イシュトヴァーンよ永遠なれ   作:デブレツェン

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どうもデブレツェンです。
今回は少し短め。次回から、戦争パートに入っていくわ。果たしてどうなるか。
日本国召喚の二次創作なのにハラハラが止まんねえのバグだと思う。


第三話 ロデニウスの軋轢

 

ヘリコプターは山脈を超えて、同じく中世の街並みへと進む。しかし、そこは確かに異国だった。クワトイネのとは違う威圧的な城が、その存在を誇示していたのだ。やがてワイバーンに導かれて森の着地点へと到達する。そこには、鎧を身に纏った、騎士が十数いた。

「ひゃあ、なんて言うか、空気が重苦しいな。」

レーチェルは冷や汗を掻きながらその大きな城砦へと足を運ぶ。その道どりは、思ったより遠い。

「貴様、何者か。」

「私はハンガリーという国の特使です。帰国と国交を樹立したく思い参りました。」

「そうか。失礼した。私はロウリア王国軍副将のアデムだ。王城まで案内する。」

どうやら噂とは裏腹にそこそこの扱いを受けているようだ。まあ、この鉄の騎士団を見る限りそれがいいベクトルばかりから来るものとは到底思えないが。とりあえず彼に着いて行き、様子を見よう。

 

 

 

 

一方、ハンガリーの内務省は大忙しだった。

「燃料の問題は解決したようだな。」

しかし問題は船だ。どうにかして造船はできそうだが、肝心の造船所がない。そして、作るにせよ軍を動かすにせよ結局石油へと落ち伸びるのだ。

「大臣、詰みじゃないですかこれ?」

「何か勘違いしているようだがな、一応多少なら石油は取れるんだよ。」

ナジカニジャという都市では石油が採れるのだ。だから、多少の動きはできる。カイゼリン・エリザベートが流れ着いた港の候補地レティニエから、地理的に近いのも利点だ。さらに、首都ブダペストの郊外べセスにも大規模な油田がある。まあ、だから何だという話ではあるが。

「そこのタンカーを利用しましょう。倉庫代くらい払わねばあんなど田舎壊滅しますよ。」

「無論だ。」

戦力が少しで良かった。少ない兵力は要するに維持費が少ないことを意味する。とにかく、その雀の涙ほどのガスと石油をやりくりして、民間を動かしているのだから溜まったものではない。同時に、この2日石油とガスは高騰を続けていた。というより値段が下がったものと言えば、給料と海鮮くらいである。それが地方に潤沢な資金を齎したと言うものも居れば、これが解決せねば国が滅ぶと主張する者もいる。当然ながら後者が正解だ。

「さて、造船所を作ろうじゃないか。立派な造船所を。」

そうはいっても造船所とは時間がかかるものだ。だいたい、最低半年〜1年は時間を食う。どうしようか。その間我々の海軍は貧弱な掃海艇3隻と旧帝国のオンボロ一隻で頑張るしかないのだ。だけにとどまらず、しつこいようだが石油の輸送要員がいない。

「そこで、やはりカイゼリン・エリザベートの出番というわけだ。」

奴は古い故に、石炭で動いてくれるのだ。石炭もやばいと言えばやばいが、兵器に本来振るべきリソースが少しでも節約できるだけでありがたい。当分は、ネズミ輸送で頑張ろう。そうして一回石油を持ち帰ったら、掃海艇でネズミ輸送をする。それで多分大丈夫。大丈夫ということにしよう。そういうことにさせてくれ。

「はあ…寿司食べたい…」

「今日はこの世の終わりの日だと?」

「てめえその目ん玉にタラコスパゲティぶちまけてやろうか。」

「ご冗談を。」

「ああ、余計日本食食いてえ。寿司は高えんだよな。どうだい?ドンドコドンでも行くか?」

「行きます。」

こうして外務省職員たちは仕事終わりのモチベーションを決め、各々仕事を再開した。ちなみにドンドコドンっていうのはハンガリーにある牛丼屋さんだよ。味も結構美味しいし、値段もそこまで高いわけではないのでお勧め。あ、君が思っていること、言ってやるよ。ウソダドンドコドーン!

