アカメが斬る!【帝都監察官】   作:タービン

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第四話

「隊長、来るの遅くないですか?」

「しょうがないだろ。新人クンと一緒だったんだから。」

 

 

自身の予想より遅れて来た事にに文句を言うセイラに苦笑し、言い訳をするアラン。互いに談笑しているように思えるが二人がいるのは闘いの真っ只中であり、二人とも自分の目の前にいる敵から目を逸らしてない。

 

 

「…まあ、文句は後で聞くから今は前の敵に集中しろよ。」

そうですか、なら後で言わせてもらいますよ。逃げないで下さいよ。」

「え"、も、もちろん!あ!新人クン!そこで倒れてる少年の手当てしてあげといて!」

 

 

セイラは自分の問いに曖昧に答え、コウヘイに指示を出すアランに溜め息を吐きザンクを見据える。

 

 

「待たせてしまってすいませんでした。」

「俺の趣味もお喋りなんでな、気にするな。」

「そうですか……では、行きます!」

 

 

セイラとザンクが闘い始めたのを尻目にアランはアカメに全神経を集中させる。

 

 

「それじゃあ、始めようか。ナイトレイドのアカメさん?」

「………」

 

 

沈黙の後、二人は動き出した。

アカメは自身の帝具【村雨】をアラン目掛け鞘から抜き放つ。

アランも同じく自身の刀を抜き放ちアカメに対抗する。

瞬間、金属同士のぶつかり合う音が響く。アカメは振り抜いた刃を返す勢いでアランを袈裟掛けに斬りかかる。

アランは刀を納刀しながら村雨を躱す為バックステップで後ろに下がりアカメが村雨を振り下ろした瞬間に狙いを定め納刀した刀を再び抜刀し、アカメに襲いかかる。

アランから放たれた刃をアカメは村雨で防御する。アランはそのま刃を袈裟懸けに振り下ろし横に振り払い、逆袈裟懸けに振り上げる。上段から刀を思い切り振り下ろす。

アカメは全ての攻撃を躱し受け止める。そこから始まったのはどちらかが斬りかかればそれを躱し受け止め、反撃と言った一進一退の攻防の繰り返しだった。

 

 

 

アランとアカメが闘っている間にコウヘイはアランに言われた通り地面に倒れ伏している少年を助けるべく少年の元へ行く。

 

 

「大丈夫ですか?…ってタツミ⁉︎」

「え?…コウ兄⁉︎」

 

 

コウヘイが助けようとした少年はコウヘイの出身地の村にいた弟分のタツミだった。

二人は予想外の遭遇に驚きを示すが、タツミの怪我の具合を見て慌てて治療をする。

 

「何でこんなとこにいるんだよ?それにサヨとイエヤスは?」

「っ…二人とは帝都に来る途中で逸れたからよく分からなんだ。ごめん、コウ兄…」

「そうか…」

 

 

タツミはコウヘイに真実を伝えるべきか悩んだが、言うべきではないと判断し曖昧な答えを返す。

コウヘイはそれ以上追求せず、黙々とタツミの治療を続けた。

 

 

 

 

コウヘイがタツミの治療をする間もアランとアカメの攻防は続いていたが、不利だったのはアランだった。アカメの帝具の能力は一度斬った相手を呪毒で殺すと言うもので解毒法は無い。それ故に【一斬必殺】。そのせいで、アランはアカメの攻撃を喰らう事が許されず、積極的に攻めることが出来ないでいた。堪らず崩れた体制を立て直すべく、後ろに下がりながら次の抜刀の為に刀を鞘に納めようとするが足が縺れバランスを崩す。

 

「んなっ⁉︎」

「葬る…!」

 

 

アカメはその隙を決して見逃さずアランに肉薄する。

村雨をアカメが振り切る前にアランは地面を踏みしめながら、納刀に失敗した刀の刃の腹に鞘をあて、無理矢理刃の向きをアカメへと向け突きを放つ。アカメは急に自分に向かって来た刃を急遽進行方向を前から後ろに変えることで回避を図るが、間に合わずアランの突きがアカメのお腹に刺さる。アカメはアランとの距離を取る為、村雨を振り払う。

