IS学園の悪魔   作:ヴィルヘルム星の大魔王

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原作漫画を読み、アイシールド21の二次小説にハマり、気づけば小説を書いていた。
拙い文章ですが、お楽しみください。


0話 悪魔、IS学園に現る

 

 十年前、日本のとある海に突如として現れた一体の白い機体。その直後、謎のハッキングにより、世界各国の軍事システムがジャックされ、無数のミサイルが日本を標的に発射された。そこに、突如現れた白い機体がそれらを次々と斬り捨て、浮上してきた軍艦まで制圧した。斬り捨てられたミサイルの破片が、日本各地に落下し、軽度な人的被害が出た。しかし、情報機関は、破片による被害を一切報道をせず、謎の白い機体の正体について、議論を交わすばかり。政府も国民の被害から目を晒し、白騎士事件による被害を揉み消した。

 

 ISという新兵器の台頭により、世界中の軍事兵器の価値が引っ繰り返った。そして、ISが女性にしか操縦できないという欠点から、男を虐げる女尊男卑が蔓延し、男は日々、女性に怯えて暮らすようになった。また、痴漢冤罪や罪の擦り付け、女性が犯した犯罪を男が濡れ衣として着せられ、反抗すれば極刑という世紀末一歩手前の世界へと陥っている。だが、高齢者や比較的まともな一部の女性たちは、女尊男卑という風潮に辟易しているが、それも女性全体の極めて僅かな割合なので、声は届かない。女性優位法が制定され、男の立場は益々肩身が狭くなった。

 

 女性権利団体が権威を振りかざし、過激な差別が横行している。明治・大正期に日本で女性の自由を訴えた人たちが、助走を付けて殴るレベルで酷い日本になってしまった。不幸中の幸いとして、女性による差別が横行しているのは、都道府県内の都市部だけだった。地方で男差別をすれば、嫁の貰い手が減り、逆に地域社会からの爪弾き者にされるだけである。

 

 白騎士事件から十年後の日本。権威を笠に着る女が男にいちゃもんを擦り付け、一人また一人と男に被害がいく中、日本の東京湾から離れた人工島IS学園では、二人の男子生徒が入学した。

 

 件の人物にして、二人目の男性操縦者であるヒル魔妖二は、自身の現状とその原因に対し、苛立ちを隠せなかった。なぜ、自分がこの場にいるのか。その間接的な原因を作った男織斑一夏に、殺気の籠った邪念を送る。

 泥門高校進学クラスの一年生として在籍する予定だった妖二は、何の因果か、IS学園に一年生として入学した。苛立ちを抑えるため、無糖ガムを噛んで、頭を冷やす。

 

 目の前に映る男以外は、女子ばかりだった。女子ばかりの教室に、思わず懐のショットガンに手を伸ばしかけたが、辛うじて理性がそれを制した。

 

 周囲の女子生徒達は、機嫌が悪い彼の雰囲気に吞まれ、顔を青ざめさせ、震える。彼女達は、女は人間として一番偉いと教えられ、蝶よ花よと育てられてきた。だが、中央列の前から二番目にいる男の殺気が、自分たちの精神を蝕む。機嫌が悪い男に対し、下手なことをすれば命はないと脳が警鐘を鳴らす。

 エルフのように尖った耳、ギザギザな犬歯、赤茶色の逆立った髪、鋭い目つき。悪魔を思わせる風貌に冷や汗が止まらなかった。彼の前にいる爽やかな少年が、彼女達の心のカンフル剤となった。

 

 

 (絶対許さねえぞ。ファッキンサマー)

 

妖二は、一夏を睨みながら、頭の中で自分がIS学園に入学した経緯について、思考を反芻する。それは、去年の冬のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 一月、高校受験が終わり、泥門高校への合格が決まった日から数日後、世間は一人の男に注目を集めていた。その男の名は、織斑一夏。内容によれば、IS世界大会の初代ブリュンヒルデ織斑千冬の弟らしい。女性キャスターは原稿を読み上げる。

 