 

 

 

 

 

飛竜が飛ぶ空の下、彼は異国の城へと入る。そこでは、先ほどのクワトイネのような歓迎は受けなかった。ただ、蔑むような視線が、レーチェルを刺して貫くに留まったのである。

「ご機嫌麗しゅうございます国王陛下。ハンガリーの大使とやらを連れて参りました。」

「ご苦労アデム。下がって良い。」

なんだこの重厚な空気は。この重装歩兵同様、空気そのものの質量が大きい気がしてならない。

「して、ハンガリーの大使よ。余はハーク・ロウリア34世である。ロウリアに何の用じゃ。」

「はい。我々ハンガリーは、貴国との国交樹立を行いたく思い参りました。どうか、お願い致します」

「ほう、文明圏外の蛮族が随分と偉くなったものだな。」

「はい?」

レーチェルの顔が先ほどのと同じ獄卒のような形相へと変わる。そうして、その国王をぎらりと睨み付けるのだった。

「分からんか?聞くところワイバーンも知らぬ蛮族。貴様らのとよく似た、オーなんとか帝国とやらの船に攻撃を加えて、ほうほうの体にしてやったわ。そも、クワトイネの領域や我が領域を侵犯するような連中と、しかもその連中が新興国の蛮族であるなら、国交開設に如何なる利点がある。」

レーチェルは言葉に詰まる。何故なら領域侵犯は事実に他ならないからだ。ここはさっきから五月蝿い蛮族について弁明しつつ、機転を効かせた柔軟な対応がいるだろう。

「我々は蛮族などではございません。確かに、第三文明圏外にこそ位置しますが、我々の技術には突出した部分も多くあります。何より、『ロデニウス統一』などという大層な目標を掲げる以上、敵を増やすのは得策ではないのでは?」

レーチェルはすかさず答えた。もちろん、選択肢など与えない。ABCの選択肢をABに、さらにそれをAに、と推論や事実、外交カードを元に選択肢を狭めていく。これが、レーチェルが最も得意とする手法だった。もちろん向こうは面食らったような顔をしている。それもそのはず、新興国(と思っている)が自分たちの陰謀を全て知り得ているのだ。ハンガリーにはそこそこ優秀なスパイがまあまあ居る。まあまあ。だから、彼らに紛れるなど造作もないし、クワトイネの情報から帰納法でその程度特定できよう。

「……しかし、領域の侵犯は完全に貴様らの落ち度だ。」

「それは申し訳ございません。その事実は決して否定致しません。しかし。」

再びレーチェルは国王をに睨んだ。いや、睨む気は無かったが、彼の内在人格がそれを許さなかったのだ。

「その動機が重要であります。先ほど陛下は、我々を新興国と断定しておられましたが、それは少し違います。我々は、この世界へと国ごと転移したのです。その船は我々が『オーストリア・ハンガリー帝国』という君主制国家であった時代、行方不明になった艦船です。その船に何らの臨検をも行わず、若くはざっくばらんな臨検で蛮族と断定し攻撃を行ったそちらにも、幾分かの落ち度はあるはずです。つまるところ、動機を紐解いて仕舞えばワイバーンなどの損害につきましては言わば『自業自得』とまで言える。我々の落ち度は、100年前の船が貴国の領域に不可抗力で侵入したこと。蛮族と言われる筋合いも無ければ、過剰な賠償の責任もありません。」

「ほう。随分威勢のいい蛮族だな。嘘を吐くならばもっとマシな嘘を言ってはどうだね。まあ威勢の良さに免じて余が慈悲を与えてくれよう。」

「慈悲?」

レーチェルは今日三度目に眼をぎらりと光らせた。鋭い空気が、お互いの舌論を加速させる。

「ああ。貴様らはロウリアの軍門に下れ。ロウリア王国は列強パーパルディアからも支援を受けている。この意味、分かるな?」

レーチェルには分からない。無論その国について知らないからだ。

「……ほう。やはり新興国の蛮族か。」

「いいえ。我々はそれは断固否定します。しかし、もちろんのことその要求は却下させて頂きましょう。」

そうして回れ右をするとすたすたと去っていく。その様子を、騎士たちは見ているしかなかった。

「残念だ。実に残念だ。」

「言っときますがねハーク・ロウリア34世陛下。」

レイチェルは向き直って言い始める。

「君の目の前にいるのは、かつて山脈を途方もない距離まで移動して、1000年もの間、ヨーロッパ最強の陸軍と恐れられ、征服を為されてからもその宗主国に認められ対等な立場へと成り上がった、血の闘争を乗り越えた国家の大使だ。もし我々を同行するなら、貴様が例え今からどう逃げようと、必ずロウリアの首を噛み砕く。この城をも火の海にする。その事を、忘れずに。」

そうして、フン族たちの流した血の水鏡のようなカーペットを、彼は再び下っていった。

 

 

 

 

 

