ラブライブ!~μ'sとの"非"日常~【完結】   作:薮椿

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ヤンデレ化した経緯がみんな少しは違えど、元は同じなのでワンパターンかもしれない…。シリアスって難しいですね。しかもヤンデレモノなのに『デレ』がない気がする…






第二話 ‐夜道に立つ‐

 

「まさか零君に会えるなんてラッキーだにゃ!!」

 俺は凛と共に街中を練り歩いている。もう夕方だというのに凛のテンションは最高潮に達しているようで、常にニコニコしている。少し前までなら、その笑顔を見るだけでこちらのやる気も数段あがったものだ。しかし、俺の中で彼女の"この笑顔"は一番見たくない表情になっていた。

 

 

「そういえば零君!どうして凛からの連絡無視したの?」

 そもそもコイツだけでも何百件と通知や電話が入っている。それにすべて返事をしろとでも言うのか。

 

 

「わ、悪い。携帯の充電切れちゃっててさ、どんな用だったんだ?」

 

「今日、零君と一緒にラーメンを食べる約束をしようと思ってたんだにゃ。でも零君から全然返信が来ないし、しょうがないから1人できたんだにゃ」

 凛はショボンとした顔で俺に連絡していた内容を話す。それを聞いて、今日1日ずっと無視してしまったコトに罪悪感が生まれた。しかし、希の件以降、真姫から不用意にμ'sメンバーと2人きりにならないように言われている。もしかして、このままでは余計に彼女たちを傷つけてしまうのではないだろうか。

 

 

「それは悪かったよ。で?今日食べたラーメンはどうだった?」

 

 

 

 

「食べてない……」

 

 

 

「どうして?」

 

 

 

「1人だと食欲湧かなくて……やっぱり誰かと一緒に食べた方がおいしいにゃ」

 

 辛気臭い話は止めてラーメンの話題で盛り上がろうと話を振ったのだが、逆効果になってしまった。今日1日ずっと1人で街を回っていたのか……だから俺を見つけた時、あんなに嬉しそうだったんだな。

 

「じゃあさ、今から一緒にラーメン食べに行かないか?」

 

「え?」

 

「でも、ちゃんと親に晩飯はいらないって伝えるんだぞ」

 

「うん!分かったにゃ!!」

 暗い表情から一転、パアァと明るい笑顔に変わる。その笑顔は今まで見てきた真っ黒な笑顔ではなく、純粋に幸せが詰まった笑顔であった。

 

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 そもそも、真姫から言われた内容は『不用意にμ'sメンバーと2人きりにならない』だ。しかしそれは穂乃果やことり、絵里など危険が明らかに見て取れるメンバーに限定される。穂乃果たちのように他人を蹴落としてベタベタなスキンシップをしてこない凛ならば、素直に話し合うだけで解決できるかもしれない。

 

 

「ラーメンどうだった?うまかったか?」

 

「うん!やっぱり零君と2人で食べてる時が一番美味しくなるにゃ!」

 

「そりゃよかった」

 

 お互いに大した昼食を取っていなかったため、ラーメン屋を2件回っての帰宅となった。凛は落ち込んでいたテンションが嘘のように回復し、いつもの元気を取り戻していた。

 

 

 その後は特に見て回るものもなかったので、俺たちは電車で自分の街へ帰ってきた。今、凛を家まで送り届ける最中だ。

 

 

 

「静かだにゃ~。凛、みんなでワイワイ楽しむのが好きだけど、こういう雰囲気も何かいいもんだにゃ」

 いくら休みの日といっても、夜道に人は全くいない。普段は学校の通学路としてよく使われる道だからだろうか、ここまで静かだと逆に不気味な感じだ。

 

 

 

 

「なぁ凛」

 

「ん?」

 話し合いを決行する。周りは静かだが人はいない、誰かに聞かれる心配はないだろう。

 

 

 

 

 

「花陽のコトなんだけど…」

 

 

 

 

 凛は足を止めて反応した。俺たちを囲む空気が一瞬にして変化する。

 

 

 

 