 〈臨時ニュースをお伝えします!昨日、IS学園の試験会場にて、世界で唯一の男性操縦者が発見されました!少年の名前は、織斑一夏君。前代未聞の事態です!〉

 

 そこから、高校入学を控えた妖二の人生が狂い始めた。政府からの通達で、公民館で男性を対象にISの起動実験が義務付けられた。誰もISを起動させず、受付や係の女性たちは苛立ちを隠そうとせず、男性たちは委縮していた。

 

 「次、ヒル魔妖二さん。はぁ、さっさと始めなさいよ。これだから下等な男は」

 

 係の戯言を右から左へと聞き流した妖二は、一体のISに手を触れる。その瞬間、ISが光を放ち、彼の身体に装着された。男女問わず現地にいた人間は、ISを纏った彼の姿を見て、驚愕する。(IS操縦者としての才能がある)女にしか装着できないISが彼を認めたのだ。それも、織斑千冬と血縁関係のある織斑一夏とは違い、ヒル魔は一般人だ。

 

 発覚後、妖二はISを纏った女に取り押さえられそうになる。だが、持ち前の身体能力で追撃を躱し、当身で吹き飛ばす。そして、煙玉を投げつけ、逃走した。その後、ブリュンヒルデと云われた初代王者織斑千冬が立ちはだかり、捕縛しようと攻撃してくる。相手は、格闘経験者。対して、妖二は平凡な一般人。

 千冬は、生身で殴りかかってくる。その動きは、人外に等しく、妖二の後ろにある大木を腕力で圧し折った。

 

 (木を圧し折っただと!?この女、腕力ゴリラかよ!)

 

 戸惑いつつも、二撃目の打突をスピンで躱し、腹部に前蹴りをかまし、彼女から距離を取る。そして、懐からサブマシンガンを取り出し、体に当たらないように乱射で牽制する。千冬は、彼が取り出したサブマシンガンに驚愕するも、弾を避ける。地面に目を凝らすと、銃弾の正体はプラスチック弾だった。

 

 「くっ!?どこから出した!私は味方だ!速やかに投降すれば、お前の安全は保障する!」

 

 「ケケケ、俺を捕らえようなんざ百年早えよ!戦乙女!どうせ、研究所送りにする気だろ」

 

 「誤解だ!それに、このまま逃走を続ければ、君の御両親に危害が及ぶかもしれないんだぞ?」

 

 千冬の言葉に、妖二は目を見開き、射撃を止める。脳裏には、自分の母親と父親が女性権利団体や政府から危害を加えられる事態を想像する。父親の妖一の場合、彼の情報収集による脅迫手帳の脅しと銃火器による武装制圧で、簡単に刺客の襲撃を凌ぐだろう。

 だが、母親のまもりは違う。学生時代の同級生から警察署長の弱みを握っている父親とは違い、平凡な家庭の母親だ。彼女に手を出した場合、父親兼悪魔が許さない。

 

 (あの親父に被害が及ぶなんざ、考えられねえが、お袋は一般人だ。投降した方が、場は丸く収まるか?)

 

 頭の中で自身が投降した場合のメリットとデメリットを考える。思考の末、顔を上げ、ブリュンヒルデの目を見て、覚悟を決めた。

 

 「なぁ、ブリュンヒルデ。親父達の身の安全は保障されるんだよな?」

 

 「ああ、私が通告しておく」

 

 「…そうか。だが、手違いだったら承知しねえからな」

 

 妖二は、ISを煩わしく思い、外れろと念じる。直後、ISが解除状態に入り、生身の状態に戻る。それを見た千冬も装備を解く。そして、何処からともなく現れた黒服に‘‘大人しく’‘掴まり、研究所へと移送された。

 研究所では、血液検査などの精密検査を受ける。牢屋のような部屋にいた妖二は、暇つぶしに監視員の頬にモデルガンを突き付けて脅し、密かにゲーム機やお菓子を手配させる。そして、最終的には、研究所の所長を脅迫し、研究所を陰から牛耳ることに成功した。

 