建設・運輸省への掛け合わせは成功している。あとは、時間を待つだけ。ロウリア王国とやらとは、おそらく戦争になりそうだ。国ごと転移という馬鹿らしい出来事を、意外にも受け止めてくれた国民がとてもとてもありがたい。そうして、タバコを一本取り出す。それは、最後の一本だった。

「やあソンバトヘイ一本貰えるかい。」

「残念、ちょうど品切れだ。」

こいつは、この建設・運輸省の大臣である「ヘッペシュ・フェルディナント」だ。こいつも、齢43という若さで政界へと舞い降りた天才だ。この内閣が始まって早くも2日。波乱の内閣だった。

「ヘッペシュ大臣、どうでしょう今の世界は。」

「53。」

「即答ですな。レーチェルならきっとそうは答えねえな。」

「そうかい?あ、いや、そうか。」

そうしてヘッペシュもタバコを吸い始めた。それを見てソンバトヘイは呆れ果てたような表情を浮かべる。

「大統領は、なんか勝ち誇ったようなこと電話で言ってたけど大丈夫かなあ。」

ヘッペシュは言った。きっと大丈夫だとソンバトヘイが答える。彼は、最も互いを信頼し切っているからだ。

「大丈夫さ。若き大統領を信じろ。」

「野党がいろいろ言いそうですなあ。」

「そこは仕方ない。」

タバコが、段々短くなってきている。このままここに止まれば、もう直ぐ消えゆくだろう。

「戦争になったらどうする。」

「何、返り討ちにするさ。」

「ま、それもそうか。」

ヘッペシュはタバコを落とすとそれを踏み潰す。

「だって、そのための増築だもんな。」

 

 

 

 

「おえええええええええ!」

カイゼリン・エリザベートの甲板で喘ぐものが1人。それこそハンガリー大統領、キラーイ・ヴィクトルである。

「大丈夫ですかい?大統領?」

実際には年上のはずのクルーが問いかける。なんだか、むず痒い気分だ。

「何放って置けすぐ慣れるさ。」

「お前はいいよな国防長kオロロロロ」

こうして海にセルフ餌やりをしている大統領と、夜風にくつろぐ一行たち。クイラでの交渉は大成功だった。その役に立たない燃える水を買ってくれる救世主へと成り果てたハンガリーは、勿論その実力を買われた。この船の威圧感が故である。

「早く戻って、対空機関砲や9K32ストレラ-2なんかをたんまり詰むぞ。そうすればワイバーンなら多少いける。」

「よくそんなこと考えれるよオロロロロ」

虹色の液体はまだまだ止まらない。あのクワトイネという国のもてなしが良かったのを初めて恨もうとも思った。

「うへへ、未来の兵器かあ。俺たちの夢だぜ。」

「ドラゴンと戦えるなんて、まるで童話だな。」

「だめだこいつらバカだオロロロロ」

こうして、ゆっくりゆっくりと彼らは帰るのだった。レーチェルの所で、何が起きているかも知れず。

 

 

 

 

 

「これより、御前会議を始める。」

取り仕切るのはパタジン。白銀の鎧を身に纏った年は30ほどのロウリアの将軍だ。その向こうには、怒りに顔を凍らせるハーク・ロウリア34世が居る。隣に黒ローブの男。ここで、本日重大な決定がなされるのだった。

「ロウリア王、準備は全て整いました。」

威厳を持ち、ハーク・ロウリア34世はその男に尋ねる。その様子を見ていたものは、客観的に見ればまるで神と閻魔の会議のようおどろおどろしいものだったという。

「ロデニウスの統一と亜人の殲滅は余の悲願だ。だが、2カ国を敵に回して勝てるのか?」

「ご安心ください。一方は農民の集まり。もう一方は不毛の国の民。後者は山が厄介ですから、クワトイネにまず攻め込みます。」

「いずれにせよ、数も練度も我が軍に総合的には敵わない、と。」

「その通りでございます。」

「しかし何より由々しきはハンガリーだ。奴らは許さん。どうやらクイラとクワトイネに依存する何かがあるようなので、ハンガリーの息の根も止めてくれよう。許さんぞ蛮族。余を本気で怒らせたことを、地獄で後悔するがいい。」

