半端な気持ちで入ってくるなよ……Lifeの世界によぉ!! 作:まさみゃ〜(柾雅)
学校が終わり、今日もMeeKingへ足を運ぶ。
セト店長と茂札、そして無愛想な女店員。
よくユウキと絡んでいる彼女は店の仕事が暇なのか、今日もユウキや茂札とファイトしている。
別のファイトスペースには常連の4人組の小学生。
「あ、キョウカさんこんにちは!」
店に入ると、ちょうど出入り口が見える位置にいたユウキが声をかけてくる。
ファイト中であるのに気が緩んでいるな。
あ、店員に盤面捲られた。
「ユウキ、余所見は厳禁」
「そうだね。今のはちゃんとファイトに集中してなかったユウキちゃんが悪いね」
可哀想(他人事)。
せっかく展開した自信のある盤面だったのだろうが、俺が近くまで来た時には既に荒らされて、無惨な姿に成り果てていた。
「いつもの特訓ってやつ?」
「そんな所かな。鬼柳さんは今日もリベンジ?」
そう言えば今日は大きい子……マリカって名前だっけ? は来ていないようだ。
最近よく見かける子で、発育が良くて胸部が揺れるたびにユウキによく濁った眼差しを向けられている子、と言う印象が強い。
「あ、
「
茂札以外の店員の名前は確かサレン、だったな。
俺と茂札とは同じ学年だったはず。よし、今日も記憶力は大丈夫のようだ。
「こらこら、2人とも喧嘩腰にならない」
今にも殴り合いが始まると思ったのか、茂札が仲裁に入ってくる。
いや、ただのじゃれあいみたいなものだし。この後ファイトするつもりだけど。
向こうもそのつもりのようだし。
「それに相手にデッキを悪く言わない方が良いんじゃないかな?」
「「
俺たちの返しに茂札は慌てるが事実そうだろ。
毎回デッキが変わるのに普通に戦えるのは変態の所業だと思う。
「……んでどうするよ」
「先2で」
「それが丸いな。よしやるか」
対面の席に座り、お互いがメインとライフのデッキをシャッフルする。
一通りシャッフルが済めば公平性の為に相手にもデッキをシャッフルしてもらう。
「け、結局ファイトするんだ……」
サレンとの対戦を終えて復習用のノートに加筆を終えたユウキがつぶやく。
その隣には強制的にジャッジ役を任せた茂札。
「良い機会だし鬼柳の使ってるデッキの解説をしておこうか?」
「お願いします! 何度戦っても意味が分からないので!」
ユウキの連勝中なのに嫌味かな?
そう思いながらファイトに集中するよう意識を変える。
「何度か戦っているみたいだしおおよその戦い方はもうわかっているよね?」
「はい! 手札が0枚の状態だと強力な効果を発揮するので序盤はよく、手札を0枚にするように動いてました!
……前々から思っていたんですが、なんでライフデッキからドローしなかったんですか? 何故か墓地へ置いてますし……」
場には<無手ノ悪魔 リベンジャー>のみ。
<間抜けな傭兵>を出したかったがそれは瞬間魔法で召喚に失敗して墓地へ送られてしまった。
「<無手ノ悪魔>には共通して【
うわ出たよクソオオカミ。お前の【魂葬】の効果のせいでこっちは土地が増えねぇんだよ!!
てか魔石が墓地へ送られてないし回収用の札も引けてないんだが!?
「そしてもう一つの共通の効果が【
このキーワードの後にそれぞれ対応した効果を<無手ノ悪魔>は適応している」
だが幸いにも<衝撃>は引けている。
もともと<間抜けな傭兵>の効果で序盤に落とすしか無かった魔法だったが、今になって土地を増やせるのは助かった。
何度か俺のデッキの動きを体験してクソオオカミ出すまでは殴ってこなかったし、お陰で土地が全然足りなかったんだよな!!
「俺のターン!!」
<衝撃>を発動して運良く土地が2点増える。
残る土地からコストを捻出して壁を増やして……対応されて壁が減る。
「今回も私の勝ち……!!」
「それはどうかなっ!?」
中盤に落としておいた魔法をメインデッキを削って発動する。
コスト3魔法<伏兵>の効果で攻撃を中断させた。
あ、危ねぇ……首の皮が繋がった……。
「今日こそはその喉元食いちぎってやる!!」
「いつも通り殺す……!!」
「2人とも〜? 白熱するのは良いけど言葉使いは気を付けてね?」
「「……はーい」」
店長に注意された。
そういえば小学生もいるんだったな。
「……やっぱ手札が無いのにサレンさんに喰らいついていけるなんておかしいですよモブさん!!」
「最近からとはいえ鬼柳の相手も結構したからなぁ……」
「あ、やっぱり……」
そうは言うけどよく盤面を見て欲しい。
ライフアドバンテージは向こうのほうが上だから。
俺の場合
なんでまたこの子に喧嘩売ったんだろ俺(今更)。
「だがこんなんじゃ満足できねぇ……ドローッ! コストを6支払い、来い!
