第二章の前置きが長い…3話も使ってる…
次回からが本番!
「え!?凛がそんなコトを!?」
真姫と再び会ったのは次の休み時間となった。俺は今朝の凛についてを真姫に話しておいた。花陽や凛の問題なら、俺より真姫の方が適任だろう。
「ああ、驚いたよ。凛が花陽にキレるなんてな。そもそも、凛が起こったところを全然見たことがない」
「私も……今まで喧嘩とかしたコトないって言ってたし、意外だわ」
お手本となる様な仲の良さの2人が、対立するのは正直見たくない。でも、このままでは凛の方から壊れてしまいそうだ。
「そっちの教室で何かあったら教えてくれ。それと、花陽に俺の話をするのを止めさせておいてくれないか?」
「もちろんそのつもりよ」
徐々に拡大していく問題が、俺たちの不安を誘う。あの2人にはずっと途切れることのない絆で結ばれていて欲しい、そう願う。
「そういえば、そっちから伝えたいコトって?」
俺が連絡できなかった理由は希に呼ばれていたからだと説明したが、真姫側からはまだ聞いていない。
「絵里と一緒にいたわ。生徒会で使う資料や、ライブで使う衣装の材料を運ぶためにね」
「絵里?でも、希はあの時間に絵里はまだ登校してないだろうって言ってたぞ」
「絵里は明らかに私を妨害していた。恐らく希と何かしようとしているのね」
「何かって、何を?」
「さあ?でも用心するコトね。ただでさえ、あなたは穂乃果たちにも狙われているんだから」
「ああ、分かってるよ」
~※~
「ケホッ!いつ来てもココはホコリ臭いな……」
放課後になり、俺はμ'sが次のライブで使う機材を探しに体育館内の倉庫へとやって来た。体育用具が置かれている倉庫と違い、照明機材なんかは文化祭などのイベントでしか使われないため、人が立ち入ることはほとんどない。それだから、入ればいつもホコリが舞う倉庫となっている訳だ。
「男手は俺しかいないのは分かるんだけど、ちょっとぐらい手伝ってくれてもいいよなぁ……」
この様な力仕事でしか役に立てないのは知っているが、運ぶ数が数だけに1人だけだと骨が折れそうだ。
「じゃあ、ウチも手伝うよ」
「希!?どうして?」
「あの機材を1人で運ぶのは辛いやろ?」
「正に今そう思っていたところだ。助かるよ」
「いいっていいって。気にせんといて」
かなり重い機材もあるため、俺が奥から引っ張り出し、希が一旦倉庫の外に出すという工程で作業を進めていくコトにした。
~※~
「ねぇ、零君」
「何だ?」
作業をしながら希の言葉に耳を傾ける。
「最近みんなの様子がおかしいって言ってたやん?」
「ああ」
「そのコトなんやけど、零君とμ'sのコトをカードで占ってみたんや」
「へー」
俺は占いに何の興味もないため軽く流す。他人の未来を見定めて、何が楽しいのやら。
「そしたらな、このカードが出たんよ」
ガラガラピシャ!
カチ!
「!!」
そう言ったのと同時に希は倉庫の扉を閉め、鍵を掛けた。
「ほら、これや。零君を占った時のカードは」
「ハングドマン、吊るされた男の正位置か……」
「そうや。これは厳しい試練に立ち向かっているコトを意味するんや」
「……お見事、当たってるよ」
既に俺は作業している手を止めていた。
「そして……μ'sのカードはこれや」
「デビル……悪魔の正位置……」
「そう……その意味は悪意、欲望、裏切り。つまり心の闇を示すんや」
「・・・」
大体こうなるコトはカードを見せられる前から分かっていた。だが、実際に現実に突きつけられると辛いものがある。そう、これが今のμ'sの現状。もし、止めなければこれからはもっと……
「……とにかく機材を運べ。占いとか、そんなママゴトに付き合っている暇はないぞ」
「ママゴトか……零君にはそう見えるんやね。でも現実なんよ……」
「何言ってんだ。とっとと……って、え?」
ドサッ
急に目眩がしたと思ったら、俺の全身から力が抜けて床に倒れ込んだ。
「こ、これは……」
「ごめんな。零君と2人きりになれる時間が欲しかったんや。でも、学校じゃ無理やから、な?」
「な、じゃねぇよ……」
真姫の時と同じ失敗を繰り返してしまったコトを後悔しながら、意識は途絶えた。
「零君。ウチな、その後もう1回占ったんよ。自分のコトについてを」
希が取り出したのは星のカードの正位置。
「これはな……自分のイメージが現実となって成就されるコトを意味する。正に今のことやね」
光差さぬ倉庫内の暗闇よりも、さらに黒い陰謀が動き出していた。
~※~
「ねぇ、にこちゃん。希が何処へ行ったのか知らない?初めからずっといないけど」
ダンスレッスンの休憩時間、真姫は隣にいたにこに希の行方を聞いた。
「さぁ?生徒会じゃないの?」
