デート・ア・サバイブ外伝 龍騎&555&デート・ア・ライブ 天宮ライダーズ 作:亜独流斧
チェイスかハートに超重加速でも食らったのではというくらいに、本編以上に亀投稿ですが、それでも待って下さるという方は、読んで下さると嬉しいです。
ちなみに、この話や前話で美九が真司を「だーりん」と呼んでいる描写がありますが、この作品でのヒロインは原作のデアラと違って真司派と士道派で分かれております。
※その割り振りは、今後のサバイブ本編と同じです
『オルフェノク』。
誰が言い出したのか分からないその名は、ギリシャ神話に登場する詩人『オルフェウス』と、聖書に登場する聖人『エノク』に由来するとされる。
彼らは一度死亡した人間が覚醒し蘇ることで生まれ、一部のオルフェノクは自分たちを『人類の進化形態』と名乗っている。
「甦った」という言葉の通り、彼らは生前と同じ姿と記憶を持ち、普段は人間社会に溶け込んで暮らしている。が、一方で彼らは人間態の姿とは別に怪人としての姿も持ち合わせる。
何らかの動植物を彷彿とさせる形態に、全身灰色の体色。人間離れした身体能力と、それぞれに固有の武器や能力を持ち、更には人間をオルフェノクへと生まれ変わらせる能力も兼ね備えている。
「…と、ここまでが現時点で分かっているオルフェノクについての情報ね。にしてもまさか、オルフェノク本人達から話を聞けるなんて思いもしなかったわ」
五河琴里は、そう言いながら真剣な表情で手元の端末を操作した。今しがた得た情報をまとめ、令音たちの元に転送するためである。
「俺たちも知らないことだらけだったな…まさか鏡の中に怪物がいたり、空間震の発生にそんなカラクリがあったなんて……」
一方、琴里のすぐそばにいる木場勇治も難しい顔をしていた。彼が
何故この二人がこうして言葉を交わしているのか。その理由は数時間前、士道と真司が巧たちと鉢合わせした直後まで遡る。
普段は真司たちも巧も、襲われた人たちに状況をいちいち説明したりはしないのだが…美九と七罪は巧が変身して戦う一部始終を目撃し、その巧は啓太郎と共に鏡から飛び出してきた真司らを目撃するという、お互いに誤魔化しようのない状況になってしまったため、やむを得ず互いに情報を共有することとなった。
しかし少し話をしてみて、お互いに簡単に済むような話でないことを感じ取ったことと、士道は精霊の二人が襲われた以上は琴里たちにも報告すべきと考え、巧は巧で、オルフェノクについて説明するのなら勇治たちがいた方がいいと判断したことにより、双方共に必要な人物が全員揃ってから再集合することとなった。
そして偶然にも、その日の五河家の夕食には、これまで士道が封印してきた精霊たちが全員集まることとなっていたので、そこに巧、啓太郎、そして勇治たち三人組が招かれる形となって現在に至る。
「偶然とはいえ、あなたたちの話が聞けたのは本当に大きな収穫だったわ。こちらにはオルフェノクに関する情報が少なすぎるもの。……ただ、私たちを呼び出した当人たちが
言いながら琴里はちらりと後方を見て、大きくため息をついた。
そこでは、その当人たちが話よりも食事に夢中になっていた。
「お、これうめぇな。士道…だったか?お前料理上手いな。草加なんかよりよっぽど良いぜ」
「草加?誰ですかそれ?」
「ちょっとタッくん!せっかくいつも草加さんが料理してくれてるのに失礼じゃない!」
「オレたちのとこにいる…あれだ、嫌な奴だ。あいつの料理はなんつーか…美味すぎるんだよ。だからすぐに飽きちまう。けど士道の料理は、そういうのが無い」
巧の言っている事が理解出来ないのか、啓太郎は困ったような顔をする。
「分かんないよタッくん。それって美味しくないってことなの?」
「美味いって言っただろ。なんていうか多分、食べるやつのことを考えて作ってるかとか、その辺の差じゃないのか。要は作った奴の人間性の違いだ」
「うむ!シドーは優しくて、シドーの作るごはんは美味しいのだ!」
雅人のことを慕っている啓太郎は巧の言葉に若干不満そうだったが、それとは対照的に十香を始めとした精霊たちは、士道が良く言われたことで嬉しそうな表情を浮かべた。
