転生少女たちとゆるキャンパー   作:MT75B

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このシリーズもとうとう40話になりました。本当にありがとうございます。
感想の方もドシドシ送ってください。泣いて喜びます。


#40 あめふり山と箱根峠

前回のあらすじ

 

全員新しいバイト先決まった。

 

↑No Side

☆☆☆ーーー☆☆☆

↓ほむら Side

 

1月も終わりが見えてきた土曜日のお昼過ぎ、私は神奈川県の大山阿夫利(おおやまあふり)神社にやってきた。

阿夫利は「あめふり」を意味しており、神社のある大山は通称「あめふり山」と呼ばれることもあるらしい。昔は雨乞いや五穀豊穣を願う神社だったようで、今では心願成就、商売繁盛、社運隆盛などのご利益があるんだとか。

 

ほむら(新しいバイト先でもうまくいきますように。)

 

二拝二拍手(2礼2拍手)の後にお祈りし、最後に一度お辞儀をして拝殿からおいとまする。そのまま流れるように【茶寮 石尊】へ移動した。

 

店員「いらっしゃいませ!今テラス席しか空いていないのですが、それでもよろしいでしょうか?」

ほむら「?大丈夫ですよ。」

 

店員さんの案内に私は少し首をかしげながら答える。景色がよく見えるテラス席「だけ」空いていることってあるの?

 

店員「ありがとうございます。ご注文はどうなさいますか?」

ほむら「ホットココアと升ティラミスの抹茶を1つずつお願いします。」

店員「かしこまりました。それではお席でお待ちください。」

 

注文を終え、奥にあるテラス席に向かう。店員さんの言ってた通り、10席あるうち埋まっている場所は1つも無かった。私は一番左端の席に腰をかける。

 

ほむら「!!」

 

手前に関東平野、奥には江ノ島や相模湾が視界いっぱいに広がる。今日は天気がいいので三浦半島も見ることができた。この絶景を1人占めできることにテンションが爆上がりするが

 

ほむら「......さっむ!!」

 

このあたりは標高が700mくらいある。麓よりも空気が何倍も冷えているのに加え、3方向に遮蔽物が皆無な構造となっているので特段寒いのだ。テラス席だけスッカスカになるのもこれが原因なんでしょうね......

 

ほむら(そうだ、写真撮らないと。)

 

紺色のダウンジャケットのポケットからスマホを取り出し、カメラアプリを開いてシャッターをきる。

 

ほむら(いったん椅子から降りてっと......くぅぅぅぅぅ!)

 

ぷるぷると震える腕と指先を襲う冷えた空気に耐えながら自撮りする。それらをいつものメンバーが入ってるグループチャットに送信した。

 

ほむら{(写真2枚)

ほむら{絶景1人占め

リン{顔どうした

 

ほむら「返信早っ。」

 

(|H|)となった私の写真にリンが即レスで突っ込む。あなたバイト中じゃないの?

 

ほむら{腕ふるえて画角合わないわ指先めちゃめちゃ冷えるわでこうなった

 

と返信していると、ホットココアとティラミスが運ばれてきた。

 

店員「お待たせしました。ホットココアと升ティラミスの抹茶です。ごゆっくりどうぞ......」

ほむら「ありがとうございます。」

 

寒さに耐えられなかったのか、店員さんはピューっと屋内に逃げ込んでいった。なんか申し訳ないと思いつつ、私はホットココアを一口すする。体の芯から徐々に温まっていくこの感覚、回を重ねるごとに「いいなぁ」という思いが強くなっているのは私だけなのだろうか。

 

ほむら(よし、お次はこのティラミスね。)

 

【升】は一合升を指しており、隙間が無いほどビッチリ敷き詰められたティラミスの上に抹茶パウダーがかかった名物スイーツこそ、この【升ティラミス】なのだ。

抹茶パウダーがこぼれないよう、スプーンで慎重に口へと運べば、濃厚なクリームチーズの味と抹茶のさわやかな苦みが絶妙にマッチしながら広がっていき____

 

ほむら(やばい......美味しすぎる......!)

 

ティラミスを食べ終え写真を共有しよう。そう思ってスマホを取り出すと、なにやらグループチャットが盛り上がっていた。

 

晶{なるほど

晶{誰も居ないテラスで伸ばしている腕の震えと(かじか)む指先に格闘しながら自撮りをするクール系女子

晶{ってことか

伶{シュール過ぎるwww

杏子{おい!変な声出ちまったじゃねーか!!(笑)

リン{たった今バイト上がりで助かった

伶{草

 

...............なによこれ(困惑)

 

ほむら{(ココアとティラミスの写真)

ほむら{ティラミス食べてたら変な称号つけられてるの何

伶{本  人  巡  回

晶{変な称号?栄誉ある称号の間違いとちゃいます?

