俺は(妹の幸せを願う)お兄ちゃんだぞ   作:覚め

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お兄ちゃん「お兄ちゃんだぞ!!」
咲夜「…仕事、頼める?」
お兄ちゃん「あ、すみません直ぐに…」
な関係


お兄ちゃんだぞ

 

「安心して。私達は敵じゃないわ」

 

そう言われる夢を見た。が、コレも夢であって夢じゃないようなもの。実際言われたものだ。紅魔館なんてものに入らされてから長いが、その間に妹である咲夜はメイド長になっていた。他に従者がいないと言う話にもなりそうだが。その話は事実であり、他には妖精とか言う幼い頃のトラウマがメイドをしているだけ。俺は執事。マナーも作法もない、ただ物を運ぶときに呼ばれる存在である。ただ、力ならこの館でも割と強い方だ。吸血鬼に魔法使い、あとよく分からん妖怪。ここの妹君の下くらいには強い。その為か、何故か妹君に好かれている。

 

正和(まさかず)、これ」

 

「はい」

 

「あ、あとこれも」

 

「はい」

 

「…はい以外はないの?」

 

「はい」

 

「はい以外はあるの?」

 

「いいえ」

 

「…矛盾した」

 

妹君であるフランドール。姉君であるレミリア。実の姉妹でありながらもその仲は険悪。総合的な実力で姉君が強く、局所的な実力で妹君が強い。らしい。この館の読書家から聞いた。その実力関係図が正しいかどうかは置いておき。俺の妹は今どこかを尋ねたい。普段はこの館の家事全般をほぼ一人で行っており、加えて姉君の世話もしている。自慢の妹ではあるのだが、それでも俺はいつか体が壊れるのではないかと心配している。その心配をどうにかしようと魔法を覚えた程には心配だ。ここの読書家が引く勢いで学んでいたらしい。

 

「そこに置いて。」

 

「はい」

 

「さて…正和、貴方と咲夜の話をしてくれる?」

 

「断る」

 

「…貴方の主人が命じてるのに?」

 

「拉致監禁、後に従者。雇用契約は結んでいない。」

 

「ま、それこそが正和ね。私はコレ読むから、どっか行ってて」

 

とっとと消え去る。少し彷徨いていると、出て来たのは妖精。幼い頃、と言っても咲夜と過ごす前の話。俺は妖精に殺されかけたことがある。悪戯感覚で木を倒したり、妖怪を引き連れて来たり。俺はそこが嫌いだし、そこが一番トラウマになっている。違うそうじゃない。咲夜だ。歩き始めて少し。姉君の部屋に入る咲夜が見えた。これは長い。諦めるとする。紅魔館の庭に出てベンチに座り込み、仕事のほとんどをサボる。いやまあ運ぶこと以外に仕事はないが。

 

「何してるんですか?」

 

「何も」

 

「咲夜さんとの思い出でも反芻してましたか?いやぁ憧れるような妹愛ですねぇ」

 

「…」

 

「常日頃から警戒して精神が削れないのですか?もしそうなら、妖怪になって欲しいんですよね。妖怪は精神が本体ですから」

 

いつまで話すんだ、この妖怪。迷惑に思っていることが伝わってないのか、それともそう言う人だと認識されているのか。咲夜相手にこのような態度を取ったのならば確かにそう言う人間だ。しかしだ。俺は咲夜相手にはそんなことをぜっっっったいにしない。青筋を立てても、咲夜がどれだけ醜くても、咲夜が咲夜としての自我を持つ限りそんなあり得ない馬鹿げたアホらしい態度を取ることはない。…大体、それはこの妖怪もわかっているはずだ。この妖怪の前でどれだけ咲夜と話したことか。

 

「…私と仲良くなる気さえないんですか?」

 

「ない」

 

「拾ってあげたじゃないですか」

 

「感謝はしてる」

 

「あれ、覚えてたんですね」

 

「…」

 

「ダンマリですか。まあ良いですけどね。態度の一貫ぶりは本当に凄いですから。」

 

そう言って門番をしに行った。…あの妖怪は、確か美鈴と言ったはず。めーりん。子供の頃に自己紹介されただけでそれ以降に名乗られたことがない為、名前がうまく思い出せない。めーりん、だった気がする。どうにかしている妖怪だ。妖怪の死生観は知らないが、俺は咲夜が死ぬ時に死にたい。俺が死ぬことで咲夜が悲しむことは絶対に避けたい。そんな人間が、妖怪になってしまったらどうなるか。まず意思はどうなる。仮にも妖怪、人を食う化け物だ。意思なんてなくなるかもしれない。

 

「…」

 

「黙々と勉強するのも良いんですけど、お話とかって」

 

「いらないわ」

 

「無しだ」

 

「…ぱ、パチュリー様?レミリア様から言われたこと覚えてますか?」

 

「私にそんなこと無理に決まってるでしょ」

 

今目の前でコソコソやっている従者に対して堂々と言い放った魔女がパチュリー。俺は先生と呼んでいる。何故かといえば、魔法を教わったから。実際俺が学んだのは魔法がなんたるかということと、魔力や魔法陣などの使い方だけ。それ以降は自分で学んだ。今もこうして自分で学んでいる。今も昔もやっていることは防御魔法と結界、あとは逃げるのに使えそうな魔法だけ。攻撃魔法なんか撃ってもし咲夜に当たったら。そんなことを考えた時点で俺は攻撃魔法を諦めた。実際使う気ないし、咲夜を傷つける術をこの体以外に持ちたくないのだ。

 

「…何だ」

 

「貴方も様になったわね。そろそろ捨虫の術か捨食の術を覚えたら?」

 

「断る。」

 

「…ほら、無理じゃない」

 

「あの、もう少し会話の仕方ってものがあると思いますよ」

 

「無理に会話しなくても良いのよ。人に危害を加える魔法は学んでないし。レミィがそこまでコミュニケーションを取ろうとする理由がわからないわ」

 

「それは…私も、わからないですけども。それでも同じ館に住むなら会話くらいはしてみたいと思わないですか?」

 

「思わない」

 

「…驚いた。貴方、会話に割り込めるのね」

 

「そうか。」

 

「…もしかしたら、咲夜さん関係以外で一番長い発話じゃありませんかね」

 

「そんなこと考えるより、仕事。はいこれ。」




正和視点のレミリア…妹を奪ったけど大切にしてくれている妖怪。手を出したら殺すことも辞さない。
レミリア視点の正和…咲夜と一緒について来た、まともに会話をしたことのない人間。反抗する気がなく妹も懐いているので会話がないことはヨシと考えている。
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