前回のあらすじ
各務原家にバイクが納車される。
↑No Side
☆☆☆ーーー☆☆☆
↓なでしこ Side
『西富士宮、西富士宮です。当駅で少々停車します。』
なでしこ(富士宮とうちゃ~く!甲府より全然近いや。)
今日は私、各務原なでしこ初のソロキャンプ!家族に相談したときはどうなるかと思ったけど、お姉ちゃんが「行っていい」って言ってくれてよかったぁ。
なでしこ{富士宮着いたよー(*´◓`*)ノ
私は家族のグループチャットに報告し、駅周辺をブラブラと散歩する。
なでしこ「富士山と青い空と真っ赤な鳥居のコントラストが最高だねぃ。」
写真を撮るためにスマホを取り出すと、杏子お姉ちゃんからメッセージが来ていた。
杏子{バイト終わった
杏子{今からバイク乗る
なでしこ{気を付けてね~
なでしこ「そういえば、リンちゃんも今奥山梨の方に出かけてるんだっけ。」
今日の天気は絶好のキャンプ日和だ。晴れてよかった~と思いつつ、訪れた神社でお祈りをする。
なでしこ(初めてのソロキャンが楽しく過ごせますように...)
あっ、そうだ!
なでしこ(杏子お姉ちゃんの初ツーリングが無事に終われますように!)
ちょっと欲張りだったかな?と思いつつ、私は神社の本殿を後にする。
なでしこ(よし、お参りをしたことだし富士宮やきそば食べに行こーっと!やっきそば♪やっきそば♫)
うきうきで神社の境内から出てすぐに、ソースの香ばしい匂いが鼻の中に入ってくる。そのいい香りにつられ歩くけば1つのお店にたどり着いた。
なでしこ(え!?神社の前にも焼きそば屋さんあったんだ......)
お店の前には机と椅子がいくつか置いてあり、何人かがそこで出来立ての焼きそばを美味しそうに食べている。はぅうぅソースの香りがぁ......ってダメダメ、落ち着け私!今日はお姉ちゃんがオススメしてくれたお店に行って食べるんだからっ!
自分にそう言い聞かせて再び歩き出す。その足取りはスムーズというわけではなく、気になるがゆえに振り返ってしまう自分がいた。
ーーーーーー
なでしこ「あった、あそこだ!」
歩き始めて40分くらい経ったころ、私はお姉ちゃんがオススメしてくれたお店に到着した。お姉ちゃん曰く、富士宮には焼きそばのほかに【しぐれ焼き】という名物があって、それが食べられるのがこのお店なんだって。
なでしこ(って、すっごい混んでる!?)
そういえばここのお店、かなり人気だって言ってたかもしれない......や、やきそばぁ~(´;ω;`)
追い打ちをかけるようにぐぅぅぅぅぅ......と空腹のサインが何度も襲い掛かりつつ、店内に入れたのは並んでから30分くらいの事だった。
大将「ご注文は。」
客A「五目しぐれを1つ。」
客B「私も五目しぐれで。」
客C「じゃあ僕も五目しぐれ1つ!」
なでしこ「!?」
店主らしきおじさんが注文を聞けば、周りのお客さんが次々と五目しぐれと答えていく。
大将「......嬢ちゃんは?」
なでしこ「え!?えぇぇぇっとぉ...」
どうしよ~~~~~!この感じ決まってないのは私だけだ!早く決めなきゃいけないのに、しぐれ焼きだけでもメニューが8種類あるからすぐにできない......えぇい、こうなったら!
なでしこ「わっ私も五目しぐれで!!」
大将「あいよ。」
ーーーーーー
(大将クッキング___)
なでしこ「......」ジー
大将「......」
なでしこ「............」ジーーーー
大将「......」
なでしこ「........................」ジィーーーーーーーー
大将「......も、もうじき出来るでね。(この嬢ちゃん、すんごい顔しとんな...)」
ーーーーーー
大将「おまちどうさん。」
なでしこ「おいしそ~!いただきまーっす!」
私の目の前におじさんが腕を振るって作った【五目しぐれ】が置かれる。五目しぐれはこのお店の看板商品で、その母体となったしぐれ焼きはお好み焼きと富士宮焼きそばをあわせたご当地グルメなのだそうだ。
出来立てあつあつの五目しぐれを口に運べば、鰯の削り節とウスターソースでさっぱりした味が肉かすとモチモチした太麺に絡み合って____
なでしこ(う~~~~~~~まぁ~~~~~~~~~~!!!!!頑張って待った甲斐があったぁ。)
あっという間に五目しぐれを平らげ、残ったお冷を一気に飲み干す。あれ?そういえば私、1人で外食するの初めてかも............むふふ、オヒトリサマって大人な感じがするなぁ。
なでしこ「おでんもくださいっ!!」
テンションが上がった私はおでんを追加注文する。そんな私を見たおじさんは口元を緩ませ、「あいよ。」と優しい声で返事をした。
↑なでしこ Side
☆☆☆ーーー☆☆☆
↓リン Side
リン(奈良田トンネル...だいぶ進んだな。)
私は今、身延の西側にある早川町という場所に来ている。ここまで通ってきた道はカーブがかなり多くて大変だったけど、今日は奥山梨の方でキャンプをするのでバイクにはまだまだ乗らなければならない。さっき赤沢宿という場所で休憩して正解だった。
リン(こたつに入って食べる豆餅はうまかった...)
