UA7000、ありがとうございます。そして今回は皆さんお待ちかね、パーパルディアの悪女レミールさんが登場しますよ。
「ど、どういう風の吹き回しだよこれは。」
彼が手に握っているのは、いつも通り質の悪い紙。彼の名はマールス。ハンガリーの外交官だ。というのも、パーパルディアの方から直々にお呼び出しがあったのだ。それも、良いのか悪いのかと言った感じのものが。実は、第三外務局から第一外務局に管轄を変えるぜという旨の手紙。マールスにとってそれは本当に、不吉な予感でしかなかった。どうしてだろう。本当は、喜ばしい話のはずなのに胃袋がきりきり痛む。なんというかまるで、家の中で傘でもさしているよう。とにかくおかしな気分だ。
「……奴さんも流石に気づいたか?こっちの脅威に。」
とはいえ、あのプライドの塊とも見える国が第一外務局に我々を置くだなんて。あの、被害者意識を前提とした自尊心は一体どこへやら。
「とにかく、行くしかないよな。」
そうだ。こうやって道草を食っている暇なんてどこにも無い。やることは、何れにせよ変わらないのだ。
「さあて、行くとしようか。」
と、葉巻を蒸しながら言うのはリヒャルト。ここまで送ってきた、カイゼリン・エリザベートの艦長だ。今回は軍事知識の専門家と護衛としてついている。そんな、余裕をこいて良いんだろうか。これから始まるのはとんでもないものな気がするのに。
「おいおい、最初もそうだったじゃないか。もうちょっと気楽に行こうぜ。」
「そうは言っても……あんまりにもムーブがおかしいんだ。」
だって、あんなに蛮族蛮族と連呼していたのにいきなり扱いを列強と同等にするだなんて。しかも、それを裏付けるのは単なる勘だけじゃない。だって、最初に言ってた気がするんだ。『列強国だけに治外法権を認めている』と。詰まる所、逆に言えばそれほど列強は特別扱いされているわけだ。ならば尚更この掌返しは不自然に思えてしまう。外交文章からは、懐かしい古びた紙の匂いがした。
そうこうしているうちに、気づけば第一外務局。東にはまさに今、太陽が回ったばかりの早朝。こんな朝っぱらから、きっと向こうも忙しいだろうに。何をおっ始める気だというのか。
「……どうにもやっぱり、引っかかるな。」
そして、そのまま白くて、言葉を失うほど豪奢な建物へと通される。第三外務局と同じ匂い。埃一つない床の、なんと美しいことか。
「わお。第三外務局とは一味違うね。」
マールスが恐る恐ると言った様子で玄関に入る。すると突然目の前に現れる、新しい装飾たち。前見たような、ロココ趣味とはかけ離れているそれだった。もちろん、豪華なのに変わりはないので胃が痛くなるが。
目的の部屋が近づくごとに、マールスの耳にはきいんという音が徐々に大きく聞こえてくる。イタズラ妖精の囁きか何かだろうか。確か、ここはお城の隣。城には妖精が居着くらしいから、きっとそう言うことだと信じよう。いいや、縋らせてください。と、思いながら、しいんとした廊下を歩くマールス。外には、まだ青空が広がったばかり。大きなる目を見開いて
「ハンガリーの方ですね。こちらへどうぞ。」
案内の兵士に通されて、再びそっと次の部屋へと向かう。マールスの胃の痛むのは単に緊張と不自然と、この豪華さへの酔いばかりじゃない。ここでしくじれば本国から大目玉を喰らうに違いないから。こんな、話の通じない国を相手にしていると言うのに。そしてもう一つ。マールスは気付いていない。パーパルディアがムカつくのはもちろんだが、自身のナショナリズムが自分の首を絞めているのだと。とにかく、当たり前ながら、大元の原因はパーパルディアにあるが、マールスにも少しだけ帰責性があるということ。
「………」
ついに、来てしまった。リヒャルトとマールスは、ごくりと生唾を飲んだ。この先から、何だかとんでもない瘴気でも漏れ出しているんだろうか。いい匂いのはずなのに、足も体も鉛のように重い。この大きな木のドアだって、まるで地獄の入り口のよう。
「どうぞ。」
ギイ、と音を鳴らしてゆっくりと扉が開かれる。するとやはりその中も、例に漏れず豪華な装飾。その中で、銀髪の女の赤い服を着たるがでんとソファーに座っていた。その目が、竜が如くこちらへくっと睨みをきかせている。そしてその、薔薇のように赤い唇を開いてみせた。
