キラ事件発生から、約四ヶ月。
その間、月の家に監視カメラが設置されたことで、文字通りキラの代行をしたりと、色々あったが季節はすっかり春となった。
眞は国立大学に合格し、晴れて大学生である。同じく大学生となった夜神月とも、カインとキラとは別に対面を済ませている。二人は眞のバイト先で出会った設定となっていた。
そして、サイトの運営も続けている。開設当初ほどの勢いは無くなったが、今でもキラ信者の書き込みは活発だ。
眞は何か新しい依頼が来ていないかとメールボックスを見ていると、管理人宛にメールが来ていた。
開くと、そこにはいつかと同じ0と1の羅列。キラからのメールだ。
眞は文章を読み解いていき……その内容に、目を見開く。
「Lと接触……!?」
東応大学の入学式があったその日、流河旱樹という青年が月に向けて「L」と名乗ったそうだ。
まだ信用は出来ないが、わざわざ夜神月にLを名乗り出た理由は一つしかない。
「……Lは、夜神月を疑っている」
それも、最有力候補という訳だ。
どうするか……と考えながらメールを読み進めていくと、最後に近日中に会わないか?という旨が書いてあった。その文面を見ながら、眞は暫し考え込む。
「……まぁ、Lの名前が知りたいんだろうな」
流河旱樹は流行りの俳優と同名だ。デスノートに流河旱樹と書いて、俳優の方が死ねば夜神月のキラ疑惑は深まる。
それに、Lという名前だけじゃ殺せるか判らない。確実に奴を殺したい気持ちは理解できた。
眞は了解のメールを送り、パソコンを閉じる。そして背後でイチゴジャムを舐めているオーエンを振り返った。
「ねぇ、オーエン。もし、キラとLを同時に殺せたら……面白いと思わない?」
イイコトを思い付いたと言わんばかりに、うっそり微笑む少女を、オーエンは鼻で笑う。小馬鹿にするような目で、死神は矮小な人間を見下ろした。
「オマエは天才じゃない、中途半端に頭が良い人間なんダ。思い上がるのもほどほどにしなヨ」
オーエンの神経を逆撫でする言い方に、それまで熱に浮かされるような気分だった眞は一気に現実に引き戻された。
冷え冷えとした静かな怒りを宿した瞳でオーエンを見返す。
そんな眞の様子を面白がり、更に怒りを煽るようにオーエンはニタニタ嗤って言った。
「ボクはお前が不幸に、惨めったらしく死ぬのが見たいだけだヨ。せいぜい悪足掻きして死ねばいいサ」
「……ほんっと、悪趣味な死神だな」
そう吐き捨てて、オーエンに向かって鉛筆を投げる。鉛筆はすり抜けて床に落ち、眞は舌打ちをした。
二日後。眞は月の通う東応大学に来ていた。今日はいつもの黒いパーカーを脱ぎ、淡い色のフレアスカートを履いた清楚な格好だ。
大学を行き来する人を眺めながら校門前で待っていると、暫くしてジャージ姿の月がやって来た。
その隣には、猫背の不健康そうな青年がいる。
「お待たせ、落合さん。流河、さっき話した落合さんだよ」
「どうも、流河旱樹です」
ぺこり、と青年が頭を下げる。眞の方も慌てて名乗り、頭を下げた。
眞はちらりと、流河旱樹__Lを観察する。随分と風変わりな青年だ。
それで?と月の方を見ると、彼はにこやかにとんでもない事を言った。
「僕と落合さんで、キラの調査をしていることを流河に話したんだ」
「えっ」
「はい。お二人の推理に興味あります」
そうは言うが、月がどこまでキラについて話すのか、眞には検討が付かない。
しかし流されるまま、眞は二人と共に喫茶店へと向かった。
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