「と、ところで、その草加さんってのは誰なんですか?」
手放しで褒められたことが照れ臭かったのか、士道は若干顔を赤らめながら巧たちに問いかける。すると、巧が答えようとするのを、別の方向からの大きな声が遮った。
「あいつはオレ様も気に食わねーな!ちゅーか草加のやつ、この前もオレ様が真理ちゃんに近付いただけでバケツの水ぶっかけやがって!」
「ちょ、ちょっと海堂さん、箸とお茶碗振り回さないで下さいよ!長田さんや夕弦ちゃんに当たりそうに…痛ッ!」
士道たちから少し離れた席で、直也が雅人に対する愚痴をぶちまける。嫌な事を思い出したせいか、興奮してしまった彼は手にしていた物を振り回し、それを止めようとした真司が被害を被った。
「キャー!だーりん大丈夫ですかー!?」
「おい海堂、バカかお前。何やってんだよ」
「んだと乾!オレ様のどこが馬鹿だってんだ!?お?」
「そこで逆切れするあたりだよ……おい、真司とか言ったな。大丈夫か?」
「う、うーん…なんとか……。そ、それで、草加さんってのは?」
真司は頭をさすりながら、先程の士道が投げかけたのと同じ質問を巧にする。
「ああ、忘れるところだった。草加ってのは…オレたちの仲間で、うちの居候だ」
「いや、君も居候じゃないか…」
ボソッと呟いた勇治のツッコミは、確実に巧にも聞こえていたはずだが、巧は何事も無かったかのように話を続ける。
「いけ好かない奴だけど…強くて頼りにはなる。……それに少なくとも、オレよりは…生きる事に意味を見出してる奴だよ」
「え?」
「いや…何でもない。忘れてくれ」
真司たちは、巧が「オレよりは」の後に、小さな声で呟いたその一言を聞きとる事が出来なかった。そのため、彼がほんの一瞬寂しそうな、物悲しそうな表情をしたその理由を尋ねる事も出来なかった。
DEMインダストリー社日本支部。この企業が抱える広大な敷地の中にはいくつもの建物が並び立っており、まるで小さな街に見えなくもない。少し前に
士道や巧たちが夕食を摂っている丁度その頃、日が沈んで薄暗くなったその敷地の一角では、普通の会社ではあり得るはずが無い光景が繰り広げられていた。
「里奈、真理!もっと下がって!」
そう叫んでいるのは、少し頼りなさげではあるが男性の声であり、実際彼は男で間違いは無い。…のだが、今は外見だけでそれを判断する事は不可能であった。なぜなら彼は現在、全身を超金属で作られた戦闘用スーツで覆われていたからである。
黒を基本カラーとしたそのスーツにいくつも通っているラインは白に、ギリシア文字のΔを模したような頭部に取り付けられた人口複眼『アルティメットファインダー』はオレンジ色にそれぞれ輝いている。
『デルタ』。ファイズともカイザとも違う、この第三の戦士に付けられた名前である。
彼の発した言葉からも分かるように、デルタは今、二人の少女を護るために戦っていた。
「草加くんの行方が分からなくなったのがこの辺り…最初はこんな大企業の敷地でいなくなるなんておかしいと思ったけど、これなら納得ね」
そう冷静に状況を分析している少女の名は阿部里奈。現在デルタに変身して戦っている青年・三原修二とよく行動を共にしている少女である。
「これってどう見ても…ヤバいよね。明らかにただの会社の警備じゃないよ」
そしてもう一人、里奈よりもやや年下で少し勝気な印象の少女の名は園田真理。普段は巧たちと共にクリーニング屋に居候しており、オルフェノクとの戦いにも関わっている。
デルタこと修二、里奈、そして真理の三人。彼らは共に『流星塾』という、身寄りのない子供たちが集められた施設の出身者で、今回彼らはしばらく前から行方が分からなくなった仲間・草加雅人の足取りを追いかけていた。
本音を言えば、巧や勇治たちにも同行してもらいたかったところだが、彼らと雅人はあまり仲が良くないことに加え、雅人や真理が抜けた状態で巧までクリーニング屋の仕事を放りだすわけにもいかない。更に、雅人もまた修二たちと同じ流星塾の仲間だったこともあって、今回は「流星塾メンバーの問題は自分たちで解決しよう」という事になったのだが…結果的にはそれが裏目に出てしまったらしい。
