高慢残念系美神の眷族なんだが、愛してもいいか? 作:神崎せもぽぬめ
『英雄』とは生き様だ。
神時代が到来する以前。
人類は
昔日の『
けれど、けれど。
『
だからこそ気に食わなかった。
奴等の性格破綻とそれに比例するかのごとき暴力の度合いは酷いなんてもんじゃない。
声を掛ければ挨拶代わりに殴り飛ばされ。
顔を合わせれば蹴り飛ばされる。
弱ければ、存在すら許されない。
弱いことはそれだけで罪だと、魂にまで叩き付けられる。
昔日の『英雄』と姿を重ねて、密かに抱いていた憧れは───砕け散った。
『英雄』とは希望だ。
英雄譚を読むだけで、心が震え上がった。
主神の駄女神は本を読んだりするの
『英雄』とは、希望を伝播する存在なのだとそう思った。
だからこそ奴等が気に食わない。
終末の喇叭の如く奇声を発しながら
そしてそんな大災厄に不条理にも巻き込まれる。
絶望を撒き散らす奴等は『英雄』なんてもんじゃない。いや、マジで。
だから奴等を思いっきりこき下ろす劇を堂々とやってみせ─────気が付けば数十の家屋を貫いて、巨大市壁に叩きつけられていた。
「
こちらの必死の抵抗を
「ククッ………面白い奴だ。気にいったぞ」
返す斬撃を
隣をみれば、自分とは別の美神の眷族である猪、
奴等の癇に障って玉砕するか、挑んではまた玉砕するか。何度も何度も浴びた屈辱。一矢報いるなんて、夢の果てだった。
『英雄』とは奇跡だ。
どんなに苦しくても、最後には抗う至高にして至光の灯火。
たとえ一つ一つが弱い光でも、二つ集まれば淡く輝く。三つならばもっと。全て寄れば、太陽にさえ及ぶはず。
どんな不条理を越える奇跡こそ、やはり『英雄』に違いなかった。
だからこそ奴等を認めない。
あんな不条理を体現してるような連中が、英雄であってたまるかと。憧れに唾を吐かれようが、当時の自分は必死に抵抗した。
『
英雄譚なんかにうつつを抜かす姿が気に入らないと、吹き飛ばされた。
『
ある英雄譚の演劇がうるさいと言われ、舞台まるごとめちゃくちゃにされた。
『
最愛の妹が気に食わない男とデートしているらしく、何故かその怒りの矛先がこちらに向かってきた。
もう訳が分からなかった。
不条理の塊だった。
………仮に、そう仮に。
万が一、億が一にもアイツらが主役の英雄譚なんてものがあったのなら。
自分より少し歳が上の少女が織り成す蹂躙劇に巻き込まれる道化が、きっと自分なのだろう。
それ以上でも以下でもない、『弱者の咆哮』を上げるちっぽけな存在が己なのだろう。
だから巡らせなければ。
本物の英雄を。
彼らが辿った軌跡と、成し遂げた偉業を。
途絶えさせてはならぬ、英雄という名の残火を。
世界が英雄を欲しているように、憧れが焼き付いた心と受け継いだ想いも、一人でも多くの者に巡らせるのだ。
だから証明しなくてはならない。
我々が次代の英雄の担い手であると、他でもない
♦♦
「起きなさい、私の
青空は無く、灰色の雲に覆われていた。
瞼の裏が覚えている黄金期は遥か遠く、時代が告げる暗黒期とやらは人々から笑顔を奪っている。
薄く開けた瞳に映るのは、そんな光景だった。
「………もう着いたか。思いのほか早かった」
「全く………感謝なさい?この私の膝の上で眠れるなんて、下界には過ぎたご褒美なのだからね!」
「『感触は素晴らしかったけど馬車の揺れが気に入らなかったので星1です(笑)』」
「店側に非が無いタイプの
二人の間に流れていた
それが一転し、急に霧散する。
黒髪の青年は肩を竦め、彼の主神————美の女神アフロディーテは憤慨した様子だったが………視線を交わしてどうしようもなく笑いあった。
「まず都市に入ったらあの
「やっぱお前はとことん残念な女神だな………」
「だーーーーーれがクソ雑魚残念ツンデレチョロインじゃあ!!!」
「そうは言ってねーわ」
周りの視線を色んな意味で奪いながら門の前に立つ。
冒険者のケツを叩きに来たと言っても過言ではない似た者同士の一柱と一人は、暗黒期を終わらせる救世主の如き面持ちで長蛇の列に加わる。
そして、
「だ、第一級の上級冒険者!?か……」
「「か?」」
「確保ォーーーー!!」
想定していたものとは異なる形で、元冒険者アドニスと女神アフロディーテはオラリオへ帰ってきた。
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TIPS
女神アフロディーテに誘われて英雄の都にやってきてしまった少年アドニス。
最強と最凶の眷族—————当代最高の英雄に憧れを抱いていた彼は、
言うなれば『