俺は(妹の幸せを願う)お兄ちゃんだぞ   作:覚め

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どうして近くにいたガキにお兄ちゃんと刷り込ませたのか、知りたいかね。


お兄ちゃんがいれば安心だぞ

「咲夜…」

 

ぽつりとこぼす。仕方あるまい、目の前には確かに昨夜がいた。先ほどまでいたウサギは消え、目の前の道さえもどこかへ消え。そして、周りにいたはずの四人も消えた。まるで全てが夢だったかのように。呆気に取られる。が、まあ、そんなことはありえない。骨密度が違う。皮下における筋肉量が違う。他にも、内臓の位置や骨の位置などなど。魔法陣越しに見た物を読み上げただけだが、見ていなかった三年を合わせても尚そうはならないだろうと思える身長の差、次に顔面の輪郭。小さな違和感だが、中身は別物。迷う訳もなく。

 

「マスタースパーク・重奏」

 

「え」

 

マスタースパークを、複数の魔法陣展開と同時に放つ。咲夜を騙った罰だ。四肢が焦げ消えるまで放つ。回数が60を超えたところで止める。八雲紫が邪魔をしたためである。幻覚は少し前に消えており、おそらくは気絶したのであろうウサギが倒れている。俺の後ろにはいつのまにか幽霊とレミリアが来ていた。早いな。鬱陶しい。忌々しく思いながらも、先に進む。先導を務めるのは何故か気分ウッキウキのレミリアである。皆が飛んでいるなか俺は魔法陣でスライド移動だ。咲夜がいない場所では常にこうして飛んでいる。

 

「さて…ここのはずよ」

 

「マスタースパーク」

 

「おい!私の代名詞を使うな!」

 

「オーケストラ」

 

「魔法陣を増やすなぁ!」

 

「…相変わらずの魔力量ね」

 

「取り柄だからな」

 

「…部屋を散らかさないで欲しいわね」

 

「なんだあの配色気持ち悪いどこぞの館の主人と同じセンスだな」

 

「は?」

 

「館の主人って私のこと?」

 

思わず感想を述べてしまったが、赤と青で構成された服はなかなかに挑戦的だと思う。少なくとも全く見ない配色だ。あ、おい動くな。揺れたように見えて酔う。しかしまあ、マスタースパークのオーケストラとは言ったが実際はただの物量なわけだ。そんな中を平然と歩いてくるセンスのないあの女は何者なんだ?度胸があるだけか?まるで訳がわからんぞ。カウンターの魔法陣を撃ち終えた魔法を跳ね返してみるが、消された。ていうか、俺の周りのやつなんもしてねえな。マジで当たらんのに。

 

「邪魔よ。」

 

「うわっ」

 

弓矢を携えていたのか、矢が飛んできた。ありえない速度である。魔法陣を出して防いだつもりが、魔法陣に刺さった。これもまた、ありえない。俺の作る防御用の魔法陣はなかなかに硬い。フランドールがレーヴァテインとか言うやつでぶん殴っても壊れないほどには。それを速いだけの矢で刺してきた。これ人体に当たったらどうなるんだ。魔法陣を全て消して、2歩下がる。空間移動を行い、そのまま女の後ろへ。回し蹴りを喰らわせるつもりが、逆に足払いされてしまい、そのまま蹴飛ばされた。どんな思考回路してたら、消えた相手が後ろにいるって思うのか。

 

「頭おかしいだろ、お前」

 

「グングニル!」

 

「頭の回転が速すぎるのよ。」

 

元雇い主の槍さえ矢で打ち消した。完全に化け物である。弱みとかないのかこいつ。単純な力押しでは不可能ということで、魔法陣を足元に展開。この屋敷を覆うくらいに巨大な魔法陣を出し、屋敷内にいる生命体を確認する。うーん、ウサギが妙に多い。その中でも、何故か隔離されている妙な生命体を確認。そしてある違和感に気づく。こいつら、俺の知ってる人外じゃない。基本妖怪や幽霊、神に属する奴等もそれぞれで共通点はある。種が違っても属単位での共通点がある。つまりこいつら、神でも妖怪でも幽霊でもない。いやでも、近いのは幽霊かな。

 

「…よ。」

 

「面白そうな子ね。頭は悪そうだけど」

 

「それはそれとしてお前何者だよ」

 

「姫よ。そういえば永琳はどこ?」

 

「…誰だそれ」

 

「こう、赤と青の」

 

「あのセンスのない奴か」

 

「そうよ」

 

…参ったな。てっきり否定される物だと思っていたが違った。どうにもセンスがないのは共通認識らしい。先ほど展開させた魔法陣を小さくして永琳とかいうやつの足元に。そのまま起爆。誰も巻き込んではいないはずだ。さてこのままの状態を続けるのもアレだ。この姫を連れて行くとしよう。あの化け物相手に何が出来るとも思えない。頭が良いだけでは無理な芸当を何度も目にしていると、本当に嫌になる。魔法ならまだしも、肉体で負けるとなると結構苦しく思うものがある。

 

「嫌よ。行かないわ」

 

「は?」

 

「私の美しさにどう思おうと仕方のないことだけど、永琳が折角頑張っているんだもの。私もその主人なら、努力に報いるべきでしょ?」

 

「悪いが問…今お前はどうでも良くなった死ね」

 

「えっ」

 

マスタースパークで怯ませて先ほどの現場に戻る。あり得ない。咲夜がなぜここにいる。パチュリー先生に魔法を解かれたか?あり得ない線ではない。だが、それでは色々と辻褄が合わない。なら何故レミリアは俺を連れてきた?元から咲夜を連れて来れば良かっただろうに。いや今はそんなことを考える時間ではない。空間移動で即座に咲夜と永琳の間に立つ。咲夜を背に、永琳と向き合う。魔法陣を足元に展開、気を取られた永琳に空間移動魔法を使い、立ち位置を五メートルほど変える。

 

「咲夜」

 

「兄さんが私を巻き込まないようにしてくれたのは分かってる。でも、もう子供じゃないから。」

 

「お兄ちゃんと呼んでくれ」

 

「空気読め正和」

 

「何言ってるのよ」

 

「…兄さん、魔法忘れてる」

 

「あ、すまん」




仕事時の呼ばれ方→正和さん
プライベート時→兄さん
咲夜さん登場!咲夜さん登場!咲夜さん登場!
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