「ただちに投降し、デルタギアを渡せ。そうすれば命だけは保障しよう」
デルタが戦っている集団のトップらしき人物が、デルタたちにそう告げる。
そう、
彼らを取り囲んでいるのは、件の独特なボディースーツを身に付けた多くの女性たちと、灰色の異形・つまりオルフェノクたち。カイザが戦っていた夜とほぼ同じような構成であった。
しかし、デルタたちは知る由も無い事だったが、カイザのときは異なっている点があった。それは、敵側にあの夜はいなかった戦力が追加されていた事である。
「ねえ…あの敵のボスっぽい、喋ってる奴とかはなんなの?ファイズたちみたいな格好してる…」
その新たな戦力とは、ファイズ・カイザ・デルタと似た外見をした戦士たちだった。ファイズらのようなフォトンブラッドが通っていそうなラインは見当たらず、どこか量産型のような感じではある。しかしその代わりに、同じ姿をした戦士が五人も揃っていた。
「…多分、『ライオトルーパー』ってやつだ。以前、木場さんから聞いた事がある。オルフェノク側が、オレたちが使っているベルトの回収とは別に、新しいベルトの開発も進めているって」
人間との共存を望むオルフェノクであり、事実何度も人間のために戦っていることを知っているため、雅人以外の全員は勇治ら三人組を信頼している。しかし、彼らはオルフェノクであることもまた事実。『オリジナル』と呼ばれる、別のオルフェノクの力に頼らずにオルフェノクへと進化した彼らは、オルフェノクの中でも特に強力かつ貴重な存在のため、いまだに敵からの勧誘が続いていた。
目の前の敵『ライオトルーパー』の存在は、そのような理由で勇治らに敵が接触してきた際、偶然手に入れた情報だったらしい。
いわく『誰にでも使えるベルト』。いわく、『個よりも集団で戦う戦士』。その言葉通り、目の前の敵はフォトンブラッドは使用していないが、装甲の硬さに関してはファイズと遜色が無いように見える。誰にでも使えるベルトならば、目の前に同じ外見の敵が五人いる事も納得である。
「ただ…それはまだ完成してないって話だったけど…。もう完成したってことか」
デルタは携帯電話型ツール『デルタフォン』、そしてデジタルビデオ型ウェポン『デルタムーバー』を連結させ、ブラスターモードと呼ばれる銃形態へと変形させる。そして近づいて来るオルフェノクめがけて、フォトンブラッドの光弾を撃ち込んだ。
「カイザの…草加くんの行方が分からないのと、何か関係があるのかしら」
「分からない。だけどそれ以上にオレが分からないのは、あの露出度高い格好した人たちの方だよ。真理、里奈、二人とも何か知らないか!?」
実はデルタにとって、この場で最も厄介だったのはライオトルーパーたちでは無かった。オルフェノクとしての基本的な戦闘能力に、ソルメタルによる装甲を上乗せされた彼らは、確かに敵戦力の中では最も強い。
しかし『厄介』という意味では、デルタにとっては妙な装備を着込んだ女性たちの方が上だった。
彼女らは、露出度が高い上に明らかに薄そうな、まるで競技用の水着のようなスーツを着ているが、所々にはそれなりに攻撃力や耐久性がありそうな装甲や兵器を装備している。つまり、防御性能が部分によって違いすぎるのだ。
普通に考えれば、一般人が相手ならともかく、デルタの事を知っていながら本人の前にノコノコと出てこれるような格好では無い。しかし…
「三原君!右からまたミサイル!」
「!クソッ、分かった!うおお!」
里奈の警告した通り、ミサイルが自分たちに近づいて来るのを確認したデルタは、銃撃でこれを撃ち落とす。
彼女らが厄介な理由は、一部を除いて基本的に接近戦を行うオルフェノクたちと異なり、このように遠距離から現代兵器を撃ち込んでくるところであった。おまけに彼女らは、自由自在に空を飛び回れる。対するデルタは地上戦がメインである上、巧や雅人と比べて修二は戦闘経験がまだ浅いのも、彼がここまで彼女らにてこずらせられている理由となっていた。
「三原君!もっと強い攻撃しないと!」
「それはそうだけど!やりすぎると、今度は殺してしまう!それだけは…くっ!」
