夜中、急に目が覚めた。
胸の動悸が激しかったからだ。
訳の分からない焦燥感が全身を襲う。
今日も何も変わらなかったという恐怖とこれが明日からもまた続くという事実だけがただそこにあった。
死んでも死んでなくてもあまり変わらない。
そんな生活を送っていたから、思ってしまったのだろう。
「もういいかな」って
俺はただ毎日を過ごしているだけ。
たまたま生き残っていて、たまたままだ生きている。
それだけ。
所詮替えが聞く人間なのだ。
もうずっと長いこと生きてきた。
もしかしたら、明日は何か起こってくれるかもしれない。
明日は何か変わるかもしれない。
明日は、、、、、
ずっと、そう思ってきた。
いっそのこと、隕石なんかが落ちてきてくれればって何回も思った。
でも、もう期待するのも疲れた。
疲れたんだよ、俺。
このままいくと両親は俺を養うために金を使い果たす。
しっかり働いてためてくれたお金を俺みたいな人間に使っちゃだめだ。
最後の余生くらい、親には楽しんでほしい。
俺なんか忘れて生きてほしい。
だから、死ぬことにした。
何も急に決めたわけじゃない。
前々からぼんやりとイメージは出来ていた。
俺にはちょっとだけこの世界が窮屈だっただけだ。
別に誰が悪いとかじゃない。
ただ、生きてるって思えなかっただけだ。
終わりが見えないのが只管怖かった。
どんな物語にも終わりはある。
それさえクリアできれば解放される。
じゃあ俺は?
いつまでこの物語を生きればいいんだろう。
いつになったら主人公になれる?
違う。
なれない。
俺は脇役であって、主人公にはなれない。
そう決まっていたのだ。
ずっと悩んでいたことから解放される。
何だか清々しい気分だった。
頭の中がすーっとするような。
ただ、星を見ていた。
最後の景色が星空なのは悪くないと思った。
生まれ変わったら鳥にでもなりたいな、なんて思った。
ただ、引き出しの中に入れていた紐を取り出す。
なんとなしに買っておいておいた紐。
紐というより縄か。
思えばこれを買いに行った日から、俺は死にたがってたのかもしれない。
まあ、そんなことどうでもいいか。
もう死ぬし。
何も考えなくていいか。
グッと縄を張り、脚立の上に立つ。
其処からふっと降りた。
「カヒュカヒュ」
苦しい...
息が出来ない..
誰か...
いやもういいんだ。
終わりなんだから。
ああでも、クソ。
最後まで頭の中から考えが消えない。
死んだら両親は悲しむだろうか。
それとも厄介者がいなくなったことを喜ぶのだろうか。
最後まで何も、何一つ親孝行なんてできなかった。
何も成しえなかった。
誰一人として自分の事を知らず、ひっそりと世界の片隅で音も立てずに死んでいく。
一体何のために生まれたんだろうな。
死ぬ直前になったら何も感じなくなるとそう思っていた。
でも、違った。
死ぬ時すらも思考が止まることは無かった。
そのまま両親にも気づかれず、死んだ。