俺は(妹の幸せを願う)お兄ちゃんだぞ   作:覚め

17 / 45
ハリーポッターと○○みたいな題名になってるな。
そうでもないかな。


お兄ちゃんと魔法使い達

決まりね、と一言言われたので背後に魔法陣を展開し一歩引く。そのまま帰るだけだ。俺が住処としている魔法陣はワープポイントのような役割も持っており、住処への魔法陣を展開する時間が座標を設定する必要がないためかなり速いのだ。とは言え、他よりは速いだけ。少し魔力の余波が魔法陣を伝わってきた。少し危なかったか。森の方向から魔力が出るのが見えた。しかし方向がバラバラだな。どうやらあの三人は意思を合わせることが出来ないらしい。魔力同士がぶつかることで方向がズレているのだ。哀れな。

 

「まーちゃん!」

 

「魔女に食べられなかった?」

 

「どう言う意味だそれ」

 

「あ、そうだ。まーちゃんにお客さんが来てるのよ」

 

「兄さん」

 

「咲夜!」

 

いつの間にか、と言うよりも間もなく後ろに立っていた昨夜を見る。振り返ると同時に抱きつかれる。うむ、可愛い子だ。社に入れ、話をするために茶を入れる。周囲に張った魔法陣から、気配は感じない。魔法使いどもは来ないようだ。咲夜との話に邪魔をさせるつもりはない。しかし結界を張るまでもない。流石にそこまで来るとは思えてない。流石にな。流石にな、と思っても入ってきたら魔法陣に仕込んだ迎撃機能で迎えるだけだが。絶対に殺す。許さん。

 

「それで、どうした咲夜」

 

「…兄さんがいなくて寂しい」

 

「!!」

 

「あらあら」

 

「妹さんも甘えん坊ねぇ」

 

「消すぞ」

 

秋姉妹を追い払い、茶を淹れ直す。ノーレッジからは『東洋の人間向け』と称された茶だが、んなことは知らん。どうでも良い。どうでも良いので咲夜と話をし直す。俺がいなくて寂しいと言うのだ。咲夜が。あの咲夜が。気分が良い。魔法使いどもの気配はどうにか察知できる。ただ、変に動き回っている。こちらに来るわけでもなさそうだ。安心して喋れることを確認した。

 

「兄さんがいないと、私以外人間いないし…」

 

「別に良いだろそれくらい。異変起こす前からそんなに関わりも持とうとしてなかっただろ」

 

「兄さんがいないのが悪いわ」

 

「慣れろ」

 

「…うっうっ」

 

「俺が悪かったから泣くのはやめて欲しい」

 

「分かればいいの。兄さんはここに住んでるの?」

 

「いや、隣の魔法陣だ」

 

「へぇ」

 

…なんか、話が妙にややこしく感じるな。いったい何故だろうか。根拠などないけど、それでも妙なとっかかりを感じることに違いはない。しかし咲夜がかなり笑うようになった。恐らくは宴会と巫女達のおかげだろう。感謝はしておくか。咲夜の笑顔がこのような形で見られるとは思わなかった。レミリアのところに置いたのも悪くない選択肢だったろう。家出もそこまで悪くない選択肢だったしな。そう思いながら近況を尋ねてみる。最近では泥棒である霧雨との交友が多いらしい。次いで巫女。良い感じに交友関係が増えているようだ。

 

「ねえ兄さん。館に戻る気はないの?」

 

「…悪いがない。というかぶっちゃけ俺は人外が苦手だ」

 

「なんで?」

 

「感性が違う。感性が違えば話も違う。話が違えば考えも違う。こんなふうに全部が食い違うからな。」

 

「私はそうでもないけど」

 

お前は自我が芽生える前から紅魔館にいたからな、と返す。それにもピンと来ない様子。どうやら本当に自覚がないらしい。ま、あんな館で数年暮らせばこうもなるか。納得させる。門番や妹君との仲も良好なようで、あの館で歪んだ感性が妹の処世術として進化しているのを目の当たりにすることのなんと嬉しいことか。魔法という面で言えば話の合うやつが確かに何人かいるが、日常会話となれば無理。まず話す一言目が食事なら対話は不可能だろう。実体験である。

 

「兄さん、こっちでの生活は楽しいの?」

 

「咲夜がいない中での最大幸福値ではある。」

 

「何それ。ま、今日は仕事の息抜きだから。そろそろ呼ばれるし…おほん。それじゃ」

 

「あいよ〜…もう良いぞ」

 

「格好いいねぇお兄ちゃん」

 

「私も、上の兄弟とか欲しいわねぇ」

 

「え、お姉ちゃんがお姉ちゃんやめるの?」

 

「何言ってるのよ穣子。私は私よ」

 

「…そろそろか」

 

少し気を遣わせたような気もするが、妹が帰ってしまった。威勢良く突っ込んできた奴ら。魔法使いである。どうやらアリスが三人で戦い勝利を収めて飛んできたらしい。というわけでこちらは送り返す。無駄な争いはしない。とりあえず目に見える限りまで飛ばした。これで頭を冷やして欲しいものだが、どうだろうか。もしかしたらもっと怒ってきてたり。そんなわけないな。穣子が機嫌よく料理だなんだと騒ぎ立てる。少しうるさいなこれ。適当にそこら辺の野菜や雑草を取って食べる。腹に溜まるのは結局これだ。

 

「…私、まーちゃんの本気見てみたい」

 

「どうしたの穣子。辺なこと言わないで」

 

「私たち秋姉妹はこんなに強い神主が支えてるんだぞって、冬の妖怪どもに伝えて冬を秋にしたいわ!」

 

「…穣子。それはアリよ」

 

「俺をなんだと思っている?」

 

本気な、本気。とりあえずできる限りでかい魔法陣を頭上に出してみる。少し大きすぎたか、全体的にかなり重く感じる。まあ結局こんなものだろう。魔法陣の大きさが実質的その魔法使いの最大火力になる。まあそもそも魔力量だったり媒介だったり魔力を溜める速さなどの関係でそうもいかないのが現実だ。まあなんか宣ったが、とにかく。魔法使いに強さを尋ねたい時は魔法陣の大きさを聞いてみると良い。これに付き合ってくれる奴はそもそも猛者であるためそんなことを聞く奴はまず死ぬが。

 

「…大きいわね」

 

「雪とか降らせる?」

 

「紅葉の季節」

 

「一応できるが、流石に魔力が足りない」

 

「残念…」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。