転生少女たちとゆるキャンパー   作:MT75B

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37話です。前半に某先輩ネタがいつも以上にぶち込まれてます。


#37 ショートトリップと展望台と温泉

(前回のあらすじ)

 

なでしこがフィジカルモンスターとなった要因が判明。

 

↑No Side

☆☆☆ーーー☆☆☆

↓晶 Side

 

その後、真知子さんが腕を振るった夕食に舌鼓を打ち、お風呂の順番をどうするかみんなで話し合うことに。

 

晶「ウチと伶はこの後寄るとこあるから最後でええよ。時間もかかると思うし。」

 

と、この場にいるみんなに一言ことわっておく。姉御は【あそこ】に行くことに二つ返事で賛成してくれた。

 

なでしこ「このあたりで夜に行くところってあったかなぁ?」

伶「まぁ...浜松に来たから我々の趣味をさせてもらおうかなって。せっかくのチャンスなんだし。」

ほむら「あなた達本当に元気ね......」

リン「こいつらが同じ人間とは思えん。」

晶「ひでぇ言いようだよ。」

真知子「時間がかかるって言ってたけど、アヤちゃんが帰ってくるまでには戻ってくるのよ?」

晶・伶「承知しました!」

杏子「そういえば伶とほむらはホテル宿泊だったよな。展望台行くの深夜になるけど大丈夫なのか?」

ほむら「大丈夫よ。真知子さんのご自宅からホテルまで歩いて10分くらいだし。」

杏子「わぁ近い。」

 

姉御とほむらはホテルでお風呂を済ますことにしたので、リン、なでしこ、杏子、ウチの順番で借りさせていただくことにした。

 

伶「あ、真知子さん。少し耳を貸していただけますか?」

真知子「あら、なにかしら?」

伶「行先なんですけど、西鹿島駅なので片道50分かかる上に次の列車逃すと30分待たなきゃいけないので、そろそろ出ようかと思います。」

真知子「わかったわ。2人とも気を付けていってらっしゃい。」

晶・伶「行ってきます!」

 

☆☆☆ーーー☆☆☆

 

真知子さんの家からチートスキルを使って3分くらい爆走し、最寄りの浜名湖佐久米駅に到着する。ホームに出ると、乗ろうとしていた列車のヘッドライトが遠くに見えた。

 

晶「いや~田舎って便利やな。人少ないから公共の福祉の範囲でチートスキル使い放題だし。」

伶「お、そうだな。にしても湖近すぎて体がバッチェ冷えるゾ......」

晶「そんな姉御はこれを飲んで、どうぞ。」

伶「お、温かいレモンティーありがとナス......なんか、会話が汚ねぇな。」

晶「いやお前が始めた物語やろ。」バシィ

 

そんなくだらない茶番をしていると目の前に車両が停車する。この駅は無人駅なのと列車は車掌が乗務しないワンマン方式なので、車両後方の扉から乗車し整理券を取る。三が日の夜ということもあってか、ボックスシートが選び放題だった。

 

晶「前寄りドアに近いこ↑こ↓にしませんか。」

伶「あ、いいっすねぇ。そうしましょう。」

 

整理券を取って乗車した際、運転席に横付けされている運賃箱にお金を入れるという手順で運賃の精算を行う。なので、後ろの方に座ってしまうと降りるときに20mくらい移動しなきゃいけなくなってしまう。そんな面倒なことはしたくないので、ウチらは極力車両前寄りの席に座るようにしているのだ。

19時07分、定刻通り掛川行普通列車は浜名湖佐久米駅を発車する。一応座席位置は浜名湖側なのだが......

 

晶「暗くてな~んも見えへんな。」

伶「だな。」

 

当たり前っちゃ当たり前だが、このあたりは町から外れているので街灯が非常に少ない。そもそも佐久米から東で浜名湖が近く見えるのは西気賀駅付近くらいなのでどっちにしろなのだが。

 

伶「...そういえば、私たち2人だけで旅をするのって久しぶりじゃない?」

晶「あっ、たしかに......最後にウチら2人だけで旅行したのいつやっけ?」

伶「え~いつだろ。実は前世ぶりだったりして。」

晶「あ、思い出した。今世でもほむらが風邪で吹き飛んでいる間に1回だけ行ってたわ。」

伶「あ~行ってた!確か小5のとき18きっぷで岐阜まで乗って例のポーズしたよね!」

晶「そうそれ!そんで飯食ってそのままとんぼ返りしたっていう()」

伶「あったなぁそんなこと。いや~あんときは我々も若かったのぉ。」

晶「いや今でも肉体は十分若いわ。」

伶「肉体はって言うのがまたなんとも...」

晶「せやね...」

 

