果たして拙作を覚えていて下さった方はいらっしゃるのだろうか…
帝都から離れた辺境にある村。その村の近くには太古より続く広大な森林が広がっている。そんな森の醸し出す神聖な空気の漂う空間に男が一人。まるでこの空間を汚すかのように煙草の煙を燻らせながら一枚の地図とにらめっこをしていた。
「えーっと、ここがこーであれがあーなってるはずだから…あーもう分からん!
偵察部隊はもっと正確な地図を作るべきだと何度言えば…」
男の足元に転がる煙草の吸殻の数が男がこの場で地図と睨み合っていた時間の長さを物語っている。
しかしながら、男の持つ地図は正確かつ分かりやすいものなのである。なのに何故男が迷っているのかというと、単純に男【アラン・グラント】の地図を読み取る能力が壊滅的なだけだからである。
偵察部隊も何度も地図に改良を加えてはいるがアランが理解できるようなものは未だに出来ていない。
それはさておき、彼の今回の任務は革命軍のアジトの有無の確認とあるならばアジトにいる革命軍のメンバーを皆殺しにする、というなんとも剣呑なものである。
そんな訳で彼は革命軍のアジトを目指しているのである。
「これなら、セイラに着いて来てもらえばよかったな。」
今、この場にいない自身の部下の名を言っても意味がないことは分かっている。今回の任務はアラン一人に依頼されたのだから。しかし、愚痴を溢さずにはいられない。 そんな彼の目に一人の男の姿が入ってきた。
*
男は走っていた。なぜか。それは今朝方、自分の村を通りかかった男の素性が帝国軍で目的が彼の村の近くの森に潜む革命軍を潰しに来たからだ。その男がただの帝国軍人ならまだ良かったのだが、今回来たのは監察官のアラン・グラント。男の村にも名を知られる程の人物が来たのだ。だからこそ、男の村の村長は村一番の足の速さを誇る男に伝言を託したのだし、男も全霊で走ったのだった。
男は走っていた。伝言を革命軍に伝える為に。ただひたすらに走っていた。自身の跡をその帝国軍の男が追いかけて来ていることを知らずに。
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「ここがアジトか。…さっきの奴はなんの躊躇いもなく敷地内に入ったってことは罠とかはなしか?まあ、どっちでもいいか。」
あったらあっただ。と、腹を決めてアランは敷地内に足を踏み入れた。
*
アジト内に駆け込むなり男は叫んだ。
「帝国軍が来た!早く逃げろ!」
突然告げられた言葉に革命軍の面々はポカンとしている。
「それは分かったが、何をそんなに慌てている?」
肩で息をしている男にそう問いかけたのは五人いた革命軍の中では一番体格の良い剃髪の男だった。男の名はゲイル、革命軍でも知れた名前の男である。
「ゲ、ゲイルさん、聞いてくれ。今回来たのはアラン・グラント、あんたも知ってるだろ?そいつが来たんだよ!だから、早く…!」
「それって僕たちが負けるってこと?だとしたら面白いこと言うね。キミも僕たちの実力は知ってるでしょ?」
ややパニック気味の男の言葉に眼鏡をかけた黒づくめの男、マキヤは笑いながら答える。
「マキヤさん…だ、だけどよ!」
「やーやー、失礼するよ」
男が言葉を発する前に別の男の声がアジトの中に届いた。
アジトの中にいた全員が一斉に入り口に目を向けると其処には、刀を佩いた男、アラン・グラントが立っていた。
誤字、脱字、おかしな表現があれば教えて下さい。
見直してみたらなかなか酷い文章なので書き直しをしていけたらな…
これからも時間を見つけては更新していくつもりなのでよろしくお願いします。
最後まで読んで頂きありがとうございました!