそういうわけじゃないんだなって」
…こいつにもこの空間の性質は適用される。
「ここは夢の中…だったらより強い意志を持つ方がこの場所を支配する」
『私が…貴様より弱いと!』
「さぁ?…けれど実際にそこまで強いとは思えなくなってるから」
…現実ならわたしは何もできずに殺されていただろう。
夢の中だからこそわたしは戦えている。
『認めない…認めてなるものかぁ!』
「遅い!」
ゴシャッ!
『ぐはぁ!』
「わたしは決めたんだ!前へ進むと!」
「何者でもなかった自分を変えるために!」
「だから…」
右の拳に力を籠める。
黒い炎が拳を覆う。
「わたしの中から消えろ!『悪夢の怪物』!!」
ドグシャァッ!!
降りぬいた拳は『天使』の顔面にめり込んだ。
『ぐぼぁ!』
黒い炎が『天使』の体を焼いている。
……『破壊の炎』
それがこの黒い炎の正体。
『天使』は一言も残さず炎に包まれた。
「……」
…終わった……いや、まだなのだろう。
わたしの中に宿る『計画』の関係者たちはわたしを『人工的な聖杯』として完成させたいようだし。
「…それでも…まずは一人」
…まだまだ強いとは言えないよなぁ…わたしは。
「……でも…やるべきことは大体見えてきた」
…他の人達とは違う『チカラ』……扱いには気を付けないと大変かなぁ。
「……ん?」
…空間が壊れていく。
「……」
巨大な扉が目の前に現れた。
「……」
…行こう。
扉の先に進むとそこには……
「やぁ」
「……ん?」
…あれ?………!?
「神主!?」
「いやぁ大変なことになってたようだけどひとまず無事で何よりだよ」
「いや…え?…なんで?」
どうやって夢の中に!?
「君の精神が不安定な状況になっていたからこう…ちょっとね?」
「…えぇ」
無茶苦茶だぁ…
「それにしても…」
「…なにか」
「…あれが…君の中に宿っている物かい?」
「あれ?……ああ、なるほど」
……『聖杯』
「相当危険なものだと感じるけれど……奴らはいったい何のために?」
「…それについてなんですけど」
…………
「…なるほど」
わたしがあの『天使』から聞いたこと…そしてそれについて『彼』が語った事を神主に話した。
「つまりこの『聖杯』は規模のデカイ危険な爆弾のような物って事かな?」
「…まあ…そうなるかと」
「…そっかぁ」
……やばいよねぇ
「…今なら僕が処理することもできるだろうけど?」
「あ…それやられたらたぶん私死にます」
どう見てもいまだわたしと『聖杯』はつながっているみたいだし…
「だよねぇ…とりあえず思ったよりかは対処できそうな方かな?」
「…最悪の場合を考えれば……でしょうけど」
最悪わたしだけが犠牲になる形にはなるけど…
「君自身が決意をもってくれたのがうれしいんだけどなぁ」
「……そうですか」
…ここから見える扉は五つ…その内三つには鎖が巻き付いている。
「…おそらくあそこにいるんだろうね」
「…ですね」
調べて分かったことはあの鎖はわたしの中にあるトラウマが形を成したものらしい。
「…今まで周りに恐怖してただけで他には何も感じていなかった」
「……ならまずはそれを見つけることが重要かな?」
「…どうでしょう」
あれらはわたしの物のようでどこか違うような気がしなくもない。
「…もしかしたらわたしに混ざった『誰か』のかもしれませんし」
「それもあるのかい?」
「…ここは色んな感情が流れているみたいなので」
……さすがにすべてを理解している訳でも無いが。
「…攻略した扉とは別に一つだけ色が違う扉の先は訓練にはちょうどよさそうだよね」
「……え?」
いきなり何言ってんだこの人?
「とうぜん君が闘う事を決意したのだから少しでも鍛えておいて損はないでしょ?」
「…いやまあ…そうですけど」
「今のままだと君を犠牲にしなければならないかもしれないと思うとね?」
「いやあんた仕事はどうすんの?」
忙しいでしょあなたは?
「はは…本体もこの件については対処しないとやばいと思っているからね……他の個体もまだいるし」
「…うわぁ」
目が死んでる…
「現状この件に関しては君以外にはどうすることもできないみたいだしさ」
「…それを言われると何も言えない」
わたしの精神の中に入るのは相当難しいらしいし。
……いやそれができてる神主っていったい?
「とりあえずこの場所なら何とか蘇生はできそうだし」
「死ぬこと前提!」
「それくらいはしないと…ねぇ?」
まじですか……まじですかぁ!!
「大丈夫だよ」
「ぬ…ぐぅ!」
ちくしょう……やったろうじゃねえかこのやろう!!
心に負った傷はいまだ痛むけど。
トラウマも克服できたわけではないけれども。
…それでも生きる事を選んだのだから。
わたしも…頑張ってみようって決めたのだから……
…でもここまで厳しいのは正直つらいですよ!!
立ち上がって一歩前へ