俺は(妹の幸せを願う)お兄ちゃんだぞ   作:覚め

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紅霧異変である


お兄ちゃんと呼んで

責任というのは俺には全く関係のない話だ。現に俺の仕事は妹君の本を運び、何か運ぶよう頼まれるまで館の中を彷徨くだけ。彷徨くことも無くなったら庭のベンチで空を見上げるだけだ。基本仕事を頼んでくるのは妖精で、その他から頼まれることは滅多にない。ちなみに。咲夜に頼まれる仕事はない。何故なら咲夜に頼まれたことは全て義務になるからだ。故に仕事ではない。どうかご理解を頂きたいのだ。さて今の俺は真っ赤な空を見上げて異常気象かと感心している最中なのだが、珍しく館から出てくる門番を見た。

 

「何してるんですか?」

 

「天体観測」

 

「…いや、そうじゃなくて。あの、んーと…な、なんて説明すれば…」

 

「あの紅い霧はこの館が出してることなら知ってる。」

 

「え!?」

 

「咲夜に危害が及ばないか、仕事が来ない限り動かん」

 

「…侵入者が来たら追い返すんですよ?」

 

「仕事だ」

 

異常気象の原因として館を突き止め、そしてここに突入してくる。そんな馬鹿がいるとは思えなかったが、いた。空を見上げれば何やら箒に跨った魔法少女が一人。それに気付いた門番が飛んで箒の前に立った。何か叫んでいる。その後に門が開かれた。出て来たのは何やら赤い服の、…なんだあれ。上の方で門番が相手をしているから俺しか対応出来ないのが癪だが、まあとにかく仕事は仕事。咲夜に危害が及ぶ可能性がある限り、動くのがお兄ちゃんである俺の役目だ。お兄ちゃんだぞ。

 

「なに?文句でもあるの?」

 

「ない。この館の住人は交友関係が狭くてな。広げて俺への興味を失ってもらいたいが、残念仕事で追い返さなければならない」

 

「随分と喋るのね。ま、アンタが何を言おうと関係ないけど。」

 

「…」

 

こいつ、多分俺の嫌いな部類の人間だ。冷たいのではない。目的を遂行するまで感情を捨て切れる部類の人間。魔法陣を展開、そこから魔力球を発射する。魔法の基礎だ。パチュリー先生曰く、これは攻撃魔法にすらならないお遊び魔法陣なんだとか。そう考えると、俺が上で魔法少女の相手をする方が良かったかもしれない。どうにかすればそれも叶ったことなのだろうが、後の祭りだ。俺は用済みの魔法陣を回し、そのまま投げる。俺が知ってる限りは食が関係しない限り、こう言った場面は弾幕ごっこだと聞いている。それは間違ってない知識で、健気にも弾幕を張る相手を見て安堵する。

 

「…やる気ないなら、そこ退いて」

 

「お前の言うことを聞く義理がどこにある」

 

魔法陣を複数出す。先ほどと同じようにしながら、不規則に移動させることでそれぞれの弾幕を予測さえさせない、俺が持つ一番のずる賢い弾幕だ。当たることはなかったが。その理由として、上から落ちて来た門番だ。おそらくは敗れたのだろうが、それでも俺を巻き込むのはやめて欲しかった。上から落ちて来た門番と共に降りて来た魔法少女の馬鹿でかいビームにやられかけたのだ。防御の魔法陣を展開して事なきは得たが、少なくとも人間に撃つ技ではない。

 

「おいおい、まだ生きてるのか?」

 

「負けは負けだ。疲れた」

 

「聞き分けはいいのね」

 

「勝手に行け。面倒だ」

 

ベンチに座り込む。パチュリー先生の天気予報であれば今日は快晴。この霧さえなければの話だが。本日も依然として…ん?違うな、いや、何俺は軽々と通してるんだ?咲夜が中にいるじゃないか。…まあ、弾幕ごっこはお遊びだろう。それに咲夜もおそらく今回の異変とやらでソワソワしていたし、楽しみにしていたのだろうな。それ以外の侵入者は気絶した門番に変わって追い払うことにした。まあそうは言っても恐らく侵入者は居ないだろう。もし居たら馬鹿な妖精だ。馬鹿な妖精こそ蹴飛ばして終わりにすれば良い。

 

「…居るのか。」

 

「やい!博麗の巫女を出せ!」

 

「…」

 

「聞いてない!?っ…〜!!このっ!」

 

「退け」

 

本当に蹴飛ばしてしまった。が、まあ良いだろ。門の前で立ち尽くすこと数分、早くも数人出て来た。姉君と赤い奴と魔法使い。三人だった。門の前で立ち尽くしていると、なんだ、妙に話しかけてくる。咲夜でもないのに。咲夜じゃないなら話しかけるな。咲夜なら話しかけようが話しかけまいがどっちでも良い。なんて思っていたら体に蹴りを入れられた。どうやらお呼びしているのは姉君のようだった。あんなことをするのは、相当むしゃくしゃした妹君かただ無視されてイラついた妹君か、それに準ずる精神年齢の姉君のみだから。二人ともあまり関わるつもりもないが。

 

「美鈴は?」

 

「さあ」

 

「…あのねぇ。仕事っていっても最低限やれば文句言われないと思ってるの?それなら誤解も良いところよ」

 

「違う」

 

「…じゃあ何?咲夜がいるからいるだけ?」

 

「違う」

 

「じゃあ何よ」

 

「断る」

 

「…アンタ、妖怪に対しての警戒心だけは本物ね」

 

「妖怪は人ではない。」

 

「霊夢、私は先に行ってるから」

 

「はいはい」

 

そう言って少しの会話をして赤い奴は消えて行った。俺が少しの露骨な態度を示しながら館の中に戻る。ベンチに座っている美鈴を蹴り起こし、門番に復帰させる。入ったと同時に俺よりも怒気の強い妖怪。妹君である。無視して自室に向かおうとすると、館の壁に一つ衝撃。耐震テストでもやっているのか。それとも、俺に何かさせようとしているのか。どちらだろうか?気にはなるが、結局何も頼まれないことには動きたくもない。人に似ているだけの外来種だ。生き方が全然違う。分かり合える気はしない。

 

「正和、今日は晩酌に付き合ってもらいたいんだけど」

 

「断る」

 

「…パーティは?」

 

「断る」

 

「咲夜も行くんだけど」

 

「…断る」




博麗の巫女から見た正和はなんか筋肉の分厚い変な奴
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