列車は寸座、西気賀、気賀の順に停車し、夜の田園地帯を快走していく。暗くて分かりづらいが、金指駅を過ぎると両サイドに山肌が接近してきた。

 

伶「...幸せだなぁ。」

 

不意に姉御がポツリと呟いた。

 

晶「どしたん急に。」

伶「だって考えてみてよ。私たちって最初の人生は良いとは言えない時期あったし、死んだときも突然だったじゃんか。で、前世は魔法少女システムへゴリゴリに介入しまくった結果うまくはいったけど、東京の高専に通い始めたての頃になるとほむらと青春できなかったし。」

晶「......」

伶「だからね。小学生の頃からいろんなところ行ったり、晶やほむらをはじめとした家族・友人とこうやってバカやったりしてる今がめっちゃ幸せなんだ。」

 

夜の車窓を見ながらポツポツと語る姉御を、ウチはただ黙ってみていることしかできなかった。

 

運転士『宮口、宮口です。お降りの方は前寄りのドアまでお越しください。』

 

運転士さんの案内で1人のおじさんが精算し、ドアが開いたと同時に姉御が口を開く。

 

伶「晶は今幸せ?」

 

ウチは少しだけ考えて、こう答えた。

 

 

 

「あぁ、過去イチ楽しくて幸せや!相棒もできたしな。」

 

 

 

ーーーーーー

 

伶「幸せと言えば我が妹よ、恋愛はしないのかね。」

晶「ブフォ!?ゲホッ、ゲホッ!」

 

なんや藪から棒に!!おかげでホットミルクティーが気管に入ってもうたやん。

 

伶「だ、大丈夫?」

晶「えほっ...えほっ...で、なんでまたそんなことを?」

伶「いやさ、晶って今までずっと独身だったじゃんか。恋愛とかあんましたくないタイプなのかな?ってふと気になって。」

晶「あのね?前世に関してはおまいらがイチャイチャしてたのを見ることが何よりの幸せだったんよ。恋愛いらねーなって程。」

伶「私らが原因だったのかよ。じゃあ今は?」

晶「2人がイチャイチャしてたのを見れたら十分______と思っていた時期がウチにもありました。」

伶「...お?」

晶「すっげー今更やけど、お前らが羨ましい。」

伶「おぉ~!」(・∀・)ニヤニヤ

 

100年以上2人の近くにいたからなのか、最近は恋愛してみたいという心境の変化も現れた。でもなぁ...

 

伶「ちなみに気になってる人いたりする?」

晶「姉御、ウチ男にあんま興味ないの忘れた?」

 

ウチは男性との恋愛に興味が1ミリもわかないのだ。別にこういう理由があってってわけじゃなく、昔からただただ興味が無い感じである。

 

伶「あぁそういえばそうだったね。なんなら女同士のほうの関心が高いよな。」

晶「うんどういうこと?」

伶「だって、前世ではまどかとさやかがいつものやり合い見てて「百合を検知」とか言ってたし、私とほむらがイチャイチャしてるの見るのが幸せってさっき発言したじゃん。おまけに最近は女子同士で手をつないでるのをジーっと見てるしな。」

晶「え、うそ。ウチそんなことしてたん。」

伶「自覚なかったのかよ!」

 

放送《次は、西鹿島~、西鹿島です。》

 

おばちゃんアナウンサーによる機械音声が次は西鹿島駅であることを案内する。

 

晶「そろそろ西鹿島だから、降りる準備するで姉御。」

伶「おいおい恥ずかしがってるのバレバレだぞ~?」

晶「うるさい!」

 

心なしか火照ってしまった顔を冬の空気でさっさと冷ましたいので、そそくさと席を立つ。

 

晶「ほな、音MADの素材収集始めよか。」

伶「うむ。」

 

☆☆☆ーーー☆☆☆

 

