俺は(妹の幸せを願う)お兄ちゃんだぞ   作:覚め

45 / 45
兄。〜妹を中心に生きる異常な兄について〜


お兄ちゃんだぞ

レミリアに捕まえられた後、仕方ないのでバルムンクを巨大化させ、無理やり胸を貫いた。つまり俺は死んだ。が、何故かこうして生きている。紅魔館に未だ住み着いている。いや、住み着いていると言うわけじゃない。気が付いたら昨夜の部屋にいた。…なんか、布団に入れられてるような感じがする。意識はあるのに動けない。いや、多分動けるんだけど何かに縛られてるのか身動きが取れない。と言うか何、この視点。この感覚。新感覚サバイバーですらない。何これ?

 

「…よく寝た」

 

「咲夜!」

 

「!?…!?」

 

あれ、見えてないのか。それとももしかして、俺は完全に死んだが悪霊としてここにいるのか。残留思念ってことか。なるほどね、とか思ってたら咲夜と目が合った。…なんか、普通なら髪の毛か頭に値する部位を掴まれた気がしながら、咲夜が片手で握れる部位は頭にないだろと疑問を抱く。今の俺は実体がありながらも、咲夜に正和として認識されない状態。…今の俺って何?どんな形なの?頭の上に持ち手のようなものがあるってこと?

 

「咲夜」

 

「…兄さん?」

 

「おお、気付いた!?」

 

「…兄さん、どこにいるの?」

 

「今咲夜が待ってるものにいるよ」

 

「…そう言うマジックアイテム…?」

 

「多分」

 

「でも兄さん、これは剣でしょ」

 

衝撃の新事実。とりあえずレミリア達にいつバレるか試したいのでちょっと黙っておくか。咲夜もそれを承知するが、今は出かけている最中らしい。昼なのに。死にに行ったのか。じゃあ先にノーレッジに挨拶をしようと言って大図書館に来た。ノーレッジにはバラしておかないと、何を言われるかわからない。しかし咲夜、時を止めないとは悠長に歩いてきたものだ。何かあったのかな。能力は使えるはずだけど。それとも何か別の理由でもあったのかな。

 

「…なるほど。そもそもその剣に意思を込めることができたからかしら。前例を知らないから何とも言えないわね」

 

「変なことになりました」

 

「そう。じゃ、レミィを騙す手伝いね?」

 

何だか乗り気だな。そう思ったのも束の間、レミリア達が帰ってきた。右手に抱えているのは…俺の死体だった。待てよ、つまり俺は死んですぐにこの剣になって、その後瞬きする間もなく咲夜のそばに来たのか。魔法ってすげー。…咲夜からの視線を感じる。もしかして、今の言葉が外に出ていたのか?口を閉じねば。しかしなんだな、フランドールの泣き顔とレミリアの悔しがるような顔は初めて見た。人外のくせに、人間一人が死んでどうしてそんな顔をするのか。この先何年生きるつもりなんだこいつら。

 

「…咲夜、それ」

 

「気が付いたら私の横にありました」

 

「…そう。勝ち逃げされたわね」

 

「妹様は…?」

 

「フラン、泣くなら部屋に戻ってなさい。」

 

あのフランドールが静かにレミリアに従った。異様な光景である。少なくとも俺の前では素直に従うとしても何か言いながらとか、憎まれ口を叩いていたのだが。…人間一人が死んだだけだよな?俺の体、何も仕込まれてたりしないよな?もしかして、ノーレッジの手によって何か大事なものが…ないか。出ていく人間にそんなものを埋め込む方がおかしい。人外の大多数は先ほどのノーレッジのように、淡々と人間の死を認識すると思うのだが。二人は違うらしい。

 

「…」

 

「何?見て欲しいものでもあるの?」

 

「こちらを、ご覧にならなくても…?」

 

「良いの。それは正和が咲夜に譲渡したものでしょう。私が持っても拒絶されるわよ」

 

「そりゃそうだ」

 

「その通りでしょうか…」

 

「…今、正和の声した?」

 

「気付かねえ方が悪いよな」

 

「兄さん、もう飽きた?」

 

元より悪戯は咲夜の方が好きだった。棺桶に仕舞われた俺を見て、ふーん俺ってこんなところに心臓があったのかと、自分の記憶と違う部分に魅入る。その間に咲夜がノーレッジから聞かされたことを話していた。出来た妹というのはこう言うことを言うのだろう。お兄ちゃんとして誇りに思う。…こう思い始めたのもいつだったか。どこかで思い出すことにしておくか。やる気もそんなにあるわけではないけれども。何せ昔の自分を思い出すことは難しい。咲夜と目の前と食べ物くらいしか見てないからな。

 

「正和」

 

「何だ」

 

「…おかえりなさい」

 

「ざけんないきなり眷属にしてきやがって。」

 

「えっ」

 

「…お嬢様、それはどういう…?」

 

「悪いけど、いきなり死ぬからあとはよろしくなんて言ってくる方が悪いのよ。」

 

「兄さん?」

 

「ノーレッジには伝えてあったが…」

 

「パチェ!!」

 

剣のまま生きることになった。咲夜はそんな俺を見て、おかえりと言ってくれた。咲夜のおかえりなんて聴くことはないと思っていた。昔は住む場所がなかったし、今も紅魔館に帰ってくるなんて思ってもなかったから。驚いた。実際、俺も咲夜の家はここだと思ったから置いて出て行ったのだが。こう、言われてみると驚きを隠せない。…ところで、俺が入っている鞘はいつ渡されるんだ?あれがないと、浮かなければならないから返して欲しい。浮けることが分かれば、おそらくは鞘がついていても動けるだろうから。落ちた瞬間に床を傷つけるのは嫌だ。

 

「はい、兄さん」

 

「…違和感を感じるな」

 

「私はもう慣れたけど」

 

「とりあえずフランドールにはなんて説明しようか」

 

「お嬢様が説明すると思う。それはそうと兄さん、切れ味は?」

 

「レミリアのグングニルは無理」

 

「…大根とかは?」

 

「余裕。…料理に使うには長いか?」

 

「短くできる?」

 

「…いつも使ってる包丁出せ」




こんな感じで最終回。最終回に言うのもちょっとアレですけど、僕個人の中では美鈴と咲夜の格差は激しいものとなっています。能力有りなら。無しならまず咲夜が最下位です。ありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

[悲報]虎杖成り代わり、縄文時代に立つ[言葉が分からん](作者:夕暮れの家)(原作:超かぐや姫!)

モジュロ虎杖悠仁に成り代わった男が、8000年のヤチヨの道中に付き合う話。善人であり、虎杖ほどイカれていない男が非常に強い力を持ってしまったことで、様々な後悔を抱えながら現代にたどり着くお話です。▼本編完結しました。気長に後日談でも書いていきたいと思います。▼


総合評価:17779/評価:9.09/完結:39話/更新日時:2026年05月23日(土) 18:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>