俺は(妹の幸せを願う)お兄ちゃんだぞ   作:覚め

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恥の多い兄を演じて来ました━━


由緒正しくないお兄ちゃんです

「…」

 

「正和さん、最近咲夜さんと話してるところを見ないんですけど、不仲ですか?」

 

「違う」

 

「違うって…いやでも話してないんじゃ」

 

「違う」

 

「えぇ…」

 

実際、咲夜との会話はほとんどない。しかしこれは、俺と咲夜が不仲になったからとか、喧嘩途中だからとかではない。ただ咲夜も立派な大人だ。心配はあるがいつまでも気にかけてははずかしい思いもさせるだろう。せっかく友達になれそうな人間が出て来たことだ。尚更恥ずかしい姿は減らしておくべきだろう。この知識の出所はこの館の図書館、しかも育児コーナーだ。俺たちが拾われた時にはあったと思う。咲夜に対する態度は変わってないが、対応自体はその本頼りではあった。

 

「正和」

 

「何」

 

「フラ、妹様!?」

 

「物を運んでくれる?少し邪魔なのが多くて、腕二本じゃ足りないのよ」

 

「えと、その、私がここにいることは…」

 

「そういえばそうね、何で“門番”の美鈴が“正和の部屋”にいるのか、三秒で答えろ」

 

「ひぎぃっ!?」

 

俺もよくわからない。何でこいつはここにいるんだ。鍵は閉めてたはず…待て、妹君が何の音もなく開けてたな。鍵閉めれてなかっただけか。それとも門番にぶち壊されたか。…それはどうでも良いな。妹君の部屋に赴き、せっせと荷物を運び出す。勿論大半は本である。しかし、本が部屋の入り口を塞いでいたのだが妹君はどうやって出て来たのだろうか。魔法が使えるのならテレポートとか出来てもおかしくはない。多分、恐らく。…ここで一つの可能性に思い至ったが、口に出すのはやめておく。気性が荒いし。

 

「…実は、魔法の練習をしてたら部屋に戻れなくなったのよ。」

 

「予想通りだ」

 

「…なんとでも言えば」

 

「どこに置けば?」

 

「図書館に置いておけば使い魔が勝手にやってくれるわ。」

 

どうやらこの世界ではやはり従者は少し雑に扱われるらしい。俺の見える限りでは咲夜にそんな扱いは見られない。ちなみに俺自身は妹君から雑に扱われている気はする。まあ俺の態度もあるだろうが。俺にとって耐えられない現実というのは、やはり咲夜が雑な扱いを受けている姿だろう。もしそんな姿を目の当たりにしたならば、時間がいくら短かろうとこの館を焼き尽くすことは確定している。まあ、そんな気配すら感じられない現状ではそんなことを考えるだけ無駄だが。妖怪相手となれば話は別か。

 

「…雨か」

 

「嫌ですよねぇ、雨。私だって濡れたくて濡れるわけじゃないのに、傘さえくれないんですよ?」

 

「黙れ」

 

「酷くないですか!?…あ、魔法陣で雨を防いでる!私も入れてください!」

 

「門番は門番らしくいろ」

 

「でしょうね!!」

 

急な雨。紅い霧から少しの日数で、急な雨と来れば少し不審な点を思い付くだろう。少し前にここの姉君は外出したらしいので、もしかしたら妹君の反乱かもしれない。そんな些か穏やかではない考えをしていると、パチュリー先生に呼び止められた。少し来いとのこと。何やら大変なことになっているのだとか。何やら本当にわからないが、とにかく大事らしい。咲夜にも危害が及ぶかもしれないとも言われた。なるほどそれは大事だ。世界の終わりに近い何かかもしれない。辿り着いた先には妹君。俺の目には少し苦しんでいるように見えるが、何かあるのだろうか。

 

「…アレを抑えるのよ」

 

「妹君だろう」

 

「今は無視して。発作みたいなもので、少し暴れるから。」

 

「咲夜は?」

 

「レミィがいないからって久しぶりに時間を止めずに寝てるわ。だから正和を頼ったのよ」

 

「こっち」

 

「危ない!」

 

いつのまにか移動していた妹君が放つ弾幕によって飛ばされるわけもなく。防御魔法を展開する事で当たることは避けた。しかしおかしい。妹君はつい先程まで優雅な読書タイムだったはず。一体なぜ急に暴れ出したのか。そんなことを考える余裕もなく、俺は避けることに専念するばかり。暴れまくる妹君に対してそのような余裕はない。弾幕で攻めて来てるのがせめてもの救いだろうか。こちらも魔法陣を出して弾幕をばら撒く。パチュリー先生も俺と同じように…いや、随分と物量が違う。気持ちわる。

 

「っ…っ…」

 

「いつもはどれぐらいで収まる」

 

「長くて二日、短くても一時間はかかったはずよ。とは言っても、私も数回しか出会ってないけど!」

 

「…ますたーすぱーく」

 

あの魔法使いの真似をする。大きな光線が目の前に広がり、オレの手の大きさに不相応な眩さと力強さで妹君を襲った。そのまま地面に叩きつけられたかはわからないが、気絶させることができたらしい。これで収まるだろう。しかし、いつもの妹君ならばこうはならなかっただろうな。やっぱり理性がないとどうも難しいらしい。悲しい話だ。パチュリー先生に目をやると、何か咳き込み始めた。喘息か。どこからともなく救急箱を持って来た使い魔が手当てを始めた。咲夜がもしこんな病に伏したら。俺はまず間違いなく身代わりの魔法を作り出そうとするだろう。

 

「意外ね」

 

「?」

 

「貴方、咲夜以外には認識してるのかすら危ういと思ってたのに。見ただけで術式も…」

 

「認識はしてる。興味もある。ただそれまでだ。家族じゃない」

 

「…レミィの言い分なら、紅魔館に住む奴は人妖問わずに家族だって。」

 

「同じ認識だ。親戚くらいには思ってる」

 

「全然違うじゃない」

 

「同じだ。」




パチュリー目線の正和は、金の成る木
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