吸血鬼はクソです。
「宴会か」
「そう。咲夜が参加しないって言うから、正和が行くかなって思ったのよ」
「ただ置き去りにして行けばいいだろう」
「そうも行かないのよ。パチェの奴が連れて行けってね。聞かないのよ」
どうやらパチュリー先生に呼ばれているらしい。どうにかして回避出来ないかと考えてみるも、仮にも館の主人相手に逃げ切ることはほぼ難しいだろう。その気になればパチュリー先生が捕まえてくる。開催場所を尋ねてみると、不思議なことに博麗神社だった。仕方が無い。行くとしよう。空間移動魔法で神社までの道を通し、そこを通る。さっさと魔法を閉じて館の主人が来ないようにする。さて…どうにかして宴会を中止させるか。まずはここの巫女を…酒飲んでるのかよ…無理だなコレは。諦めるか。
「あれ、今日はアンタも参加するの?」
「嫌々ながらだ。」
「でしょうね。こう言う場が好きには見えないもの。」
「…ここ最近、妙に勝負を仕掛けてくる奴が多くて困る」
「嫌いなの?」
「面倒だから。変なことをして咲夜の負担にはなりたく無い」
「じゃあなんであの館に居続けてるのよ。」
「…どこか適当な妖怪の住処でも奪うか」
「やってることが野蛮。退治対象にするわよ」
やりすぎは良く無いらしい。同居くらいでなんとか出来ないものか。住処に強いこだわりがあって、その上である程度強い奴。それなら俺もさっさと住処に同棲できると思うのだが、そもそもいるのだろうかそんな奴。多分居ないと思う。博麗神社で宴会が開かれるのを待っていると、日も暮れないうちに数人やってきた。アリスに霧雨、なんかよくわからない刀を持った奴、後のほほんとした変な奴。人外多いな…最後に紅魔館の奴らが数人。なんだか面倒なことになったな。
「…誰ですか、この人」
「人間」
「いやそうじゃなくてですね」
「妖夢、そんなことは別にいいじゃない。早く宴会の食事を楽しみたいわぁ」
「なんだあいつら」
「冥界の奴らだよ」
冥界。と言うことはあの世の人外か。まあそこら辺を考えたらアイツからしたら俺の方が人外か。全く面倒な。酒と料理が出てきた段階で俺は距離をとる。酒は苦手ではない。酔っ払いが苦手だ。以前、血とワインの混ざった物を飲んだ妹君に絡まれたことがあるからだ。何故か急に血を吸わせろと宣って来たりした。魔法陣で隔離してなんとか吸われなかったが、よくよく考えると今ここに吸血鬼がいるのか。なんなら妹君もいる。触られないように魔法を使うしかないな。
「あん?アンタ酒呑まないの?」
「そうだ」
「…呑め!!」
「っ!?」
「霊夢が酒呑ませてるぞ!」
「加勢するわよ!」
「なっ」
どうやら本気で呑まそうとしているらしい。今の俺は触れたら結構痛いのだが、それを伝えてもなお触ろうとしてくる。仕舞いには酒をぶっかけて来たりもする。なので顔面を掴んでやる。一応この魔法の理屈を説明しておこう。触られた感覚を伝える電気信号を魔力で強化しているものだ。つまり馬鹿強い静電気のような物。もちろん俺は痛くない。巫女はかなり痛いはずなのだが、顔面をピクピクさせるだけで済ませている。もちろん電気が痛いだけなので、ピクピクするのは正しいはずなのだが…なんで剥がそうともせずに酒を…?
「くそっ」
「私の酒が呑めないの!?」
「なんでこんな力強いんだ!?」
「馬鹿ね、酒を呑んだ酔っ払いは力が入らなくなるか異様に力が強くなるかの二つしかないのよ」
「っ…」
「私のワインを呑みなさい」
家主も同じ穴の狢らしい。口に含まされた。不味い。とても不味い。あと酸っぱい。あとなんか、なんだろうこれ、妙に気持ち悪い酒があった。呑まされた以上の見込みはするが、なん、なんだこれ…気持ち悪い…原因を追求しようとすると、霧雨が大きい声でその正体を叫んだ。巫女の口噛み酒。どうやら目の前にいる泥酔した巫女が、たまに作る口噛み酒だったらしい。咲夜のものなら大歓迎だが、それ以外の口噛み酒を飲まされるとは。少し離れたところで無理やり吐いた。なんだあいつら、気持ち悪い。
「大変ねぇ」
「冥界の住人か」
「私はお酒飲んでもそこまで酔わないのよぉ。」
「酔ってるだろ」
「いやいや。あ、そうだ。」
「?」
「貴方、得意な料理はある?」
「無い」
「料理はできる?」
「できる」
「私たちのところで働いたりは?」
「しない」
変な話を持ちかけられた。が、直後俺の肩に触れて若干の悲鳴を挙げた妹君が割って入った。従者を横取りするなと叫びに来たらしい。独占欲強いなこの吸血鬼。そして冥界の住人である幽々子とか言うやつを追い払った後、血を吸わせろと懇願して来た。力づくで吸えばいいのに、何故こうも妙に話し合いで吸おうとしてくるのか。尚、触れたら激痛が走るために少し距離を取られている。是非とも永遠にそうやって距離を取り続けてほしい。ちなみにだが、痛みの強弱は消費する魔力によって調節できる。今は全力の六割程度だ。なんで耐えられてんだあの巫女。
「吸わせて」
「断る」
「じゃあ力づくで…痛っ」
「そう言う魔法だ。何故か巫女には効かなかったが」
「あー…あの巫女、妙に痛みに強いのよね。多分そう言う訓練でも受けたんじゃ無い?…あ、慣れた」
「!?」
魔法一つで安心できる?甘ったれるな。