そして、デルタがてこずっている最大の理由。それは敵の防御方法にあった。
結界やバリアとでも言うべき、見えない頑丈な壁。デルタがここまで戦ってきて分かったのは、彼女らは前後左右上下のどこから攻撃が飛んで来ようが関係無い。攻撃が来ている事を認識さえ出来れば、まるで自分を取り囲む球体のように見えない壁を作り、全て防いでしまうのだ。
とはいえ、これも完璧ではない。見たところ、少なくともこの場にいる連中の作る壁ならば、デルタギアの力なら充分破壊出来るだろう。
だが、破壊したらしたで、今度は先程述べた露出度の高さが問題になってくる。
ライダーズギアの武器となるフォトンブラッドは、極めて毒性の高い粒子である。そのため、見えない壁を破壊してしまっては、肌を多く出した彼女らはフォトンブラッドによる汚染の危険に晒されるのである。彼女らもオルフェノクという可能性もゼロでは無かったが、人間の姿をしている以上は危険を冒せない。
こうした理由から、デルタは彼女らに対しては壁を破壊してしまわない程度の攻撃で牽制することしか出来ず、更にオルフェノクとライオトルーパーも相手取らなければならないために、防戦一方のジリ貧に陥っていた。
「これならまだ、全員ライオトルーパーの方がマシだったかも…ぐあぁ!」
「「三原君!」」
敵が中々減らないことへの焦りや、長時間戦闘の疲労などからデルタに一瞬の隙が生まれる。そしてそれが、彼に迫っていた数発のミサイルを見落とさせ、全てまともに食らってしまう。
「がはっ…!こんな…ところでやられるわけには……ぐ…」
「馬鹿な奴だ。早くデルタギアを渡せば済んだものを…」
立ち上がる事すら困難なデルタ、そして戦う手段を持たない真理と里奈。状況は最早絶体絶命であった。
「なっ!?なんだそれは!?まさかそれは…『ナイ…メ…』」
絶体絶命だった彼らは、一瞬足をいくつもの手に掴まれるような感覚を味わった後、足元を確認する間も無く――――――落ちた。
落ちた先は『闇』だった。どこまでも、どこまでも続く、終わりの見えない闇。にも関わらず、三人はお互いの姿を認識出来ていた。
「…ここは?私たち、助かったの…?」
真っ先に口を開いたのは真理だった。彼女の質問に、里奈と、変身を解除した修二が「分からない」と答えようとしたとき、
「ええ。わたくしが人間を助けるなんて、そうそう無いきまぐれ…。ですから、せっかく拾ったその命は大切にしていただきたいですわねぇ。もっとも、この場で差し出して下さるというのならば…喜んで頂戴しますわァ」
不気味な台詞と共に、赤と黒のドレスを纏った少女が三人の前に現れたのだった。
「さて…助けた代わりと言っては何ですが、あの灰色の怪人たちについて、知ってることをお話してもらえませんこと?わたくし、彼らの事をほとんど知りませんの」
この出会いは、彼らに何をもたらすのか。
「みなさんこんにちは、クルミ・スタインベルトです。今日は…みなさんに残念なお知らせがあります」
「五河士道は、精霊の味方ではありません。彼の活動は、全て鳶一折紙の婿になるための修行だったのです」
「今後精霊のみなさんには、士道の正式な妻である鳶一折紙の支配に従ってもらいます」
「それでは、グッド・ラック…」
『劇場版デート・ア・ライブ 折紙サプライズフューチャー』近日公開!
琴里「…狂三、あなた一体何をやってるの」
狂三「その…猫カフェに行きすぎてお金が…」
琴里「…で?」
狂三「折紙さんが、自主制作映画を撮るから参加して欲しい、と言ってきまして…バイト代に釣られてつい…」
琴里「……」
終わり
お読みいただいてありがとうございました。仮面ライダーの映画とデアラの映画、二つもあるなんて、今年は素晴らしい夏だと思いました。チョーイイネ・サイコー!
今後もゆっくりの投稿になってしまいそうですが、お付き合い頂けると幸いです。
最後になりましたが、木場勇治/ホースオルフェノクを演じられた泉政行さんのご冥福をお祈りします。一人の視聴者として、ファイズという作品における勇治の存在はとても大きいものだったと思いました。泉さん、本当にありがとうございました。