伶{たまげたなぁ

ほむら{(宇宙猫の画像.png)

杏子{めっちゃ困惑してんじゃん

あおい{なんか盛り上がっとるなぁ

千明{おぉっ!ティラミスうまそーじゃんか!

リン{これティラミスなのか...

恵那{あれ?

恵那{@homuhomu ほむらちゃん、今日バイトだったよね?

 

あ、そういえば言ってなかったわね。

 

リン{え、おいマジか

晶{ファッ!?バイトキャンセル界隈えぐすぎぃ!

杏子{ほむら......お前は無断欠席するようなやつじゃなかっただろ......

あおい{なんや、予定空いてるならウチらのキャンプ一緒に行けたやんか

伶{あ、そうじゃん

千明{お前、まさかあたしらとキャンプ行きたくないから嘘ついたのか...?

伶{テメェ様何してくれちゃってんだぁ

 

ほむら「えっ、ちょ!?」

 

まずい、話が悪い方向に進んでいるわ。

 

ほむら{違うわよ!!!!!

ほむら{バイト先の店長が水曜日のシフト入れなくなっちゃって

ほむら{今日私が担当する予定だったシフトと急遽交換したのよ

 

私は急いで大鰐店長とのDMをスクショし、「転載禁止!」というメッセージと共に送る。

 

千明{なんだ、そういうことか

千明{別に直前に言ってくれてもかまわんぞ?

あおい{せやで

あおい{管理人さんに人数増えましたーって言えば大丈夫だと思うで

 

それが出来たらよかったのよ...

 

ほむら{DM来たのが昨日の夜10時過ぎなのよ

恵那{昨日の夜10時!?

杏子{おっそ!

伶{なんつ~時間に...

ほむら{そう

ほむら{だから準備しようにもどこ行くか分からない以上できないし

ほむら{そもそもキャンプは出発が早いから寝る時間が短くなっちゃうでしょう?

千明{あぁ~そうだよな...

千明{こればっかりはしょうがない!そっちも楽しんでってな~

ほむら{えぇ

ほむら{あなたたちも気を付けてね

 

さて、私もそろそろ下山しないと。残っているココアを飲みほし、お金を払って茶寮を後にする。

 

ほむら「そういえば、千明たちは今日どこに行っているのかしら...?」

 

少しだけ気になりつつ、私は次の目的地へ向かうためにケーブルカーに乗車した。

 

☆☆☆ーーー☆☆☆

 

ほむら「は~さっぱりした。」

 

大山阿夫利神社を後にした私は、ケーブルカー、路線バス、小田急線と乗り継ぎ、鶴巻温泉に移動。駅近くにある温泉施設でまったりと入浴し終えたところだ。箱根が近いからか、お客さんは私を含めて2~3人ほど。人ごみのストレスなく温泉を堪能できた。温泉まんじゅうも買えたし、帰ったら母さんと一緒に食べよ♪

鶴巻温泉駅の改札機に「丹沢・大山フリーパス」を通し、軽い足取りで小田原方面のホームへ向かう。このきっぷを持ってると入浴料金が割引される特典には驚いた。

そもそもケーブルカーの片道が640円、伊勢原駅までのバスも410円とかなりかさむ。今回は小田原駅起点で買ったので2040円だったが、伊勢原駅~阿夫利神社までの往復で既に元をとれているのだ。

 

ほむら(そう考えるとこのきっぷって相当スゴイ代物なのでは...)

 

16時頃に鶴巻温泉を出発した電車は秦野の市街地を抜けると、山肌の間に挟まれた区間に突入する。

 

伶「そういえば、小田急で唯一山の間かつ川に沿って走る区間があるんだよね。」

 

前に伶がこんなことを言ってた気がするけど、今走っている場所がそうなのかしら。小田急といえば新宿や下北沢といった都会を走るイメージが強いので、ちょっと不思議な感覚ね。

 

『新松田、新松田です。御殿場線のご利用の方はお乗り換えください。』

 

16時16分、別の路線に乗り換えるために新松田駅で下車する。行きは熱海回りで来たのだが、帰りは別ルート___御殿場経由で移動することにした。これも伶が「御殿場線、特に山北と御殿場の間が楽しいからいっぺん乗れ。」としつこいぐらい推していたのが理由である。あの子は電車の事になると本当にアレコレ言ってくるのよね......