「パーパルディア皇国、第1外務局のレミールだ。おまえたちハンガリーにたいしての外交担当だと思って良い」
レミール、と言っただろうか。とにかくその女は、さっきから変わらず鋭い眼差しをこちらへ向けていた。前と同じで、相当に鼻につくやつだろう。その目力によってか、まるでマールスはゴルゴンに睨まれたみたいに一瞬固まってしまった。
「ハンガリー外務・貿易省のマールスです。こちらは、ハンガリー海軍防護巡洋艦カイゼリン・エリザベートの艦長、リヒャルト・マクス・フォン・ゲイゼル。本日は、とても急なお呼び出しでしたが、一体どのようなことが?」
しばしの沈黙の後、レミールがまた口を開く。どこか誇らしげに。
「いや、今日はお前たちに面白いものを見せようと思ってな………これは皇帝のご意思でもある。」
その、どこか腹の立つ声。しかしマールスだって学んだ。流石にこれ以上の癇癪を起こさせるわけにはいくまい。
「それはそれは。いったい、何を見せていただけるのでしょうか?」
同時に、レミールがその鋭い目を使いに向けた。するとドアが開き、液晶ディスプレイのようなものが現れる。
「これは、魔導通信を進化させたものだ。この映像付き魔導通信を実用化しているのは神聖ミリシアル帝国と我が国くらいのものだ。」
マールスは、はあ、と間抜けな声を出して見せた。そんなものは、こちらの家庭ならどこでも大体揃っているんだが。とは言えず。これは、何だ。またいつもの通りの国力誇示だろうか。
「これを起動する前に、お前たちにチャンスをやろう。」
その須臾、マールスの顔色がふっと変わる。
「一体、何の茶番ですか?」
「まあ慌てるな。まずはその紙に目を通せ。」
こうなっては仕方ない。一旦、言われた通りにしよう。そうして、ぺらりと紙を捲る2人。すると、その紙を見たリヒャルトの顔がみるみると変わっていった。釘を刺すようだが、ある程度の冷静さがあり、あのナショナリズムという亡霊にも憑かれてない『リヒャルトが』こんな悪魔のような顔をしたのだ。マールスはさらなり。そしてそこに書かれた黒蟻のような文面そのものがまるで私を嘲笑っているようで。
・ハンガリーの王は、皇国人とし、皇国から派遣された者を置くこと。
・ハンガリー国内の法を皇国が監査し、皇国が必要に応じ、改正できるものとする。
・ハンガリー軍は皇国の求めに応じ、必要数を指定箇所に投入できることとすること。
・ハンガリーは皇国の求めに応じ、毎年指定数の奴隷を差し出すこと。
・ハンガリーは今後外交において、皇国の許可無くしてあたらな国と国交を結ぶことを禁ず。
・ハンガリーは現在把握している資源の全てを皇国に開示し、皇国の求めに応じてその資源を差し出すこと。
・ハンガリーは現在知りえている魔法技術のすべてを皇国に開示すること。
・パーパルディア皇国の民は皇帝陛下の名において、ハンガリー国民の生殺与奪権利を有する事とする。
・ハンガリー国民は……………………
と、ふざけた文面をすらすらと踊らせてくれおる外交文書。マールスは、もはや怒る気すら起きない。むしろ、そのお隣の提督こそ心配だ。聞いたことはないだろうか。優しい人間を、怒らせてはならないと。彼だってそうだ。だって、ロウリアの時のオブセッションを覚えてるだろう。わなわな震えながら黙りこくる一同。部屋には、沈黙だけが流れていった。空気がまるで、霜焼けのように冷たい。
「………………」
「あまりの慈悲深さにものも言えぬか。蛮族ど」
「ふざけてるのか貴様ああああああああああ!」
叫んだのは、マールスではない。リヒャルト・マクス・フォン・ゲイゼル。これまでの、数多の侮辱を全て我慢してきた張本人。冷静の申し子と言ってもいい。そんな彼が、怒りを露わにしたのだ。マールスは呆れたように目玉を回す。ああ、踏んじまったな。こういうタイプの奴の地雷を。
「分かっているだろうな!?このような属国以下の扱いを我らに押し付けるということはッ!どういうことかッ!!!」