悪魔よ、零よりこの世の虚無を喰らい尽くせ! <無手ノ悪魔 ヘル・コーラー>!!」
<無手ノ悪魔 コーラー>の進化形態とも呼べる、さらに拘束具が増えた悪魔の幻獣。
効果は相手の幻獣一体を対象にしてその効果をこのターン無効にする。
「そして、俺の手札がハンドレス状態ならその後に破壊する!」
これであのクソオオカミを除去できた。
そして残るコストは<衝撃>に使い、土地を増やす。
……魔石落ちねぇ。今回も完全にボトムかもしれないなこれ。
「モブさん!」
「うーん、でも今回はライフが削れ過ぎたね」
サレンのターン。
この後全体除去を撃たれた後にクソオオカミが復活して、俺は展開もできずに負けた。
「勝利」
「なんでまた喧嘩売ったんだろ俺……」
その後の試合は、二戦目に
やっぱロマン砲が決まる時はテンション上がるよね。おかげで店長にまた注意されちった。
「むぅ……キョウカ腕を上げた」
「流石にロマン砲ぐらいは意地でも通るようにしたからな」
最近はサレンやユウキに勝つことは確かに増えているが、やはり黒星が多い。
まぁ、勝てるって確信した時の引きが良いだけなのかもしれないけれど。
「今回の3試合を見た通り<無手ノ悪魔>のデッキはいかに手札を0枚にしなければいけないから純構築は見られない。もともとテーマ内で手札を減らす効果を持つカードが少ないからね。
それに手札を0枚にしなければならない関係で手札に瞬間魔法を抱えることが出来ない。まぁ、魔石の<フェイク・ハンズ>があったら変わるけど今制限中だからそこまで警戒しなくても大丈夫かな。
簡単な対策としてはやっぱ相手にドローを強要するカードや手札にバウンスして効果の適応条件を未達成にさせる……ぐらいか」
「……えっち。人の弱点を丸裸にするじゃ飽き足らずベラベラ他言すんじゃねぇよ変態。大会の時だって人が嫌がってるのに弱い所を執拗に突きやがって」
「い、言い方どうにかならないかな!?」
人のデッキの
大会で初めて会った時だって、初見なのに俺のデッキの弱点をすぐに狙ってきたからなコイツ。
1番引いたのは試合後に感想戦とか言うやつで自分のデッキの弱点をバラしてきたところだけど。
「そういえばキョウカさんって大会とかは出ないんですか?」
と、茂札に今回のプレイングの反省点を上げてもらっていると、ユウキが疑問を投げかけてくる。
「大会? あー……小さい規模のなら何度か。そこで茂札と学校以外で初めて会ったからな。
ただ、大会に出てるのは小遣い稼ぎでLifeは護身のためにやってた面が大きんだよ」
「……護身?」
俺の返答に何故か茂札とサレンが食い付く。
別に変なことではないだろうに何が気になるのか。
「いや、俺の出身校……とその周辺の治安が悪くてな。仕方なく力をつけた感じだよ。あそこ、ハンデスが多かったし」
だから手札が無くても動けるこのデッキを使うようになった。……そう記憶している。
2人は俺の出身の中学の名前を聞いて、茂札は知らなかったがサレンの方はよく無事に生きてるなと言うような視線を向けられた。
「あとは最近よく絡まれるようになったけど闇の──」
「大丈夫!? 何か変な事されてない!?」
『闇のファイター』と言う単語を聞いた途端、セト店長が持っていた段ボールを落としてこちらに駆け寄ってくる。
そして店長が俺の身体を確認しようとするが、その前に彼女の双丘で吹き飛ばされた。
茂札の方を見るとアイツはアイツでなんか怖い顔し始めるし。
「ゆ、ユウキ……たす──」
「て、店長! 大丈夫でしたよ! 一回だけキョウカさんが戦ってるところ見ましたけど勝ってましたから!」
待って、なんで茂札は更に殺意を増幅させているんだ????
