ラブライブ!~μ'sとの"非"日常~【完結】   作:薮椿

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向こうの連続投稿企画と関係なく、こちらは通常投稿。

この章は視点がコロコロ変わるせいで、話が全然進まない……


ep.4 ‐それぞれの陰謀‐

 

 時は、零が絵里と出会ってしまったところまで遡る。

 

 

 

「絵里……」

 

「探したわよ、零。あまりフラフラ出歩かないでくれるかしら」

 

「俺がどこへ行こうが勝手だろう」

 

「勝手じゃないわ。私の許可なく出かけるのは許されない」

 

「お前……」

 

 

 絵里の理不尽な理論に零は憤りを覚える。だがここで怒鳴っても、何の解決にもならないコトぐらい零も分かっている。しっかりと機会を伺って、慎重に言葉を選んでいかなければならない。

 

 

「そういやお前、今まで何をしていたんだ?金曜日は部屋に閉じこもっていたらしいし、昨日も一日中どこかへ出かけてたんだろ?」

 

「へぇ~、誰から聞いたの?」

 

「今は俺が質問をしている」

 

「あなたが言った通りだけど、行動を教える義理は私にはないわね」

 

 

 零の行動は縛りたいのに、自分の行動は一切公開しない。あまりにも我が儘で傲慢な態度だ。まさに『女王』という言葉が似合うのかもしれない。

 

 

「こっちからも質問させてもらうわ。誰から聞いたの?私のコトを」

 

「それを知ってどうする?」

 

「今は私が質問をしているの」

 

「……」

 

 

 絵里は全く同じ返しで零を追い詰める。知的、戦略、そして溢れ出る黒さ、どの能力も高い絵里相手に零はいつも以上に慎重にならざるを得ない。

 

 

「それを教える義理は、俺にはない」

 

「ふ~ん……」

 

 

 零も絵里と同じ返しで対応する。わざわざこちらから仕掛ける必要はない。向こうから零に出向いてきた以上、絵里の方から何か策があるハズである。それを待てばいい。それにここで亜里沙のコトを口に出してしまえば、彼女を危険に晒してしまう。亜里沙や雪穂も守ると誓った零にそれはできなかった。

 

 

「それは残念。それじゃあ、後ろにいる穂乃果やことりにも手伝ってもらおうかしら」

 

「なんだと!?」

 

 

 2人の名前が出た瞬間、零は自分の後ろを振り返る。絵里だけじゃなく、穂乃果とことりまでいるとなると状況は圧倒的に不利だ。少し隙があった花陽や凛の2人を同時に相手をするよりも、隙のない絵里1人を相手にする方が苦戦する。そこからさらに狂気ともいえるあの2人が参入すれば、もはや勝目はない。

 

 

 だが……

 

 

「え?」

 

 

 穂乃果もことりも、その姿は見えなかった。見えたのは住宅街の風景のみ。ここで零は自分の失態に気付く。

 

 

「本当に、μ'sのコトになると騙されやすいわね」

 

 

 気付いた時には絵里が近くまで迫っていた。騙されたのだ。絵里1人の相手に集中し過ぎたせいで、穂乃果とことりの名前を聞いただけで零は焦燥してしまった。

 

 いつもの零なら騙されはしない。だから絵里は零の判断を鈍らせて自ら隙を作らせた。突然"あの"穂乃果たちが後ろにいると知ったら、今の零なら確実に警戒するだろうと考えたからだ。零の警戒心の高さを逆に利用した、絵里の方が一枚上手だった。

 

 

 

ドゴッ!!

 

 

「がぁっ!!」

 

 

 絵里は零の後頭部を殴る。事前に計画していた通りの位置を狙って。この状況になるコトは完全に絵里の想定通りだったのだ。

 

 

ドサッ!!

 

 

 零は軽い脳震盪を起こして、そのまま身体を地面に叩きつけられた。彼から一切反応はない。零は気絶してしまった。

 

 

「私に従わないあなたは零じゃないわ。私好みの零にしてア・ゲ・ル♪」

 

 

 絵里が取り出したのは、おどろおどろしい色の液体が入った注射器。今、神崎零の世界が変えられようとしていた。

 

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「うっ……うぅ……ここは?」

 

 

 零が目覚めると、そこは公園のベンチであった。それなのにも関わらず、頭に何やら柔らかいモノが当たっている。まるで枕でもしているのかのようだ。そもそも、自分がなぜここにいるのかという記憶すらない。

 

 

「あら?起きたの?」

 

「えっと……」

 