「皇国の国力を知らぬ者が行う愚かな抗議だな。おまえたちハンガリーは比較的皇国の近くにあるにも関わらず、皇国の事を知らなさ過ぎる。当初いきがっていた蛮族も、普通なら皇都に来れば意見が変わる。態度も条件も軟化する。だがおまえたちハンガリーはあろうことか、最初から治外法権を認めないだの、通常の文明圏国家ですら行わないような……そう、まるで列強のような要求だ。お前たちは皇国の国力を認識できていない。もしくは外交の意見が実質的に本国に通っていない。通っていても、それを認識する能力が無い。」
わなわなと震えるリヒャルトの拳。それでも、毅然とした態度でいれるレミールには少し驚いたが。
「だから何だというのかッ!常識を守って接触し、それを蹴り飛ばし、こんな要求をした貴国に帰責性がないとは言わせない!」
「喋るな蛮族。観察軍を押し切っていい気になっているのだろうが、彼らは内部的な問題があったに過ぎない。即ち人的被害はゼロ。さあ、ハンガリーの使者よ!問おうじゃないか。その要求を飲むのか、それとも滅ぶか。」
さっき、地獄の入り口のようと比喩したが、やっぱり強ち間違いじゃなさそうだ。マールスはニヤリと笑う。だって俺たちは悪魔だ。悪魔を苦しめる地獄なんてありゃしない。これから、こいつらの苦しい顔を観れると考えるとマールスの顔から笑みが漏れてきたのだった。リヒャルトが息遣いの荒いのが聞こえてくる。相当に、汚れを溜め込んでいたんだろう。
「………もういいですよリヒャルト司令。結構です。」
そうして、マールスは目の前でその黄色びたガビガビの紙を、細かく破り捨てる。それを、やはりさっきのように睨みつけるレミール。どうやら、理解できなかったようで。そして、それをレミールの方へとパラパラと振りかけた。まるで、桜吹雪のように。
「蛮族、とはどこの国の事でしょうかねえ。貴国のことでしょうか。ブチギレて観察軍とかいう軍隊を送り、またキレて謎の要求をし、マミさんのスカートから出てくるような『単純な構造』の武器で威嚇する、貴国の事でしょうか。」
「マールス外交官、こいつ、殺していいでーすか?痕跡は何とか隠すので。」
「何だと!皇族たるレミール様になんて事を言うのだ!このばんぞ…ぐうっ!?」
振り上げられたサーベルを、すっと回り込んで避けるリヒャルト。さらに、それを持つ手をもぎりぎりと掴んで。折れるんじゃないかと、一瞬皇国兵を心配してしまったよ。本当の話。これで、皇国兵はサーベルを存分に振るうことはできない。
「喋るんじゃないよ『蛮族』。君は少し、立場を弁えるべきだね。今なら腕の関節一本で許して…」
「リヒャルト司令。やり過ぎです。」
「いいじゃないか。蛮族の腕の一本や2本くらい。ああ、そこの女も、どこか素行の悪いドイツ軍部隊にでも送ってやりたいものだよ。きっと、死んだような顔をして帰ってくるぜ、」
「リヒャルト司令。」
「はいはい。分かったよ。すみませんね。」
ようやく、乳飲子が哺乳瓶を離すように名残惜しそうに兵士を投げる。レミールは、やはり少しはブレたらしい。この状況でまだ強気でいられるのは尊敬するが。
「でも分かったでしょう。これがあなた方のやってきたことですよ。よおく、分かったんじゃないですかねえ?」
が、やはりレミールはレミール。我々の、少しの希望なんてすぐに揉み消されてしまった。本当、メンタルは良くできたお方だよ。メンタルは。これが、本当に彼らが言う蛮族なら、とっくに酷い目だ。
「ほっほっほ。そう言うと思ったぞ蛮族め。哀れなハンガリー国民よ。貴様らの外交官を憎むといい。」
すると、先ほどの液晶ディスプレイに何かが映される。この宿屋は、まさか。
「皇国で這い回っていたネズミの巣だ。貴様らのスパイだろう?そうでなくとも、貴様らのせいで死んだようなものだ。」
そのとき、レミールの顔が曇った。だって、マールスがそれを観て腹を抱えて笑っているから。
「ぷっ……うはは…あははははははははははははははは!!!いやあ!実に愉快な!ここは、もう引き払ったところでしょうよ!!全然見つけてくれねえからあえて泳がせて、やあっと尻尾掴んだと思ったらただの足跡だったなんて……くっ……!面白い…!…コントでもやってんのかこいつら……ああっはっはっは!!」
