俺は(妹の幸せを願う)お兄ちゃんだぞ   作:覚め

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冬に外出禁止って、そんな苦痛でもないか?


お兄ちゃんは出れません

「…長いな」

 

館の主人に何故か外出禁止を申し込まれ、はやくも冬が来た。もちろんこの間はなんと俺は庭にすら出られない。厳密に言えば別に庭くらいはいても良いけど死にたい時だけにしておけとのこと。ここの主人は未来予知じみたことができるので大人しく従っている最中である。とは言え。その分仕事を振られないように調節してくれているらしい。妖怪は気遣いも出来るのか、と少し驚いた。まあそんなわけで俺は今日も館主の意向で身体強化の魔法がない図書館に篭っているわけだ。ちなみに今年の冬は長いらしい。

 

「にしても長いですよねぇ冬!いっそのこと全部冬になったりしませんかね」

 

「小悪魔、仕事をしないとリセットするわよ」

 

「あ、すみません」

 

何やらストレスを溜めた風の使い魔がどこかに消えた。俺は魔導書を読み進め、酔い止めの魔法を見つける。どうやらこれまでの魔法使いには空を飛ぶと酔ったり吐いたりした奴がいたのだろう。魔導書の中に滅茶苦茶な文で愚痴られている。待て、これパチュリー先生だ。何やってんだあの人。魔導書を戻す。見なかったことにしよう。俺は何も知らない。そう、何も見てはない。別の棚から引っ張り出し、読み進める。読んだことのある魔導書だった。最近こういうことが多くて困る。そろそろ本の虫と揶揄されるかもしれない。

 

「そろそろじゃなくても言われてるぞ」

 

「霧雨、どうした」

 

「どうしたもこうしたもない。今年の冬が長引き過ぎてなぁ…異変なんじゃないかと魔理沙さんは睨んでる」

 

「そうか。頑張れ」

 

「正和も行こう!冬が長引くと咲夜にだって迷惑が出るんだぞ?」

 

「由」

 

「乾燥肌は乙女の大敵なんだよ…」

 

「今すぐに行こう」

 

「おっしゃ!」

 

手を地面に当て、魔法陣を展開。館の外へ脱出。ま、咲夜の手荒れの危機となれば俺が出ないわけにもいかず。霧雨と共に外に出て何をするのかと言えば、博麗の巫女を連れ出しに神社へ。館の主人が冬場の出禁を告げた次の日に、外出るなら博麗神社のみと指定された為である。そこから博麗の巫女に脅されたという事実を取り出し、そのあと俺が何をしようと博麗の巫女に脅された為と言える。建前くらいは必要である。以前好き勝手した時に問われまくったから覚えている。

 

「…何?」

 

「働け」

 

「は?」

 

「異変解決行こうぜ霊夢!」

 

「何言ってんの、冬が長引いてるだけで動くわけないでしょ」

 

「『だから解決したかったらさっさと勝手にやって。さっさと出てけ』。」

 

「脅されたか、仕方ない」

 

「アンタらが異変ってことでいい?」

 

こうして出て行った博麗の巫女と霧雨を見送り、俺は戻る。読んでいた魔導書がまだ終わってない。それにおそらくではあるが、博麗の巫女が出張るならこの異変は終わったと言っても良いことだろう。多分。それが幻想郷の決まりのようなものだとパチュリー先生に教えられた。最も例外自体はいくつかあるようだが。幻想郷の管理人を務めている妖怪は妖怪退治の対象外だったり。

 

「…なんだ、これは」

 

「貴方ねぇ…ここを出るならせめて正門から。魔法で瞬間移動なんてするな。」

 

「フランドール、やりすぎ。」

 

「魔道具で縛るくらい別に良いでしょ。外に出たら死ぬやつをそのまま放り出すほど出来た妖怪じゃないのよ」

 

「出るぞ」

 

魔道具から外れ、そのまま図書館の椅子に座り込む。魔道具で縛って来たことを見るに、おそらくあの魔道具はかなりの強力なものなのだろう。常に防御魔法で体の少し外に膜を張っている俺には関係のないことだったが。魔法陣を出し、少し弄る。霧雨の道具を媒介としたものを少しバカにした記憶があるが、実際のところ俺もやっていることは変わらない。魔法陣を媒介にしたものが多く、その魔法陣を今組み替えている。実は透明に出来たりもする。誰にも教えてはないが。

 

「良し」

 

「…何をどこから引っ張り出すつもり?」

 

「岩をそこら辺から」

 

「そんなことできますかね」

 

「出来るから今組み替えたのよ、小悪魔。」

 

「あ、そっか」

 

「…正和、私のレーヴァテインもこれで」

 

「断る」

 

「なっ」

 

実際妹君の武具は桁違いの魔力量が込められている。あんなものを何回も出し入れするなんて、俺の移動用に使う魔法陣をぶち壊せと言っているようなもの。まず間違いなく2度の運用で壊れる。まずそもそも咲夜関連以外の物を運びたくない。あとこの魔法は指定した場所から現在地の魔法陣まで飛ばす魔法だ。レーヴァテインが何日持つのか知らないけど普通に無理だ。そういえば、ここ幻想郷には俺が今作った魔法陣と同じようなことができる妖怪がいるとかなんとか。管理人らしいが、会ったことないと思う。

 

「正和の魔法は陰湿でムカつくのよ」

 

「そうね。防ぐだけかと思えば跳ね返したり、弾いたり。気付けば変な魔法で逃げられるし。子供の頃からそうよね」

 

「当然だと思うが」

 

「少なくとも同居人ですよ!?友好的態度をですね」

 

「人と妖だ」

 

「あれ、私達って拾った側ですよね、パチュリー様」

 

「万番に聞きなさい。」

 

拾われた日のことを覚えているか聞かれれば、その日は嫌なほどの日差しとそれに見合わない寒さだったことを覚えていると答える。事実それしか覚えておらず、門番に拾われたのか主人に拾われたのかも分かっていない。門番が恩着せがましくしつこく言ってくることを踏まえれば、恐らくは門番に拾われたのだろう。これで主人が拾ったのであれば、門番は即刻クビで良いだろう。勝手に拾われていて欲しい物である。というかその時からずっと咲夜以外に気を遣える余裕はなかったし。

 

「…でも最近の正和は警戒心が解けて来てるように感じるわ。やっぱり同じ人間がいるから?」

 

「さあ」

 

「つまり魔法使いや巫女を通して活発な正和を見れるということですね!?」

 

「本が読めない。黙って、小悪魔」

 

「私だけ??」




レミリアのグングニルはまだ整備されてそうだけど、フランドールのレーヴァテインはかなり雑に見えた俺は心が薄汚れている。
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