「どうしてかよちんが出てくるの?」

 

 

「それは…」

 一変した空気が俺に重たくのしかかり言葉に詰まる。

 

 

 

「今は凛と一緒にいるんだよ!!!みんなの話なんてしないで欲しいにゃ!!!」

 

 

「っ…」

 希に絵里の話題を出したら、笑って殴られた記憶が蘇った。しかし凛の表情や雰囲気は希とは全くの逆。怒りや憎しみを具現化したような表情。いつもは猫が毛を逆立てているかのような、正直ギャグみたいな怒り方しかしない凛だが、今は俺を目線で突き殺すかのように睨んでいる。

 

 

 

「どうしてそこまで花陽を悪く言うんだ。お前ら親友だろ?いや、俺の目では親友以上に見える。しかも幼馴染だから、話してなくてもお互いの気持ちが分かるって言ってたじゃないか」

 

 

 

 

「何言ってるの?」

 

 

 

「は?」

 

 

 

「親友とか、幼馴染とか、そんなのもう関係ないんだにゃ。そんな関係どうだっていい!!凛は零君と一緒にいられるだけでいい!!そのためだったら、友達も仲間も親友も幼馴染もぜーーーんぶいらないにゃ!!」

 

 俺との関係さえあれば、あの花陽ですらどうなったっていいってコトだ。凛は既にそこまで決意を固めていた。

 

 

 

「なのに…零君はいつまでもみんなとベタベタベタベタ。凛もいーーーーーーーーーーーーーーぱい零君とイチャイチャしたいのに!!」

 

 

「ベタベタとかイチャイチャとか…してないだろ」

 

 

 

「してるにゃ!!!特に穂乃果ちゃんとことりちゃん!!自分と同じ学年で、同じ教室だからって零君に色目使って近づいて!!調子に乗りすぎだにゃ!!」

 凛は穂乃果やことりにまで矛先が向いているようだ。しかも、なぜお前が俺たちの教室での出来事を知っている?

 

 

 

「落ち着けって、そんな感情的になってもしょうがないだろ」

 凛を落ち着かせようとするものの、適当な言葉しか出てこない。それだけ今の凛には迫力があった。

 

 

 

「凛は零君が好き、大好き!!だから、必死になって考えたんだにゃ。零君の笑顔をどうやって凛にだけ向けさせるコトができるのかって。そして思いついた」

 

 

 

「何を……?」

 

 

 

「零君の笑顔を凛に向けるんじゃなくて、凛にしか向かないようにしようって」

 

 

「なんだよ…それ…」

 

 

「みんないなくなれば、零君は凛しかいなくなるでしょ?」

 

 

 

「お前……」

 発想は真姫や希と同じだった。もはや聞き慣れた言葉だが、その言葉を聞く度にμ'sは崩壊の一歩を辿っている。恐ろしいのは、この考えを持っているのは凛だけじゃない。穂乃果やことりも同じ言葉を口走っている。希の話では絵里も。

 

 

 

 

「それで俺が笑顔でいられると思うか?」

 

 

「大丈夫!凛の笑顔はみんなを幸せにするにゃ!零君がそう言ったんだよ!あっ、でもμ'sのみんなだけは幸せにはできないね」

 それはみんなを手にかけてしまうからという意味だろう。この手の会話になった時、本当にコイツらは"殺る気"に満ち溢れている。途中で選択肢を1つでも間違えれば、そこでゲームオーバーだろう。

 

 

 

「やめとけ。お前では穂乃果やことり、絵里には敵わない」

 どう考えても凛ではあの3人には対抗できない。と言うよりあの3人が異常すぎるだけなのだが。

 

 

 

「ん?凛1人だけじゃないよ」

 

 

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

「だよね?かよちん!」

 

 

 凛が呼ぶ声と同時に、俺の後ろの暗闇から花陽が姿を現した。希といい花陽といい、気配を消して登場するのが流行っているのか。

 

 

 

「もう~凛ちゃんヒドイよ。影で聞いてたら、私の悪口言うんだもん」

 