「"絵里"よ。"絢瀬絵里"」

 

「そうか、そうだよな。何言ってんだ俺は……」

 

「まだ眠い?もう少し寝る?」

 

「いや、もういいよ。膝枕してくれてありがとな」

 

 

 零は絵里の膝から顔を上げた。なぜ自分がここにいるのかは全く思い出せなかったが、絵里の顔を見るとそんな心配はこ空の彼方に消えていった。絵里と一緒にいるのは当たり前だと、そう信じ込んでいるのだ。

 

 

「いいわよ別に。零の顔っていつもカッコいいけど、寝ている時は可愛いわね♪」

 

「なんだよそれ……からかうなよな」

 

「ホントホント。フフッ!照れてる顔も可愛いんだから」

 

「オイ!」

 

「ゴメンゴメン。それじゃあ行きましょうか」

 

「行くってどこに?」

 

「もう~、零は私の"彼氏"なんだから、しっかりエスコートして欲しいわね」

 

「あ、あぁ……そうだな!待ってくれ、今考えるから」

 

「あっ!服、着替えてきてもいいかしら?」

 

「はぁ?別にそのままでもいいだろ」

 

「ダメなの。ファッションに気を使わないあなたとは違うんだから。それに……折角のデートなんだもん、綺麗な服を着ていきたい」

 

「絵里……そうか、じゃあとびきり可愛い服期待してるぜ!」

 

「任せなさい!待ち合わせ場所はまた連絡するから」

 

「おう!」

 

 

 絵里はベンチから立ち上がり、歩き出す。しかし途中で立ち止まり、クルッと零の方を向き直して問いかける。これは絵里が零に対して一番聞きたいコトである。

 

 

 

「そう言えばあなた…………『μ's』って知ってるかしら?」

 

「『μ's』、9人の女神を意味するんだっけ?それがどうかしたか?」

 

「その名前のスクールアイドルがいるのよ。知ってる?」

 

 

 

 

 

 

「さぁ、知らねぇな」

 

 

 

 

 

 

「そう、変なコト聞いて悪かったわね。それじゃ、また後で!」

 

 

 そう言って絵里は公園を後にした。今にも笑いが出てしまいそうだ。ここまであっさりと上手く行くとは、さすがの絵里も思っていなかった。零からの抵抗がほとんどなかったのもそのお陰だろう。それに、μ'sのコトもしっかり忘れているようだ。絵里にとって、一番それが嬉しくて堪らなかった。あのμ'sを潰した感じがして、とてつもない達成感が生まれる。

 

 零という最大の障害は乗り越えた。後は周りに這いよる輩を排除していけばいい。絵里にかかれば、それはとても容易いコトだ。

 

 

 

 

 零は1人公園に残された。思い浮かぶのは自分の彼女である絵里ではなく、彼女の言ったあの言葉。

 

 

『μ's』

 

 

 この言葉が頭に、そして心に引っかかってならない。

 

 

「くそっ!何なんだよ!」

 

 

 頭を掻きながら零も公園の出口へと歩き出す。その言葉を抱きながら……

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 園田海未は高坂穂乃果に向かって矢を放った。彼女の狙いは的確で外れるコトはない。あと数秒もしない内に赤き液体が舞い上がり、悲惨な光景が映し出されるだろう。海未はその様子を見るために、ビルの屋上から下を見下ろしていた。矢は真っ直ぐ、穂乃果へ向かって飛んでいく。もう彼女は助からない。

 

 

 

 

 死んだ。

 

 

 

 

 海未はそう確信した。

 

 

カン!

 

 

 

「なっ!!」

 

 

 そう思った瞬間だった。矢が何かにぶつかって軌道が変化した。障害物ではない。明らかに誰かが意図して、何かを矢にぶつけてきた。

 

 矢にぶつけられたのが何かは把握出来なかったが、海未は変化した矢の軌道とぶつけられた位置から、素早く誰かがいるであろうビルを推測した。彼女はそちらに目を向ける。

 

 

「こ、ことり……!?」

 

 

 別のビルの屋上にいたのは南ことりだ。海未が目を向けた時には、既にことりがこっちを見てにっこり微笑んでいた。紛れもない、ことりが海未の放った矢を弾いたのだ。チラッと下を見ると、そこには穂乃果と希の姿は消えていた。何があったのかは知らないが、さっき見た限りでは穂乃果が今にも突撃しそうだったので、希が上手く逃げ出したのだろう。

 

 

「よくも邪魔を!!」

 

 

