俺は(妹の幸せを願う)お兄ちゃんだぞ   作:覚め

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ぶっちゃけあんな瀟洒なメイドがお兄ちゃんとか呼ぶわけないし、かと言ってお兄様は違うし。


お兄ちゃんだって

「…いい加減、意欲的に働いてくれないかしら」

 

「失礼な」

 

「貴方の運命、どう見ても意欲的なんて言葉がないのよ」

 

「失礼な」

 

「咲夜がいるからここで働いてるって、妖精達の間じゃ有名なのよ?」

 

「失礼な」

 

「グングニ」

 

「レミィやめて!」

 

「と、図書館が!崩れますから!」

 

「失礼な」

 

家主とのご対面、後に席を立つ。泥棒を退治するために。どうやら忍び込んだ魔法使いは性懲りも無くまた盗もうとしているらしく、図書館の中を彷徨いている。俺の学んだ魔法はほとんど生存特化の為、誰が入って来たかとかはすぐに分かるようになっている。知らない奴は即刻捕まえて三ケ首になるまでの拷問である。生えなければ死ぬ。とりあえず魔法使いを捕まえに行く。しかし妙に動き回るな…もしかしたら妹君がすでに見つけて追いかけているのかもしれない。

 

「うわっ!?」

 

「捕まえた」

 

「ちょ、やめろ、私にそんな趣味はない!」

 

「館長」

 

「ここ最近の泥棒は貴女ね。どう死にたいのかだけ教えてもらえる?」

 

「な、わ、私とパチュリーの仲だろ?良いじゃないかそれくらい」

 

「レミィ、あいつを空中に持ち上げるから。あいつには使って良いわよ」

 

「グングニルね」

 

「ごめんなさいって」

 

なんとも情けない。泥棒のくせに死ぬ根性すらないとは。しかしまあ殺されては困るのも事実。咲夜の友達候補が減るから。こいつが咲夜と友達になるかどうかは置いておくが。家主である姉君とのカウンセリングを終え、もう一度図書館を回る。魔法というのはそれなりに面倒なもので、自身を天才だと称する泥棒の魔法使いは八卦路というよくわからない媒介を使ってマスタースパークを放っているらしい。出力が足りなければ道具に頼るのが一番なんだとか。道具に頼るつもりは一切ない俺だが、さてどうするべきか。

 

「…」

 

「何探してるんですか?」

 

「これ」

 

「…え、家出でもするんですか?」

 

「しない」

 

「じゃあなんで空間移動の魔法なんか…」

 

「お前みたいなやつを送り飛ばす為だ」

 

手を使い魔に向けて出し、飛ばす。飛ばした先は知らない。死にはしないだろう。多分。かなり希望的観測の強い考えではあるが、間違いではないはずだ。実際あの使い魔もそこそこに魔力はあるわけだから。むしろパチュリー先生の使い魔で魔力が全然ないというのもおかしな話ではある。是非とも成長して帰って来てもらいたい。ちなみに館から徒歩二時間の範囲には飛ばしてないはずだ。長距離移動用の魔法だからな。その気になれば時間はかかっても月に行けるはずだ。莫大な魔力も必要となるが。

 

「…」

 

「何、あいつも私と同じ魔法を得たの?どこの魔導書なのか教えてもらえなければ殺すぞ」

 

「妹様、あの、パチュリー様が、死にかけてますから、その」

 

「ああ、身代わり?献身的な従者ね」

 

「あがぇ!?」

 

「けほっ…空間移動魔法を高速で使って行き来してるだけ。少し透けて見えるでしょ」

 

「本当ね。気持ちわる…」

 

なんだか嫌な話をされ続けている。どうやら泥棒たるどこぞの魔法使いはどうにか処理されたらしく、魔力を生み出すだけの謎の魔石のような扱いを受けていた。かわいそうに、しかし泥棒は事実なので是非とも償うべきだ。空間移動魔法の連発はかなり精神を削り、精々長引いて三十分とかそこら辺でしか続かない。あと想像以上に酔う。思わず手に持っていた魔導書を閉じたほどだ。さてそんな暇つぶしをしていたところで妹君の退屈凌ぎに手伝えと魔法バトルを申し込まれた。酔った体には些かきついが、断ることを誰も許す気はないような雰囲気。

 

「…」

 

「本当にやるわよ…じゃあまずはレーヴァテインから」

 

「ふんっ」

 

「ぎゃっ!?…は!?」

 

切った。とは言え、防御魔法でよく使う魔法陣を投げただけだが。盾で攻撃できないのは軟弱者だからである。盾で顔面を叩けば視界も塞げて殴れるのだ。そんなことは決してないが、俺の魔法陣はそれほどに硬くてそれほどに薄い。パチュリー先生が感嘆の息を漏らす程の技だ。そんな姿を見たことはないが。咲夜以外からの評価はどうでも良いし、館の主人からどう思われても良い。咲夜を守るための盾になれるのなら、むしろそれ以上は望まない。望むべきでもないだろう。

 

「え、えげつないことしますね!?」

 

「黙れ」

 

「ひゃー!」

 

「小悪魔、リセット」

 

「あぎっ!?」

 

「まさか初手で…発想が自由ね、正和は」

 

「咲夜が絡まなければね。」

 

「…妹離れしたほうがいいでしょ」

 

「レミィのこと?正和のこと?」

 

魔法を使っても魔力が減ることはない。つーかそれを体感できるほど魔力量低くない。多い理由は知らない。咲夜と過ごしていた日々で魔力を使った覚えはないし、その上で紅魔館に流れ着いてから数ヶ月して魔法を知ったくらいには存在自体を認知して無かった。それくらい興味がない。まして咲夜を守る術になることを知るまでは、興味どころか知っても翌日には忘れていたと自信に満ち溢れながら答えられるほどには印象にないものだったはずだ。俺は才能があるらしいが、それも知らない。

 

「正和」

 

「…何ですか」

 

「仕事がない限りベンチに座りっぱなしなのは良いわ。この際何も言わない。その上で話すから、よく聞いてくれる?」

 

「何」

 

「…貴方、今年の冬場は外出禁止。」




フランドールからした正和はいつの間にかいたお気に入りの存在(詳しいことはよくわからないが、なんかいた)。
なおレミリアはフランドールが出て来たことに対してなんか出て来てるなんだコイツと思っている。
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