19時52分に西鹿島駅に到着してからはウチはビデオカメラ、姉御はモハラジオ(コイルレコーダー)と普通のICレコーダーの二刀流でMAD素材をかき集めた。欲しい素材の都合上、1~2区間のみ遠州鉄道線に乗って往復することもした。遠州鉄道線は夜遅くでも12分間隔で運行しているため、こんな感じで列車移動しながら素材を集めることもたやすいのだ。佐久米まで乗れる終電発車時刻が近づいたころには十分すぎると言えるほどの音源・動画素材が集まったので、ウチらは終始ニヤニヤが止まらなかった。

21時36分発の新所原行終電に乗り込み、浜名湖佐久米駅に到着したのは22時02分である。

 

伶「じゃあ、私は一旦ホテル戻ってるから。22時40分くらいに真知子さんの家行けばいいんだよね?」

晶「せやで。」

 

真知子さんの家まで歩いている時に綾乃から

 

綾乃{バイト終わった~( ╹v╹ )ノ

綾乃{11時くらいにはそっち着くと思う

 

とDMが来たので、23時に展望台で集合することになった。

 

伶「じゃ、また後で。」

晶「うい~。」

 

ホテル前で姉御と解散して真知子さんの家に戻ってすぐにお風呂を借りさせていただく。すでに他の3人は入り終わってたので、ウチもさっさと体を洗って湯舟に浸かった。

 

晶「ふぃ~さっぱりした...」

杏子「晶か、ちょうどいいところに。」

晶「おぉ杏子か。あれ、他の2人は?」

杏子「ぐっすり寝てらぁ。だからアタシ暇なんだけどよ、一緒にゲームやらないか?」

晶「お、何する?」

杏子「ばーちゃんが「なでちゃんとリンちゃん寝ちゃったし、ヒマなら晶ちゃんとファミコンやりなされ」って言ってたからファミコンしよーぜ。ソフト漁ったらマリオ2あったし。」

晶「マジで!?やろやろ!」

 

マリオ2というのは「スーパーマリオブラザーズ2」の略で、1986年に発売された2Dマリオの2作目である。このゲームの最大の特徴は何といっても難易度で、その難しさは歴代マリオシリーズの中でもトップクラスに高いのだ。本作は2人プレイができないので、ウチと杏子で交代しながら遊ぶことにした。

 

杏子「おぉぉちょっと待て、なんか変なキノコおってくるんだけどあぁぁぁぁ死んだぁぁぁぁ!」

晶「そうじゃんこれ毒キノコあるじゃん...」

杏子「ジャンプも合わせてくるのタチ悪すぎだろ!」

晶「じゃけん交代しましょねー。っておいお前ルイージ選んだの!?」

杏子「へっへっへ。こうでもしねーと面白くないだろ?」

晶「おんまえぇぇぇぇ......やってやろうじゃねぇの!」

杏子「あっおいよそ見してると。」

晶「え?あ......パタパタに踏まれた。」

杏子「いわんこっちゃない。」

 

意外かもしれないが、杏子とは前世はこんな感じで一緒にゲームをやる関係だった。そして、杏子との時間はあっという間に過ぎていく。

 

杏子「まさか再び晶とゲーム出来る日が来るとはなー。」

晶「んね。そだ、杏子ってフォトナやってる?」

杏子「おう、やってるぞ。その感じ晶も?」

晶「そだよ。山梨帰ったらID教えるから一緒にやろうや。」

杏子「いいぜ!」

 

ーーーーーー

 

なでしこ「えっほ、えっほ...負けないよ、杏子ちゃん!」

杏子「お前ママチャリのくせにめっちゃスピード出してんじゃねぇか!何がゆっくり行くだ!」

 

現在なでしこと杏子は展望台までどっちが早く着くか対決をしている。自転車が1台しかなかったので、なでしこは自転車、ウチとリンはバイク、残る3人はダッシュで移動する羽目となっている。

 

なでしこ「杏子ちゃんって本当にすごいね!全然息切れてないじゃん。」

杏子「こっちは前世で魔法少女やってたんでね!そっちこそ余裕みたいじゃねぇか。」

なでしこ「ふふん、私を舐めるでないぞ!」

リン『普通に考えてダッシュでチャリとかバイクに追いつけるのヤバすぎだろ。』

ほむら「制限30km/hの原付には余裕で追いつくわよ。」

リン『バケモンじゃねぇか。』

 

念のためリンとウチはインカムを繋げて通信している。

 

杏子「そういやこのあたり真っ暗なのに平気なんだな。」

なでしこ「うん、ここはうちの庭みたいなものだから!」

 

