まどマギの映画は夏になりましたね。決まってよかったです。次は延期しないで欲しいよお。
というわけで、モチベーションが減っています。なので、文量もかなり減りますがご了承ください。ちなみにキャラランキングは安定の三兆円!親の顔より見ましたね。これ。
というわけで(2度目)第三十三話です。どうぞ。
空の写しにように青い海の上。涙のようにしょっぱい風が鼻を抜けていく。どうしてか。とても、清々しい気分だ。やがて、その溶け込むほどの青さをまた眺める。綺麗だ。いや、海なんて見慣れてたはずなのに。それでも何故か綺麗なもので。
「もうすぐ、上陸するぞー!」
叫ぶ士官の声。それに重なる波の音。そのすべてが祝福のよう。
「上陸準備ー!衝撃に備えろー!」
声と共に、がしっと柵に捕まる僕。もうすぐ、始まる。戦いが。手に汗がぐちゃりと滲んだ。風が、なんだか生臭い。
がしゃんと衝撃があって、しばらく後に陸に着く。橋頭堡のおかげか。すぐに集中砲火を受ける羽目にはならずにすんだ。
「上陸開始ー!」
合図と同時に駆け出す僕。砂がブーツに絡み付いた。
「いくぞ!パーパルディア皇国を占領しろおおおおお!」
そして、折りたたみ自転車を広げると漕ぎ出す僕。チリンチリン!と音がした。小さな丘を駆け上がるたびに、前から後ろへ進む景色。そして何より。気持ちいい。横にびゅおっと抜けていく風が。いやでも、そんなのは今はどうだっていいんだ。とにかく今は占領せねば。その時。
ピュン!
何かが、僕の横を掠めた。前を見るとバリケードがあるあたり、どうやらここもまた戦場らしい。
「散開しろ!撃ち返せ!」
ここにいるのはみんな新兵だからそりゃあもう経験なんてものはない。それでも、銃を持たせればそれなりに使えるものさ。彼らは木陰に身を潜めるか、その場に伏せて撃っていた。まあ、しょうがないか。申し訳ないよ、索敵をミスったのは。
と言いつつも僕は銃を撃つ。とにかく撃ちまくる。だって、弾数ならこっちが絶対有利だから。
「撃て撃て!撃ちまくれ!」
パパパパ!パパパパパ!
ライフルの音が、どんどん木霊する。それと同時に、倒れる敵兵。バリケードの向こうも、だんだん手薄に。いける。こちらが有利に働いてる。
「撃て撃てえ!」
その時。奥から何かがどしんと。その正体は、リントヴルム。皇国で使用されている、まあ戦車みたいなもの。どうしよう。こいつの豆鉄砲じゃあやつに効くかどうか。さらにその時。
ババババババ!
何かが、こちらのリントヴルムを撃ち抜いたではないか。その正体はまさか。さっき撤退すると思ってたのに。それを見て、みんなが顔をぱっと明るくした。素晴らしい!飛行機じゃないか!
「第一航空師団か!お前ら最高だぜええ!」
ガッツポーズを一瞬決めてから、また撃ち始める。まるで、覚悟が決まったみたいに指の震えも止まる。
パパパパパパ!パン!パパパ!
と、銃声が音を爆ぜる。ざわざわと風がざわめく中、もう一度銃を構えたその時。
「わ、わかった!降伏する!助けてくれええ!」
僕はがちゃりと銃を下げると、風に揺られる中もう一度そいつに銃を突きつけた。びくっと震えるのも別に構わない。
「……わかればいいんですよわかれば。」
ひゅうひゅうと音がする。アルタラスの夜は、なんと言うか。とても鳥肌の立つような夜。別に、嫌と言うわけではないが。と、スタメナは思った。
「ああ、オルガか。今日も居たんだな。この間はすまなかった、その、衝動的な行動が多くて。」
「いいんだよ。そこ含めてスタメナ司令だもの。」
また、ひゅっと風が私の肌を撫でて行った。その度に、私のブーツを撫でていく草花たち。全く、構ってちゃんの多いことだ。いや、これも別に嫌なわけではないが。その時、また横からパリッと音がした。今日も、なんか食ってるんだな。
「今日は何を食ってる?」
「今日もポテトチップス。税金がかかるから高いはずなのに、海外だと安いんだよねえ〜」
なるほどそういうことか。その上に最強国家になっちゃったハンガリーのフォリントは価値が倍増。それで買いやすいってわけだな。やれやれと首を振るスタメナ。ああ、道理でこいつの原の贅肉が増えてきたと思ったよ。
「少しくれないか?私も小腹が空いて…」
「いいけど、ちょっと愚痴聞いてほしい。」
「なんだよ愚痴って。」
そう言いつつ、一枚だけポテトチップスをぱりっと噛む。いつも変わらない、美味しい味が口に充満した。そうだよ。この味にみんな恋焦がれるんだよ。と、思ったところで話が始まる。はあっとため息をついた後に。
