俺は(妹の幸せを願う)お兄ちゃんだぞ   作:覚め

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豊郷耳と出会った時、人は慕うか敵対するか敬遠するか…あれ、意外とあるな。


お兄ちゃんの嫌いなタイプ

「私の使う魔法は全てこれに入ってますね」

 

「うおすっげ」

 

大魔法使いに会いに来た。魔法陣に乗りながら訪ねたところ、快く迎えてくれた。数名は顔が受け入れないと言っていたが、まあ知らん。そんなわけで、今俺は大魔法使いたる聖白蓮に魔法を見せてもらっているところだ。とは言っても見せられているのは魔法陣、しかも巻物に仕舞われたエア魔法陣に近しいものだ。欲しいとも思える。が、そもそも魔法陣は全部自分で作れるから良いかと思い直す。どうやら俺の魔法は、使い方としてはかなり珍しいようだ。聖白蓮が頭をハテナにしていた。

 

「魔法陣を覚えて魔法で描く…?」

 

「簡単な魔法だ。さっき乗ってたのは防御用の魔法陣でな、ほら」

 

「早い…私もそのような使い方をしたいものです」

 

「…聖さんの魔法は量が多いからな。それは無理だ」

 

「一輪はどうでしょう?」

 

「わたしは姐さん達のものとは違いますよ。ねえ雲山」

 

「良くも悪くも入道使いってことだな」

 

うーんと首を捻る。そんなものか、と言われればそうなのだが、だが。そんなもので済ませるようなものなのだろうか。妖怪を使役する元人間。入道がどれくらいの妖怪かは知らないが、名は売れていたはずだ。だからもう少し、こう、あったはずだろう。と、思案していたら一輪に誘われた。手合わせに。勿論入道と魔法は使える前提で。…悪いが、肉弾戦は最近トラウマを植え付けられたばかりなので控えたい。星熊勇儀とか言うやつのせいだ。あれに比べれば吸血鬼どもは…いや、やめておこう。

 

「では…はじめ!!」

 

掛け声と共に入道に投げられた一輪が俺に蹴りを喰らわせようとしてきた。ので避ける。成る程、入道にも意思はある。つまりは…あれ、二対一じゃねえかこれ。…容赦しないで行こう。空間移動魔法に腕を突っ込み、そのまま一輪の腹を殴る。もう一つ、空間移動魔法越しに入道も殴る。が、大きさが変わったのか外す。これは意外。腕を引っ込ませて空間移動を用いて一輪の後ろを通る。

 

「雲山!」

 

「っえ」

 

なんかこの入道、腕飛ばしてくるんですけど。殴られてしまい、少し一輪から遠ざかる。腕に手のひらサイズの魔法陣を並べて行き、その各魔法陣から魔力を放つ。これをマスタースパークと呼ぶとやはり霧雨がうるさいので、ただの魔力放出である。

 

「うわっ!?」

 

「余波はわたしが防ぐのでお構いなく」

 

「…バケモンかよ…」

 

しかしどうやら入道雲には大した効果がないようだ。なので、殴られると思った時に反射魔法を展開。勿論無色で。するとこれは効果があったようで。拳を思い切りぶつけた人間のように振っていた。人間臭いぞこの雲。その間に俺に近づいた一輪に殴られる。痛い。腐っても妖怪、でも入道よりは痛くない。腕から魔力、一輪が跳んだ先に反射魔法。こうするとどうなるか。簡単に言うと誰かに意図的に体をぶつけたような感覚になる。そこに魔力を放つ。勝負有りだ

 

「と、思うじゃん?」

 

「は?」

 

横からえげつない衝撃。どうやら俺の展開した大きさの反射魔法では抑えられない力で入道雲が殴り抜いたらしい。普通大きさは変わっても力は変わらねえはずだろ。魔法じゃねえんだぞ。あー、殴られた顎が痛い。そもそも生き残るための魔法を戦いに使うことがおかしい。次に魔法を覚える時は攻撃魔法でも覚えてみるか。入道が手を差し伸べてきたので、それに応じて立ち上がる。たいした傷ではない、なんならまだ続けようと思えば出来る。が、負けは負け。普通にストレート負けである。くそっ。

 

「悔し〜」

 

「悔しいのはこっちだよ。なんで雲山の本気受けて気絶もしてないのさ」

 

「…秘密だな」

 

「魔法ですね?」

 

「えっ」

 

「おい言うな」

 

「常に体の周りに防御魔法ですね。尖った物で傷を負わないように。それが毎回緩和材のような役割を果たしているんですよね?」

 

「ちょっと違うけど大体合ってる。」

 

ノーレッジが気付いてたかは知らない。が、基本このような手合わせ以外はどの魔法も攻撃も避けることを大前提に動いてきた俺の防御魔法は誰も指摘して来なかったのに。初めて看破された。多分だが初対面時からずっと気付かれていた。雲山も殴った感触からわかっていたはずだ。つまりこのまま続けていた場合、雲山はまず魔法を殴って壊すことを目的に殴り始めるかもしれない。怖いな、絵面が。ちなみに地面に押し付けられて殴られたりするとほとんど衝撃が直で来るので弱い。

 

「…本当に傷ないんだ」

 

「最近、鬼に殴られてな。それ以外はまだ耐えられるようになった」

 

「鬼?どんな鬼?」

 

「…四天王」

 

「へぇぇえ!?」

 

「鬼?四天王…?どう言うことですか?」

 

「頼み事で地底に行ったらな、こう、地雷踏んだっぽくてな。キレて殴りかかられてそのまま死にかけたってわけ」

 

「『ってわけ』で済まないよそれ…雲山でも力負けする奴相手に喧嘩売っちゃダメでしょ」

 

「…?」

 

実際あいつに殴られてから数日の間はマジで神社の中でしか歩けなかったくらいにはトラウマだった。飛ぶのは平気なのにね。変な話だ。微かな物音にも敏感になった。その様子を見た秋姉妹から際限なく心配された。個人的にはあの勝負とも言えない一方的な鬼ごっこを乗り越えたところで何もないのは見えていた…伊吹萃香がいつ俺を殴りに来るのかを考えるだけで少し億劫だ。単純な力で言えばどう考えても俺の三倍はある。俺が三人いて合体して腕相撲すると、多分負けるくらいには強い。あいつらには強さ以外が載ってる辞書はないのだろう。あっても酒とつまみだな。

 

「…相当トラウマなのか」

 

「あいつのせいで数日引きこもった」

 

「まぁ…一輪、手合わせしたくなってきましたか?」

 

「私は流石に殺されたくないです」




このパンチは今まででどこでも喰らったことがない…いや、一度だけある。こんなエグいパンチは…
それに比べたら吸血鬼の力とかカスや
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