トンネルを抜けると目の前に湖が広がる。この湖は奈良田湖って名前らしい。
リン(山梨なのに奈良田......)
さっきより寒く感じたのは気のせいだろうか。私は写真を撮るために近くの駐車場でバイクを停める。スマホを見ればなでしこからメッセージが来ていた。
なでしこ{(写真)
なでしこ{富士宮焼きそばのお店、すっごく混んでるよぉ(´v `:)
なでしこ{リンちゃんは早川で何食べるの?
リン「お昼......もうそんな時間か。」
この先にあるお店で食べようと思っていたのだが、さっき食べた豆餅が意外と腹持ち良いせいであまりお腹が減っていない。恐るべし、豆餅。
湖の写真を撮って再びバイクに乗り、数分で近くにある奈良田湖温泉に到着する。
リン(お寺の駐車場に停めればいいのか___ん?)
ガラガラの駐車場で停めるスペースを選んでいるとき、見覚えのある1台の大きい車が視界に入った。
リン(これ、桜さんの車に似てるな。まさか近くにいたりして。)
ヘルメットを脱ぎ、最低限の荷物だけを持って歩き始める。今から古民家カフェへ向かうのだが、そこにつながる坂道に入ると、少し先を歩く桜さんの姿が見えた。もしかして、桜さんも古民家カフェに行くのだろうか。
リン(う~ん、今行くと鉢合わせになる...)
桜さんとは何度か会っているとはいえ、1対1であまり話したことがない。ゆえに、どんな感じで会話すればいいかわからず、頼みの綱であるなでしこも不在だから気まずいんだよな。
ヴー!ヴーッ!!
リン「!?」ビクゥ
急にスマホがポッケで振動してビックリする私。恐る恐る確認するが、なでしこから「お昼ごはんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」とメッセージが来ただけだった。
リン(なでしこか......脅かすなよ。)
桜「あら、リンちゃん?」
リン「へあっ!?」
ーーーーーー
桜「私はココアシフォンとコーヒーで。」
リン「じゃあ私は...えごまチーズケーキで。」
店員「かしこまりました。」
注文を終えてあたたかいお茶をすする。お互い一言も話さず、囲炉裏の炎がはぜる音だけの静寂な時間が流れる。
リン(な、なでしこがいないとやっぱ気まずい......)
なにかうまい話題はないのだろうか。こういうときなでしこがいてくれたらとつくづく思う。
△△△ーーー△△△
なでしこ「初めて【原付の旅】シリーズ見たけどおもしろかったなぁ。あのシリーズ、お姉ちゃんが大好きで家にDVDあるんだよねぃ。」
△△△ーーー△△△
リン(はっ、これや!)
私はクリキャンでなでしこが言っていたことを思い出した。よし、この話題でいってみるか。
リン「あの、なでしこから聞いたんですけど、桜さんも【原付の旅】好きなんですか?」
桜「も?リンちゃん『も』好きなの?」
リン「こ、この間キャンプで見t」
桜「西日本?東日本?海外編?」
リン(思いっきり食いついてきた!?)