「いつまで続くのかな。こんなのが…」
「さあな。儲かるってわかってるのにな。」
さっきとおなじように、首を振るスタメナ。やれやれ。世話が焼ける子だ。
「……国が決めたことだ。やるしかない。何度でも言うようで悪いが。」
月が、とても綺麗にその場所を照らす。まるで、2人だけの舞台かのように。やがて、ブーツが人肌寂しくなった頃。急に後ろからガサっと音がした。なんだろう。なぜか、すごく嫌な予感がする。リルセイドさんを嫌な予感だなんて思いたくないのにどうしてか。そう思ってしまうのだった。
「やあやあお二方、失礼致します。」
「何だね。作戦のおかげで暇になった我々に何か言うことでも?」
「いや、ちょっとな、聞きたいことがあって。」
何だよ言いたいことって。また嫌な予感がふっと過ぎる。そしてリルセイドはこちらに向き直ると言い放った。その、爆弾発言を。
「2人は懇ろかい?」
その瞬間、2人はまるでゴルゴンに睨まれたみたいにぐと固まる。だって、あまりに予想外だったから。
「あ、違います。」
「じゃ、アツアツ?」
「違うと言ってます。」
「あらら、隅に置けないですね〜」
「猥談はその位にしないと撃ちますよそろそろ。」
「猥談ではない。それにしても、全てあなた方のお陰だ。撃つなんて言葉ができたのもそれからだし。」
「何ですかいきなり煽て。今更ですよそういうの。」
スタメナは少し考え、そしてリルセイドに向き直る。まるで居直り強盗のように、毅然として。でも、その顔は居直り強盗のそれじゃなかった。どう見ても。
「……感謝してるんだ。ハンガリーには。」
「そんなことは政府に言ってくれ。」
「いや、違うんだ!」
言い止めるリルセイド。そっぽをむいていたスタメナは、またこちらをむいてくれた。
「あなたに感謝したい!様々な戦術をこちらに伝来させてくれて。」
「仕事なのでね。」
イエスマンに生まれたことを恨むよ。と、彼は付け足した。それが皮肉なのか果たして本音なのか。それは、リルセイドにはちょっとわからないのだった。
アルタラス沖 ハンガリー掃海艇艦隊
ここは、アルタラス沖。みんなが、無念とともに散った場所。ここで、今対峙する二つの軍隊。ああ、正義って何だろうな。とオルフィーは思った。心臓の音が、ばくばくとうるさい。まだ、海は静かだった。
いや、もちろん自分達が正義だと信じたいよ。しかし、この目の前に広がってる大艦隊は一体何だっていうんだ。これが、数の暴力。言い換えれば数の正義。海を覆うほどの敵たちがそこに。まるで海そのものが敵になったみたいに。
「まずい!下がれ!エマ!アンドル!」
「こんな数想定外だよ!どうするの兄さん!」
「どうするもこうするもねえ!」
竜母だけだと。ただの竜母だけだと思っていたのに。裏切られたみたいな気分になるオルフィー。このままじゃまずい。見た感じ、相手は100位あるだろうに。まずい。いや、まずいどころじゃない。確実に負ける。カイゼリン・エリザベートがいねえとこんなのきついなんてな。オルフィーは額に汗を浮かべる。援軍でも来てくれなくちゃ本当にまずい。
「敵艦隊、近づいてきます!」
「リーチギリギリで敵と距離を取り続けろ!」
そうして、掃海艇は3つに散開していく。アルタラスの艦隊が、それに続いて。そうして、白く海を切り裂いていく無数の船たち。ざああ、とエンジンの音が響き渡った。
「こちらハンガリー艦隊旗艦ドナウ!アルタラス艦隊は、リーチギリギリを保ったまま後退せよ!」
「了解、アルタラスに栄光あれ!」
そうして、ドカンと音を立てて砲が炸裂する。同時に、ダブルヘイクも驟雨のように襲いかかった。まるで、地獄の業火のようなそれは。びゅっと飛んで当たり、そして船を粉微塵にしていく。まあ、流石に一発では厳しいが。それでも、アルタラス王国軍による訓練の成果か。放った数十発のうち、20発も当たった。そうして、1隻が木片へと変わっていく。残りは、99隻。もちろん、その数は推定でしかないよ。だが、それは少なく見積もっての最低。
「よし、こっちも負けるか!撃てええ!」
また、ドカンと砲弾が飛んでいく。その度に沈むパーパルディアの船たち。しかし。
「あいつら数に任せてこっちに接近していく!しかも、竜母から竜騎士までやってきたぞ!」
「対空機銃で撃ち落とせ!」
掃海艇の対空機銃と、旧式の対空砲がまるで炎を吹くように炸裂した。ダダダダ、とすごい音がする。そして、竜たちをどんどん落としていくが。やっぱり足りない。足りなすぎる。ちくしょう、どうすればいいのやら。オルフィーはまるで小瓶に囚われた虫の気分だった。何か外から小瓶をぶっ壊してくれねえと、どうにもなんねえ。