 

「でも事実だにゃ。それにそれはかよちんも同じでしょ?」

 

 

「そうだね。別に凛ちゃんがどうなろうが私には関係ないし」

 

 

「そうそう。しょーがなくかよちんと手を組んでるだけだから、それ以外の関係なんて持つ必要ないにゃ」

 

 

 

 凛と花陽は俺を挟んで信じられない会話をしている。あの2人から、お互いがお互いを蹴落とす言葉を聞いたことがあるだろうか?少なくとも俺は1度しかない。それにもっと恐ろしいのは、この2人が笑い合って会話しているというコトだ。未だかつて想像できない2人の姿に、俺は硬直して投げかける言葉も見つからなかった。

 

 

 

「でも凛ちゃんと零君来るの遅すぎるよ。私、ずっと夜道で待ってて凍え死ぬところだったんだよ」

 

 

「ハハハハ!それはおしかったにゃ~!」

 

 

 

 

 

 

「やめろ!!」

 

 

 

「「?」」

 

 

 

 

 

「お前ら、どうしてそこまで相手を無下にできるんだ!?まして幼馴染だろ!?なんで笑って相手を傷つけられるんだ!?」

 今の2人に、俺は冷静さをことごとく削られてしまった。俺の放った言葉にいつもの落ち着きはなく、ただただ感情的に思ったコトをぶつけているだけだった。

 

 

 

「それさっきも言ったにゃ。幼馴染とか、そんなのどうでもいいの!」

 

「あの零君が凛ちゃんとの会話をもう忘れちゃったの?でも私はそんなおっちょこちょいな零君も好きだよ」

 

「あぁーーー!どさくさに紛れて好きとか言うのは禁止だにゃ!!」

 

「何で!?凛ちゃんも言ってたよ!」

 

 

 

 

 再び騒ぎ始める2人。だが俺はそれを止める気力がなかった。

 

 

 

 

 

「さて、これくらいにして本題に入るにゃ」

 

「そうだね」

 

 

 

「本題?」

 

 

 

 

「うん。零君、今から凛たちに着いて来てくれるかにゃ?」

 

 

 

「今から?どうして?」

 一応理由を聞いてみるが、どのような答えでも明らかに行ってはいけない。

 

 

「それは零君が着いて来てくれるなら答えるよ」

 

 

「嫌だと言ったら?」

 

 

「真姫ちゃんか希ちゃんのどっちかを……ね?」

 花陽は今日一番の笑顔を俺に向ける。

 

 

 

 

「やめろ!!真姫たちに手を出すな!!今2人は関係ないだろ!!」

 

 

 

「関係ない訳ないにゃ。最近コソコソ話してるし。何か凛たちに知られたくない秘密でもあるの?」

 それはお前らのためにやっているんだ、とは言えない。言ってしまえば真姫と希が確実に狙われてしまう。今は俺だけに矛先を向けておかなければ。

 

 

 

「真姫ちゃんも希ちゃんも罪は重いよね。私の零君をあんなヒドイ目に遭わせたんだから」

 

 

 

「待て!何でお前、そのコト知ってるんだ!?」

 

 

「それは言えないにゃ~」

 

「うん。一応約束だし」

 

 西木野病院、希の住むマンションで起こった事態をコイツらは把握している。というコトはこの2人に話した奴がいるんだ。穂乃果かことりか絵里か……それとも……

 

 

 

 

 

 

「それでどうするの?凛たちと一緒に来る?来ない?」

 

 

 

 2人は笑いながら俺に問いかけてくる。コイツらも、俺に選択肢が1つしかないのが分かっているんだろう。

 

 

 

 

 

「行けばいいんだろ……」

 

 

 

 

 

 まだ夜は始まったばかり……

 

 

 

 




今回は零君の心情と場面の緊迫感を重視してみたのですが、どうだったでしょうか?前も後ろもヤンデレという今までにない事態になっています。それに今回初の1vs2です。2人同時に相手できるんでしょうかね?(他人目)








零君が気絶していない!?なにかの間違いかな?

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