「何だと!?」
「ああはいはい、ごめんね。ここはもうもぬけの空よ。もぬけの空。わかるかい蛮族さん。ここはもう誰もいないのよ。脅しにも何にもなりましぇんよ。」
「貴様ぁ!」
そこに、マールスの手のひらがひゅっと飛んでくる。
「おっといいのかい。私もある程度の護身術は心得ております。」
「………だがこれはどうだね?観察軍の映像だ。」
また、使者に目配せをするレミール。すると、今度は映像が切り替わった。見えたのは、あおい海。まさかここは。
「ハンガリー海かっ!?」
「御名答だ蛮族。ここは貴様らの国のすぐそこにある海。これから我が領海になる場所だ。貴様ら、船がほとんどないらしいな。」
初めて、マールスの顔が青くなる。まるで、この映像に映るガビガビの海みたいに。
「だったら何だ!?」
「貴様らは輸送の多くをロウリアに頼っている。例えば、重人の運送も。」
しまった。虚をつかれた。完全に。ユニットの不足と、慢心。それが、今回の敗因。パーパルディアという国が、さすがではあると言う事を知らされた。さすが、せこい奴らだ。我々は強い。だがロウリアはどうだろう。それが1番遅れていたことのはずなのに。無防備を晒していた我々の負けだった。そう、本来なら。
「………やってみ給えよ。やれるものならば。」
「まだ分からんか蛮z……」
「飲み込みが悪いんだな。見逃してやるって言ってるんだよ。もういいでしょうマールス外交官。十分です。帰りましょう。貴方は、全権大使でしょう?」
「ええ、元よりそのつもりです。では。」
「待て。話はまだ」
「こちらの話はもう終わったので。」
マールスはレミールの言葉を、バサリと切り捨てた。その切れ味のいいことと言ったら。
「回答はNOとさせていただきます。それではまた機会があれば。まやってみれば分かりますよ。」
そうして、ひらりとコートを翻し帰っていくマールス。リヒャルトが振り返っていって見せた。まるで、挑発するみたいに。
「ああそうそう。降伏する時はくれぐれも、白旗を上げるように。」
ここは、アヴェ・マリアのステンドグラスが美しい政治部の部屋。もちろん、この条約のこと、外交のこと、全て送られている。マールスだって、この事を隠蔽する気はないそうだ。本来なら、というか今回でも何らかの罰くらいありそうだが、それは後でいい。情状酌量もあるだろうし。ヴィクトルは暖かい部屋の中で、深いため息をついた。彼の目には、いつぞやのサディストが宿っている。
「………ヴィクトル。」
「ああ。分かってる。ここまでやられて黙ってるほどバカじゃあ無い。既に、我々がどのくらい派兵するかも決めたんだ。」
そして、ぺらりと一枚白い紙を取り出す。ああ、そうだったな。これがまるで、あの時のようだよ。
「編成はこんな感じだ。」
紙を翻してみせるヴィクトル。またぺらりと音がした。ヤーノシュは面食らう。だってそこに、まるで蟻の隊列みたいに夥しく書いてあったのだから。ハンガリーが送る、その師団たちの名前が。
ハンガリー陸軍
第5歩兵旅団
第25歩兵旅団
第88軽混成大隊
第12アラボナ対空ミサイル連隊
ハンガリー海軍
第一水中処分河川小艇隊大隊
・防護巡洋艦カイゼリン・エリザベート
・掃海艇ドナウ
・掃海艇ティサ
・掃海艇マルギット
他
上陸舟艇20
ロウリア海軍
第三戦隊(100隻)
ハンガリー空軍
第二航空師団
「………ぬるいなヴィクトル。」
ヴィクトルの眉がぴくっと動いた。みるみる、その眉間に皺が寄っていく。本当に、みて分かる通り『こころえず』と言った感じに。ただ、決して怒りが見えているわけじゃあない。
「……どう言う事だい。なにがぬるいっていうんだ。」
しかしヤーノシュは毅然としてヴィクトルの真逆のように笑っている。
「だって君は、いや、国民はみんなサディストだろう?その程度で満足すると思うかい?」
はっとしたヴィクトル。いわば死ぬほどの寒冷地に送られた後、ぬるま湯に浸かって満足するやつはいない。熱いお湯に、ざばりと使ってこそ意味があるのだから。そう思ったその時。
「……ヴィクトル。ごめんな。」
「申し訳ないのです。」
「すまねえ大統領。」
