そのせいで読みにくいところがあるかも…
「……!ここは!?」
俺はゆっくりと目を覚ました。一体ここはどこだ?何が起こった?起きたばかりで頭がズキズキし、目の焦点も合わない。そんな中で必死に今の状況を整理する。
「そうだ……真姫にやられたんだ」
自分の身に起きている事は大体理解した。それにしてもココはどこだ?部屋全体をぐるっと見渡す。かなり広い部屋だ。だが家具などは一切ない。唯一あるのは、俺が寝かされていたベッドだけだ。
「とりあえず部屋から出ないと」
ガキ!!
ジャラ!!
「痛て!!」
体を起こそうとした時、右手首から猛烈な痛みを感じた。
「て、手錠!?」
俺の右手首に手錠が付けられ、ベッドの支柱に繋がれていた。手錠の鎖を持ち、引っ張ったり叩いたりしてみるがビクともしない。破壊するのは無理だ。
「くそ!真姫の奴どういうつもりだ!」
ガチガチと音を立てながら、闇雲に手錠を外そうとする。
「はぁ……」
手錠については諦め他の対策を考える。しかし、このベッドから動けないのではどうしようもない。真姫の事だ、俺を脱出させるような手立てはすべて潰しているだろう。
「そうだ……携帯!」
制服のポケットを探るが携帯は見つからなかった。ズボンの後ろのポケットやブレザーの内ポケットを調べると、ハンカチやティッシュなどの日用品まで没収されているコトが分かった。
「随分と徹底してるのね……」
さて、どうするべきか……窓は完全に封鎖されていて外の景色を見ることはできない。聞こえる音も俺がゴソゴソ動く音のみ。部屋にはベッドしかないため、この状況に役立ちそうなモノはない。そもそも、手錠をされている時点で動ける範囲は限られているのだが。
コツコツコツコツ
誰かが歩いている。その音は徐々に大きくなり、そして部屋の前で止まった。
ガチャ
「あら?起きたのね」
「真姫……」
当然と言えば当然だが、部屋に入ってきたのは真姫であった。その表情は俺を心配している表情には見えない、校舎裏で俺が気絶する前に見せていた表情とまるで同じだ。
「意外におとなしいのね。もっと抵抗するかと思っていたけど」
「お前がそれを警戒して俺の持ち物を全部持ってったんだろ」
「そうよ。あなたは頭の回転もキレもいいもの、すべての対抗策は排除させてもらったわ」
この用意周到さは非常に真姫らしい。学年トップの成績というだけでなく、日常生活からもその性格はにじみ出ている。
「俺をここへ連れ込んでどうするんだ?」
「暮らすのよ。一緒にね」
「こんな手錠を付けてか?」
「そうしないと逃げるでしょ?」
「当たり前だ」
「だったら外す訳にはいかないわ。私は一生零と暮らすって決めたの。大丈夫、ここにいる限り不自由のない生活を保証してあげる。私の許す範囲なら、あなたが望むモノは何でも与えてあげるわ。悪くないでしょ?」
「ここにいること自体が不自由だ。それに急に俺がいなくなったら誰かが気付くだろ」
「あなた一人暮らしでしょ?問題ないわ」
「でもアイツらなら絶対に気付く。μ'sのみんなならな……」
「そうかもしれないわね……でも大丈夫、その時は消せばいい話」
一瞬真姫が口にした言葉の意味が分からなかった。消す?みんなを?あれだけみんな一緒に一生懸命練習して、廃校を阻止し、ラブライブの出場権まで得たのに……
「本気で言ってるのか、ソレ……」
「本気じゃなきゃこんなコトしないでしょ?それに気付こうが気付くまいが、みんなは処分するつもりだったし……」
「お前!!!!簡単にそんなこと言うな!!!一緒に頑張ってきた仲間だろ!!!みんなでラブライブ優勝するって誓いはどうなったんだよ!!!」
真姫の言葉は俺の怒りを呼び起こした。人一倍仲間を大切にする真姫が、そんな発言をする事が許せなかった。
「どうでもいい……そんな誓い」
「な、に……」
「今の私にそんな誓いは塵芥のようなモノ。私が欲しいのは零、あなたよ。まあ既に手に入れてしまったけど…そのためにはみんな邪魔なのよ。あなた言ってたでしょ、私があなたを警戒してるって。それと同じよ。邪魔なモノは消す。不確定因子は排除しておかなきゃね」
もう俺の心を惹きつけていた時の真姫はいない。あの真姫がみんなを排除しようとしていただなんて…俺はショックと絶望で言葉が出なくなっていた。
「私はあなたを傷つけたくないの、身も心も。だから素直におとなしくしていてね」
「・・・」
「返事がない、ということは肯定と取っていいわね?」