 海未は再び弓を構えるが、その動作と狙いを定める時間はことりにとっては悠長な時間に過ぎない。ことりは身体を切り返してビルの内部へ隠れてしまった。

 

 

 海未は急いでビルに戻り、ことりの元へ行くために全速力で走る。自分の暗殺計画を邪魔されたせいか、海未の鬱憤はこれまでにないぐらいに上昇していた。

 

 

 

~~♪

 

 

 自分の携帯が鳴る。この着信音は、零とμ'sメンバーが自分に電話を掛けてきた時になる音楽だ。電話相手の候補が9人もいるハズなのに、海未にはこの相手が誰だか分かっていた。彼女はビルを駆け下りながら電話に出る。

 

 

『もしもし海未ちゃん、惜しかったね~~♪』

 

「ことりぃーー!!」

 

『流石だよ。あのまま行けば、穂乃果ちゃんの頭にブッスリだったからね~。それも愉快だけど』

 

「今どこにいるのです!?」

 

『普通に考えたら教える訳ないじゃん。もっと賢い発言した方がいいよ、おバカな海未ちゃん♪』

 

「頭、打ち抜かれたいですか?」

 

『やってみればぁ?そんな矢じゃあ、ことりにかすりもしないから』

 

 

 海未はビルから出て周りを確認する。多少の通行人がいるだけでことりの姿は一切見えない。ことりはなるべく姿を見せないように動いていたため、もうどこかへ逃げてしまったのだろう。

 

 

 

「どれだけ私に憎しみを溜めさせれば気が済むんでしょうね…………まぁいいです。零の周りに取り付くあの2人だけは、私の手で必ず仕留めてみせますから。見ててください零。あなたは私が守ってみせます」

 

 

 憎しみは新たな憎しみを呼ぶ。まるでそれを具現化したかのような海未の姿は、平穏な街に佇む異形な存在になっていた。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 南ことりはスキップしながら裏路地を駆け回っていた。ここからなら弓では狙えないし、曲がりくねっているのでそもそも見つかりにくい。意味もなく人をからかうコトが好きな彼女は、現在無駄にテンションが上がっていた。海未の憤る顔を想像するだけで笑いが起きる。

 

 

「穂乃果ちゃんといい、海未ちゃんといい、ことりがしっかりケアしてあげないといけないんだから。もしかしてことりって功労者?あぁ~ん、零くんに褒められちゃうかも~~♪零くんに褒められたら、それだけでことり昇天しちゃう~♪頭ナデナデとかされたり?きゃ~~~♡」

 

 

 勝手な妄想はどんどん膨らんでいき、零と2人きりの世界に迷い込んでしまっている。今までの行動も、この想像を現実するために行われているといっても過言ではない。

 

 

「次は……穂乃果ちゃんと希ちゃんかぁ~。穂乃果ちゃんの暴走にはホントに困るよ。何で幼馴染だったんだろう?思えば意味分かんない!あっ、今の真姫ちゃんっぽい♪」

 

 

 テンションが最高潮に達したのか、浮かれすぎて自分で言ったコトに自分でツッコむという難易度の高いコトも平気でやってのける。それほどまでに人が絶望したり、驚愕している顔は面白い。それが幼馴染"だった"人ならなおさらだ。

 

 

 

 

 ことりは昨日、凛を狙っていた穂乃果と対峙して、見事追っ払うコトに成功した。そして今回は穂乃果を殺そうとしていた海未の計画を阻止した。そう、彼女は誰かが死なないように動いているのだ。

 

 だが、死ななければいい。零以外の人間なら死ななければどれだけ傷ついても構わないが、誰かが消えてしまうのはことりにとって不都合なのだ。

 

 

 その理由はまだ彼女の心の中。様々な陰謀が蠢く影で、ことりの甘い、そして壮絶な計略も動き出していた。

 

 

 

グシャ!!

 

 

 ことりはスキップしながらバイト先に置いてあったダーツ発射機をその場に捨て、足で踏みつけ破壊した。

 

 

 

 

 

 

~※~

 

 

 

戦況報告

 

 

 

【挿絵表示】

 

 




この章はμ's全員が主人公、つまり全員の視点を書いていかなければならないので話の進みが非常に遅いです。これで半分ぐらいかな?

挿絵についにμ'sが揃った!ここからが本番だ!





以下、構想中のシナリオ。ネタバレ注意。

・希vs穂乃果、希vs絵里、まきりんぱなvs絵里 の展開は確実にアリ。
・ことり、海未の出番はまだアリ
・にこの出番はこの前でほとんど終わり
・もちろん零vs絵里 はアリ
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