そして、なでしこのスタミナはスゴイを通り越して怖い。ここまできつ~い上り坂だったのだが、電動アシスト付きではない普通のママチャリで難なくとすいすい登っていく様は正直言って異常である。

 

なでしこ「あ、もうすぐ着くよ~。」

 

前に砂利で出来た駐車場が見えてくればそこは目的地の展望台。そこにはすでにエイプが止まっているので、綾乃は先に来ているのだろう。

 

綾乃「お~い!」

 

東屋のベンチから立ち上がり、綾乃がこっちに手を振ってくる。

 

なでしこ「あ、アヤちゃん!」ビューン

杏子「あ、くそっ!!」ダダッ

リン『まだ加速するのかよ。』

晶「あいつら元気やなぁ。」

ほむら「どこからあのパワーが出てくるのかしら...」

伶「ワシらも昔はああじゃった。」

リン『田舎のおばあちゃん、ここにもいたのか。』

 

ウチとリン、なでしこは駐車場でバイクまたは自転車を停め、ヘルメットとゴーグルを外す。

 

杏子「いやー危なかったわ。」

なでしこ「むぅ~、もう少しで杏子ちゃんに勝てそうだったのに!」

 

どうやらさっきの競争は杏子が勝ったらしい。あの土壇場で逆転したのかよ。すげぇな。

 

杏子「今回の勝負はアタシの勝ちだ。というわけでアンタへの罰ゲームはこれじゃ~!」ムニュ~~~

なでしこ「みょぉぉぉぉぉ!きょーこひゃんやめれ~!!」

杏子「へへへ、やなこった。」

 

そして当たり前のようになでしこのほっぺを引っ張る。

 

晶「相変わらずスゴイ伸びるなぁ。」

綾乃「...えい!」ピト

晶「ヌゥン!?」

綾乃「あっはははは!変な声ー!」

 

首の後ろ側にあっつあつの缶ココアを当てられ、思わず変な声が出てしまった。それを綾乃は指摘しながら笑う。

 

晶「綾乃か...」

綾乃「びっくりした?」

晶「めっちゃ油断しとった。もしお前が敵だったら半殺しにしてた。」

綾乃「怖いこと言わないでよ。」

晶「冗談ですねえ。」

 

ウチがそういうとホッと胸をなでおろし、こんどは姉御たちの方に顔を向ける。

 

綾乃「もしかして...伶とほむら、杏子ちゃんの3人は走ってきたの?」

ほむら「まぁ......自転車はなでしこが使ってるやつしかなかったし。」

綾乃「えぇ......よく走ってこれたね。」

伶「なんと、今なら帰りというおまけつき。」

綾乃「ワ...ワァ...」

リン・杏子「おいちいかわになってんぞ。」

なでしこ「あはは...そろそろ登ろっか。」

伶「おっそうだな。」

 

展望台まではほんの少しだけ坂を上がった先にある。

 

ほむら「きゃっ!」ズデッ

 

...おい、大丈夫か。

 

伶「何もないとこで転ぶとか老人にも程あるだろ。」

ほむら「今私の事ババアって言ったわね!」

伶「悲しいけど我々の精神年齢は超ババアなんだよ。」

ほむら「やめて、すげー悲しくなったわ。」

杏子「流れ弾くらったんだが。」

 

展望台の螺旋階段を登れば、目の前には浜名湖の全景が、遠くには弁天島や浜松市中心部の街明かりがめいいっぱいに広がる。意外にも遠くを流れていく豆粒のような自動車のランプや、弁天島を走る列車のハロゲン灯を肉眼で確認できたことに驚いた。

 

なでしこ「ここから見える浜名湖が大好きで、よく自転車で来てたんだぁ......ね?アヤちゃん。」

綾乃「私は疲れるからあんま来なかったけどね。」

晶「なでしこが転校する直前にはバイク持ってたのに?」

綾乃「アーアーナニモキコエナーイ」(∩゚д゚)

なでしこ「あはは、まぁ良く来始めたのは痩せてからなんだけどねぃ.........懐かしいなぁ。」

 

ここは標高が高いからか、時折麓より冷たい風が流れてくる。いつもなら寒い!と思うところだが、今に限ってはその風が心地よく感じられる。

 

伶「ここって三脚たてられるのかな。」

綾乃「どーなんだろ?ここの展望台もかなり古いものだった気がするし。」

伶「試しにやってみるか。こーしてあーして...よし、置いてみよう。」

 