 

 

「やっと、一撃か。まあ、こんなもんか。」

(…迂闊だった…)

 

息を整えつつ、ようやく一撃お見舞いしたことに自身の見解を述べるアランに対し、アカメは怪我の具合を見ながら先程の自分の行動を反省する。

 

 

「さてと、向こうも終わったみたいだし、こっちもそろそろ終いにしよか。」

 

 

セイラとザンクの闘いに決着が付いたのを感じながらこちらも決着を付けると言うアランに今度こそはどんな攻撃が来ても対処出来るように構えるアカメ。

辺りが静まり返る。

先に動いたのはアランだった。

アランは全身の力を抜いたかと思うとそのまま前に倒れようとする、その瞬間アカメの視界からアランが消えた。

 

 

「っ⁉︎」

 

自分の予想を超えるスピードに驚きながらも対処出来る速さだった為に自分に向かって来るアランに向けて村雨を振るアカメ。

しかし、アカメが感じたのはアランを村雨で斬る感覚では無く、まるで見えない壁に村雨をぶつけた感覚だけだった。

この予想外の事態が起こり得る事を唯一分かっていたアランは口許に笑みを浮かべながら鞘から刃を抜き放った。

右下から左上へと奔る斬撃を受けたアカメは堪えきれず地面に倒れ込む。

 

「いやー、危ない危ない。まさか、帝具使わされるとは思わんかったわ。」

「帝具…?」

 

へらへらと笑いながら言うアランにアカメは問う。

 

 

「そう、俺の帝具ーーー」

 

 

アカメに自身の帝具を説明しようと口を開いたアランの言葉を一つの銃声が遮る。しかし、完全に不意をついて放った銃弾もアランの頭蓋を撃ち抜く前にまたしても見えない壁に阻まれ届くことは無かった。

 

 

「あぶねー!一応、帝具使っといて良かったー!…で、今のはナイトレイドのお仲間と見ていいんだよな?おい?」

「ああ、その通りだ。」

「あん?誰かと思えば、軍から逃げたブラートさんじゃないですか〜。…何しに来たんだよ?」

 

 

 

突如としてアランの前に現れたのは白い鎧を身に纏い槍を持った男と眼鏡をかけチャイナドレスを身に付け身の丈もありそうな大鋏を持った女性だった。そして、白い鎧【帝具インクルシオ】を身に纏った男は【ブラート】昔、アランと何度か戦場を共にした仲の男だ。

 

 

「…久し振りだな、アラン。お前とはこことは別の所で再会したかったよ。」

「そうかい。俺はそうは思わないがな。」

「…そうか、残念だよ。さて、アカメを返して貰うぞ!」

「悪いが、それは出来ねえ相談だ。」

 

 

 

 

ブラートとの再会を懐かしむ間も無く物事は進む。

 

 

 

「なら、力尽くでも!」

「…しょうがない。んじゃ、セイラ!今から俺がこいつら抑えるから、新人クンと倒れてる子とスペクテッド持って帰って!んで、ある程度離れたらこっちの援護に戻ってきて!」

「は、はい!…隊長…私が戻るまで死なないで下さいよ。」

 

 

 

セイラからの言葉にアランは懐から出した煙草に火を点け煙りを吐きながら、盛大に格好をつけ言い放つ。

 

 

「…任せろ!」

 

 

 




テスト期間だったり、冬季補講だったり、風邪だったり、感染性胃腸炎だったりで更新が延びてしまいすいませんでした。
出来るだけ、更新して行きたいですが来年は受験生なのでなかなか出来なくなると思いますがこれからもよろしくお願いします。
お気に入り20ありがとうございました!
誤字、脱字、おかしな表現があれば教えてください。

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