そうして、ハーク・ロウリア34世は立ち上がると、マントをぶわっと浮かせて言った。

「余はこれより、亜人及び蛮族殲滅と、ロデニウス大陸の統一を掲げて、クワ・トイネ公国、クイラ王国、ハンガリーに宣戦布告する!」

しかし、口を開かなかった黒ローブがついに口を開いた。横から話しかけたからか、立場に関わらず少し申し訳なさそうに見える。

「国王陛下。統一後の約束は、わかっておられますな。」

「解っておるわ!」

その怒鳴り声におじけることもない黒ローブの男。

「将軍、今回の概要を説明せよ」

「はっ!説明致します。今回の作戦用総兵力は50万人、本作戦では、クワ・トイネ公国に差し向ける兵力は、40万、残りは本土防衛用兵力となります。

クワ・トイネについては、国境から近い人口10万人の都市、ギムを強襲制圧します。なお、兵站についてですがあの国は、どこもかしこも畑であり、家畜でさえ旨い飯をたべております故現地調達いたします。ギム制圧後はその東方250kmの位置にある首都クワ・トイネを一気に物量をもって制圧します。彼らは、我が国のような城壁を持ちません。せいぜい町の中に建てられた城程度です。籠城されたとしても、包囲するだけで干上がります。かれらの航空兵力は、我が方のワイバーンで数的にも十分対応可能です。援軍が考えられるかも知れませんが、距離的に不可能ですし何よりハンガリーやクイラはワイバーンを所持していません。なので大丈夫です。それと平行して海からは、4400隻の大艦隊にて、北方向を迂回、マイハーク北岸に上陸し経済都市とハンガリー攻略を行います。なお、食料を完全に輸入に頼っているクイラ王国は、クワ・トイネからの輸出を止めるだけで、干上がります。ハンガリーも、何か未知のエネルギーをこの二国に頼っているため、制圧の上艦隊を差し向ければ終わりです。」

「なるほどわかった。ふっふっふ…はあーっはっはっは!!!今宵は我が人生で一番良い日だ!!改めて!!余は、クワ・トイネ、クイラ、ハンガリーに対する戦争を許可する!!!」

おおおおおおお!という雄叫びと共に拍手が絢爛のように浴びせかけた。そうして、拍手をする中に、あの不気味な黒ローブも居たのである。戦争は、始まったばかりだ。

 

 

 

 

「やりやがったあいつめえええええええ!」

レーチェルというレーチェルに八つ当たりしてやりたい。あいつはロウリアに喧嘩を売ってきやがったのだ。本人曰く、舐められたからちゃんと事実を伝えたそうだが、蛮族と追い返されたそう。お前は悪くなかったごめん。て言いたいがメールがあまりに腹立つのだ。

 

やあソンバトヘイ君。レーチェルだよ☆

ところであのロウリア王国だけど、舐めてた上に蛮族連呼をして相手にしてくれなかったからぶっ飛ばそうぜ。ヤーチンとヴィクトル大統領にもよろしく頼むよ。

あ、そうそう。この国のめぼしいとこは見たけど特に突出した点はないね。ただ、鉄鉱石は取れるから鉄不足もどうにかなると思うよ征服すれば。

とりあえずいい所なのでステーキ食べて帰りました。やったぜ。

 

と、満面の笑みでステーキに齧り付く彼の写真が添付されていたのである。正直ソンバトヘイは、画面を叩き割ってやりたかった。

「くそ最悪の想定だヘッペシュ。ロウリアとやるかもしれねえ。あいつなんで征服できる前提で話してんだよカスが。」

「冗談だろ?こちとらグリペン14機しかねえんだし石油もねえ。」

「しかも、もしかしたらあのチート2国家にも仕掛けるかもなんだ。」

「終わった。」

ヘッペシュの顔がわりと絶望の黒に満ちる。どうしたものか。とにかく大統領と国防長官に連絡だ。

「急げ!ヤーチンとヴィクトルはこの事知らねえ!」

そうして、司令部へと走り出した。途中で職員とすれ違うが目もくれない。

「あれ大臣そろそろドンドコドン行きましょうよ」

「すまねえ!それどころじゃねえんだ!延期!」

こうして、異世界の干戈は着実に疾くこの国へと降りかかったのだった。11月2日、夜のお話である。




ここまで読んでくれてありがとうございます。次回ロウリア戦!乞うご期待ください!
ちなみに、西駅の近くだった気がする。そこにいとしいだっけ?みとしいだっけ?まあそういう店があった。そこで寿司と天ぷら食ったことあるけど味ははっきり断言できない。だって数年ハンガリー漬けで日本料理を渇望していたから、正直なんでも美味く感じたと思う。まあ、その時は美味かった。今は知らん。
とりあえず住んでるならドンドコドンは美味いから行け。ただし、すき家とか吉野家とは違う味(なんか甘めで香りが独特?というかちょっと馴染みがないというか)だからそこだけ気を付けて。潰れてたらごめんね。ではこの辺で。

(0w0)< ア゙ディガドゥルゴザイバシダ(ありがとうございました)

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