「でも絵里はココにいるけど」
「だったらにこじゃなくて、絵里に聞いた方が早いんじゃないの」
「そうだけど……」
今朝の一件があって以来、真姫は絵里を完全には信用できなくなった。もし聞いたとしても嘘を掴まされる可能性がある。それだったら、同じ学年と教室のにこから聞いた方がマシだと思ったのだが、行方は分からないみたいだ。
「希に何か用事?」
「いや、特に用事って程でもないわ。いなかったから気になっただけよ」
「何ソレ?変なの」
零からは、信頼できる人以外にはなるべく話さないように念を押されている。μ'sのみんなを信頼していないというのは心苦しいが仕方がない。
向こうでは穂乃果たち幼馴染トリオが話している。
「零君、早く帰ってこないかな~」
「零君に見られているだけでやる気でるもんね~」
「零はただ見ているだけではありませんか」
「海未ちゃんは分かってないな~。それがいいんだよ。零君が穂乃果を応援してくれるだけで満足だよ!」
「零君が手を振ってくれるだけで、ことりも力が漲ってくるよ」
「零だけ見ていてはファンが泣きますよ」
廃校阻止、ラブライブの出場。この短期間でこれだけの偉業を成し遂げたμ'sには、嬉しいコトか、学内にも学外にもファンが増えていた。動画にも多数の応援メッセージも寄せられている。
「ファンとかどうでもいいよ。穂乃果、誰一人として顔なんて覚えてないし。零君さえいれば、それだけでいいから」
「動画でコメント付けてくれても誰が誰か分からないしね。その点、零君はことりをずっと見ていてくれるしね」
「零君は穂乃果を見てくれるんだよ!」
「穂乃果ちゃんなんて見てもしょうがないよ。零君はいつもことりのコト、天使って言ってくれるもん」
2人のやり取りを見て、海未は改めて穂乃果とことりが変わってしまったコトに気付いた。今まではお互いのコトを無下に扱うコトは絶対にしなかったハズだ。しかし、今はお互いがお互いを叩き落とそうとしている。2人の零への愛情は異常だ。今も2人から「零」という言葉を何回聞いたか。これが日常茶飯事となっている。口を出そうにも、この状態の2人は海未が怖気づく程の勢いがあり、無闇に口を出せなかった。
(零が言っていた、嫌な予感とはこのコトだったのでしょうか……ん?)
海未は絵里が屋上の端に立って、下を見つめているコトに気が付いた。
「絵里?何を見ているのですか?」
「特に何もないわ。他の部活の風景を見ていただけ」
(見ていたのは明らかに体育館の方でしたが…)
それに下を眺めていた絵里の顔は、一息ついている顔には見えなかった。不敵な笑みを浮かべている様な、怪しい顔をしていた。
(最近みんなの考えが分からなくなってきました……)
練習はしっかりとこなしているものの、時々メンバー1人1人が別行動を取る時もあり、統率が取れなくなってきている。それに加え、穂乃果たちの言動の意味も全く理解できないでいた。
真姫は全員の様子を観察していた。穂乃果とことりは既に自分のコトを隠そうともしない。それが素なのか考えがあるのかは分からないが。海未は難しい顔をしているし、絵里もさっきまで不気味な表情を浮かべていた。花陽と凛は相変わらず仲良さげにしているが、零の言葉の手前、注意しなければならない。唯一大丈夫そうなのはにこぐらいだ。
(みんなが気付かない内に、トイレに行くフリをしてそっと抜け出すか……)
キィ
真姫は足音も扉の開閉の音も最小限にとどめ、練習から抜け出した。
「そろそろ再開しますよ」
「よーし!次は完璧に踊れるように頑張るにゃ!特にかよちんと一緒のところは今日中に極めないとね」
「そうだね。私もミスしないようにしないと……」
「あれ?真姫は?にこ、知らない?」
絵里は真姫が屋上から消えているコトに気が付いた。
「ホントだ。いないわね」
「私、ちょっと探してくるわね」
「絵里も行くの?トイレかもしれないから、すぐに戻ってくるわよ」
「前もそう言って、穂乃果もことりも戻ってこなかったじゃない。ちょこっと行ってくるだけだから」
そう言って、絵里は足早に真姫を探しに行った。
(何も知らないフリをしている様だけど、残念ながらバレバレよ……絵里……)
誰の目にも映らないところで、崩壊は着実に進んでいる……
やっと次回から第二章の本番に移れそうです。ちょっとペース悪かったですかね?
今回登場したタロットカードは、実際の意味と同じ意味で使用しています。気になる方は調べてみては?
『毎日読むのを楽しみにしている』という嬉しい感想がありましたので、4日ぐらい連続で投稿してみたり。しかも、明日には『日常』の方を投稿しようとする始末。間隔を開けて読んでくれている方には非常に申し訳ないです。