 

ほむら「意外と乗り換え客が多い?」

 

改札を出て横断歩道を渡った先には「JR東海 松田駅」と書かれた看板が見える。私の周りには地元の学生だろうか、ジャージ姿で同い年くらいの子たちが集団でキャッキャと話しながら歩いていた。いや、同い年なのは肉体だけか(泣)

16時23分、松田駅を発車した御殿場線の電車は丹沢山地の南側にぐんぐんと近づいていく。山北駅を過ぎてからは完全に山岳路線の風景に変貌するが、ローカル線とは思えないほど速いスピードで駆け抜けていく。

静岡県に入って最初の駅、駿河小山駅に着いた時、スマホを確認すると千明たちから写真が送られていることに気が付いた。

 

千明{まったりキャンプin山中湖

ほむら「へぇ~、山中湖に行ったのね......私もこの後通るとこじゃない。」

 

御殿場駅に着いた後、河口湖駅を通って甲府までバス2本乗り継ぐ予定である。その1本目は途中山中湖を通るルートなので、会おうと思えば会えなくはない。まぁ、今日中に身延に帰れなくなる可能性があるのだけど。

 

ほむら(......あら?この写真、送信時刻が14:45って書いてあるわね。)

 

彼女らは野クルの中でもにぎやかな存在で、グループ内でも頻繁にメッセージのやり取りは見られる。なのに、この写真以降彼女らから連絡が来ていない。キャンプに夢中になっているのかしら......

 

ほむら(いや、むしろ逆だわ。あの子たちはキャンプ先の写真をけっこう送ってくる。夢中で忘れるなんてないはずよ。)

 

それにしても、さっき行った大山はお昼過ぎに着いたけど結構寒かったわね。あそこは標高700mくらいだったけど____まって、山中湖の標高ってたしか富士山に近いって前聞いたことがある。っていうことは....................

私は嫌な予感を抱え山中湖の1時間天気を調べる。その嫌な予感は見事に的中してしまった。

 

ほむら(まさか、あの装備で乗り越えられると思っているの!?)

 

私はすぐにチャットアプリを開き、メンバーの中でキャンプ歴が一番長い友人にDMを送る。

 

ほむら{リン、千明たちから連絡来た?

リン{いや、来てないな

リン{もしかしてほむらも同じこと考えてた?

ほむら{えぇ

ほむら{鳥羽先生には連絡した?

リン{今からするよ

 

やはり、リンも千明たちの事を心配していたのね。

 

ほむら「『じゃあお願いしてもらおうかしら』っと......」

 

リンに先生へ連絡してもらう旨を送信しようとするが______

 

ほむら(本当に先生に様子を見てもらうだけでいいのかしら。)

 

私は何かモノを届けた方がいいのではと考える。

 

ほむら(......はっ!!あれなら役に立つかもしれないわ!!)

 

ほむら{そしたらほんの少しだけ待ってくれる?

リン{え?

リン{こういうのってなるはやで伝えなきゃいけないだろ

リン{何考えてるんだ!?

 

リンがあせるのもわかる。でも、何も急いでしまうともっと良い対処ができなくなってしまう。

 

ほむら{とにかく、リンは鳥羽先生にすぐ電話なりなんなり出来るように伝達事項をまとめてちょうだい

ほむら{私の作戦が実行できるようにお願いをしなきゃいけないの

ほむら{今は私の事を信じて

 

それから10秒くらい経ち___

 

リン{わかった

リン{ほむらを信じる

ほむら{ありがとう

 

すぐさま別のDMを開き、その人に対して今友人がどんな状況なのかと、先生が来たら【???(あるもの)】を渡してほしいことを伝えた。

 

???{わかった

???{そしたら先生の容姿を教えてくれる?

ほむら{(鳥羽先生の写真)

ほむら{この人よ

???{おっけー

ほむら{本当にありがとう

???{どういたしまして

 

よし、これで準備は整った。私は再びリンとのDMを開く。

 

ほむら{(とある住所のリンク)

ほむら{おまたせ

ほむら{鳥羽先生にリンク先の場所に向かってもらって

ほむら{そこで【???(あるもの)】を回収してもらうよう伝えてくれるかしら

リン{わかった

リン{たしかにその方がいいね

リン{先生に伝えておく

ほむら{よろしく頼むわ

 

とりあえずこれで大丈夫だと思うけど......どうしても心の片隅に不安が残る。あの子たちが本当に無事でいるのか、確証が持てないのだ。

モヤモヤが残る中、電車は河口湖駅行きのバスが出ている御殿場駅にゆっくりと入線する。時計の針は17時を指していた。




40話でした。最初はほむら以外の誰かにしようと思ったのですが、「そういえばほむらが1人旅してる様子書いてないじゃん!」と気づきこんな感じとなりました(笑)
次回はほむらの作戦がわかる内容となっております。はたして千明とあおい、恵那の3人は無事なのでしょうか?お楽しみに。

番外編を書こうかな~って考えてます!どのお題がいいか選んでください!!

  • ほむらの断髪式
  • 少女の突発弾丸旅
  • 球技大会 in 3月
  • その他(感想欄に記載をお願いします)
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