キヴォトスで無敵()になったので、チートで反社して“王”になる話 作:4.5cm徹甲弾
ドゴォン!!
ぬぽんっ
翌日、爆音の目覚ましで起こされた。
不良たちも驚いて
「……」
4人で目を見合わせる。
「これ…」
「思ってたより早かったな」
多分
変装はしてたが、変装は素人だし強盗も素人だし、どこかでヒントでも残しちまったかな?
「おい! ヤバいんじゃ!!」
「どうすんだ!」
「大丈夫だから少し待て」
それを見た2人も、続いて
……どうすっかなー。
ベッドで天井を見上げたまま考える。
爆発音はすぐそこのドアの所で起こったようだ。
鍵がかかったドアを吹き飛ばそうとしたが、部屋の強化はリセットしていなかったので音だけが響いてるって感じだろう。
「
「お、おう」
俺は天井を指さした。
「上から出る。荷物をまとめろ」
「え、上って……」
「とりあえず荷物を優先」
俺は俺で、強盗したときに剥ぎ取りした着換えと戦利品をまとめて、そこらの家具を集めて脚立替わりにし──
「フン!」
バガンッ
天井の
拳で作った穴の周りをボリボリと削って、天井の上に移動した。
詳しい構造はわからないが、屋上と天井の間か?
顔に落ちてきていた粉っぽい何かがすごく不快だ。服の中にも入り込んでゴロゴロザラザラがすごくウザったい。ペッペッ。
開けた穴から少しずれて、また上に穴を開ける。
穴から光が差し込んできて、ちゃんと屋上に脱出できると分かった。
「いくぞ」
俺は下の穴から頭を出し、下の3人に呼びかけた。
「
ドゴォン!!
2度目の爆発。
4人とも穴から屋上に出て姿勢を低くし、屋上の縁に近づいて周りを見回す。
拠点正面にはヘルメット姿の生徒や戦闘装備のロボット達がいた。
裏口側も見張られているが、いずれも、上に注意は向けてなさそうだ。
改めて、4人で集まって、
「しっかり捕まってろよ」
俺は、
「ひゃっ!」
「顔に手を回すなよ」
俺は拠点の部屋の強度を元に戻す。そして、拠点屋上から飛び出した。
いくつかのビルの上を跳んで距離を稼ぎ、廃ビルから数ブロック離れた裏路地で、俺は3人を降ろす。
「はぁ…はぁ…どお、すんの」
「まあ、とりあえずラブホへ行くのは変わらん。シャワー浴びたいし。
「え、ああ。……ここからだと近いかも」
「よし。ラブホへ行く。案内よろしく」
◆
すでに夕暮れ、案内されたラブホテルはあまり目立たないタイプの外観だった。
「ここか」
俺はそのまま中に入った。薄暗いロビー。カウンターに誰もいないタイプ。適当に広そうな部屋を選んで、出てきた鍵を取る。
「こういうとこ、慣れてるのか?」
「来たことないけど、適当にやってる」
部屋は、割と奥の方にあった。
わざとらしいハートやピンクの散りばめられた部屋。バスルームは意外と清潔そうだ。ガラス張りでわかりやすい
「俺は一回シャワー浴びるから、適当にしとけよー」
テーブルの上に荷物を置いて、さっさと
簡単に体を流して新しい服に着替え、ベッドに腰掛けて……いや、
「飯くいてーな。ルームサービスとかありそうか?」
「えっと」
「ぱっと見なさそう、だね」
うーん、飯はほしいな。叩き起こされて、ネットで遊べない状態で腹も減るのはストレスが貯まる。
3人を見る。3人のステータスを眺めながら──
(そういえば、ステータス変更を時間制限付きで出来ないか? バフスキルみたいな感じに)
「な、何だよ。ジッと見て……」
視線の先にいた
(2秒間だけ防御力を少し上げる……ダメか)
ため息を吐きながらベッドに横になる。
今、俺のチートとしてある“ステータス操作”能力。キヴォトスに来た当初、確かなのは能力が在るということだけだった。
「ホントに何なんだよ……」
お約束的に“ステータス”を見ようとしたら見る事ができた。
それ以外の“使い方”、つまり
二足歩行犬猫の毛の長さ、人型ロボットのベアリング性能、ヘイロー付きの
いろいろ変更とリセットを繰り返して、操作の確認をした。
だが今。一時的なステータス変更が出来ないことがわかって──少し萎えた。
刺し身食べてたら骨が取り残されていたような、買った野菜に芋虫がいたような、そんな萎えだ。
とはいえ、すぐに諦めるのも良くないだろう。チートだとしても、成長の可能性はあるだろうから。
(でも、調べ直さないといけない。……想定外を認識するって難しいんだよなぁ)
視線の先、3人不良のステータス、不良の銃のステータス、テーブルのステータス、ソファのステータス……
?
すぐさま、試す。
目の前のモノ全てにステータスを見ることができる。
しかし、例えば、不良達にはある
銃に、
逆に、不良達の心拍数……は危ないか。盲腸、いや尾骨を
ステータスの
今までの行動が裏目になる程の事実じゃないが、面白みは消えるな。
美園ミカにゲヘナ系の角と尻尾を生やすイタズラが出来なくなった。
「あの、さ」
俺は横になったまま、彼女に目を向ける。
「あたしたち、これからどうなる? というかどうする?」
純粋な不安が込められた質問だった。彼女たちは、今日の爆発と逃走で、自分たちが完全に俺の庇護下にあることを理解している。
「これからか」
俺は体を起こした。
不良たち──
俺は、コイツらをオナホにする。だが、その結果、3人はある種の庇護者を手に入れた。
俺がこの3人を切り捨てれば、彼女たちは元いた生活か、またはもっと酷い場所に戻るだろう。そして俺自身、今この3人を切り捨てるのは、気分が悪い。
だが、こちらから与える事は極力したくない。
雑学レベルの心理学だが、返ってくる報酬も無いのに何かを与えていると、“与えた側”が”与えられた側”に対して好意を持ってしまうらしいからだ。
「んー。カチコミしか思いつかん」
「勝てるのか?」
「俺だけだったら間違いなく」
愛ゆえに殺す。忠誠心ゆえに裏切る。そういった物語を知っていると、単純に信じにくい。
「今更だけどさ」
「ん?」
「あんたのことなんて呼べばいい?」
そういえばそうだなと同調している不良達。
名前じゃ無く呼び名か……だったら、
「基本何でも良いけど……シンプルに“ボス”とかでいいんじゃない?」
「じゃ、ボス」
「カチコミ、しよう」