あの後サレンが2人を落ち着かせたところでマリカがやってきて話題は流れた。
不意打ちだったから危うく頭をぶつけるところだったわ……。
「……さてと」
頃合いを見てMeeKingを出る。
先程から感じていた視線は確かここからだったはず。
「ふぅ〜」
「うひゃあっ!?」
突然耳に息を吹き替えられて思わず拳が出る。
犯人と思われる人物はまさか拳が飛んでくるとは思わず咄嗟に尻餅をついて避けた。
「あいたたた……。まさか拳が出るとは思いもよらなったわぁ……」
やや、ゆったりとした口調で彼女はこちらを見上げる。
確かコイツは以前小遣い稼ぎで出た大会で対戦した……
「い、いきなり何しやがる!!」
「たまたまキョウカはんを見かけたからな。思わず悪戯してもうたわぁ」
ゆっくりと立ち上がり、俺の首筋に顔を近付ける。
そしてすんすん、と匂いを嗅いで、何かを確認してきた。
「……マジで気持ち悪ぃよお前」
「そんなこと言わんといてや。これでもわえは乙女なんよ?」
「いきなり人の匂いを嗅ぐ乙女がいてたまるか。てかなんで店ん中入らずにコッチを見ていたんだ?」
あとさりげなく触って来るな。先から鳥肌が立つのが止まらねぇんだよ。
伸びて来る百鬼の手を弾いて再び店に戻ろうとする。
すると、彼女は俺の手を掴んできた。
「もう、わえの返答を待たずに戻るん?
時間もまだあるんやから今からお茶でもしましょ?
それに……キョウカはんはまだ家には帰りたくないんでしょう?」
何故知っている。
ある程度警戒はしていたが、最後の言葉にさらに俺の警戒心は高まる。
「それに……あんなまさなしき男にあまりキョウカ近くに居てほしくないんよ?
幸い、匂いは移っとらんかったから良かったわぁ」
「男……茂札のことか?」
何故そこで茂札が出て来るのかわからない。
だが、近づくなと言われても本気でやり合って勝つまではその提案には乗れないのだが。
「そうや。なんならファイトで決めよか?」
「……いや、やめとく。今日はもう疲れたしお前の話に乗る」
その言葉を聞いた百鬼は喜びの笑みを浮かべると、片手を上げる。
すると、彼女の背後に停まっていた黒いリムジンの扉が開いた。
そう、コイツは、百鬼ヒメカはいわゆる令嬢なのである。
「では行きましょか。わえの行きつけはおすすめなんよ?」
「……帰りてぇ」
百鬼に手を引かれて車に乗る。
運転手とは遠い席。車内にはテーブルファイト用のスペースもある。
だが、今回はファイトをしないため普通の座席。
用意されているドリンクもどれも高級なもので、出されても飲みたくない。
「……手の甲を指でなぞるのはやめてくれ。くすぐったくて気持ち悪ぃ」
「えぇ〜、それぐらいええでしょう?」
大会でなぜか試合前に求婚してきたこの女は何故か茂札を警戒している。
だが、茂札が関わらなければこの様に、出会えば過度なスキンシップをかましてくる。
「てかお前、
「めんこい子は何人居ても足りんからなぁ」
おい待て今「何人」って言ったか?
俺が前に会った女以外にも交際相手いるのかよコイツ。
「……いつか刺されるんじゃねぇのお前」
「皆んなええ子やし、仲もええよ」
まさかの百合ハーレムを築いていた。
しかも証拠として百鬼含む5人の写真を見せて来る。
「そこに俺を加えるつもりだったのかよお前!?」
「なんならグループチャットの方も見せよか?」
スマホを取り出せば、チャットアプリの画面を見せて来る。
文字だけだが、ギスギスとした雰囲気は無く、俺をハーレムに加えたいと言う百鬼の提案にも何故か乗り気な反応が全員から返ってきて……ってこの写真いつ撮ったんだよお前!?
「盗撮された上に知らず知らずにお前のハーレムに加えられる方向で話が進んでたのホラーかな? なぁ?」
「だって許可はくれんのでしょ?」
「残念だが恋愛対象は異性だから、俺」
「やから益々欲しいと思うんよね……っと、到着したなぁ」
いかにも高級感が漂うレストランの前に車が停まる。
「おい、お茶するって話じゃなかったか?」
「そうやね」
隣に立つ百鬼を横目で睨む。
入り口には黒服が立っており、百鬼がチェックインを済ませる。
「さて、まずはお着替え、しましょか」
「……ドレスとか着たことねぇぞ」
「知っとるよ♪」
嵌められた。
【蛇足】
百鬼ヒメカ
性別:女
年齢:17歳
社長令嬢で百合ハーレムの主
ハーレムのメンバーは皆んな仲良しでギスギスしてないし、むしろ仲が良すぎる
使用デッキは<
初めてキョウカと出会った時、自分が勝ったらお前を嫁にすると対戦前に宣言した