私、"神崎伶"と妹の"神崎晶"、そして"暁美ほむら"の人生がリスタートしてから10数年。私たちは中学3年生になった。と言っても、今は3月。受験も終わったことだし、各々が受験のうっ憤を晴らしている。
「っていうわけでもないんだよなこれが。」
「いきなりどうしたのよ。」
「ウチら4月から山梨に飛ぶやんか。それの引っ越し準備で遊びどころじゃないのがストレスすぎて...」
「言われてみればそうね。ぜんっぜん遊べてないわ。」
「まぁ引っ越し作業ももうじき終わるわけだし、タイミングをみて中学卒業旅行に行ってもいいよね。金はたんまりあるし。」
そう。実は私たちはひそかに"神崎さん家のミクとテト"によるボカロカバー動画などでそれなりにお金を稼いでいた。ほむらはエレキギター、晶はドラムの演奏でも再生数が伸びている。楽器を操れるのが羨ましい。
「私はシンセサイザーと歌しか武器が無いからな~。」
「「歌で一番伸びてるやつが何言ってんの...」」
ちなみにほむらも同じタイミングで山梨に行くのは、私の父親とほむらの父親が同じ会社で同じ異動先であるからである。
☆☆☆ーーー☆☆☆
それから数週間後。引っ越し作業も終了したので、私たちは趣味である鉄道旅に出ることにした。
「いや~3月なのに寒いねぇ。」
「当たり前でしょ?まだ日出てないよ。」
「でもウチらがこうして旅に出るのも久しぶりよな。しかも乗りつぶし目的なんていつぶりよ。めっちゃワクワクする。」
「「それな。」」
私たちの最寄り駅である赤羽駅についたのは5時15分。3月とはいえ日が出てないと寒いのは当然だ。
「週末パス...使うのは初めてだね。」
今回使うきっぷは【週末パス】。これは土日祝日の内、連続する2日間のみ有効のフリー切符だ。フリー区間は北東北以外のJR東日本全線と一部の私鉄・三セクと広いうえで大人8880円と破格だ。しかも特急料金を払えば新幹線にも乗れるという優れものである。
「うし。行くか。」
「「おう(えぇ)。」」
そう掛け声をしながら切符を改札機に通す。およそ1年ぶりの鉄道旅、どんな出来事が待っているかな。
☆☆☆ーーー☆☆☆
「「「軽井沢着いた~!!!」」」
あれから高崎線、信越本線、JRバス碓氷線と乗り継ぎ、私たちは軽井沢駅に到着した。今は8時50分。5時23分に赤羽を出たので、大体3時間半かかった。
「時間もあるし、おやつとお土産買って散歩しよう。」
とほむらが言ったので、軽井沢駅の周りを散策してみる。しかし...
「「「駅の周り、なんもないね...」」」
まぁ地方はそんなもんかもしれない(失礼)。しかもここは標高も高いからずっといると寒い。駅舎の中入ろう...
「そういえば次に乗る列車って一気に新潟県まで連れてってくれるやつなんよね?」
「うん。乗車時間は大体2時間かな。」
「に...2時間...」
「ま、まぁ景色いい方の席取ったわけだし。ここからは各々ゆっくり楽しみましょうや。」
そう話しているうちに、今回のメイン列車が入線する。この列車は"軽井沢リゾート号"で、土休日に1往復のみ走っている特別快速だ。そして、運行しているしなの鉄道では唯一の全区間走行する列車でもある。車両はJRの車両をベースにしたSR1系だ。深い青色に金色のラインがアクセントになっていて非常にかっこいい。ちなみに指定席券料金500円がかかるので注意。
「列車の中、あったけ~...」
この時期の暖房は体にしみる。とにかくしみる。とはいえ走行中はそこそこ揺れるので、眠くなることはなかった。
☆☆☆ーーー☆☆☆
「...お前ら、どうだった。」
「「めっちゃ最高だった。」」
列車は終点の妙高高原駅に到着した。もうね、すごかった。軽井沢~小諸は浅間山がデーンと近くで鎮座していたし、豊野駅を出ると一気に標高を上げながら谷間に突っ込んでいく。そういった景色の変化が面白かった。また乗りに行こうかな。
「ん?なんやあれ。」
晶が改札外に何かがあるのを発見した。
「あれは...?ほむら、乗り換え時間って何分あるっけ。」
「次の列車は...40分後ね。」
「ちょうどいい。休憩がてらちょっと見てみよう。」
「「賛成~」」
そういうわけで、私たちはここで改札を出場した。
「あ~バイクか!この人かっちょええな。」
「いや、かっこいいというよりかはかわいいでしょ。」
「この見た目でかわいいっていうんか...?」
「お嬢さん方、このバイクに興味があるのかい?」
「「「!?」」」
うわびっくりした!後ろからシブいおじいさんが来てる気配すら感じなかった。このしゃべり方からすると、バイクはこのおじいさんのものなのだろう。にしてもこの御方、ヒゲがいい感じに生えてるな。イケおじってやつか。
「はい。列車から降りた時ふと目に入ったもので...この子かっこいいですね。」
「そうかい、そりゃうれしいな。こいつはトライアンフ・スラクストン1200Rっていってな...」
と、おじいさんはにこやかな表情で相棒のバイクを語ってくれた。私たちはバイクについてあまりわかっていない。でも、このおじいさんがどれだけバイクが好きであるかは伝わった。
「はっ!すまない、つい熱くなってしまった。」
「その気持ちわかるので大丈夫ですよ(笑)。」
「ははは、ありがとうな。ところで、お嬢さん方はどこからきたのかね?」
「東京から在来線とバスだけで来ました。」
「東京!?しかも新幹線なしでか。たいしたもんだ...」
「まぁ長野県の端から端まで一気に走る列車に乗るのが目的だったので...おじいさんはこれからどちらに?」
「私はこれからキャンプをするんだよ。」
「「「キャンプ!?」」」
「そうだ。」
「キャンプって...この時期は寒くないですか?それこそこんなに標高の高い場所だと。」
「確かに寒いさ。でも、今の時期にやるキャンプだからこそ味わえるものがあるんだよ。お嬢さん方も実際にやってみればわかるだろう。」
「キャンプ...こんど挑戦してみます!」
「そうかい。それでは私はこれで失礼するよ。お嬢さん方もお気をつけて。」
「「「は~い。」」」
そういって、シブいおじいさんはバイクにまたがってそのままキャンプ場へ向かっていった。
「...私たちも行こうか。」
「「うん(えぇ)!!」」
そして私たちも、再び鉄道旅に戻るのだった。
「ちなみに今回お昼食べれるのは越後湯沢で、14:30~15:00くらいの到着だよ。」
「「おい、マジか。」」
1話でした。ちなみに最後に登場したシブいおじいさんは新城肇(リンの祖父)です。あと今回からは基本的にいつもの3人はあとがきに登場しません。
それでは次回も何卒。感想・評価もよろしくお願いします。
番外編を書こうかな~って考えてます!どのお題がいいか選んでください!!
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