 ヒル魔妖二が研究所に収容されてから二日後、一人の女性が研究所に訪れた。

 その女性は、自身の弟が引き起こした一連の事件の後始末に追われていた。

 

 「…これは一体、どういうことだ」

 

 ヒル魔妖二の様子を確認しに、研究所を訪れた千冬。施設の職員に彼が居る監獄に等しい部屋に案内される。職員に御礼を言い、入室した千冬は、研究所で保護されている妖二の様子を見て、額に右手を押さえる。

 収容室にはリクライニングチェアにゲーム機、アメフト雑誌、最新式のテレビまで揃っていた。保護観察対象者とは思えない快適な空間に、千冬は思わず眩暈を覚えた。

 

 「ようこそおいでくださったな。ブリュンヒルデ、歓迎するぜ~」

 

 妖二は、とびっきりの笑顔で千冬を歓迎する。ただし、悪魔のような風貌による笑顔の為、怪しい詐欺か裏があるようにしか見えない。新たな頭痛の種に、千冬は頭を抱える。

 

 「ヒル魔妖二。お前には謝罪しなければいけないことがある。私の愚弟が済まなかった」

 

 「ああ、関係ない人様の人生ぶち壊してんだ。この落とし前は、高く付くぜ?」

 

 「…許して貰えるとは思っていない。ただ、姉として謝罪をさせてくれ。本当にすまなかった」

 

 千冬は、彼の眼を見て、頭を下げる。その姿は、華々しい活躍を残した戦乙女ではなく、織斑家の姉としての姿だった。この姿を、彼女の信者が見れば、狂い出すだろう。

 

 「驚いた。戦乙女も人の子か」

 

 「何を思ったかは知らんが、弟の責任は家族である姉の責任だ」

 

 「そうかい。だったら、その責任を貫くんだな。ファッキンゴリラ」

 

 「おい、今なんと言った。年上に対して、無礼な口の利き方だな」

 

 その後、IS学園に護送され、IS学園の運営者轡木十蔵と面会する。またもや暇つぶしに、脅す用のネタ探しとして、揺すりをかける。父親から習った脅迫…交渉術だ。

 

 

 「理事長先生ぇ~少しお耳を拝借したいんだが」

 

 「…何でしょうか。ヒル魔君」

 

 

 不審に思った轡木は、警戒するも彼に耳を貸す。妖二は、小声で轡木十蔵に話しかける。扉近くで見ていた千冬は、首を傾げていた。

 

 

 「理事長先生が隠してるネタ(嘘)があるんだけどな。俺は知ってるぜ?」

 「まさか…アレ(浮気)のことか?何が望みです?」

 「理事長?」

 

 

 二人の会話に、疑問が止まらない千冬。ヒル魔は、懐から取り出した手帳に何か書く様子を見せ、轡木は一筋の汗を流す。それは、隠し事がある時に出る人間の汗だった。千冬は、彼らの会話を何も知らない。こうして、ヒル魔妖二は、IS学園の真の支配者轡木理事長の弱みを手に入れた。

 

 

 

 

 

 

 回想が終わり、現実に戻る。このように、苦労続きの波乱万丈な監視生活から教室に連れ去られた。黒板を見れば、未成年に間違われるほどの童顔だが、メロン級の乳房を持つ女性山田真耶が自己紹介していた。しかし、誰も返事をせず、涙目になっていた。妖二は、わざと返事しなかった。理由は、面倒くさいからだ。

 

 

 

 (へぇ、副担任か。使えそうだな)

 

 

 「ケケケ、IS学園。楽しませてもらうぜ」

 

 

 

 妖二は、誰にも聞こえない声量で呟く。その顔は、おもちゃを見つけた子供のような顔だった。知らない内に、次のターゲットとして、狙いを定められる真耶。生徒からの返事が無い状況に涙目となっているが、後に、大変な状況に陥ることを彼女は知らない。

 

 




 様々なインフィニット・ストラトスの二次小説を読んできましたが、ヒル魔みたいな性格の主人公はあまり見たことがないと思い、執筆してみました。
 ヒル魔の容姿とハチャメチャな性格が好きです。
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