「えっえっちょっと急にどうしたのみんな。」
なんの脈略もなく、一斉にぺこりと頭を下げる一同。私は何だ、そんなに怒っているように見えただろうか。
「……実は、その、軍の予算をほぼ全部使ってしまったんだ…というのも、ヴィクトルは聡いだろう?だからパーパルディアが敵であることは何となく嗅ぎつけていた。そうでなくとも軍拡はきっと必要だと思っていろいろ準備していたんだ。」
そう言いながら、ぱんぱん、と手を叩くヤーノシュ。すると、ガラスに囲まれた模型が1つ入ってきた。そこには、ミニチュアの戦闘機やらミサイルやらが。
「流石にここに実物は持ってこれない。そういうわけで、実物はお預けだがちゃんと正直に話す。」
「は、はあ……」
ヴィクトルは頭をボリボリとかいた。こんな壮大な計画を黙っておいて、本来ならタダじゃ済むものではない。全く感謝して欲しいものだ。きらり光るステンドグラスの外には、やはりいつも通りのドナウ川。
「……まあ、だいたいどう言うことかわかったよ。開発したんだろう?」
「ああ。軍人どもが戦争したくないよーとか抜かしている間にな。楽しもうぜ。もっと。」
と、いいつつそのガラスケースに歩み寄るヤーノシュ。そこには、どこかでみたことがあるようなレシプロ機が。ヴィクトルは怪訝な、しかしさっきとは違うベルトルの顔をする。言わば、ヴィクトルは顔だけが浮かんできて、名前が思い出せないようなもどかしい感じにとらわれているのだ。
「あれえ、これどっかで見たことあるような……」
「よくお気づきで。これはメッサーシュミット。しかも、何だか新しいぞお。」
そこには、メッサーシュミットの小さな模型。だが、見るところ細かい場所がちょっとずつ違う。ヴィクトルはガラスに張り付いてそれを見つめてみせる。機関銃、プロペラ。何よりこの塗装。全くもって知っているメッサーシュミットのそれじゃない。
「なんだこの青い塗装はぁ!」
「何だかコンバット越前が混ざり込んでる気がするがまあスルーするとしよう。そう。その通り。これは、マルチロール機仕様。つまり、我が国のオリジナルです。これが、現代に蘇らせたメッサーシュミット。そしてその完全版。メッサーシュミット・ケットゥーだ。」
「なんかコマンドーが見え隠れした気がするけど、気のせいだね。」
「これを、今現在なんとか5機生産した。まだ販売予定はないが第三文明圏の国に売れば儲けもんだぜ。そうでなくとも、ワイバーンくらいはボコスコ叩ける。最高時速は600km/h、武装は機関銃としてマウザーBK-27、ミサイルとしてはIRIS-T。」
「他にもあるですよ。これとか。」
(仮称)翠星石が指差す先には、青緑色の戦闘機。さっきとは、ガラッと変わったじゃないか。
「これは何だい?ジェット機か?」
「はいです。これは、ハンガリーがどうにか1機だけグリペンとMiGを解析して作ったものです。パーツが作れるってことは?」
「………もう、修理について心配する必要ねえな。ちなみにスペックは?」
「スペックは、最大時速マッハ2.0程度、上昇高度は地上17500m、航続距離は1400kmほど。エンジンは双発、合計で170~180kNくらいです。フェーズドアレイレーダーをレーダーに搭載。中距離と近距離、どちらかの空対空ミサイルを積んでます。他は、対地攻撃、対艦用にも武装を変えれるですよ。機関砲は、さっきと同じくマウザーBK-27。」
「まあまあいいじゃないか。というか、まさにMiGとグリペンのハーフだなおい。」
そりゃあ、そういうコンセプトだよと肩を窄める一同。それに、苦笑したヴィクトルは、ついに訪ねてしまった。その名前を。なるほど。さっき言った、生ぬるいというのはそういうことか。これらを使わないのは、生ぬるいと。
「………こいつの名前は?」
「これか?これは。」
すうっと息を吸ってから、ヤーノシュは答える。
「………XNI3 トゥンディールだ。」
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それではまた次回!
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