空を対処すれば、海から近づく足音が。海を埋め尽くすほどの艦隊が。ああ、どうすればいいんだ。とにかく全速力で距離を取らねば。その時、火炎弾がこちらの海にバシャっと落ちた。なるほど後ろに下がらせねえってことか。学んだじゃねえか。風が、ぴゅうっと吹き抜けていく。海風がなぜか、ものすごく生ぬるかった。
「ひいいいい!避け切れないいいいい!」
一隻が、炎に包まれて燃え上がる。ばちばちという音と、木が燃える臭いがした。畜生、借り物の艦隊なのに。ぐっと手を握りしめるオルフィー。どうすれば。
その刹那、自分達から違う方向から無数の弾丸が飛ぶ。まるで、雨のようにたっぷりと。何だ。一体何が。カイゼリン・エリザベートにしては、少し多すぎやしないか。そう思って、その方向を見た時。
「あれは……!ロウリア海軍だと!?」
そう。ハンガリーが強化したあのロウリア。あのロウリアが来てくれたんだ!ダブルヘイクが、煙をふわっと上げる。その奥にいるのは、いつかの。
シャークン提督じゃないか!とオルフィーは叫ぶ。そのままロウリア艦隊は、すごい勢いの弾丸を浴びせて行った。全く、敵わないよ。シャークン提督には。
「今度こそ、パーパルディアの艦隊を倒す!」
そう息巻くシャークン提督。その目には、まるでさっき見たような炎が灯っていた気さえする。鴎も何もいない海の上。4人は覚悟を決める。海のように大きな相手でも、絶対に負けないと。
「撃てええ!撃ちまくれええ!ワイバーンを殲滅しろおお!」
ワイバーンたちが、溶けるように消えていく。もちろん当然。だって、さっきまで艦の処理に追われてた対空砲が、そっちへと向くから。海が、まるで空の鏡合わせのように青い海が。血の赤色に染まって行った。
「よし、やったぞ!流れが変わった!」
この、海のように広がっている艦隊を、処理する仲間ができてくれた。それだけでどんなに楽なものか。まるでそれは、心の拠り所。オルフィーにとって、1番ありがたい援軍だった。
「最後の一発だ!撃てええ!」
そうして、放たれる最後の一発。それは、オルフィーにとっても誰にとっても、無慈悲の一撃。赤く光るそれは、まるで地獄の炎のよう。そうして、竜母にその一撃が叩き込まれた。
「おい!退いていくぞ!退いていくぞおお!」
そうして、ハンガリー艦隊はまたしても勝利を迎えた。主には、ロウリアの助太刀のおかげだが。
「おお!よかったよかった!勝てたならいいんだよ。勝てたなら、ね。」
彼、キラーイ・ヴィクトルはワインを並々に注ぐ。そのワインの色が、まるで流れた血のように見えて。ヤーノシュは少し後退りした。だってヴィクトルが、文字通り野心家の吸血鬼のように見えてしまったから。そんな赤いワインをの飲みながら、彼は言う。
「いやあ、これで確実に勝てるな。上陸も成功したし。」
「そうだな。」
何だか調子に乗りすぎている気はしないか。実際、こいつも金を当てにしてワイン買いまくってるし。ていうかその金はもちろん私的に出したんだろうな?まさか横領してねえよな。まあ、さすがに考えすぎか。
外は、もう真っ暗月明かりがぱっと照らしてくれた。ステンドグラス越しの光がとても美しい。しんしんと雪が降る音もする。ああ、なんて素晴らしいんだ。ほぼ勝利の余韻というのは。
「おいおい、今変なこと考えてたろ。」
「いやあ、何も?」
と、すっとぼけてはみるが、まあ見透かされてるな。多分。暖炉からふっと芳しい香りがする。何か焼いてるのか?と錯覚するくらいに。これもまた、勝利の余韻なのだなあ。
いかんいかん。調子に乗ってしまったよ。私としたことが、ダメだなあ。とりあえず、自分への戒めも兼ねて何か言わねば。
「おいヴィクトル、調子に乗るにはまだ早いぜ。」
「それはそっちもだろうヤーノシュ。」
ああ、やっぱり見透かされてる。こういうところだぜ、本当。
「よし、行こう!せっかくだから、俺たちの力で列強まで!」
こうして、2人は月を見上げるのだった。その、明るすぎる月明かりを。やっぱり、ちょっと位調子に乗ってもいいよな。だって、戦いに勝ってしまったんだから。
「乾杯しようぜ、前祝いを兼ねてな。」
「おう、いいぜよ。」
いかがでしたか?
ちなみに既に一度三兆円を登場させてます。探して見てね。ヒントはパーパルディアとの戦争の前だよん。
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