 

ミシッ___

 

 

杏子「...なんか嫌な音したな。」

晶「さ、三脚ごときで?」

伶「......念のため三脚たてるのはやめとこう。幸いにもこの柵はカメラ置けそうだし、2つの意味で落とさないように気を付けながら......」

晶「お、それええな。ウチもマネしよー。」

 

 

カシャッ___カシャッ___カシャッ___

 

 

深夜の展望台に2台のカメラによるシャッター音がこだまする。

 

綾乃「いいの撮れた?」

伶「良すぎて躁でハイな気分。」

晶「コメントのクセが強いぃ!(ノブvoice)」

 

深夜テンションで頭のねじがいつもより外れた姉御をよそに___

 

なでしこ「そうだ。リンちゃん、今回のキャンプどうだった?」

 

なでしこはリンにキャンプの感想を聞く。

 

リン「色々あったけど良かったよ。それと、クリキャンのあとソロでキャンプして改めて思ったんだ......同じ【キャンプ】でも1人だと全く別のアウトドアだって。見たものとか、食べたものとか、1人でゆっくり物思いに耽ったり......なんていうか、ソロキャンは寂しさも楽しむものなんだって。」

なでしこ「寂しさ、か......」

杏子「寂しさを楽しむ......ね。(昔のアタシが聞いたら到底受け入れられない考えだな。)」

綾乃・ほむら「......」

リン「アヤちゃん、ココア飲む?」

綾乃「じゃあ貰おうかな。」

なでしこ「カップラーメンもあるよあるよ~。」

ほむら「いつのまに!?」

杏子「し、深夜にカレー麺か...(苦笑)」

伶「寝る前に食ったら太りそー。」

 

さすがに展望台の上でお湯を沸かすのは危険なので、駐車場に併設されている簡易休憩所へ移動した。

すかさずリンがコッヘルとポータブルストーブを取り出し、手際よくお湯を沸かした。

 

なでしこ「あふっ、あふっ。」

ほむら・杏子「......」|๑╹﹃╹)

晶「2人ともよだれ出とるよ。」

ほむら・杏子「はっ!?」

 

ある者は黙々とココアを啜り、ある者は黙々とラーメンをSUSURU......熱々のココアを飲んでいるはずなのに、体が冷えたのは気のせいだろうか。

 

綾乃「......私、なでしこが山梨でキャンプ始めたって聞いた時、ホントはさ「こんな寒い時期にキャンプって何やってんだよ?」って思ってたんだ。でも、みんなに誘われていざやってみたら、その楽しさが分かった気がする。」

 

ポツポツとつぶやくように出たその言葉に共感したのだろう。その場にいた全員がコクリとうなずいた。

 

☆☆☆ーーー☆☆☆

 

 

 

 

晶「......?」

 

目のあたりをかすかな光が差し込むようなものを感じ、ぼんやりとした意識が徐々に覚醒していく。

 

「......いつのまに......」

 

あのあと姉御たちと別れ、バイクで土岐家に戻ったウチら2人。日付が変わる頃に到着したこともありヘロヘロな状態だったのか、気が付かないうちに寝てしまったようだ。

左腕につけたスマートウォッチを起動させ、ディスプレイに表示される現在時刻を確認する。

 

晶(6時半か。)

 

今日は肇さんがウチと姉御、ほむらのバイクを回収しに来てくれる。肇さんは別の場所で1台のバイクを回収してから来るとのこと。ウチらは在来線と新幹線を乗り継げば2時間半で身延に行けるので、少し遅い時間でも問題ないということで、朝や昼ではなく15時に集合となった。

なので二度寝しても全然平気だが、完全に目が覚めちゃったので起きることにする。綾乃とは同じベッドを使っているので、彼女を起こさないように動こうとするが___

 

晶(右腕が動かねぇ!)