「……お前は」
「ん?」
「何故お前は俺に固執する?」
「言ったでしょう?あなたが好きだからよ。今でも忘れないわ、あなたとの出会い。急にやって来て『ピアノ上手いな』だって、初めは『またか』と思ったわよ。今まで周りから散々言われてきたコトだから、何も特別には感じなかった。その後もあなたはやって来た。こっちが嫌そうな顔をしていても。でも私の運命はその時から変わったわ」
「・・・」
「あなたは何度も私をμ'sに誘ってくれた。そんなの、私はただのお遊びだって思ってたわ。それに病院を継ぐ運命だったから、そんなのに参加するつもりもなかった。でも、私の心の奥底では本当は音楽がやりたいって気持ちが眠っていたの。だけどそれは押し殺さなくてはいけなかった、病院の跡取りとして」
「・・・」
「そこにあなたが現れた。あなたは何度も私の歌やピアノを聞きに来てくれた。いつもワクワクした表情で、私の歌やピアノを聞いてくれたわね。私はいつの間にか心を許していた。そして遂に私の置かれている状況や心境をあなたに言っちゃったのよね。その時、あなたが何て言ったのか覚えてる?」
「あぁ…」
「『何で自分のやりたいコトが分かっているのにやらないんだ?』って、初めは笑ったわ。それができれば苦労しないのにね。そうしたらあなたが『医者になるなら、その勉強と音楽を両立すればいいんじゃない?』って言ったわ。その後『お前ならできる!俺が保証する!むしろ俺が出来るコトなら手伝ってやる』だって、訳が分からなかったわ。どこからそんな自信が湧いてくるのやら」
「・・・」
「でもね、私はその言葉を聞いた時、スっと胸が軽くなったの。話の内容なんて関係ない、私は誰かに自分の心を解き放って欲しかったのよ。自分では親からのプレッシャーがあって出来なかったから」
「・・・」
「その時からだったかしら?あなたに惹かれたのは……好きって気持ちに気付いたのはもっと後だったけどね……って何ゴソゴソしてるの?トイレに行きたいとか?」
「何でもない、続けろ」
「好きって気持ちに気付いたまではよかった。でも、別のコトにも気付いちゃったのよ。みんなも零が好きだってコトにね。みんなが零の話題を出す度に心が痛くなったわ。それは日に日に大きくなっていった。そこでどうすればいいのか考えたのよ」
「その結果がこれか」
「そうよ。もう計画は完遂された。後はみんなを処分するだけ。零にまとわりつく輩は全員ね。これで私とあなたの愛を邪魔する者はいなくなるわ」
「そんなことをしたら警察のお世話になるぞ」
「心配ないわ。西木野病院はね、全国でも有数の病院なの。地位も権力もお金もあるわ。後はわかるわよね?」
「・・・」
真姫のピアノは音楽が素人の俺ですら惹きつけた。だが、その時の真姫とは別人だ。何もかもが正反対。真姫と出会った時のコトを思い出せば思い出すほど心苦しくなる。
「お願いだから、すべてが終わるまでおとなしくしていてね」
「嫌だと言ったら?」
「そうね、その時は……」
グサッ!!!
「!!!」
真姫は突然ナイフを取り出し、俺……ではなく、俺の顔すぐ近くの毛布に向かって突き刺した。
「少し痛い目を見ることになるわね」
「正気か……」
「私もあなたを傷つけたくないわ。だから余計な抵抗はしないことね…まあ、ウチは病院だから多少の傷ぐらいなら簡単に治療できるけどね……フフフフ」
俺に戦慄が走る。コイツは本気だ。人を躊躇なく切れるし、殺めてしまう事もできるだろう。
「それじゃあ、ちょっと病院に顔出さないといけないから。ああメンドくさい」
「とっとと行ってこい」
「そうさせてもらうわ。あなたと一緒にいる時間がなくなっちゃうものね」
バタン
それからしばらくは、真姫の衝撃発言せいでその場から動けずにいた。
~※~
「ここが西木野病院か~。初めて来たけどおっきいね!」
「何で着いてくるの!?」
「たまたま行き先が被っただけだよ!」
「はぁ~でも邪魔はしないでね?」
「そっちこそ」
そして病院に近付く影が2つ……
今回は真姫の心情が出てきましたが、過去の話は描いていないのでイメージを掴みにくかったかもしれません。
零と真姫が正しい道を選んでいた場合どうなるのか?
知りたい方がいらっしゃるならば『日常』の方を見ていただけると普通の恋愛をしています。(文章は雑な回ですが…)
この小説での真姫の活躍(?)はまだまだこんなモノじゃないですよ(笑