ーーーーーー
【原付の旅】シリーズの話題で盛り上がり中___
ーーーーーー
リン「へぇ、桜さんは1人でドライブよく行かれるんですか。」
桜「たまにね。旅番組で特集されたところとかを月一くらいでかしら。」
そういえばこのあたり、テレビで紹介されたって斉藤が言ってた気がする。それと、車の運転好きなんだろうとは思ってたけど、桜さんもソロ旅好きだったんだ。
桜「今日もどこかでキャンプ?」
リン「一応そのつもりですけど、まだ泊るところ決めてないのでわからないです。」
桜「ふーん......リンちゃんって結構旅慣れてるわね。」
リン「い、いやそんなことはないですよ。」
桜さんから「結構旅慣れてる」と言われるが、私はそう思ってない。むしろもったいない言葉だ。
桜「......なでしこも今日行ってるのよ、1人でキャンプに。」
リン「!」
桜「朝早くから大きな荷物を持って出かけていったわ。」
リン「......」
やっぱり桜さんはなでしこのことを心配しているんだ......あのときソロキャンを止めた方がよかったのだろうか。
ガラガラガラ!
再び沈黙になりかけたそのとき、カフェの引き戸が動く音が聞こえた。
店員「いらっしゃいませ!お好きな席へどうぞ~。」
桜「...ごめんなさいね。せっかくの旅なのにしんみりさせちゃって。」
リン「い、いえ。気にしないでください。」
桜「リンちゃんはこのあとどうするの?」
リン「とりあえず原付でこの先まd」
???「お、やっぱりリンと桜さんだ。」
リン・桜「?」
後ろに振り向くと、そこにいるはずのない赤毛の女の子が桜さんの後ろに立っていた。
リン・桜「杏子(ちゃん)!?」
☆☆☆ーーー☆☆☆
杏子「なんかすみません。変なタイミングで来ちゃって...」
桜「大丈夫よ。ところでバイトには慣れた?」
杏子「はい、おかげさまで楽しくやれています。なでしこもイキイキして働いてますよ。」
桜「よかった、安心したわ。」
リン「......」
上司と部下か!!!
2人は義理とはいえ家族なのに、なんでこんな会社みたいな空気になってんだ。
リン「と、ところで杏子はどうしてここに?」
杏子「実の親父からバイクもらったんだよ。そんで長距離の練習がてらこっちに来た。」
リン「マジか。っていうか免許持ってたんだ。」
杏子「引っ越す前に興味本位で受けて普通に合格したぞ。」
リン・桜「きょ、興味本位で...?」
人生2週目以上の人間ってどいつもこいつもいろんな意味で規格外なのが常識なのか?いや、そんなわけない。たまたまであってほしい。
杏子「リンはキャンプで桜さんは趣味のドライブですか?」
桜「そうよ。」
リン「うん。これから
杏子「あめはた......へぇ~雨の畑で"あめはた"って読むのか!」
桜「となると、ここからかなり戻ることになるのね。」
リン「そうですね。」
杏子「にしてもリンはすげーよ。あのちっこいスクーターでどこにでも行ってるもんな~。変態か?」
リン「ヒドイいいようだよ。」
世の中もっと変な奴いっぱいいるぞ。
店員「おまたせしました。えごまチーズケーキです。」
杏子「ありがとうございます。」
杏子は「お~うまそ~!」と、えごまチーズケーキに目を輝かせる。
杏子「いただきまーす.........ん、うま!」
リン「それおいしいよね。」
杏子「えごまがいいアクセントになってるな。」
満面の笑みでチーズケーキを平らげていく様子はまるでなでしこのようだ。ほんと、うまそうに食うよな。
杏子「......今なでしこみてぇだなって思っただろ。」(・∀・)ニヤニヤ
リン「なんでわかんだよ。」
☆☆☆ーーー☆☆☆
杏子「これがアタシのバイクだ。」
リン「か、かっけぇ...!」
古民家カフェでスイーツを堪能し、3人で写真を撮った後、私は杏子のバイクを見せてもらっていた。
杏子「リンと同じヤマハだぞ。」
リン「そうなんだ。同じメーカーでも車種によってこんなに違うのか...」
桜「最初これがうちに納品されたときはびっくりしたわよ?」
杏子「あはは...親父がすんません。」
リン「それで、2人はこのあとどうされるんですか?」
桜「私はここの温泉に入って帰るつもりよ。」
杏子「アタシもそうしよっかなー。あ、そうだ。桜さん、先導お願いしてもいいですか?」
桜「わかったわ。」
杏子「ありがとうございます!」
2人はここで温泉入って帰るのか。そしたらここでお別れだな。
リン「じゃあ私はそろそろ雨畑の方に行かなきゃいけないので。」
杏子「おう、気を付けてなー。」
桜「リンちゃん、さっき撮った写真なでしこに送ってあげなさい。喜ぶと思うわ。」
リン「はい。では。」
よし、頑張って行きますか。
43話でした。次回もよろしくおねがいします。
番外編を書こうかな~って考えてます!どのお題がいいか選んでください!!
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