 

どういうことだってばよ?と疑問ながらに左手でかけ布団をめくれば、綾乃の両手がウチの右腕をがっちりホールドしている状態になっていた。完全に抱き枕を抱くような感じでつかまれてるので、右腕をスルッと抜くことはできない。腕をつかんでいる本人は爆睡なので、向こうから起きるのはあまり期待できなさそう。

 

綾乃「すぅ......すぅ......」

晶(ここんとこバイクに乗って移動する時間が多かったし、昨日はバイト終わってすぐに帰れなかったから結構疲れてんのかも。)

 

綾乃の寝顔を見てそう感じ、左手で綾乃の頭をポンポンと優しく叩く。

 

晶(......ウチの親もこういう気持ちで寝顔を見てたのかな。)

綾乃「.........ぉ?」

 

あ、起きた。

 

晶「おはよ。」

綾乃「ん...おはよ...」

晶「お疲れのとこ悪いけど両手離してほしいな。」

綾乃「......あっ。」

 

おそらく気が付いたのだろう、彼女は慌てて両手をウチの右腕から離した。

 

綾乃「ご、ごめん。痛かった?」

晶「大丈夫よ。ウチも体起こそうとするまで気づかんかったし。」

綾乃「そうなんだ......今何時?」

晶「6時半。」

綾乃「まだそんな時間なんだ。」

晶「うん。」

 

「まだそんな時間」というのは本当にそうなんよね。ノートパソコン持ってきてないから作業はできないし、寝ようと思っても寝れないし......散歩でもしようかな。

 

綾乃「どしたの。」

晶「顔洗って散歩行こかなって。やることないし。」

綾乃「散歩......ん、そうだ!」

晶「?」

綾乃「晶、一緒に温泉行こうよ。」

 

ーーーーーー

 

晶・綾乃「はぁ~~~~......」

 

綾乃の提案で、ウチらは弁天島にあるリゾートホテルの大浴場にやってきた。どうやら朝の6時から9時まで日帰り温泉サービスをやっているそう。三が日の朝ということもあってか大浴場はウチら2人以外誰も居ない、つまり貸切である。

 

晶「朝から温泉とは贅沢やなぁ。しかも大浴場貸切というおまけつき!」

綾乃「でしょ~。私、たまにだけど朝ここのお風呂に入ってるんだ。」

晶「ええなぁ~。羨ましいわ。」

 

目の前には朝日に照らされた浜名湖が広がっている。窓枠が少ないので開放感バツグンのビュースポットだ。

 

晶「前来たときは夜だったからよく見えんかったけど、昼間はこんな感じなんやね。」

綾乃「前来たときかぁ。私のバイクをまじまじと見ていた子が、なでしこから送られてくる写真でよく見てた人だって気づいたときはびっくりしたな~。」

晶「ウチこそ、後ろから「バイク気になる?」って話しかけてきた子が、実はなでしこの幼馴染でしたっていう衝撃よ。しかも一緒にバイクで東京まで走っちゃったし。」

綾乃「あはは、確かに!」

晶「なんならウチらが初めて会ったのって1か月くらい前なんやで?信じられる? 」

綾乃「え、そのくらいしか経ってないの!?全然そんな感じしないんだけど!」

晶「せやろ?」

綾乃「そっかー。出会ってから5年ぐらい経ってる気分だよ。」

晶「それ分かる。ここ数日濃かったもんな。」

 

お互いふふふっと笑い合う。

 

晶「それで、今回の旅はどうだった?」

綾乃「ものすごく楽しかったよ!大人数でキャンプすることなんて滅多にないし、自分のバイクで小さいころからあこがれてた東京に行くことができた。ほむらや杏子ちゃん、リンちゃんたちとも会えて嬉しかったなー。」

 

いつも以上にいきいきとした表情で綾乃は語る。よかった、結構楽しんでくれたみたい。

 

晶「そう言ってくれて何よりさ。ウチもバイクでここまでの長距離移動したんは初めてやったけど、綾乃たちが一緒に来てくれたおかげで超楽しい旅になったよ!」

綾乃「うん、本当に楽しかった。だからかな......私たちの旅がこのままずっと続けばいいのにって思っちゃうんだ。」

 

綾乃が感じる「名残惜しさ」、それは今まで数えきれないほど旅をしてきたウチにとってものすごくわかる感覚だ。だからこそウチはこう考えるんだ。

 

「じゃあ、また一緒に旅に行こう。今回はバイクだったから、次は列車でね!」

綾乃「...!うん!」




37話でした。ちなみにこのあと肇と晶たちはお互いの顔を見て「あ!あの時の!!」ってなったそうです(笑)
それでは次回もよろしくお願いします。

番外編を書こうかな~って考えてます!どのお題がいいか選んでください!!

  • ほむらの断髪式
  • 少女の突発弾丸旅
  • 球技大会 in 3月
  • その他(感想欄に記載をお願いします)
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