俺は(妹の幸せを願う)お兄ちゃんだぞ   作:覚め

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タイトル被ってねえよな、と戦々恐々としております


お兄ちゃんと寺

寺。俺からすればほぼ無縁だろうと思っていたのだが、秋姉妹が喧嘩を売りに行きたいと騒いだ為、ここに来た。面倒ごとは避けてほしい。一番避けてほしいのはもちろん聖白蓮が暴れること。一輪の後ろにいた雲が本気で力勝負をしても尚勝ち目がないらしい。魔法が使える完全な肉体派。恐らくはレミリアと同じように速いし殴れるし、その上魔法もできるのだろう。悪いが聖白蓮が出てきた瞬間俺は帰らせてもらう。勝手にやっていてほしい。まだ死ぬ時ではない。

 

「正和、これ飲も」

 

「酒じゃん」

 

「姐さんが見てない今がチャンスなの。で、正和も飲んで。そしたら私のお仕置き無くなるから。」

 

「酒は呑まない。」

 

「人生の半分損だよそれ」

 

「ガチトーンで言うな。酔っ払うと魔法使えないから飲みたくないんだよ」

 

「お、人外に警戒?私も人外だけど?」

 

「昔住んでたところの習性だな。普通に慣れる慣れないじゃないくらいには染み付いた」

 

一輪の酒飲め攻撃をかわし、秋姉妹が聖に対してあーだこーだ言ってる場を見る。何事も笑顔で過ごしている聖にはどうやら効かないらしい。段々と秋姉妹が小さくなっていく。そこに酒瓶を投げ込む。一輪のものだ。わざとらしく大きな声で、一輪に呼びかける。すると聖の表情が変化。笑顔ではあるが、どこか鬼気迫るものになった。一輪は体をブルブルと震わせ、俺に助けを求めた。…無視。そういえば、こいつらは里で顔が売れているはずだ。事情もある程度は知られている。一輪はどこから酒を仕入れたのだろうか。

 

「一輪。貴女は何故お酒を飲むのですか?お酒が好きだからですか?それとも何か考えがあるのですか?」

 

「…寅丸、どうした」

 

「私も宝塔無くすと部下にあんなふうに詰められるので、胃が」

 

「もうお前向いてねえだろ。俺んとこで保管してやろうか?」

 

「え、良いんですか!?」

 

「ダメに決まってんだろ自分で管理しろハゲ」

 

「まだ頭髪までは失ってませんよ!?」

 

秋姉妹はキレた聖を見て恐れてしまい、足早に帰っていった。何しにきたんだろう。俺も帰ろうとしたところ、寅丸に抑えられた。どうやら話すことがあるらしい。キレてる聖の横を通り、一輪に睨まれるもそれを聖が一喝。俺は笑いかけた。そのまま空いている部屋に連れて行かれて、寅丸と対面する。…何やら面倒ごとの気配を感じる。無理矢理にでも帰るか…?いや、寅丸も相当の実力者だと聞いている。抑えられるかもしれん。目眩しの魔法なんかないからな…詰んだかこれ。

 

「何だよ」

 

「何もないです」

 

「じゃあ何で連れてきたんだよ」

 

「…あの、人が怒られてるのって気分的に良くないじゃないですか」

 

「は?」

 

「えっ」

 

「…それなら手合わせとか言って何処か行けばよかっただろ。」

 

「戦うのは嫌です」

 

積極的に戦うほど好きではない、か。それでも関係ないからと俺は帰るための魔法陣を作ろうとして、何故か寅丸に抑えられる。どうやら聖にそう言った物事を察されたくないらしい。面倒くさいぞこいつ。付き合ってる相手が別れ話を言い出したら泣き喚いてでも引き留めてそう。ある程度の理屈を無視してでも引き留めてそう。まあ物を失くすような奴だから仕方ないか。グチグチとそう言ったことを告げていると、なんと睨まれた。巻き込まれた側だぞ俺は。無理矢理にでも帰ってやろうか。

 

「じゃ、じゃあ戦いましょう!私も侮辱されたまま引き下がるわけには!」

 

「戦うの嫌いなんだろ。俺も妹関係以外で戦いたくない。」

 

「な…えっと…えー…」

 

詰まった。どうでも良いので帰るとしたい。が、寅丸はいちゃもんで戦うことにしたらしい。宝塔を失くした、お前が犯人だろう、という推察だ。名推理だ。俺もこの寺は戦闘狂の集まりだと推察させてもらう。

 

「っ」

 

「この…!」

 

「どうしたんですか星!」

 

「俺が宝塔を盗ったらしい。」

 

「え!?」

 

「それは私も看過できません!」

 

「聖!?」

 

聖も混ざろうとして来た。こうなったらもう星に訴えかける。自分でやると言え。俺は嫌だぞ。他人のアリバイに協力して死ぬなんて。そう訴えると、聞き入れたのか大声で関わるなと叫んだ。ビリビリとするほどの大声で。星が出してくる手を全て払う。…手抜いてるな、こいつ。

 

「もう離れただろ」

 

「ええ、では本気で」

 

顔を掠める。急に速くするな、痛いだろ。腕を掴んで潰そうとするが、掴んだ手ごと投げ飛ばされる。どんな力してんだ。やっぱりレミリアの言う通りの老化が進んできてるのかもしれない。あとは運動不足か。投げ飛ばされてから着地、魔法陣で罠を幾つか仕込む。端が飛んできたので、顔面を蹴って地面に叩き落とす。罠を発動、とは言っても魔力の放出だが。一々面倒なんだぞ、こう言う物事の調節って。ほぼ無傷で出て来た星の顔面に反射魔法を仕込んだ場所に飛ぶように蹴る。

 

「いだっ」

 

「…いつまでやんの」

 

「私が満足するまで!」

 

なので殴られ続けることにした。魔法の膜を特別強くして、それで耐えてみよう。殴る、蹴る、突き、抉り。無論全て効かねえ。行動に脳みそを割かなくて良いので、その分魔法に割ける。つまり今の俺は星熊勇儀とかそこら辺のバケモンじゃない限り大したダメージはない。多分。俺が欠伸したり眠りそうになったりしてる中、寅丸の猛攻は止まない。そろそろ打撃音でノイローゼになるかという頃、ようやく終わった。寅丸は肩で息をしていたので、鼻で笑ったところ最後の一撃。もちろん膜は破れない。

 

「なん…なんですか…これ…っ」

 

「疲れただろ。帰す」

 

「いやあの、貴方の外殻みたいなのは…?」

 

「防御全振りの魔法。ほれ、肩貸すから」

 

「すみません…」




その後、宝塔を寅丸の部屋から見つけた聖が一輪の髪の毛を掴みながら出迎えてくれた。
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